OQ×V エヴォリュ―ションレザルトバースト!グォレンダァ!

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読了時間目安:25分
この作品は「OQX すごくいいね、感じるよ君の愛と痛みを(https://pokemon.sorakaze.info/shows/index/2541)」の続きとなります。

この作品はポケモン・ザ・ワールド〜希望の魔法使い〜(作者:花鳥風月さん)https://pokemon.sorakaze.info/shows/index/1522
の三次創作作品です。
「もう大丈夫だ」



 その刹那、光輝く四本足の何者がミツキの横を通り過ぎて、ミュルミュール目掛けて飛び蹴りを食らわせた。

「僕が来た」

 黄色く輝く何か――サンダースは、首に黄色いスカーフを巻いて、ハリネズミみたいなトゲトゲしい毛並みをなびかせて、その場で足踏みをした。

「遅い、遅いぞ。ボヤボヤしてるぞ置いてくぜっ!!」
「誰だ、お前は」
「通りすがりの、正義の味方だ!!」

 サンダースはその言葉と同じくして、ミュルミュールの正面から電撃を込めた二度蹴りを叩きこむ。

解放・固定エミッタム・スタッグネット!!『千の雷キーリブルアストラベー』」

 ひるんだ一瞬のスキを見て、掌にため込んだ雷の塊を一気に握りつぶし、咆哮を上げると全身が輝き光のように変化する。

掌握コンプレシクオっ!!  来たれっ 術式兵装プロ・アルマティオーネ雷天大壮ペル・エーミッシオーネム』」

 サンダースは与えられた浄化魔法を媒介にして術式を展開する。これは魔法の活用法の一つで、千雷の力を蓄電の特性を有す自らの肉体に取り込み霊体と融合させる、これによって術者は荷電粒子の化身となる。雷天大壮とは易六十四卦の一つ『大壮』の美称であり、乾の卦の上に震の卦を置く。正電荷の粒子群を空間内に任意に配置すると術者を構成する負電荷の粒子群が引き付けられるため、術者は放電を媒介に高速移動することができる。
 トロンボーンの音色が後ろから聞こえていることに気付いたコノハが後ろを振り返ると、トロンボーンを吹いて演奏することで発現させた浄化魔法をサンダースに送り続ける、ニンフィアのフィルの姿があった。

「フィル!!」
「カルテットのみんなか、無事で良かった」

 トロンボーンを口から外し、チームカルテットの無事を喜ぶ。

「あのサンダース、フィルの知り合い? どこのどなた?」
「いや…… 全く知らない。誰だ、あいつ」
「は?」

 フィル曰く、先ほど突然現われて「楽器を演奏して浄化魔法を僕にまとわせてくれ」と言ってきたらしく、彼はあのサンダースとの面識は一切ない、コノハは同じイーブイの進化形なのでてっきり知り合いなのでは? と思ったがそんなことは全くなかったらしい。
 サンダースの攻撃は点と点を繋ぐだけの直線の突撃であったが、ミュルミュールは雷の速さで移動するものをよけることも防ぐこともできず、攻撃を受けるがままだった。
 動くたびに空気を切り裂く轟音が辺りに鳴り響く、術者が辿る放電路では衝突電離が繰り返し起こり、大量の荷電粒子が作り出されて稲妻が迸る。このため動くたびに正電荷と負電荷が消費されてしまうが、科学を無視した魔法の力で瞬時に粒子を転化させることで実用的な運用が可能になっている。

魔法の射手サギタマギカ  連弾セリエス  雷の十万矢フルグラーリス・ハンドレットサウザンボルト

 ここでとどめと言わんばかりの空間に生成した幾十幾百の数の負電荷の簡易粒子放射機構、言い換えれば無数の雷撃の矢、これを正電荷をまとわせたミュルミュールに向けて射出しようする――。

 が、その直前でついえた。
 フィルが途中で演奏を止めてしまったために供給されていた浄化魔法が尽きて、それを媒介にしていたワザも雷天大壮も解除、サンダースは突撃の最中に実体化して無防備のままに相手の懐に入ってしまう。

