中二病でも恋がしたい、何センチメーターで花がすっとんでも

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作者:ioncrystal
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読了時間目安:18分

この作品は小説ポケモン図鑑企画の投稿作品です。

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください



合計1秒02予測誤差オールグリーン、

『縺ソ繧?≧繝??縺ッ縺阪s縺。繧?≧縺九s繧偵?縺ェ縺」縺ヲ縺?k繝?シ』

ならばその前に、この身に備わった”緊張感”を最大限に行使させてもらおう。
猫騙しが飛来する。痛覚他意識が乱れる。着地完了、
かれの判断は”波導弾”、”とんぼ返り”のような不規則な軌道をとる相手を含めた判断だろう。
仲間がかけた襷は一撃をしか耐えられない為にこの類の相手の特性上その行動回数を増やすものではない可能性が高い。
交代されたポケモンに”波導弾”が着弾したことを確認し、仕返しのラスターカノンを身に受ける。

*

 この身体がこの上空75インチから着地する二秒強前であり、十二分にタスクを執行する余裕はあると判断。
真っ向から飛んで来た”サイコブレイク”を受け止めながらこちらはメガシンカの体制に移る。

0.45,
足を捻りダメージの軽減を最大限にする角度を計算、

0.68,
汎用的技射出姿勢がとれることを確認、


合計1秒13予測誤差オールグリーン、
『縺ソ繧?≧繝??縺ッ縺阪s縺。繧?≧縺九s繧偵?縺ェ縺」縺ヲ縺?k繝?シ』

ならばその前に、この身に備えられた”緊張感”を放つ。

かれの判断は”シャドーボール”、仲間がかけた襷は一撃をしか耐えられないがその前に勝負を決める。
交代されたポケモンに着弾したことを確認し、再度出て来た3匹目、ミュウツーを処理する。

*

 この身体がこの上空67インチから着地する二秒強前であり、十二分にタスクを執行する余裕はあると判断する。
特性”ムラっけ”で回避率の上がっている相手ではあるが、”波動弾”さえあれば、

0.58,
足を捻りダメージの軽減を最大限にする角度を計算、

0.67,
汎用的技射出姿勢がとれることを確認、


合計1秒25予測誤差一部レッド、
『縺ソ繧?≧繝??縺ッ縺阪s縺。繧?≧縺九s繧偵?縺ェ縺」縺ヲ縺?k繝?シ』

ならばその前にと、この身に備えられた”緊張感”を放ち、放ち、いや、この局面において相手の持ち物は食べ残しだから、

雑音を処理する。
着地に失敗し、立て直す。 相手の大きな口腔のすべてを満たす冷気、見え見えの予備動作から体を大きく逸らして避ける。
実際、技は不発にーーうまく決まらずに終わった
それでも、その技の範囲そのものは驚異的だった。
  波動弾の生成そのものに失敗する。
次善の弾を練り上げる。
そして、2回目の相手のポケモンの即死技が指示される直前にマスターは降参を選び、
それは分かる。
無様を晒し、勝利を捧げられなかったマスターとその対戦相手が手を取り合っているのも分かる。
ーーしかし、何故?


*
何故?

