OQX すごくいいね、感じるよ君の愛と痛みを

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読了時間目安:19分
この作品はポケモン・ザ・ワールド〜希望の魔法使い〜(作者:花鳥風月さん)https://pokemon.sorakaze.info/shows/index/1522
の三次創作作品です。現在連載中の該当作のどの時間軸でも読めると思います。
 マジカルベースでは星空町の地域振興のために、たまに町の広場でミニコンサートを企画している。
 リリィが機材を運び、トストが配置を調整する。いつになく慌しく準備に取り掛かるマジカルベースのみんなの姿を、モモコは見つめていた。

「モモコはミニコンサートは初めてだったな」
「は、はい ええと、わたしに手伝えることはなにかない?」
「じゃあ、コノハと一緒にベース本部に戻ってシートを持ってきてくれ」
「わかった~」

 シオンに頼まれて広場から本部へと戻る二匹、そのときモモコの視線の片隅に一匹の影が横切った。

「ドレンテ……?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」

 コンサート前ということもあってポケ通りの多い広場の雑踏の中に、先ほど黒曜石色の大きな布をマントのように巻いたイーブイがそこを通りかかったが、モモコはすぐに見失ってしまった。
 ドレンテとはポケモンの闇の心を弄ぶ、闇の魔法使い集団『クライシス』メンバーのイーブイの名前であり、たびたびモモコに接触して迷惑をかけてくる困った奴である。ただ、モモコには彼が根っからの悪い奴とは思えなかった。
「ドレンテもコンサートを聞きにきたのかな」
 クライシスとして迷惑をかけるつもりならば放っておけないが、観客として来ているとすれば追い払うことはない。
 念の為警戒をしておくべきだとは思うが、こんなマジカルベースの魔法使いが一同に集うコンサートの場で悪事を働くことはないだろうと思うことにした。

***


「にぎやかなのはいいけど、さすがにここじゃさすがにマズいな」

 黒い布を首に巻いたイーブイのドレンテは、雑踏をすり抜けてお店とお店の間の小さな道に入り込む。そこをうろうろしながら、何かを探しているようだった。マジカルベースの魔法使いのコンサート会場、まさかそんな場所で闇の魔法を行使するわけがない、そんな誰もが安心しきった思い込みが盲点となる。
 心の闇の濃度は周囲のポケモン達の数に比例して大きくなり、たくさん集まれば集まるほど大きく巨大になっていく、遠くから来ているポケモンのミュルミュール化はこのような時にしかできないので、この機を逃したくはない。

「音楽は聞く者の心を癒す。つまり、癒されたくて心の闇を持つものが集まってくるんだ。うん、いいねぇ、やっぱりコンサートに来るような奴らはスピリットにどこか黒いところを持っているのばかりだ。……ただ、どれも染まり具合が足りないな…… おっと」

 ドレンテは足を止めて、その目の前にいるポケモンの胸をじっと見つめる。彼の黒い瞳にはそのポケモンの胸元の、輝きを失った真っ黒い星が映りこんでいた。
 ドレンテは怪しく笑い、呪文を唱えて自分のウェポンである鎌を取り出して、その標的となるポケモンの前に立ちふさがった。

「やあ、こんにちは」
「――?」
「さっそくだけど ――君のスピリット、解放しなよ!」


***


「ディスペア、使うシートはどこ?」
「そこに積んであるわよ、持っていきなさい」
「はーい」

 モモコとコノハは用意された備品のブルーシートを頭の上に乗っけて、会場へと歩みを進めていた。
 すると、向こうからミツキとライヤが息を切らして走ってきた。

「はあはあ…… コノハ、モモコ!」
「どうしたの? 二匹とも」
「広場にミュルミュールがっ!」
「ええっ!」

***


「さあ、見せてくれ…… 本当の君を、本当の愛をっ!」

 広場に現れたミュルミュールはとても巨大だった、手足があり、直立して、その頭部からは合計7本の触手のようなものが伸びたその姿はさながらゴーレムで、巨大ゴーレムは植物のツタのようなものがいくつも積み重なったような表面になっており、そこから禍々しい黒いオーラで身を護っている。
 そのミュルミュールの内部にはスピリットと分離されたであろう、セレビィの姿があった。
 モモコがたどり着いた時にはすでに交戦は始まっており、ガッゾを除いたチームアースとチームジェミニは戦闘、チームキューティは集まっていた観客たちの避難誘導をしていた。