「ア、アーーッ!!」
「やべっ しまった」

 サンダースの悲鳴を聞いて、フィルは慌ててトロンボーンのマウスピースを口に付けるが、もう遅い。
 サンダースも自力のワザでなんとか対処しようとするが、まるで聞いておらず攻撃はすべて無効になってしまった。
 ミュルミュールには魔法による攻撃しか通用せず、通常攻撃は無効化される。そのため魔法使いでないサンダースが一時的にもミュルミュールと戦闘するためには浄化魔法で体を包み込み続けるなど、先ほどのように魔法使いを隣においての補助が必要になる。
 主にミュルミュールを処理する時に魔法使いが必要となるための設定で、きぼまほ本編では魔法使いしか戦わないので全く気にならないが、コラボ作品だとこういう時に面倒だ。きぼまほの作者はたまにこの設定を忘れることがあるのじゃないかと思う。ちなみに、ネイチャーオールスターズに登場するシャドウには魔法使いじゃないライムたちの攻撃が通じているが、あれはミュルミュールじゃないからで、暗黒魔法に酷似した力を纏って疑似ミュルミュールになった時には、グレースステッキの力で魔法使い達が身に着けていたマントと帽子が装備され、魔法使い相応の力が一時的に与えられた上でライム達はシャドウに攻撃している。

 話がそれた。
 ミュルミュールは触手の先を細身の西洋剣のような形状に変化させ、
 地に伏せたサンダースの頭上に無慈悲な一刀両断の剣筋が振り下ろされようとしていた、
 が。

「やれやれ…… 間に合ったか」

 突然現れた右腕に怪しい包帯を巻いたブラッキーが、間一髪でサンダースを救い出した!
「サンキュ、ブラック」
「礼はいらない。 へえ、闇の力を感じるな、思ったよりは楽しめそうだ。リミッターを2……いや3まで外してみるか」
 ブラッキーは右腕に巻いていた包帯を解くと、――その中から特に変わったところのない右腕があらわとなった。
「もう後戻りはできんぞ、巻き方を忘れちまったからな」
 ミュルミュールは拳を振り上げて、ブラッキーを目掛けて鉄槌を振り下ろす。ブラッキーはバトンタッチで後ろのサンダースと位置を入れ替え、サンダースは代わりに鉄槌を受け止める。
 横に回りこんだブラッキーは、すばやく無防備なミュルミュールの体に手を突っ込むと、内部から闇の瘴気の塊を引き抜いて、自らの右腕にまとわせる。
「くう…… うずく、うずくぞ…… し、鎮まれ、俺の右腕!!」
 自らの力を餌にして、闇の魔力を押さえ込み自分のものとして制御する。
 技を極めた者は自ら放った黒龍波を喰らうことで、力を爆発的に高める事も可能になるらしい。

「邪王闇殺黒龍波!!」
 そして、闇の龍を模した波動を放つことで焼き尽くし、ミュルミュールの動きをひるませた。

「ぬ、ぬう…… あれはまさか」
「知っているのかライヤ?!」
「はい、あれはイカサマです」
 相手の攻撃を利用して自分の攻撃として使う[イカサマ]というワザがある。
 あのブラッキーはミュルミュールの力を引き抜いた上で、それを相手にぶつけ返したのだ、ミュルミュールは魔法体であるので、これならばどんなに巨大なミュルミュール相手にも確かなダメージを与えることができるのだろう。

「な、なんなのですか、あの方々は」
「わ、わからん!」
 あのようなサンダースもブラッキーも魔法使いはおろか、この周辺の賞金稼ぎや調査隊などでも聞いたことは無い、一体何者なのだろうか? 困惑するチームカルテットとフィルの声に呼応するかのように、後ろから声が聞こえてきた。

「な、なんなのですかの声を聞き!」
「光の速さでやって来た!」
「――待って、全員揃ってからにしない?」
「それもそうだな」

 振り返るとそこには3匹のイーブイの姿があった、それぞれが燃えるような赤色、清らかな水色、透き通る白色のマントを首に巻いている。
 白色のマントを身に着けたイーブイの女性は、ブラッキーに向けて叫ぶ。
「名乗りよー!」
「まって、今いいとこ、もうちょっとだから」
「早くしなさーい!」
「チェッ、分かったよ」
 夕御飯で母親に急かされてやっているゲームを中断せざるを得ない子どものような会話をして、やれやれとブラッキーは片手で顔の半分を覆い隠すようなポーズを取る。