何故と問う。

「ミュウツー。」
“はい”
「どうした?」
かれは僕のトレーナーで、呼ぶ必要がある場合は『かれ』か『マスター』と呼んでいる。
かれと比べ、競う対象こそ僕はよく知らないが、今年もバトルコンクールを目指して競い合い、最強を目指している僕のよいトレーナーだ。
先の模擬戦三戦の身体的ダメージは回復し、ボールの中では休息状態にある意識は今は覚醒している。
“観客席を見ていました。それで反応が遅れました。すまない。”
僕の顔をまじまじと覗き込む。そこに、随分前の頃には時にあったような、僕たちを責めるような声音はない。
これは、家族や仲間を心配している時のかれの行動だ。
それを、なんで僕に?
“心配には及ばない。”
「ああ、心配っていうか、うん。やっぱり心配なんだな。」
ひとりでにそんなことを言うとかれは、
「こうやってボールから出してゆっくり話すのも久々だろう?オレはーー傾向分析と、戦術と、とにかくコンクールへの準備にかかりきりで、
実地で戦うミュウツーのイメトレにも全然付き合ってやれなかったからな。」と言った。
“話すまでもなく、僕らのコンビネーションは優秀です。僕も、マスターも、やるべきことをやって、共に臨むのみです。”
「ああ、うん、確かにそうだった。そうなんだけどさ。ミュウツーが何か悩んでるならーー」
“僕は、どういう答えを返せばいいんだろう。何故集中が乱れたのか、僕にも全くわからないのです。”
と、そこにここの女医が元・患者の僕らの様子を見に来た。
マスターが長らく滞在するポケモンリーグと呼ばれる施設に備え付けられたこの回復施設は、厳密には他の回復施設と異なりポケモンセンターではない。
町々ごとにそっくりの女医達のひとりである彼女は、職業プロ意識の強い彼女達には珍しく、心底不思議そうに、彼らのいうところの表情を浮かべた。
「さっきの3戦、お見事でした!—と言うには、冴えない顔ですね?」
そのコミュニケーションというものは我がマスターに伝わっているのだろうが、
「ありがたく受け取っておきます。でも、」
「あなたもそうだけど、」
穏やかながら、強い音で。
「ミュウツーくん出してもらえる?その子に、わたしは話があるの。」
“僕もマスターと見解を共有します。先ほどの3戦は、見事と呼ぶにはあまりに無駄が多い。”
「あのね。ふたりが何を悩んでいるのか、わたしにはちっともわからない。でも、あれぐらいのイレギュラーは、ポケモンバトルが未発達だった頃にはよくあったことよ。
無駄を削って、洗練されたバトルシーンが現れた現在だけど、かつてのシーンにだっていい所はたくさんあったわ。
もっと野性味があって、新規参入もしやすく、何より夢がーーこほん、話しすぎたね、ごめん。
ここまで、君たちの大ファンとしての意見。
それと、これは女医としての診断です。」
スゥと息を吸って。
「ミュウツー君のリンパ腺が腫れています。」
なるほど。
「人間でいう所のリンパ腺とはちょっと違って、エスパータイプのテレパシーをミュウツーにおいて司り入出力し、ポケモンたちの脳波をジャックすることだって可能な、
オーベム由来のミュウツーの器官。特性”緊張感”で畏怖たっぷりに撒かれる言葉もここから出ているわね。
で、これが腫れているのは怪電波がさっきの会場に撒かれていたのが原因って通達も来てるわ。
バトルで飛び交うエスパーエネルギーを観測する為の機器がミュウツー君に作用したと考えられるんだけど、
そもそも影響が小さい、こんな影響を与えるわけがない機器だから会場で許可が降りてるわけで、」
女医はうーんと考えると、
「ともあれ、この機器を使った方に、コンクールが始まる前に、聞きにいったらどうでしょうか。」

*

機器を使っていた主はサクサという人間の大人の女性だった。
エーテル財団で伝説・幻のポケモンの記録映画を撮ることとなった彼女は、この地方のポケモンバトルの在り方を調べに来たのだと言う。
この地方の大人すべてに最初のポケモンとして配布されるミュウツーは、推薦状システムなどという前時代の遺物とは比べものにならない機会平等をもたらした。
そんな世界で繰り広げられる少年のドキュメンタリー番組という体。

つまり、この物語の題名は、

◼️ テーマ
              この作品は大人向けにならざるを得まいが子供でも読めるよ

「ーー責めないの?」
“責める理由がないよ。”
サクサが使っていた電波は、意図的に集中を乱し、サクサに関心を向けさせる為の機器だった。
「俺も、こいつも、せんせーの言い分を全面的に信用してる。
無表情で信用ならないって考えてるだろ。
こいつ、不器用だけど、いい奴だから。バトルしか知らないやつなだけだから。」
「…そう。」
緑縁の眼鏡にふわふわした茶髪、ふくよかで安心感を与える…と、後にマスターが評した印象。
喜びを隠し切れない面持ちで、サクサは聞いた。
「では、ミュウツーさん達はボクたちの取材を受けてくれるということで宜しいんですね。
お礼に、知育菓子の素麺をプレゼントします。それぐらいしか、喜んでもらえる方法がわからないから。」

“あの、ところで今思っている好きと言うのは、頰を染めながら何もしないことを指すってことでいいんですか。”
それで、マスターがそこにいる誰よりも頰を紅く染めることになった。

「いや、本当にこいつ悪気はないから!ないよな?」
“…”
「あのさ、言葉って道具は、認識を縛るよな。人の間にあるものを。
こいつは悪気があったわけじゃないし、サクサさんの言うのは、」
「わかりますよ。」
サクサは続ける。
「こんなことしか取り柄がないのが、わたしたちですから。」

*


サクーシャへ。
ミュウのこどものことが大好きだった23年前の君自身へ。
どうしてこんなことになってしまったんでしょう。
昔映画館から出てからも忘れられなかったひとつの映画がリメイクされて、大事なところが何もひとつも変わっていなくて、
それでも、子供たちが喜んでいるのは、その映画を初めて知ることができたからだって時みたいな気分だ。
共存どころか時計の針は逆回りして、魔法少女もトラックに轢かれてもう二度と動くことはない。
たったひとつ、鳳凰の呪いが解けただけで、あんなに愛した神様の家族が今どうしているのかさえ僕は知らないのでしょうね。