「「クロス・エレキ・ネット」」
 チームジェミニのシオンとリオンが協力して、ミュルミュールの動きを止めて
「ストーン・エッジ!」
 クレイが攻撃を叩き込む。
「兄貴」
「おう」
 トストは他の3匹にアイコンタクトを交わして腕を左右に伸ばすと、剣状の光が周囲を高速で回りはじめる。
 その[つるぎのまい]を終えると同時に、強く地面を踏みこんでミュルミュールに向けて自分を回転しながら突撃する。――[ドリルライナー]だ。
「痛いっ…… 痛いよ……」
 渾身のドリルライナーでその黒い皮膚を少し削られて、ミュルミュールは小さなうめき声を上げる。
「おい、痛いってよ。 トスト、手ごたえは?」
「全然」
「だよなぁ」
 クレイはうんざりそうな表情を浮かべ、思わず笑いがこぼれた。

「痛い…… くくく、うふふふふふふふふ」
 そのミュルミュールは悲鳴を上げはするものの、先ほどの攻撃で受けた傷は瞬時に修復され、その硬い殻のような皮膚には傷はなく、通じている様子が見られない。
「くっ こうなったら。『メガでんじほうEX改』を使うしか……」
「またそんな技を作ったのか」
「ダメなのです、シオン。それは練習でも成功してないから」
「いや、リオン。これを今使わなくていつ使うんだ」
「ちゃんと練習で成功してから使うべきなのです」
 そこにミュルミュールの太い触手が振り下ろされて、4匹はすばやく回避する。
 賢明に立ち向かっているが、相手の攻撃を避けながらたまに反撃を加えるので精一杯だった。
「ボクは悲しい」
 ミュルミュールの中のセレビィの目から一筋の涙が流れ落ちる。
「熱いよ、痛いよ、辛いよ、苦しいよ……なぜ、こんなに好きなのに……なんでこんな仕打ちを……」


***


 今回の敵はお前たちには荷が重すぎるから絶対に戦いに出るな、としっかりと念を押されて待機を命じられていたカルテットの4匹は、離れた場所からその戦闘光景を見ていた。
 モモコはミュルミュールに囚われたセレビィの姿を見て、ある者の存在を連想した。
「セレビィ……? 確か、ジュプトルやヨノワールたちと一緒にいた……」
「いや、エレガさんじゃないよ。ほら、色も違うし」
 モモコが前に出会った星の調査団のエレガが桃色のセレビィだったが、このセレビィは普通の草色をしている、落ち着いてよく見てみると、見れば見るほどエレガとは似つかない。
 ミュルミュール化した時の影響なのか元々なのかよく分からないが、目の周りにきついアイシャドウがされており、見るからにケバケバしい。
「おそらく……どこか遠いところからきたのかと思いますね」
 そうライヤがつぶやく、セレビィという種族はきわめて珍しく、エルガ以外でこの近くに住んでいる話は聞いたことがない。今回のコンサートのために遠方からやってきたところを、クライシスの毒牙にかかってしまったのだろう。
「……あれ?」
「どうした? モモコ」
「あのミュルミュール、なんか変じゃない?」
「いや、確かにあの顔はじゅうぶん変だと思うけど」
 ケバケバしい顔をみて引き気味のコノハに、モモコは言う。
「いや、そういうことじゃなくて。 あのミュルミュールの中のセレビィ、クリスタルに閉じ込められてないように見えるんだけど」
「え……?」
 見つめる一同。
 よくよく見てみれば、あのケバいセレビィの姿はクリスタルの中にいるわけではない。
「ほ、ほんとうだー!!」
「いや、そんなのおかしいですよ。クリスタルなくしてミュルミュール化なんて」
「……いや、ちゃんとあるじゃないか、下の奥の方にコアとなるクリスタルが」
 ミツキの指摘を受けて、皆が目を凝らしてよくよく見てみると、そのクリスタルの中には黒紫色の布を腕に巻いた、テナーサックスを片手に眠る一匹のイーブイの姿があった。
 チームカルテットの各々には、あのイーブイの姿には見覚えがあった、間違いなく彼は。