「滅びゆく世界を……封印する! 月の魔眼よ、闇の魔宮に閉じよ、《†鏡仕掛けの牢獄†プリズマー・プリス・プリズン》」

 辺りを覆っていた闇の瘴気が槍のようにミュルミュールの身体を突き刺して、蜘蛛の巣の囚われた蝶のように空中で束縛して動きを封じ込める。
 その束縛から逃れようもがいても、その力を利用して内側に跳ね返し、自分で自分の身体を痛めつけるだけになる。万華鏡の織り成す無限回廊だ!
 だがそのワザの効力は長続きしない。ミュルミュールの動きを一時的に封じ込めて、時間を作ったブラッキーとサンダースは小走りでイーブイ達の下に移動する。

 その瞬間、チームカルテットの4匹とフィルの目の前に、楽譜が出現した。
 突然のことにビックリしたが、考える間もなく反射的にモモコはユーフォリアムを構え、演奏に取り掛かる。

「火が呼ぶ!」
「水が呼ぶ!」
「雪が呼ぶ!」
「稲妻も僕を呼んでいる!」
「悪を倒せ!と俺を呼ぶ」

 5匹のクインテットをバックに、彼らは口々に名乗りを始めるが、吹奏楽曲としては上級者向けのアップテンポな曲の楽譜に、ユーフォリアム初心者のモモコは運指が追い付かず四苦八苦するばかりで、とてもゆっくりとその名乗り口上を聞いている場合ではない。

「「「へんしん!」」」

 3匹のイーブイが2本脚で手を大きく回してポーズをすると、まばゆい光に包まれて徐々にその形が変わっていき、それぞれブースター、シャワーズ、グレイシアへと進化を果たす。イーブイ時で首に巻いたマントは進化系の体になるとスカーフサイズとなった。
 そして進化形5匹揃って名乗る。


「その聖なる炎は悪しき者を燃やし尽くす! ブースター、ブイレッド!」
「放て反物質、叫べ僕のボルテッカー! サンダース、ブイイエロー!」
「汚物は消毒だ、シャボン・スプレー・バブル光線! シャワーズ、ブイブルー!」
「絶対と言う言葉は絶対零度のためにあり! グレイシア、ブイホワイト!」
「世界の悪を殲滅させろ、黒い悪を噛み砕け! ブラッキー、ブイブラック!」



『五匹揃って我ら、進化戦隊ブイレンジャー!!!!!』



 ミツキのトランペットの甲高いファンファーレと同時に曲は終わり、5匹はビシッとカッコイイポーズを決めた! それと同時に5匹の背後に立ち上る謎の爆発。
 なんとあのイーブイ進化形5匹は、時空を超えてやってきた正義の戦隊『進化戦隊ブイレンジャー』だったのだ!
 だが状況が理解できない堪え切れずフィルは彼らに問う。

「何者だ、お前は」
 サンダースことブイイエローはニヤリと笑い、答える。
「趣味でヒーローをやっている者だ」
「……なんだその適当な設定は」
「いやいや……、趣味でやっているわけじゃないんだなぁ」
 ブイブルーが小さな声で訂正する。

 相手が草タイプの敵であることでブイレッドは、ここからは俺の時間だと言わんばかりにイキり立つ。
「よーし、正義執行の時間だっ! 燃え盛る紅炎のプロミネンス! 呼気を焦がさん焼け尽く熱風! 宇宙に虚空を招く接死4000度! 死のコロ」
「はい、ストップ。それだけはやめて」
 ブイレッドの後ろからブイブルーの[みずでっぽう]がクリーンヒットして炎は鎮火した。
 それらの寸劇を見ていたミュルミュール――いや、セレビイは口を開く。

