楽屋落ち:パンドラの逆接

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作者:ioncrystal
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読了時間目安:7分
 X’masが今年もやって来る うたかたの出来事を消し去るように…
夢によく似た恋を横顔へ宿した女性が、歌いながら楽屋外の廊下を駆けて行った。
「何あれ。」
野暮な疑問を口につかせた楽屋の中のザシアンに、隣に座るプラターヌは曖昧に微笑み返した。
「無礼講ですから…」
「あれ、シンオウん所の王様でしょ?…もういいやキャラ作り。仮にもあんたらの根城、シンオウリーグの元チャンプに膝をつかせた女でしょ?
どうしてそれがいい年して真っ赤な帽子付けて浮かれて慌てなきゃいけないのよ。」
「いや、大人と若者はまた別というか、あれはまだ十年ちょっとしか経っていないというか、そもそも三十路でもなんでも夢などいくらでも見ればいいというか、
何度でも初めての顔で会って後前のシャツで次回のおはなしは愉快な話さというか、こんな楽屋オチぐらい、ハッピーにオチときゃいいと思うんですよ。」
「いや、歌詞間違えてるし。」
「実際に耳で聞くとわかりにくいですし…」
「いや、だってクリスマス終わってるし。」
「それについては我々も忸怩たる気持ちでいっぱいであり…」
女性の後ろを静かについていっていた雪の王…もといユキノオーが、七色のイルミネーションを身体中に付けたままザシアンを威嚇してくる。
 かの楽屋(?)で行われる忘年会は、ionがろくに作品を出さないからという理由で出番がないのに数だけ膨らむキャラ達で絶え間無く行われている。
区切りも乏しい脳内内での日々だった。
ちなみにこの楽屋、廊下に繋がっている方の扉は出番が近年に予定される人間が走ることとなっている。
筆者が未だにモチーフを把握しきれていない独創的な紫の衣装に身を包む女性、シキミが話題を変えようと口を挟む。
「そもそも中の人、もとい外の人が悪いんですよ。」
「話題を逸らさない!」
「あのクリスマスネタも年末ネタもなんとなく”お蔵入り”になったからね。」
興味もなさそうなククイ。
「シキミ、お前は今年”も”ちょっと出番あったなぁ。」
「あんな何年も前の作者もどこに行ったか探し当てられないブログの四月馬鹿覚えてる人いるんですか!?」
「でも今年のは一番まともに意味の通った出番でしょ?」
どっかの女性がNと交代でネクロズマの首(?)凝りをほぐしながら問う。
「完成品としてすら出てないし…」
「どうでもいいが俺はこの後出番あるのか?」
金銀主人公っぽい眩ゆい帽子を被った少年がロープウェイのチケットを弄りながら語るのに、楽屋の皆生ぬるい目線を向ける。
「あ、今年ふせったーで雑に書かれた子(地味に古参)。…でもまあ、因果応報で行くなら、2020年は惰眠を貪ってた中の人以外、しかるべき”果”を受け取るべきなんですよ。
因がないのは中の人だけでいいっていうか、」
「その使い方あってるシキミ?」
「分かりません。」
「ちょっと絶望したぐらいで、容易く絶望なんて言わないで欲しいね。」
「だいたい毎年毎年”カイト”はどう好意的に捉えてもNHK持ち前のprideないでしょう!」
「そしたら黙ってレコード大賞聞けばよかったんですよ。」
話題が無事に変わったのを確認し、グァバは紛糾する現場である楽屋を出る。
廊下と”逆側の”扉を開くと、そこは星空だった。
なんと、作者と違って物語の登場人物である奴等は故郷であるそれぞれの物語の舞台に戻ることができるのだ!
まあ俺も戻れるわけではあるけれど。
こちらの物語の世界も、今年はなんかあったり、前からどこぞの極東島国が相対的経済力地盤沈下に見舞われたり大変だったらしい。
“今年”を取り扱った、もう一つの馬鹿の中でも。

(苦しい奴が苦しいのは今年に始まったことじゃねえだろうに)
作者の思考が伝染してるなあ、男言葉的に、とか思いながら、グァバは地の星ことスターミーを撫ぜる。
そのままここに来た”目的”を果たすべく空…もとい頭上を仰いで、
「あの、そこ邪魔なんですけど。」
実際その名に相応しい、夜空のような色をした巨体がそこを覆っていた。
幸いその巨体の持ち主はその声を聞き届けると、地面にその地面の色を変色させながら潜行した。
「いや怖い怖い!」
コンピューターのバグじみた挙動である。
「あ、あの、すみません…」
「いや、いい。お前に私への恐怖心がなく、親しみの心が元よりあるのは声音で分かる。」
楽屋落ちだから許されるようなグァバにしては当社比で配慮の薄い?言動である。
「…」
「まったく、作者の奴め。このシーンを成立させる為に矛盾に気づいてすぐにキョダイマックスのすがたにしおって。」
今年の四月馬鹿に登場した存在であるムゲンダイナは、ちかちかと畏敬して慌てるスターミーを宥める。
「あ、チェリムも初めまして!」
ちぇり!頭上(?)に乗ったチェリムも挨拶する。
「フライゴンのセイレーンはおいてきた。この戦いにはついてこれまい。」
「しかし随分可愛がられたようですね。」
「…皮肉か?」
ああ、この方は”会ってない”方なんだな、とグァバは内心でカレーを思い浮かべつつ得心する。
「いえ。別の世界の話です(ちなみにこれはメタ発言ではないのでどうかよろしくね!by自己宣伝グァバ)。」
「なるほど、私には関係ないことか。」
「ゴウというエースバーンを連れた灰色のパーカーの少年を知っていますか?」
「?」
「ああいう目には会っていない、と。」
「そもそもこの楽屋オチにいる以上私はあの日マップ兵器として破壊された”ムゲンダイナ”に違いまい。それ以上でも以下でもないさ。」
「無事に倒されていたのですね」
「そしてポケモン福祉に最大限配慮してもらい検体となり、しかし特に私の力を活かしきれるトレーナーもないまま今日に至る…よ。
ところで、ここには何をしに?さっさとオチを付けよう。」
ピタゴラスは閃いた。今度こそグァバが空を仰げば、そこには真ん丸い月が浮かんでいた。
「例にない丸さのようですよ。ionさんのフォロワーが言っていたようです。」
その丸さを見もせずにこの文章を焦って打っているのか…スターミーはionにちょっと同情した。
「究極の真円ってやつか。どう考えても真球の方だが。」
「まあ、元ネタの真珠も球ですし…いつか、あなたにも会わせてあげたい。」
いつだか、”人間”以外の自然が害をなしたとして、それが理不尽に思えたとして。
“理不尽”という理も持たぬ自然はこうして、たまには理不尽な恵みを与えることもある。
タナトスの誘惑、パンドラの逆接。人間が”希望”と呼ぶ不確定の未来は、人間と関係なく在って、人間に見つかったらしい。
たとえ、ダヴィンチがいくら疑問を抱いても。
きっとこの丸さは、変わらないのだろう。

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