ポケモンと私の気ままな一週間〜月曜日〜

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作者:ぽうん
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「ご主人だぁ。ぽん太郎、寝たの?」

窓を開けると、バルコニーの手すりに掴まったモク次郎がこちらにぐるりと首を回した。

「やっとだよ。まあ、本来ならこれが普通なんだけどね」

私はバルコニーに置いてあるつっかけを履いて、手すりに腕を乗せた。田舎の住宅街は静けさに満ちている。さっきまでのぽん太郎の夜泣きが嘘のようだ。

「近所迷惑になってないかなあ」
「大丈夫だよぉ〜」

それからモク次郎はえへへへと笑うと、嬉しそうに身体を揺らした。

「僕、ご主人と居られて嬉しいなぁ」
「どしたの急に」
「僕のことモフっていいよぉ、いつもみたいに」

モク次郎はニコッと笑って、こちらに向かって羽を広げた。引き寄せられるように腹の羽毛に顔を埋めると、短い羽で私の頭を抱き寄せて優しく撫でてくれた。

「ご主人、僕が“そらをとぶ”が出来ないって分かった時ガッカリしてたでしょ」

私はギクッとした。モク次郎はボーッとしてるように見えてなかなか鋭い。

ある日、荷解きも落ち着いた私とぽん太郎は街をぶらぶら歩いていた。目当ては家から3キロ先にある大型ホームセンター。そこで自転車を買う予定だった。駅から徒歩三十分の立地では自転車がないと不便だった。
ダラダラと一時間弱歩いて、やっと目的地に着いた。そのホームセンターには入口すぐにペットショップがあり、モク次郎はそこにいた。

『えっ、可愛い』

私は最近になって草御三家が好きになっていた。御三家ポケモンは基本的に初心者向けで扱いやすい。草タイプは光合成をするので食費も抑えられるし、火災や水浸しの危険もない。
そして何より、可愛い。

『すみません。彼、見せてもらえますか』

店員さんに尋ねると、快く応じてくれた。
彼はのんびり屋で性格に問題もないものの、この辺りは山地なので冬はかなり冷える。それゆえ南国原産の彼はなかなか売れないのだという。

『バトルをされないのなら進化も関係ないですし、お宅のカラカラちゃんとも相性がいいと思います。二匹とも寒いのが苦手なのでそこだけ気をつければ十分ですよ』

この春ポケモンと暮らし始めたばかりだが大丈夫なのかという旨を伝えると、店員さんはびっくりしていた。

『扱いが難しいカラカラがこれだけ懐いているなら全然大丈夫ですよ』

そう言われると自信が出てきて、一緒に暮らせる気がしてきた。ATMから急いで貯金を下ろしてきて、彼を迎えた。店が健康診断をやってくれている間、申請書を書いて自転車を買ってきた。思わぬ出費で予算は少なくなったが、しばらくはオンライン授業なので近くのスーパーに行ければ十分だろう。それに鳥ポケモンなら“そらをとぶ”を覚えるだろうから、彼に頼ったっていい。
そう思っていたから、モクローが“そらをとぶ”を覚えないと知った時は少しガッカリしたものだった。

「それでも僕を見捨てないで一緒に居てくれて、僕、すっごく幸せなんだぁ。ありがとねぇ〜」
「いきなりイケメンになりやがって……。このトクジr」「モクっ」

速攻で蹴りを入れられた。爪が鋭くて結構痛い。それでも血は出ない程に調整してくれている所に愛を感じる。

今日は月曜日。闇夜を優しく照らしていく、お月様の曜日。

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