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作者:夏十字
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読了時間目安:20分
やあ!僕だよ。君もポケモンゲットしてる?

ポケモンは今君たちが知ってるだけでも約900種類。すごいよね。
ポケモンの数だけ出会いがあってポケモンの数だけドラマがある。素晴らしいことさ。おかげで君たちもさぞ楽しい日々を送っていることだろう。

……じゃあ、そのポケモンがもっともっと少なかったらどうだろうね?
例えば、そう。10種類しかいないとか。

ありえない?
ふふ。そう思うなら尚更楽しみだね。
早速そんな世界を見てみようか!

◆   ◆   ◆

ここはとある地方の町はずれ。ポケモンがいそうな草むらがいっぱいで、近くには大きな湖や森なんかもある。

え?なんかあちこちガレキだらけじゃないかって?
うーん、まあそれは置いといて……ほらほら、あそこの草むらで少年たちがポケモンを捕まえてるみたいだよ。

「よっしゃあ!ツボツボゲット!」

モンスターボールを掲げてはしゃぐのは少し大柄な少年。その様子を大きなリボンを頭につけた小柄な少女が眺めていた。

「やったねソイチお兄ちゃん!」
「へへ、サンキュ。……って、うおー!」
「お兄ちゃんどうしたの!?」
「エルバ、俺……俺さ……」

ソイチと呼ばれた少年はしばらくわなわなとうち震え、やっと言葉をしぼり出した。

「俺……ポケモン図鑑完成したかもしんねえ」

まあ10種類しかいない世界だからね。

「フン、やるじゃないですかソイチ……と言いたいところですが」
「オンセ!?」

突然すぐそばの茂みからもう一人、華奢な少年が現れた。オンセと呼ばれた彼はメガネをクイっと上げて言う。

「ボクもコンプリートですよ」
「何ィ!?」

そんな驚くとこじゃない。

「それにソイチはうっかりやですからね。思い違いってこともあります」
「何を!ちゃんと全種類捕まえたぜ!……たぶん」

たった10種類なんだから分かるだろそれくらい。

「フッ、だめですね。仕方ないので教えてあげましょう。そういう時は……数えればいいんです」
「そ、そうか!」

極めて普通の方法だったしソイチ君もいちいち驚くのやめて。
……まあ、そんなこんなで数えはじめたようだね。

「ノコッチ、デデンネ、ツボツボ、マッギョ……これで4種類だな」

全部進化しないやつ!

「あとケムッソ、カラサリス、アゲハント、マユルド、ドクケイル。ボクのほうでもきっちりゲット済みです」

ケムッソ周りの占める割合えぐくない?

「最後の1種類はあたしもさっきゲットしたよー!せーの」
「「「マッシブーン!!」」」

なんか急に濃いーいやつきたね。また虫かよ。

「間違いないぜ、10種類全部ゲットした!うおおー!」
「ボクも間違いなくコンプリートです。フン、おあいこですか」
「いーなー。あたし9種類……どうしてもケムッソが捕まらなくて」

エルバちゃんは逆になんで?

◆   ◆   ◆

もうすぐ日が暮れる。
三人は家に帰る前にガレキに腰かけて休憩していた。

「でもさ。こうやって一通りゲットしてみると……ポケモン捕まえるのも飽きてきたなって、なんか寂しい感じがするよな」

まあ何度も言うように10種類しかいないんで。
むしろよく今まで持ったねと言いたいよ。とても言いたい。

すると、神経質そうに何度も何度もメガネのレンズを拭いていたオンセがおもむろに口を開く。

「二人は聞いたことないですか?あの話……」
「あるぜ!」

内容聞く前に答えるな。

「そうですか……」

お前も引き下がるな。

「聞きたかったな……」

エルバちゃんは諦めずにツッコミがんばって。

「まあ冗談は置いておいて。最近うちの父親づてにこんなウワサを耳にしたんです。この世界にはもう一種類、幻のポケモンがいると」
「幻の!?」
「ええ。幻の……11番目のポケモンです」
「11番目!ポケモンだけでサッカーができるな!」

そうですね。

「ソイチ。対戦相手を含めるとサッカーは二十二人必要ですよ」

そうでした。

「あたしサポーターやるね!」

そうですか?