ええ、ナルシズムに酔うしかない自分のダメさにさえ酔うのは、一旦終わりにしよう。時計の針はもう戻ってこないんですが。
君がーー僕がマクロな現実世界を少しでも変えることだけに意味を見出すなら、夢に少しも意味はなかったでしょう。
好きな気持ちだけを頼りに生きていけるには、僕は少しわがまま過ぎます。

いま、ひとつ予言をしておくことにします。
つまり、遺伝子のいち提供者として、親らしいことをやっておくことにします。出掛ける前に。
お誕生日おめでとう。ミュウツー。おめでとう、おめでとう。



PDWと呼ばれる、ポケモンの夢を共有できるという人間にとって夢のサービスが、もっぱらバトルの為に扱われるようになった頃。
ニョロトノというポケモンが、人間界の環境を覆い尽くした。
雨を降らして味方を支援するその性能は猛威を振るいいつかポケモンバトルはクソゲーと蔑まれ、
その状況に対抗し、バトルの利益を再び得る為に発明されたのが、ミュウツーである。
 発明というには語弊がある。
ふじ博士の研究所で研究員とポケモンの遺伝子を元に非合法に発明され、その研究員達のその身を賭した封じ込めによってその被害拡大を防いだとの逸話もあるもの。
人間の文明はそれを手中に収めた。
すべての大人が、旅立つ時4V(脚注:一定の生まれつきの強さを指す)以上のミュウツーを得ることができるようになった。
それによってバトル関連の理論が格段に進み、また人間への遺伝子操作も当たり前になったのが、この地方の新時代の由来である。
ミュウツーのマスターには、その程度の知識しかなかった。

「ーー平行世界って信じますか。」
「はあ?」
「少なくとも、それを信じている間はそれが助けになった。この世界がおかしいと感じたことは?今まで生きてきて、一度たりともないですか?」
「屁理屈はそこまでか。」
“実験に参加します。”
「…」
この世界を壊そうというのがサクサの願いだった。
そしてミュウツーはそれを手伝いたいと思った。

*

とある夕暮れに、ミュウツーのトレーナーはミュウツーを肩車して、散歩に連れていった。

“あんまり喋り過ぎないでよ。馬鹿に見えるから。”
「だいじょーぶ!なんたって馬鹿だからさ!」
”あっそ。”
「ミュウツー。俺、あれから考えたんだけどな。」
少年と僕のーーミュウツーの間を繋ぐ言葉はない。その存在に必要がないからだった。
「俺たちの間に絆なんて、なかったのかもしれないな。」
“何を今更。野蛮な人間がポニータの前にいた馬とかいう奴を使う為に使った絆って道具のような、
それに類するものなんて、そんなもの、僕らの間にはなかったろう。”
「おまえ、それ本気で言ってるのか。」
ミュウツーは今度こそ無言で返す。
「そっか。そうだよな。」
無言は長く続いた。

「なら、やっぱり絆なんてなかったんだよ。」
“それ、どういう意味?”
「あのさ、たとえば、俺たちが使ってる絆の意味でさえ、ボールの中にいたお前に伝えようとしたことは、今まで一度もなかった。
最強であるお前たちに、そんな必要ないと信じてた。
そんなの俺たちが、他の人間と同じようにして理解していると信じてなんとなく使っているだけの、曖昧な概念だっていうのに。」
そうか。
“あのさ、マスターが言いたいことを推測すると、
マスターもーーううん、『あなた』も、僕と仲良くなりたいんだね?”
「わからねえ。俺に分かるのは、お前達が強くて、この世界を俺たちが生まれるずっと前にむちゃくちゃにしちまったってことだけだ。」
“マスターは、生きていて、どう?”
「それも分からねえ。」
“そっか。”
これは、僕の考えだけれど、
“僕は僕を形作って来た道具の全部を、馬鹿にされたくないよ。
意味なんて求めるのは馬鹿馬鹿しい。
けどさ、サクサは、それが欲しいんでしょ。
なら、”
「そう、それでここに連れて来た。」
そこには夜に架かる虹を背景にしたオボン畑が広がっていた。
「オボンカレーを作れミュウツー!サクサちゃんの為に。」
“…うん。”

