対照

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作者:セイ
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 対照(約700字)




 下痢と便秘に悩まされることが多くなった。対照的な2つが慢性的に繰り返される日々。冒険の旅どころではないので、一旦街まで引き返すほかない。今にも下しそうな腹を押さえつつ、洞窟の中を突き進み、最寄りのポケモンセンターを目指しているときだった。
「あれは……ソルロックとソーナノ?」
 まったく、対照的な組み合わせである。いつも無表情のソルロックと、いつも笑顔のソーナノ。そんな2匹がお互いにじゃれ合っているではないか。耳のような手を使って、自分のほっぺを持ち上げてみせるソーナノ。にこっと笑いかけると、それに反応するようにソルロックが顔を輝かせる。どうやら笑顔の練習をしているらしい。微笑ましい光景に出くわしたものだ。少しだけ腹の痛みが和らいだのを感じながら、野生の2匹の横を通り過ぎようとすると。
「……あら?」
 不思議なことに、足が動かないことに気付く。笑顔の表現に成功したのだろうか、こちらに向かってひときわ眩い光を放ったソルロック。光に照らされた私の後ろで、ソーナノがきゃっきゃとはしゃいでいるのが聞こえる。そのまま私の足元にすり寄ったり、私の両手を持ち上げて一緒に万歳のポーズをしたり。すっかり伸びた私の影がソーナノに踏まれているという状況に、一種の戦慄すら覚えてしまった。
 ソーナノの特性は“かげふみ”。ソルロックが光を生む存在なら、ソーナノは翳りに歩み寄る存在。ああ。ただでさえ下痢と便秘に苛まれているというのに。対照的な組み合わせは、どうしてこうも私を苦しめるのだろう!
 刻々と迫りくる限界に、思わず乾いた笑みが溢れる。いっそ笑顔の練習でもしてみたい気分である。

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