「って、そんな話は俺も前に聞いたことあるよ。つってもさ、ただのテキトーなウワサだろ?」
「だったらボクがわざわざこんな話をするわけないじゃないですか。続きがあるんです。父さんの仕事の繋がりでも実際に目撃したって証言が幾つか入ってきていて、しかもどうやらその場所がここからそう遠くないみたいなんですよね」
「とっても都合いいね!?」

エルバちゃんごめんだけどそういうこっち側に痛いツッコミは控えてね。

「行ってみるのも……面白いと思いませんか?」

珍しく愉快げに口元を歪ませるオンセに、ソイチもニヤリと笑みを返す。

「明日行こう」

◆   ◆   ◆

翌朝、三人は日が昇った頃にはもう万全の旅支度をして歩き出していた。
オンセの言う場所は湖から川沿いに上流へずっと歩いた山のふもとで、そう遠くないと言っても着くのはお昼くらいになりそうな距離はあった。

おまけに町はずれ以上にガレキまみれで通れる場所が限られていて、三人が思ってた以上にしんどい道のりのようだった。

「これは……町はずれ以上にガレキまみれで通れる場所が限られていますから……。想定より大変な道のりになりそうですね……」

あっごめん先に言っちゃった。

「お兄ちゃーん!ここ、完全に道が塞がってるよ!」
「大丈夫だぜエルバ、こんなこともあろうかとコイツを連れてきたんだ。マッシブーン!」

『ババァルクゥッ!』

ソイチが投げたボールから出てきた見事な肉体美を持つ巨体。

「マッシブーン、ガレキを蹴散らせ!」

その見た目から期待される通りの怪力をもって、マッシブーンは大きく振りかぶった拳の一撃でガレキを粉々にする。

「蹴散らしてないじゃないか!」

そこはいいだろ。

結局そのあともガレキや岩、倒木なんかで道が塞がっているところがあちこち出てきて、エルバとオンセもマッシブーンを繰り出して通れるところを確保しながら進んでいくことになった。
始めのうちは快調に思えたけど、目的地へ近づくにつれさらに道は悪くなっていく。流石のマッシブーン達も少ししんどそうだ。

「町はずれ以上にガレキまみれだな……。通れる場所が限られてて思ったよりきつい道のりだぜ……」
「そんな……」

もうこっちがツッコむのもしんどいよ。

とにかく最前で道を拓いてくマッシブーン達はなかなか辛そう……と思ってたら、急に示し合わせたように三匹ともピタリと動きを止めてしまった。

どうしたのかとソイチとオンセが近づくと、マッシブーン達はくるりと振り返って二人に殴りかかった。

「んな!?」「くっ……」
「お兄ちゃん!オンセ!……筋肉が裏切った!!」

二人は間一髪で攻撃を避けて後ずさる。マッシブーン達はただでさえ大きな筋肉をひときわ膨張させポージング。状況によっては笑える光景だけどこれは完全に臨戦態勢だ。

「話で解決……できそうにはないですね」
「さっき『蹴散らしてない』って言ったのそんなに気にしてたのかよ……」

多分きっとそうじゃないな。

なんてこと言ってる間にマッシブーンのうち一匹がオンセに襲い掛かる。当たったらやばい拳をオンセはどうにかかわすが、姿勢が崩れたところをもう一匹が狙ってた。ダメだこの拳は避けきれない。でも次の瞬間、猛スピードで飛んできた火球がマッシブーンの横っ面にクリーンヒットした。

ソイチが足元の小石を器用に脚でリフティングする。するとそれは瞬く間に炎を纏って火球となる。サッカーボール大に成長した火球を高く蹴り上げ、落ちて来たところを狙いすまして強烈なボレーシュート。今度は先にオンセに襲い掛かった一匹の顔面に直撃する。倒れる二匹とたじろぐ一匹。

