目からビーム!!!!!!! !

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作者:坑/48095
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 人の頭くらいの大きさの、ガラスにしてはやわらかくレンズにしては硬めなコンタクトレンズを両手で掬い上げる。先輩と四枚ずつ、計八枚をネンドールの八つの目にもれなく装着させた。いきなり研究室に連れてこられて状況がよくわかっていない泥人形に私は謝る。
「ごめんね、変な実験に付き合わせちゃって」
「変なとは何だ。目からビームは全人類のロマンだぞ」
 これは彼が発明した「ビームが出るレンズ」だ。どうせなら目玉がいっぱいある奴に一気に放射してほしいと言うので私がネンドールを見つけてきたのだった。
 れいとうビームやソーラービーム、チャージビームにオーロラビームにシグナルビーム、サイケこうせん、はかいこうせん、しねしねこうせんとバラエティ豊かで、これだけ並べられるとちょっと興味が出てきてしまう。実を言うと私もこの日を楽しみにしていたのだ。
「いいか、合図したら目をカッと見開いてリキむんだぞ」
 こくりと頷くネンドール。レンズが裏表逆になっていないか(裏向きだとどうなるかは言うまでもない)再度確認。問題ナシ。先輩が拳を突き上げ、叫ぶ。
「よし行け! 目からビーム!」
「あ、待っ」
 これ私たち危ないんじゃ。そう言葉を続ける暇もなく、七色の光線が放たれた。――まるで私だけを避けるように。
 轟轟ごうごうと撃ち出されるパワーの奔流。瞬きの度に景色を変える極彩色。窓ガラスの割れる音が遥か遠くに聞こえた気がするけど、そんなものは破壊音やしねしね音に飲みこまれた。目の前で生み出される凶暴な光線を、ただ見ていることしかできなかった。
 永遠にも一瞬にも思えたその時間の果てに、私ははっとする。惨憺さんたんたる研究室の中、私だけが、信じられないことに無傷だった。私に向いたレンズだけ不発だったのか、それともネンドールが気を利かせたのか。
 隣にいた先輩は拳を上げたままの恰好で凍らされていた。その瞬間を一番見たかったはずの彼は、真っ先にそのビームに凍結されてしまっていたのだ。
「あはははっ!」
 先輩のまぬけな姿がおかしくて笑ってしまう。あはははっ! どうしたらそんなキラッキラなキメ顔ができるの、あはははっ! ――と、そのとき。
 極太のレーザーが私を貫いた。
 全世界の光を集めたような眩しすぎる光線の中、漫画やアニメみたいに黒焦げになりながら、私は「ああ、そうか」と気づく。
 ソーラービームは溜めが必要だったね、と。
 まぬけな顔で固まる二人に、今度はネンドールが笑う番だった。

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