*

ミュウツーの修行は修行の合間を縫って三日三晩続いた。
無邪気にも彼はスパイスからこだわり、メガミュウツーYの特性”不眠”を維持する為に彼のトレーナーも協力を惜しまなかった。
そして、最終作戦会議の約束の日、サクサはリーグを訪れることがなかった。
ただひとこと『ありがとう』の書き置きを読んだミュウツーはいつものように予選を突破し、
そのマスターはその年のリーグで準優勝という好成績を収める。

それからもミュウツーは、いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。

 そんなある日のことだ。
悪い予感と呼んでいいだろうか、ただの技の未来予知だ。
サクサが、隣町で人間に刺されていた。
そして、誰かが助けなければそのまま失血死する。
そういう状況を、 より正確にはいまこの世界でサクサに強い憎しみを燃やす者を、ミュウツーは彼女に決定的な場面が訪れた時にやっと今更幻視することができて、
「来るなぁ!」
サクサは今まさに刺された状態で叫んだ。
「ミュウツー、来るな。わたしは、あなたを逃がす。」
その通りです。
刺した張本人はいけしゃあしゃあとーーミュウツーが、それをそう思って、
「いい学校を出て、いい会社に入って、
頭の良い彼には栄光が約束されていたっていうのに、こいつらが誑かしたせいでアカギ君の人生はめちゃくちゃです!
本当にいい子だったんですわよ?わたしが育てたからよく知っています。この世界の誰よりも。
でも、こいつらのせいでアカギ君は大テロリストになって、世間様に迷惑をかけてしまった。
だから、わたしは母として責任をとらないといけないんですわ。
それもこれも、ぜんぶこの女がいたからでしょう!?」
「ほら。こいつもそう言ってるだろう?」
落ち着いた声音で、サクサは言い直した。
“浄罪のつもりなの、サクサ。それとも教誨?”
「今度こそ、どっちでもないよ。これは正当な逆襲だ。世界に意味なんてなくても、まーるい地球はこうして回ってて。
世界は、こうして回っていく。それにね。それにだよ。何度も言ったよね。ぼく、死ぬのは怖くないんだ。」
「それでも、僕が怖い。」
「諦めてくれないかなーー見逃して、忘れてくれないかな?」


“僕のことをポケモンでも人間でもなくて、“一つの生命だ”とあなたは呼んだ。
だから、むず痒いんだ。
…そういうのは強くない。駄目だ、駄目なんだよ。”

“おばさん、どうしたらやめてくれますか。”
と問い掛けて、アカギの母親は自首と、裁判で戦うことを選んだ。
解放されたサクサの意識はなかなか戻らず、
ミュウツーの好きなサクサの意識は、うわごとを言うだけで、今は戻ってくれなかった。
「ねえ、ねえ。生きてるんだ。心臓バクバクしてる。」
“忘れろ、それでいい、”
「ぼくは、こわいよ、心がこわい。
自分に流れるこの血がこわい。
きっとこの呪いはずっと、解けてくれないーー」

*

それから数ヶ月後、サクサの言うところの”作戦”は、
予定よりももっと大舞台で実行に移された。
騎士のような赤と黒のポケモンの後ろに、白い着流しの青年。
あの運命の日、冒頭の第一試合で”レパルダス”を繰り出してきた男だ。
ーー不意打ちと追い討ちの二択を迫るバトルスタイル。
「のるか、そるか。ポルカを踊るか。そうだな、ここでまで負けたら、どこぞの南の島にでもしばらく逃げるさ。
大人のオジさんに言われちまったからね。それもきっと!悪くない!」
さあ来い、
ここを過ぎたところが正念場だ。
生きているだけで他の命を食い物にして、それをカメラの向こうに覆い隠した僕らが。
爪でも牙でもなく、
繋ぎ合う手を選んだ僕らが、それでも夢を重ねるのは罪か?
“追い討ち”を耐え切ったおもむろに声帯を使った。
「ここにニホン語で、僕の故郷の言葉で宣言する。」

白い着流しの青年がが返す。
「その声は、お前は誰だ。なぜここにいる。」
堂々と見上げてやる。
今に始まったことじゃないか。きっと僕らはこうやってきたんだ。
「ミュウツー。お前なのか?」
「うん、そうだよ。」
「今まで黙っててごめんね。」
「後で説明しろよ!!」
彼に、頷く。
「メガシンカ、ミュウツーXーー!」
「うん!」

夢を諦める気もない。それでも、
 いっしょに、世界を壊そう。

「続けろ!カメラを止めるな!」
ギャンブラーが叫ぶ。

この狂った世界で、君と、サクサと一緒に生きていこう。
その交点に何があるのか、

ーー答えは 未来で判断される。

今は、それでも。

今は。

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