「さっすがソイチお兄ちゃん!あとはあたしに任せて!」

エルバの両腕が見る見る白い雲のようなものに包まれて、その腕を鳥の羽ばたきのように動かすと彼女の小さな身体は簡単にふわりと宙へと浮いた。そのままぐんぐん高さを増し、周りの木よりも高く昇るとマッシブーン達へ向けて力強い羽ばたきをひとつ。すると激しく渦巻く風が巻き起こった。あまりの暴風に、起き上がろうとしてた二匹ももう一匹も動けなくなる。それを確認するとエルバはすかさず地面へ降り立った。そうして透き通った声でゆるやかに歌い出す。一転して響く彼女の心地よい歌で、あれほどいきり立ってたマッシブーン達は深い眠りに誘われ、ごろんと地面に転がり動かなくなってしまった。

「おやすみなさい。ほらもうみんなボールに戻せるよ……あれ?」

エルバが見回すと、ソイチとオンセまですっかり眠りこけてしまってた。

「えへへ」

◆   ◆   ◆

じきに二人とも目を覚まして再び歩みを進める。でもやはりすぐにうずたかく積み上がるガレキに道を阻まれてしまった。当たり前だけどもうマッシブーンの力を借りるわけにはいかない。

「あたしが二人とも飛んで運べればいいんだけどね」

小柄なエルバではとてもじゃないけどムリそうだ。

「フ……。今こそボクが完璧な解答を示すべき時ですね」

オンセがクイクイと何度も何度もメガネを上げる仕草をする。その度にメガネのレンズが眩しく光り輝いてく。何それ、どうなってんのそれ。
そして輝きが最高潮に達した時、

「ふんっ!」

片手の掌底で軽々とガレキを粉砕した。

「やっぱすげーな、オンセの怪力っぷりは」
「当然です」
「頼りになるよね!」
「訳の分からない力に頼るよりシンプルで実に合理的ですから……ンッフッフ」

その後も道を塞ぐあれやこれやをオンセが調子よくぶっ飛ばしては突き進んでいく。

大丈夫?ヒョロっとした見た目とか丁寧な口調とかと完全にキャラ不一致じゃない?
というかそれならマッシブーンの一連のくだり完全にいらなくなかった??

◆   ◆   ◆

「話ではこの辺りなんですが……」

三人が辿り着いたのは荒々しく岩肌が剥き出しになった薄暗い谷間。
オンセが地図を確認しつつ周囲を見回す。

「あっちに何だか古そうな建物があったよ!関係あるかな?」
『デデッ!』

空を飛びつつ様子を探ってたエルバが駆け戻ってきた。
って、何その脈絡なく親しげなデデンネは。

「気になりますね、行ってみましょう。ソイチは?」
「向こうでマッシブーンと分かり合うって言ってたけど。あ、ほら。肩組んで帰ってくるよ!」
『ンネッ!』

なんか余計賑やかになったね。
ともあれ一行はエルバが見つけた建物へ向かった。

「そういやマッシブーンがさ。オンセに弟子入りしたいって言ってたぜ」
「ンフフ……いい心掛けです。何なら早速稽古をつけて差し上げましょうか」

そういうイベントは後にして。

「あれだよ!あそこの岩陰!」
「空を飛べるエルバでないと簡単には見つからない場所でしたね」
「なんだろうなあれ。やけに四角い建物だな」
「確かに異様に四角いですね。フン、そこに気付くとは……」
「あんなに四角いなんて……デデンネも怯えてたよ」
『……デデ』

四角さに罪はないだろ。
とはいえだいぶ薄汚れて朽ちかけてるような建物だから、遠巻きにするのもわかる。

そのまましばらく時間が経った。すると、

「あれ……人か?」

建物から出て来る何者かの姿があった。

「人でしょうね。二足歩行で、服を着ていますから」
「髪も服も真っ白で、変わった格好……あたしあんな人見たことない」
「素性が知れませんね。ここは慎重に……」
「よし。とりあえずゲットしてみよう」

なんで??

「いくぜえええええええええ!」

迷いなく駆け出すソイチ。モンスターボールを高く放り投げ、先ほどの火球の要領で蹴り飛ばす。抜群のコントロールでボールは謎の人物を一直線に捉え、ぶつかる間際に真ん中から開く。そこから放たれた赤い光が人影を包み込み、そのままボールの中へ。

「どうだ!?」

しばしの静寂。
でもすぐにまたボールが開き、光が溢れ出してしまう。

ダメだ! なぞのじんぶつが
ボールから でてしまった!

