リフティング

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作者:円山翔
読了時間目安:3分
ジェードさん主催、ポケモンバトル書きあい大会エントリー作品。
 コツ、コツ、コツ。
 リズムよく石ころを蹴り上げる。足を上げるのが早くても遅くてもいけない。その時が来るまで待ち、タイミングよく、足の甲のいい場所に当てなければならない。
 コツ、コツ、コツ。
 石ころは地面に落ちない。これを千回続けられるようになったら、きっと新しい技にできる。そんな予感があった。
 コツ、コツ、コツ?
 気配を感じて、それまでよりも高く蹴り上げる。直後、足元を雷光が駆け抜けた。
「邪魔すんな!」
 体を捻りながらジャンプする。錐揉み回転でボレー。着地と共にダッシュ。石ころは鋭い軌道で迫るが、雷光は瞬時にその場所を移す。すんでのところで追いつき、石ころを落とさぬよう蹴り上げる。
「コツコツうるさいんだよ!」
「だからって邪魔することないだろ! このままどっか行くから今は見逃してくれ!」
 必死の叫びも虚しく、雷光――ライボルトは聞く耳を持たない。上下する石ころの軌道を読み、一直線に飛び掛かる。来ると分かっていればタイミングを変えることはできる。しかしライボルトは早い。地面を蹴ったと知覚した時にはもう、目の前まで来ている。反射的に足を振り上げ、石を蹴るタイミングを一瞬だけ早めた。直後にライボルトが通過する。静電気のせいか、脚の感覚がおかしい。
「そのままくたばりやがれ!」
「やなこった!」
 足を振り下ろすが、捉えたのは地面。踵が痛い。自由落下する石ころを落とさないようにヘディングし、足元へ戻す。もうすぐ完成する。だんだんと熱を帯びてくるのが分かる。これが新しい技。これが自分だけの炎。
 ライボルトも何かを感じたのか、狙いを石ころではなく足に向けてきた。ただでさえ痺れた足に、光速の一撃を喰らいでもしたら。覚悟を決め、石ころを高く蹴り上げた。ライボルトが迫る。石ころが落ちてくる。タイミングは一瞬。
 ずどん。
 錐揉み回転で蹴った石ころが炎を纏い、地面に穴をあけた。目を円くしたライボルトは、尻尾を巻いて逃げ出した。
対戦カード
B:エースバーンvsライボルト

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