ナツハヤテ

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作者:立花愛瑠
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読了時間目安:2分
夏とゼニガメがテーマのお話です。
太陽が鬱陶しいほどギラギラと照り付ける夏日。
傍らを見れば、畑の作物が暑さにやられてくたっとしている。
庭の手入れとなれば、この暑さの中外に出るのも不思議と嫌な感じはしない。
それがすっかり習慣になっているからというのと、雨にも風にも暑さにも文句ひとつ言わずにただ静かに佇む、そんな植物のことが大好きだからだ。
跳ねる水しぶきや水が流れ出す音に涼を感じながら、慣れた手つきでジョウロ一杯に水を汲む。
畑では亀の甲背負った相棒が、既に作業を開始していた。名はゼニガメの「うらしま」私とは随分長い付き合いになる。非好戦的な性格のためバトルはせず、普段はこうして私について回って仕事を手伝ったり、遊んだりしている。
いつも通りの光景に安堵を覚えたのも束の間、遠方から刺すような視線を感じ慌てて振り向く。紺碧の翼に丸いシルエットが印象的、名はココガラ。その狙いが作物であるということは明白な事実だ。
“仇敵”の登場に闘志を露わにするもの一匹。好戦的ではない彼がここまで前のめりな姿勢を見せるのは年に一度このタイミングに限る。
先手必勝、放たれし水しぶき。対する青鴉、燕返しの要領でひらりひらりと躱してみせる。地の利こちらにありと、浮かべるその表情余裕綽綽たる。
そして次はこちらの番だと言わんばかりに、羽を畳みこちらをめがけて急降下する。
と、次の瞬間視認したのは、トマトを加えたココガラに咄嗟に投げたモンスターボールが命中する姿であった。
ボールに吸い込まれていく仇敵と我が子を黙って見守る、その背中からは哀愁が漂っている。
そして頬を伝って流れ落ちる一雫。これが汗か、はたまた涙か当人以外は知る由も無いのであった。
ご覧いただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

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