サンタさんが来ました。
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サンタさんが来ました。
毎年毎年、サンタさんは来ます。
でも、決まって、サンタさんが来ると……。
お母さん「早く……渡して! さっさと、帰ってッ!!」
サンタさん「あのコの顔を、見させてくれないか?」
お母さん「ダメよ! 約束に反するけど、あのコ、今寝てるから……」
お母さんは、いい顔をしません。
口調も荒いのです。
僕はタヌキ寝入りをしているので、寝てはいません。
しっかりと、聴いています。
そして、少し時間が経った後。
僕の部屋を、サンタさんが覗いていました。
サンタさん「……」
サンタさんは、黙って僕のことを見ています。
だから僕は、こう言いました。
僕「サンタさん、ですか?」
サンタさん「!!」
サンタさんは、驚きました。
だってサンタさんですから、子どもに見つかるといけないのです。
サンタさん「……聴いていたのかい?」
僕「はい」
素直に、応えました。
サンタさん「…………知っていたのかい?」
僕「はい。サンタさんは、クリスマスにいつも来てくれていますよね。知っています」
……でも。
僕「次から、来れなくなるんですよね」
サンタさん「……!」
サンタさんは、悲しそうな顔をしました。
サンタさん「……君は、私が来れなくなると、悲しいかい?」
僕「はい。悲しいです」
サンタさん「……そうか」
サンタさんは、しばらく考え込んでいました。
サンタさん「私は一つ、大事な“プレゼント”を持っているんだ。それを、君に預ける」
僕「ありがとうございます」
サンタさん「ただし、その中身を開けないこと。そして、お母さんにはプレゼントのことを言わずに、隠しておくこと」
僕「はい」
サンタさん「プレゼントを文字通り、隠しておくんだ。誰にもバラしちゃいけないよ」
僕「はい」
従いました。
サンタさんにまた会えるのなら……と思ったのです。
その、朝です。
お母さん「ない……見当たらないわ……」
お母さんは、真っ青な顔をしていました。
僕「どうしたの、お母さん」
不思議に思って、尋ねると。
お母さん「……いいから、あっちに行ってて!!」
お母さんは、僕のことを怒鳴りました。
僕「わかりました」
お母さんにとって僕を叱ることはいつものことですから、僕はいつも何の感情も湧きません。
けど。
お母さん「ごめんね……ごめんね……」
『こんな、私で』と、お母さんは泣くのです。
いつもいつも、僕を叱った後に。
更に、次の朝。
……『おまわりさん』が、自宅に訪ねてきました。
ジバコイル「貴女ヲ、逮捕シに来ましタ」
お母さん「……」
お母さんは、諦めた顔をしていました。
そしておまわりさんは、こう言うのです。
ジバコイル「『遺体』ハ、どうしたのダ?」
お母さん「……はい……」
なんと。
頭部のないポケモンの遺体が、お母さんの部屋から見つかったのです。
ジバコイル「君の罪は……」
ご子息の実の母親を、母親の夫と共に殺害した事。
その後、その夫とご子息の親権で争っていた事。
ジバコイル「……夫さんハ、どこでス?」
僕は、わかりませんでした。
……『実の母親』?
……『夫さん』??