「「「「ドレンテッ?!」」」」



***



「いったい、なんでこんなことに?」
「たぶんですが……」
 モモコの疑問に、コノハとライヤは目の前の事象から次のような推測をした。
 おそらく、ドレンテはセレビィのスピリットを闇に染めてミュルミュール化をさせようとしたところ、闇に染めた段階でスピリット分離の魔法をはね返されてしまい、自分のスピリットを剥がされてしまったのだろう。つまり、厳密に言えばあれはセレビィのミュルミュールではなく、ドレンテのミュルミュールに分類されるのだろうと思われる。
「コノハ、ああいった場合ってどうなるのですか?」
「いや、詳しくはわからないけど…… たぶん、ドレンテは無限に闇の魔力を供給する電池と化している状態じゃないかな」
「え、ええと よくわからないんだけど、どういうこと?」
 頭の上にたくさんハテナを抱えたモモコが質問をする。
「ドレンテはセレビィをミュルミュール化させようとしたら、相手の闇の力が強すぎて逆に乗っ取られて、自分は結晶内に閉じ込められて、闇の魔力を行使する器になってしまったんじゃないかと」
「馬鹿じゃねぇの?」
「馬鹿だね」
「いや、みなさん 馬鹿とか言っている場合じゃないですよ。大変なことになってますよ!」
「え?」


***


「――そうなんだ、そしてボクは気づいたんだ。 ああ、これが愛の形なんだって」
 誰に語るわけでもなくワケのわからない言葉をつぶやき続けるセレビィ。
 その刹那、触手の一本が高速で突き出されて、リオンの片足を捕らえて釣り上げられて逆さまに宙づりにしてしまった。
「うぐっ」
「リオンっ!!」
 ここまでの長期戦で疲労が溜まっていたのだろう、リオンが捕らえられたことに驚いた隙をついて残りの触手も次々とシオン、トスト、クレイの体を捕らえて、あっという間に4匹の宙づりが完成してしまった。

「うう、はなっ離せ……」
「く、くそっ」
「ああ―― 愛が欲しい、欲しいなぁ」

 片足だけが固定された状態から必死にもがくが、触手が力を分散させているのか空回りするだけでまったく手ごたえがない。
 もがいているうちに次第に頭に血が上って行き、動く力もだんだんと無くなって、力なく揺れるだけになった。
 そこでミュルミュールは地面から這い出た追加の触手で残る手足も拘束して強く縛り上げて、頭を上にして4匹は空中で磔となった。

「いったいなにを、くっ……」
「……いっ ど、どういうこと、あっ ああっ」
「いや、やめ…… うわぁぁぁ」
「くはっ ち、ちからが…… 吸われ、ている?」
「うふふふ、いいねぇ、すっごくそそるなぁ、その顔最高だよっ! じゃあさぁ もっともっと君の愛を、ちょうだいよっ!!」

 縛り上げた触手の先がリオン、シオン、トスト、クレイの皮膚を貫きそこから体力を吸い上げていく。
 身体から残さず力を搾り取るように、ていねいにゆっくりと触手を締め上げて、身体の線を這うように拘束の場所も変えていく。
 体力を吸い取っていくにしたがいだんだんと4匹の呻く声が小さくなっていき、代わりにミュルミュールの独り言の高笑いが響くようになっていった。



 ライヤの声でチームカルテットがその惨状に気付いたのは、ちょうどその時だった。
 待機を命じられていたチームカルテットだったが、これ以上は4匹の命の危機とも言える目の前の状況に、居ても経ってもいられずミツキが真っ先に飛び出していく。

