グラジオ、スーパー銭湯に行く

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作者:襾石ノ杜
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読了時間目安:7分
リーリエ「家のお風呂が遂に壊れましたの。出張に出かけた母さまから駄賃も頂きましたので」

グラジオ「……父上のせいだ。ポケマメ風呂なんてするから排水溝が詰まるんだ」

リーリエ「さっ、そういうわけでっ! 兄さま、出かける準備をなさってくださいねっ!!」

グラジオ「あ、あぁ……」

グラジオ(しかし、ちょっと弱ったぞ。俺は銭湯だなんて今までに行ったことがない)

グラジオ「どうしようか、ヌル。とりあえず、着替えを持っていけばいいのか」

ヌル『……?』

グラジオ「……お前も、わからないんだよな」


──数時間後 マリエシティのスーパー銭湯受付


グラジオ「……なんだと!? タオルを持って来なければならなかったのかっ!?」

受付「ハ、ハァ……」

リーリエ「兄さま。いくらなんでも、常識知らずではないかと……」

グラジオ(……バカにされた)

グラジオ「済まない、リーリエ……その、タオルを…貸して貰えないだろうか」

リーリエ「フフ、こんなこともあろうかと思って、予備のタオルを持って来ましたの! はいっ、ヌルさんと一緒に使ってくださいませ!!」

グラジオ「ありがとう……リーリ」

グラジオ(……ピンクの花柄……)

ヌル『ヌーッ♪』


──更に数分後


グラジオ「リーリエ、この扉は……?」

リーリエ「あぁっ、兄さま! そちらは女湯ですっ!!」

グラジオ「え?」

客1「キャーッ、男よーッ! 不埒な男が入って来たわよーーっ!!」

客2「とんだマセガキだわっ! いくら私たちの美体が気になるからってっ!!」

グラジオ「す、すみません、おばさんっ!!」バタンッ

リーリエ「……もう」プクーッ

グラジオ(今度は、呆れられた)

グラジオ「男と女で別れてるんだなんて、知らなかった」

リーリエ「ウフフ。兄さま……そんな言い訳して、意外とお好きなのですね。そのいつも震えておられる左手、果たしてナニに使っておられるのやら」

グラジオ「そんなハツラツとした笑顔で言われても、困る」


──そして 脱衣所


グラジオ「……なぜだっ!? おいヌル、なぜロッカーが開かないんだ!?」

ヌル『ヌー……』

グラジオ「クソッ、左腕がうずいてきた…! もしかして、オレの行いが原因なのかっ!? 左腕がうずいてきたッ!!」


???「そうカッカしなさるな、若いの」


グラジオ「…誰だ?」

ハラ「名乗ろう、ワシの名はハラと申す! しがないマリエの観光客ですな!!」

グラジオ「人生の先輩面をしようというのか? 弱く見えるだけだぜ、じいさん」

グラジオ(……言ってやった)

ハラ「ほら、そこです。『100円投入口』と、書いてありますがな?」

グラジオ「あっ、本当だっ!!」

ハラ「……」ニヤニヤ

グラジオ「っ……。な、なんだそのニヤケ面はっ!? とにかくわかった、金を入れればいいん……」

グラジオ(……しまった、もう金がないんだっ!!)

ハラ「……若いの、100円くらいワシが奢ります」

グラジオ「バカにされた上にそんなことまでされて……。俺がどんな気持ちになるか、わかっているのか!?」

ハラ「嬉しい気持ちですかな?」

グラジオ(……そうです)

ハラ「例え銭湯での失敗だとしても、それは人生の貴重なる失敗の経験! それを糧として、成長していけばいいんですな!!」

グラジオ「……100円、ありがとうございます」


──そして 浴場


グラジオ「へぇ、最初にかけ湯をするのか……」バシャアッ

グラジオ「……冷たいっ!?」

客「やぁ兄ちゃん、それはかけ湯じゃなく水風呂じゃあ」

グラジオ(……風呂ってのは、こんなに恥をかくものだったか……)


──なんやかんやで、入浴


ヌル『ヌヌ~~ッ!!』

グラジオ「気持ちいいか、ヌル。ほら、見てみろ。マルノームの石像から、お湯が出てるぞ。……なんだか溶かされそうだ」

グラジオ(……ん?)

女の子「♪」

グラジオ(父親に連れられ、女の子が来ているぞ。なんだか、昔のリーリエのようだ)

女の子「ねー、あのお兄ちゃんのバナナ! ちっちゃーいっ!!」

グラジオ「……!!?」

父親「こら! あの兄ちゃんのはバナナじゃなくて、前髪だっ!!」

グラジオ(……。“どっち”にしろ、傷ついた)

ハラ「あれですな。嫌なことは風呂にのんびり浸かり、ひとまず忘れることですなっ!!」

グラジオ「うおっ、さっきのじいさんっ!?」

ハラ「気がめいっていては、解決策も見い出せませんぞ! リラックスして身体を癒やす……そのために、このような大衆施設は存在しているのではないですかなっ!?」

グラジオ「そ、そうですかね……」

グラジオ(でも、確かに)

ヌル『ヌー?』

グラジオ「お前がいれば、どんなことでもできる気がする。一緒に頑張ろうな、ヌルッ!!」

ヌル『……ヌーーーッ!!』

グラジオ「……ハハ、意味……わかってるのか?」


──入浴が済み、再び脱衣所にて


ハラ「あれですな、その……」

グラジオ「またか、じいさん。今度はなんだ?」

ハラ「……その、可愛らしいタオルを貸してほしいんですな」

グラジオ「え?」

ハラ「恥ずかしながら……フンドシを、忘れましてなぁ」

グラジオ(……)

ハラ「……」

グラジオ「……今日アンタには、色んなことを教わった。感謝の意味で、(妹のだけど)貸しますよ」

ハラ「おぉ、感謝しますぞっ!!」

グラジオ(リーリエには、黙っておこう)


──数十分後 食事処


グラジオ「ああいう人に、なりたいものだ」

リーリエ「なにがです?」

グラジオ「そうだ、リーリエ……俺の髪型。どう、思う……?」

リーリエ「別に、何も思いませんよ? プランプランとさせた珍妙な前髪…いつもと変わりませんが……」

グラジオ(…髪型、変えよう)


──ヘアーサロン USIO


グラジオ「と、いうわけで、男らしい髪型にしてください」

ウシオ「オゥッ! このオレっちに、任せてオケッ!!」

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ウシオ「オウホウッ! いい感じに、まとまったゼッ!!」

グラジオ「……」

グラジオ(これは夢か)

ウシオ「オレっちと一緒のイカす髪型ダッ! 気に入ってくれると嬉しいゼッ!!」

グラジオ(……髪が伸びるまで、家を出よう)

ヌル『ヌヌーッ♪』


その後、島キングであったハラさんが、リーリエにタオルを直々に返しに来た。

彼女は大層誇らしげに思い、そのタオルを今も大切に使っているという……。


グラジオ「スーパー銭湯?」 ~完~

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