「……君たち、しつこいね。こんなところまで何の用だい?」
 ブイブルーはチラリとブイホワイトに目配せして、のんびりとした口調でセレビイの言葉に応じた。
「僕はねー しつこいのが取り柄なんだー 君が時空に裂け目を作ってこの世界に逃げ込んだから、僕たちはその裂け目を通って追いかけて来ただけ。……まあ、ちょっと下調べに少々時間がかかってしまったけどねー。この世界を取り巻く魔法の仕組みとかさー。うーん、まあいいか。 さ、観念する時間だよ」
(なるほど、そういうことでしたか……)
 ライヤがそれを聞いて事情を理解して小さく呟いた。
 セレビイは時渡りの力を持つのでその時空に干渉する能力を用いて異世界からこの星空町にやってきた。ブイレンジャーを名乗る謎の5匹は元の世界でも悪事をはたらいていたセレビイを追いかけて、セレビイと同じ異世界からやってきたのだろう。その後、セレビイが暗黒魔法の力を利用して暴れ始めたので、彼らは暗黒魔法への対抗策を調べており、そのために駆け付けるのが遅くなったのだろう。
 セレビィもブイレンジャーもここに住んでいる者ではないということだ。

 セレビイはブルーの言葉を聞いて大笑いする。
「逃げた? 観念しろ? うふふふふ、キミは実に面白いことを言うね! ここがキミたちの墓場だと言うのにっ! ボクはこの世界に逃げて来たんじゃないよ、ボクは分かってこの世界にやってきたんだ」
「どういうことだ?」
 ブイイエローは聞き返す。
「心の力、愛の力、皆がこうありたいと望む希望の力が、すべての変える最強の魔法になる。この世界はそういう魔法の存在する世界なのさ! ここに『心の魔法』の理(ことわり)が存在する限り、ボクはサイキョーでハイパームテキだ。 ボクは世界を愛し、すべてといっしょになって一つになる! 残念だけど、キミ達がまとっている"つまらない残骸"なんかじゃ、かないっこないんだよ」
「……それはどうかな」
「さあ―― もっと苦しめてあげるよ、苦しみと悲しみの中でこそ、互いの愛を理解し合えることができるんだよ。キミを苦しめて、愛の深さを伝えてあげよう。自由を奪われた時でもいい、病魔に侵された時でもいい、苦痛にぬれたその顔で何かを求めて渇望するその瞬間こそが――愛だろう?」
「いや、お前の言う愛は、独りよがりの思い込みに過ぎない」
「思い込みだって…… 悲しいよ、君がこんなに分からずやだったなんて、いつになったらその愛を分かってくれるのだい? ――でも、あの時空の裂け目を通って追いかけて来てくれた、キミの執着"愛"ってものは。ボクは嫌いじゃないよっ!」
「……そろそろいいかな、時間だねぇ」

「煌めきなさい! スタープリンセス、トゥインクルダイヤモンドダスト!」

 セレビイとの会話で作ってくれた隙を利用して、ブイホワイトは技の準備を完了させていた。その掛け声とともにホワイトの体から無数の[こおりのつぶて]を放ち、相手の身体の一部を氷で固めて動きを止める。足元に氷紋の結界陣が浮かび上がると、地面から凍気でできた三又の氷槍を召喚し、大きく跳躍するとそれを振り下ろした。

「破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! 一つ目は過去、二つ目は現在、三つ目は未来、何物も選ばず虚無へと送れ トリシューラ!!」

 ブイホワイトは三又の氷槍をミュルミュールのコアとなるクリスタルの隅――さすがにドレンテを目がけて攻撃をするわけにはいかず、中で眠っているドレンテのすぐ横を掠るように目がけて振り下ろした。セレビイが魔法を行使するためにはシャムルスフェールを所持するドレンテの存在が不可欠であり、それを失うと魔法が使えなくなるどころかミュルミュールの身体を維持できなくなる。
 危機を感じ取ったセレビイは動きが制限されている中で身体をよじらせながら空中に半球状のトゲのついた盾を作り出してその攻撃を防ごうとするが、氷の槍は盾を突き破りミュルミュールの体をえぐった。だが氷槍はクリスタルを貫くまでに至らず、その表面をすべるように真横に突き刺さる。大事な核なので最も頑丈に守っているのだろう。
 その氷槍はただの槍ではないらしく、消滅させる性質を持っていて槍と接触した部分が崩れて壊れて黒いチリになって風に流されていき、消滅した部分は自動復元していくのだが復元した場所から崩壊が始まりせめぎ合う。