「こうしちゃいられねえ! 俺たちも行くぞっ」
「は、はいっ 行きましょう!」


***


「『流星群落とし』!!」
「『トゥールビヨン』!!」

 敵は強大だが、ここで退くわけにはいかない、星空町の笑顔は自分たちの手に掛かっている。
 相手の動きが鈍っている今がチャンスだと、必死にワザを繰り出して叩き付ける。既にチームアースとチームジェミニの4匹はなんとか解放させて助け出し、安全な場所に避難させたが、いくら攻撃をしても有効打になっている手ごたえが見られず、チームカルテットの攻撃の手も鈍り始めていた。

 戦っているうちに、マジカルベース屈指の武闘派で知られるチームアースとチームジェミニがなぜあれほど苦戦をしていたか、モモコにもだんだんと分かってきた。あのミュルミュールはどう動きどう攻撃を加えれば、いかにダメージを与えられるかを熟知しており、無駄のない動きで攻撃を防いでは攻撃を加えている、つまりは『戦い慣れ』をしているのだ。

 そもそもマジカルベースの魔法使いは、戦闘のプロではない。

 マジカルベースでは主に魔法と吹奏楽器の練習をしていて、ワザを扱う戦闘訓練は一般ポケモン程度のことしかやっていない。
 それはミュルミュールになるのは心の闇に付け込まれた戦いが不慣れな一般市民であり、魔法使いの仕事はそんなミュルミュールを『倒す』ことではなく、あくまでも『浄化』するためで、高い戦闘能力は必要とされてない。ミュルミュールの体内のクリスタルに囚われているのは一般市民が囚われているため、中の市民を傷つけないためにも高すぎる戦闘能力は求められてなかったし、正気を失い爆発する感情のままに暴れるだけなので動きも単調で対処しやすい。
 だが、このミュルミュールは違う。習得してきた戦闘技術を武器に正気を保ったままドレンテの魔力を元に暗黒魔法を行使し続けている。
 
 突然、セレビィの目から一筋の涙が流れ落ちた。
「ボクは悲しい」
「え……?」
 前触れもなく泣き出したセレビィの姿にモモコは戸惑う。
「熱いよ、痛いよ、苦しいよ……なぜ、こんなに好きなのに……なんでこんな仕打ちをするんだ?……」
「え、ええと……」
「……そうか、そうだったんだね。 これが愛の形なんだね。 君は僕を愛してくれたから、傷つけていたんだね。ならば僕も君を傷つけて愛せばいいんだね。 だってほらっ! ボクは苦しんでいる間、君のことを絶対忘れることはないからね」
「ねえ、あのセレビィ、一体何を言っているの?」
「わ、分かりませんよ」
 どうしていいのか分からずに動揺するチームカルテットのもとに――

「さあ、愛し合おうよ!!」

 セレビィのミュルミュールが作り出した、巨大な針――いや、多数の黒い槍が雨のように降り注いだ。
「っ! あぶねぇっ」
 回避をしようと構えていたが、あまりの槍の多さに逃げ場が無く呆然と立ち尽くしていたモモコに気付き、彼女の目の前に立って降り注ぐ黒い槍をすべて撃ち落としていくミツキ。
 だが、間髪を入れずにミュルミュールの触手が横薙ぎで襲い掛かり、カルテットの4匹はまとめて吹き飛ばされた。
 諦めずに立ち上がったところを、再び多数の黒い槍が追尾ミサイルのように襲い掛かった。