「フ……甘いですよソイチ。まずは相手を弱らせないと」

オンセ君の言うべきことはそれじゃないと思うよ。

『デデーンッ!!』

お前は何なの。

「……まったく、びっくりしたわい。何じゃ君達は……?」

服の土埃を払いながら立ち上がるその人物の立ち振る舞い、顔や手に刻まれた皺を見るに結構な老人のようだ。

「あの……突然ごめんなさい!あたし達、町から来たんです。幻の11番目のポケモンを探してて……」
「11番目の?……そうか」
「ご存知でしたらぜひ情報を頂きたいのですが」

老人はゆっくりと一呼吸置いてから口を開いた。

「それは、わしのことかもしれんな。『ニンゲン』という、世界でただひとりのポケモンじゃ」

……。

「ゲットオオオオオオオオオ!!!」
「とりあえず話を聞け」

◆   ◆   ◆

さて。
突然だけどここからしばらくは僕がダイジェストでお送りするよ。
どうしてって?とんでもなくつまらなくて長い話だからさ!

ダイジェストにしてもとんでもなくつまらなくて長い話だから、覚悟して聞いてね。

えっとね。老人が言うには、この世界は昔に一度滅びたんだって。
滅びる前の世界はもっと文明や科学が発達してて、今の100倍近い種類のポケモンがそこいらじゅうにいたそうだ。

それじゃあなんでこうなったか?
バカな奴らがいたからさ。ニンゲンっていう名前のね。

以前の世界の文明や科学を担ってたのはそのニンゲンに他ならなかったんだけど、彼らはちょっとバカで、そしてだいぶ弱かったんだ。
バカで弱いから、強くて素晴らしいものを求めた。自分らにとって想像も及ばないような生き物の力を扱いたがったのさ。

それがポケモンだった。

当時世の中にいたポケモン達の力はすさまじくて、時間や空間、世界の仕組み自体にまで影響を与えるような奴らさえいた。
ニンゲン達は『ポケモントレーナー』としてそんなポケモンを捕まえ、従えることでその素晴らしくて恐ろしい力を自分達のものとしようとしたんだ。

実際その勢いはとんでもなかった。彼らは少しの間にどんな強大なポケモンであろうとも捕らえ従えさせる道具を作り出し、トレーナーって存在が持つ技術も地位もどんどん確立されていった。
弱いからさ。強いものを求める思いはそれこそバケモノみたいに大きくて強かったんだろうね。

でも、やっぱり彼らはどうしようもなく弱かった。
天変地異すら簡単に起こせるような力を従えて、だけどとてもそれを扱えるような器じゃなかった。何より心が弱すぎたのさ。
強力すぎる力を手にしたトレーナーは、その力に溺れてしまったんだ。

はじめはたった一人のトレーナーから。でもそれで始まりには十分だった。
同じように力を手にしたトレーナー達の、ひたすら強くなりたい強くあり続けたいって一途な思いが共鳴して暴走し、彼らはどんどん世界を混乱させる暴徒と化してった。

一方でトレーナー達を諫めようという心があるニンゲンにはみんな力がなかった。力があれば溺れてしまうんだから当然だよね。
それで力のない彼らもまた力を求めてった。トレーナー達の暴挙を止めるっていう名目でね。
求めた先は科学だった。トレーナーが扱うどんなポケモンよりも強力なポケモンを作り出す。何なら自分たちがそうなってやる。それが彼らの目指すところになった。

それがあって、世界は少し静かになった。
より珍しくてより強いポケモンを求めるのがトレーナーのさがだからね。それが生み出される可能性があるなら、ちょっとくらい待ってやろうじゃないかってなったんだ。中には進んで実験に協力するトレーナーもいたんだから笑えるよね!

けどそれは、新たなポケモンを生み出そうという側にとってはでかいプレッシャーにもなった。自分らの一挙一動に重い重い意味合いがあると証明されてしまったから。
時間の猶予もない。そんななかで結果を急いだ実験は、世界に対してたくさんの深刻な歪みを生み出すことになったんだ。やっぱり彼らも力に溺れちゃってたんだろうね。

そうしてまた世界は荒れ果ててゆき、結果的にニンゲンや殆どのポケモンも棲めない環境になってしまった。
ただし奇跡的にわずかに生き残ったニンゲンはいて、その子孫こそが今いる老人。曰く、自分が最後の生き残りだって話さ。

ああ、長かった!