「水の呼吸――」
 ブイブルーが大きく息を吸って、呼吸を整えて意識を集中させる。
 その刹那、ミュルミュールの首部がゴロリと落ちる。
「伍ノ型 干天の慈雨かんてんのじう
 ブイブルーが水で形成された太刀を右手に持ち、残心の構えを行っていた。
 優しい小雨を思わせる足運びで、一切の殺気を出すことがないため相手に悟られることなく、苦しみも痛みなく頸を斬りおとす断罪の刀技。
 ブイホワイトの攻撃から間を入れることなく、続けて攻撃を叩き込んだのだ。
「さらに水の呼吸 漆ト捌ノ型――雫波紋及び滝壷」
 明鏡止水。揺れることのない静かな水面を意識する精神統一から瞬間で繰り出す、超高速の突き。
 そしてその勢いを上に持っていくことで跳躍し、先ほど斬った切り口をめがけて岩場に打ち付ける瀑布を連想させる怒涛の上段から打ち下ろしをおこなう。
 よく見れば水の太刀の刃先が凍り付いていた。これは先ほど突き刺さした氷の槍がミュルミュールの体を氷点下まで冷やしていたからであり、触れる直前に氷の刃となって相手を切り刻んでいたのだ。

「おおおおお!!」
「すご……」
「かっけーーー!!」
 チームカルテットが目をキラキラさせて声援を送るが、当のブイレンジャー達の反応は芳しくない。

「どう?」
「ダメだね、修復力が高すぎるし、魔法以外無効の耐性がネックになっていると思う」
「あー! もうっ誰よ、そんな耐性を付けたの」
 対象を取らない消滅もうまく効かず、首を刎ねて、その頸部断面に攻撃を叩き込んで内部から壊そうとしても手ごたえがない。不死身といっても過言でないだろう。
 実はそれはセレビイの力によるものではなく、ドレンテがあのミュルミュールのモチーフにこめた強い思い、生への渇望と超回復力、がモモコに匹敵するほどの彼の隠し持っていた膨大な魔力によって体現した結果、それこそドレンテの心の魔法キセキなのだが、ブイレンジャー達もチームカルテットの皆もそれを知らないし気付くこともないだろう。

「心の力で生まれたものには、心の力によるものしか効かないのだろう」
「ということは僕たちの攻撃には心がこもってないというのか……」
「そこは考えないようにしよう」
「……どうする? レッド」
「俺たちだけで戦っているならば構わないが、今回は魔法使い達の力を借りている以上ゆっくり戦うわけにもいかない、再生能力持ちだから一気に削りきって片付けるしかないな」
「バーロー?」
「それで行こう、一気に畳みかけるぞ!! フォーメーション:オーバーロードだ!」
「おう!」
「ああ!」
「まかせて!」
「じゃあ、動きを止めておくわね」
「まかせた」
 ブイブルーが水のアシストし、他の3匹からの[手助け]を受けてブイホワイト飛び上がり、先ほど突き刺したあの氷槍を掴む。

「アイシクルーム・マジェラート」
 掴んだ槍を引き抜いて、それをかき混ぜ棒代わりにミュルミュールの周囲をグリグリと回し始める。
 混ぜていくと次第にミュルミュールの身体が凍り付き始めて氷の鎖に縛り付けられているかのように固まり始める。
「レッツシェイク! アーンド、コアグレーション!!」
 ブイホワイトの声と共に氷槍は霧散し、ミュルミュールの身体は動きをとめて、そのままの状態で完全に静止した。
 どうやら次の攻撃を確実に当てるために、ぐるぐるに相手の身体を氷の力で縛り上げて、動きを封じ込める技のようだ。

 そして、チームカルテット(+フィル)たちの目の前の楽譜のページが捲られて新たな曲が始まる。
 ブイレンジャーのファンお馴染みの処刑用BGMとして名高い『MIRACL EVIOLITE』だっ!