「うふふ……いいねぇ! すごくいいね。感じるよ君の愛と、痛みを! もっと、もっと受け取ってよ、与えてあげるからさぁ、ボクの愛を」
 息絶え絶えになりながら何とか立ち上がったモモコは、必死に反論する。
「違う! そんなもの、愛じゃない!」
「何が違うというのかい?」
 モモコの叫びを、セレビィはあざわらう。
「同じ喜びを分かち合い、そして同じ苦しみを分かち合う。それが愛しあうってことじゃないのかな? それとも、君は相手の痛みを理解しないことを愛とでも言うのかな? たとえば君が傷ついて挫けそうになったときは、誰かがそばにいて、その肩を支えて欲しいだろう? 辛いときに一緒にいられるということ、辛さを分かりあうことが愛じゃないのかい?」
「それは……」
 なんだかもっともらしい詭弁に、モモコは口籠ってしまった。
「愛も知らない子どもの君に、ボクが愛を教えてあげるよ。 本当の愛というものをね!!」
「モモコ! 危ない!」
 ミツキはモモコを横から突き飛ばして、ミュルミュールが放った黒い槍の攻撃をモモコから防ぐ。
 チームカルテットの各々がミュルミュールからの攻撃をしのぎ続ける中で、必死にモモコは話しかけて対話をしようとするが、ああ言えばこう言うと、けんもほろろでまるで通じる気配がない。

「よそ見をするな、攻撃が来ているんだぞ」
 モモコに向けられた攻撃を、手裏剣を投げて打ち消したミツキは叱るのだが。
「違う…… 違うよ、そんなの絶対におかしいよ」
「……モモコ?」

 モモコはそんなミツキのことは気に留めず、心ここに在らずの状態だった。
 確かにミュルミュールに話しかけることで心の隙間を埋めることができれば、ミュルミュールの力は弱体化して浄化の助けになる。しかし、親身になって心に寄り添うということは、ミュルミュールの黒い闇に直接触れるということであり非常に危険な行為だった。そのまま黒い闇に染まってしまう、つまりはミュルミュールに取り込まれてしまい、クリスタルに閉じ込められてしまうこともある。

 心と心が触れ合うことは必ずしも良い方向にいくとは限らない。
 ミュルミュールに歩み寄りの姿勢とか話しかけるという行為は今まではほとんどなされることも無く、己の感情のままに暴走をするミュルミュールに対してコミュニケーションが成立することはないのだが、魔法使いはミュルミュールに対して話しかけて、耳を傾けずに浄化するべきだと教えられている。

『ミュルミュールに対して説得を試みるモモコの行動力には感服するが、闇に包まれた心に寄り添うことの危険性について、ちゃんと分かってくれているのかが心配だ……。ミツキ、何かあったらちゃんと彼女を止めてやってくれよ』
 というマナーレの言葉をミツキは思い返す。

「おい、モモコ…… モモコぉ!」
 ミツキは揺さぶって正気に戻そうと試みるが、モモコはすでに心ここに在らずであり、目の焦点がまるでミツキにあっていない状態だった。
 モモコの瞳があっという間に真っ黒く染まり始めて、虚ろになっていく。そんな横顔を見て。

(まずい……)
 ミツキは焦っていた。このままではモモコが取り返しのつかないことになってしまう。
 しかし―― あまりにも心の浸食が早すぎる。相手の悪意が強すぎるのかそれとも…… モモコが強く感情移入して心を寄り添わせたい存在、あれがドレンテだからか……

 ミツキは強く首を振って、舌を噛み締める。
「くっそ……」
 ミツキが何故自分がこんなにイラだっているのか分からないままに、持っている手裏剣を地面に叩き付ける。
 このミュルミュールは自分たちの力じゃ敵わない、どうやって戦っていいのかがさっぱり分からない。だが、モモコをそのままにしておくなんて、そんなことは絶対に看過できないことだった。
「やるしかないか」
 覚悟を決めて、地面に落ちた手裏剣を拾い上げて呟いた。その時




  ――――♪


 重厚な中低音の延びのある金管楽器の音色が響き渡る。

「これは、トロンボーン……?」

 音色は一つの曲となり、あたりを包み込んでいった。

「もう大丈夫だ」
 その刹那、光輝く四本足の何者がミツキの横を通り過ぎて、ミュルミュール目掛けて飛び蹴りを食らわせた。


「僕が来た」






つづく!!!
続きは花鳥風月さん次第です。

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