◆   ◆   ◆

「……なんか。よくわかんねえ」

ぽつり。老人が話し終わって長いこと誰も何も言えなくなってたところに、ソイチがそう漏らした。

「急につまらない話をしたな。老いぼれの世迷言と思ってくれればいいんじゃ」

ほんとだよ。

「さて、話を聞いた記念にわしをゲットしていくか?」

なんでだよ。

「おじいさん……。ゲットじゃなくても、あたし達の町に来たらどうかな。ひとりぼっちなんでしょ……?」
「悪くない提案ですね。これは町の大人たちにも聞いてもらうべき話だとボクは思います」

老人はすかさず首を横に振る。

「いいや、誰もこんな話は信じんよ。大人であればなおのこと。ただわしは、代々ずっと伝え聞かされていたこの話を誰かにしたくなっただけなのじゃ。この世界に最後に残ったニンゲンとしてな。それに……」

それに、の続きはいつまで経っても何も続かなかった。
ソイチがふと見上げるともう日が少し傾いてきてる。

「やべ。帰る頃には夜になっちまうなあ」
「来るのに思った以上に時間がかかってしまいましたからね……」
「お母さんに怒られるー!」
『デデッ、デデンッネ!』

お前の自分に任せろとばかりのアピールは一体なんなんだよデデンネ。

『ババァルクゥゥッ!』

お前もいたかよ。

「帰るか。達者でな」
「うん、じいさんも。……よっしゃ、帰りついでにポケモン10種類全部捕まえてやろうぜ!」
「フン。ソイチには負けませんよ」
「あたしも!今日こそケムッソ捕まえるんだ!」

……そんな時間あるの?

◆   ◆   ◆

ソイチ達が去って、一人残された老人は谷間からの空をじっと見つめてた。

「……それに、わしにはすべきことがある」

さっき言いかけた言葉のようだった。

「世界を滅ぼす発端となったポケモントレーナーの最後の子孫として、独りゆるやかに滅びてゆくのだ」

視線を落とし、くるりと建物の中へ入ってく。
黄ばんだ明かりがまばらに灯る廊下に靴音を鳴らし、一番奥の部屋へ。

人がすっぽり横たわって入れるほどの細長いカプセルが10個、そこには並んでた。
どれもボロボロで、立派だっただろうフタも半分ほどは惨めに割れてしまっていて、もうとても使えそうにはない。

「幻の11番目のポケモン。それは本来ここで目覚めた者達のことじゃった」

老人の独り言だけが室内に残響する。

「だが、今や彼らはニンゲンの忘れ形見などではない。彼らこそがこの世に脈々と息づき文明を築く者となったのだ。ならば、滅びゆくニンゲンこそ幻と呼ぶにふさわしい」

そうして彼は両手を組んで、深く祈りのポーズをとった。

ひととなった彼らに、未来を」

◆   ◆   ◆

お疲れ様。
ま、こんな感じだよ。あーあ。

なるたけ面白おかしくなるようにナレーション頑張ってたんだけどな。
やっぱり後味悪くなっちゃったね。辛気臭いなあ!

え?それで結局お前は一体誰なのかって?

僕は全てさ。
それこそ一から十までを全部見ていて、滅ぼされちゃったりもした全てだよ。

まあまあ、この世界がこうなっちゃったのは仕方ないさ。
希望はちゃんとあるから大丈夫。そんな顔しないでよ。

……なになに?やっぱりこんな世界はありえない?

まあ、そうだね。これはとんだ笑い話だから。
本来ならこんな風に希望が残ることもない。それが普通だよね。

だから……今度はこうならないよう気をつけてね?
強いポケモンをゲットするのは素晴らしいことだけれど、あまり大きな力に飲まれてしまわないようにさ。

できる?できない?
ふふ。まあどっちだっていいよ。

すべては君しだいさ、トレーナーさん!

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