 ブイレンジャーの5匹は魔法使いの演奏による魔法補助を受けながら、放射線状に構える隊列を取り、それぞれがお互いにお互いを[てだすけ]に入る態勢に入った。


力の 結合パワー・ボンドォォ!!」

 お互いに掛け合った手助けの効果で5匹の身体が激しく輝く。

「エヴォリュ―ション・バースト ダイイチダ!」

 ブイレンジャー達は一斉にカードのようなものを、空中から引いて相手に放つ――このワザは [きりふだ] だ!

「ニダァ! サンダァ! ヨンダァ!」

 次々と、続けざまに2~4発目がミュルミュールに叩き込まれる。その威力は放つたびに大きくなっていき、4発目が命中するとミュルミュールの7本の触手は1本残して消し飛び、もう身を護るものは何もなくなった。

「リミッター解除!」

 ブースター、ブイレッドの掛け声でブイレンジャー達の身体は更なる輝きを放ち、運命の[きりふだ]は光る。
 幕は落ち、胸の鼓動は激しく昂り、選ばれし者よ立ち上がれ、未来へ、解き放て!
 時は満ちた! 進化の力の、限界突破――!


「「「「「 エヴォリュ―ション・レザルト・バースト グォレンダァ!!!!! 」」」」」




















 曲が止み、静寂だけが残される。
 攻撃の残滓としてそこには小さなポケモン一匹分くらいの大きさに縮んだ黒い物体が残されていた。

「倒した、のかな……」
「感傷に浸っている場合じゃない、すぐに浄化に取り掛かろう」

 ここまで削り切れば普通の演奏でミュルミュールの浄化が可能になる、チームカルテットとフィルは再び楽器を口に付けて浄化の準備に取り掛かる。
 先ほどの攻撃でブイレンジャー達は力を使い果たして変身が解けて、首に大きなマントを巻いた5匹のイーブイへと戻っていた。

「!?」

 その瞬間、残された黒い物体が弾けて周りの空気が歪み、映像が逆再生されるかのごとくみるみるうちにミュルミュールの姿が元の状態に戻っていく。
 ……いや元通りではない、七本の触手が龍の頭のようになり、さらに禍々しい悪夢の化身へと生まれ変わっていた。

「フフフフ…… いっぱい愛してくれてありがとう、ますますボクはキミたちと一体に融合できた気がしたよ。だけど残念だけど、先ほどの攻撃は『無かったことAll fiction』にした。キミたちの『戦術』は素晴らしかった! 『コンビネーション』も『戦略』も! だけど、しかしまるで全然! このボクを倒すには程遠いんだよねぇ!
 さあ、ボクを壊してくれたおかげで本当のボクを見せることができたよ。おめでとう、これでキミたちがしてくれたように、ここからボクがたくさん愛してあげられるね」

 ミュルミュールの言葉に、ブイレンジャー、そしてチームカルテットから口々に絶望の声がこぼれ始める。

「嘘だろう……」
「サイキョー、過ぎっだろ……」
「一体、何が」
「あれは、おそらくですが…… セレビイの力で、ワザを受ける前まで時間を巻き戻したのではないでしょうか」
「それで攻撃を無かったことにと言ったのか」
「じゃあ、これからどんなに攻撃を加えても、全部巻き戻されて無意味にされるってこと?」
「そんな……」


「さあっ 悪夢の苦痛インクーボ ドレンテをキミにあげよう!」








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<ポケモン・ザ・ワールド~希望の魔法使い~>
<        ×
<  進化戦隊!ブイレンジャー!     >
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ドンッ
 【 次回予告 】

やめて! これ以上の戦いが続いたら、ミュルミュールのコアと繋がってるドレンテのスピリットが燃え尽きちゃう!
お願い、負けないでドレンテ! あなたが今ここで力尽きたら、ソナタとの約束はどうなっちゃうの? 体力はまだ残ってる。ここを耐えれば、あのヤンデレビイに勝てるんだから!
え、これはバトン……? もしかして、わたしが へん……しん……?
(ここでエメラルドグリーンのスペードのシャムルスフェールが背景にくるくると回る変身パンクのシーンが流れる)

次回! 希望と進化のニチアンサンブル! 後編パート! (※公開未定)


レッド「ライモンドームシティで僕と握手だ!」
モモコ「日曜朝を見てくれよね!」

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