お母さん「わかりません。いつも毎年、遺体を分割し……渡してくるのです。それが、あのコと会う条件だった……」
僕「やめてッ!!」
ジバコイル「……ン? 君、彼のことを知って……」
僕「サンタさんは、悪いポケモンじゃない!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
『サンタさん』は、家の近くで亡くなっていたようです。自殺だとのことでした。
遺書めいた者には、『最後にもう一度、会いたかった』と遺されていたとのことです。
そして、あのプレゼントは……。
僕「……」
『お母さん』の、頭蓋骨でした……。
………
……
…
今僕は、実のお母さんの骨を被り、ガラガラとして生きています。
そしてお母さんの『出所』を、待っています。
やはり、彼女は、ただ一匹の、『家族』なのだから……。
毎年毎年、サンタさんは来ます。
でも、決まって、サンタさんが来ると……。
お母さん「早く……渡して! さっさと、帰ってッ!!」
サンタさん「あのコの顔を、見させてくれないか?」
お母さん「ダメよ! 約束に反するけど、あのコ、今寝てるから……」
お母さんは、いい顔をしません。
口調も荒いのです。
僕はタヌキ寝入りをしているので、寝てはいません。
しっかりと、聴いています。
そして、少し時間が経った後。
僕の部屋を、サンタさんが覗いていました。
サンタさん「……」
サンタさんは、黙って僕のことを見ています。
だから僕は、こう言いました。
僕「サンタさん、ですか?」
サンタさん「!!」
サンタさんは、驚きました。
だってサンタさんですから、子どもに見つかるといけないのです。
サンタさん「……聴いていたのかい?」
僕「はい」
素直に、応えました。
サンタさん「…………知っていたのかい?」
僕「はい。サンタさんは、クリスマスにいつも来てくれていますよね。知っています」
……でも。
僕「次から、来れなくなるんですよね」
サンタさん「……!」
サンタさんは、悲しそうな顔をしました。
サンタさん「……君は、私が来れなくなると、悲しいかい?」
僕「はい。悲しいです」
サンタさん「……そうか」
サンタさんは、しばらく考え込んでいました。
サンタさん「私は一つ、大事な“プレゼント”を持っているんだ。それを、君に預ける」
僕「ありがとうございます」
サンタさん「ただし、その中身を開けないこと。そして、お母さんにはプレゼントのことを言わずに、隠しておくこと」
僕「はい」
サンタさん「プレゼントを文字通り、隠しておくんだ。誰にもバラしちゃいけないよ」
僕「はい」
従いました。
サンタさんにまた会えるのなら……と思ったのです。
その、朝です。
お母さん「ない……見当たらないわ……」
お母さんは、真っ青な顔をしていました。
僕「どうしたの、お母さん」
不思議に思って、尋ねると。
お母さん「……いいから、あっちに行ってて!!」
お母さんは、僕のことを怒鳴りました。
僕「わかりました」
お母さんにとって僕を叱ることはいつものことですから、僕はいつも何の感情も湧きません。
けど。
お母さん「ごめんね……ごめんね……」
『こんな、私で』と、お母さんは泣くのです。
いつもいつも、僕を叱った後に。
更に、次の朝。
……『おまわりさん』が、自宅に訪ねてきました。
ジバコイル「貴女ヲ、逮捕シに来ましタ」
お母さん「……」
お母さんは、諦めた顔をしていました。
そしておまわりさんは、こう言うのです。
ジバコイル「『遺体』ハ、どうしたのダ?」
お母さん「……はい……」
なんと。
頭部のないポケモンの遺体が、お母さんの部屋から見つかったのです。
ジバコイル「君の罪は……」
ご子息の実の母親を、母親の夫と共に殺害した事。
その後、その夫とご子息の親権で争っていた事。
ジバコイル「……夫さんハ、どこでス?」
僕は、わかりませんでした。
……『実の母親』?
……『夫さん』??
お母さん「わかりません。いつも毎年、遺体を分割し……渡してくるのです。それが、あのコと会う条件だった……」
僕「やめてッ!!」
ジバコイル「……ン? 君、彼のことを知って……」
僕「サンタさんは、悪いポケモンじゃない!!!」
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『サンタさん』は、家の近くで亡くなっていたようです。自殺だとのことでした。
遺書めいた者には、『最後にもう一度、会いたかった』と遺されていたとのことです。
そして、あのプレゼントは……。
僕「……」
『お母さん』の、頭蓋骨でした……。
………
……
…
今僕は、実のお母さんの骨を被り、ガラガラとして生きています。
そしてお母さんの『出所』を、待っています。
やはり、彼女は、ただ一匹の、『家族』なのだから……。
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