小説家メッソン

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作者:理想の湊
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読了時間目安:9分
※ガラル御三家メッソンが登場します。新御三家に抵抗のある方、メッソンが嫌いな人は回れ右してしょぼん君になっていてください(´・ω・`)
※色々とぶっ壊れてます(←重要)
※メッソン関係ある?とか言ってはいけない(´・ω・`)
ある夜のこと、薄い雲が空を覆い星は地上と遮断され朧げに月の光が差している。一軒家の二階の窓から電灯の光が漏れている。そこで黙々と何かを書いているメッソン。小説の執筆をやっているようだ。その顔はどこか不安げな表情にも見える。
最近、彼は自身の小説を書き始めたのだ。内容は様々であるが発想はそれなりのものであった。しかし語彙力はある方とは言えない感じではあったが…

執筆を止めネットに潜り込む。コメント欄を見てどことなく安心した様子のメッソン。どうやら前作った作品の評価を気にしているようだ。

「…よかった…大丈夫みたい…」

あまり目につくようなコメントはなかったので安心した様子であった。しかし別のやつを見てみると何やら良いイメージの内容のコメントが目につく。内容的には“発想が陳腐すぎて面白くない”、“語彙力なさすぎて読む気にもならん”と言った内容のものだった。

普通なら変な批判や中傷だ…気にしないでおこうと思うのだろうが彼はそうは思わなかった。思わなかったというより思えなかった。そのコメントは彼の不安を煽るには十分すぎるほどの火種となったのだ。そう思われてるのか…やっぱり自分は才能ないのか…そう彼は思ってしまっている。一種の性格も含まれるのだろう。物事をポジティブに捉えることが出来ず、ネガティブに捉えてしまう。しかもその思考はどんどんねじ曲がり始めネガティブな思考はどんどん広がる。それが闇となり心の器へと入っていく。

実際才能がないことは自身でもわかっている。それのせいや性格的なものもあり、ますます闇が溜まる。闇を溜めるだけ溜めて出す方法がない現状、そうしている今の自分のことを思うことすら今では闇となり溜まっていってしまう…

不安になるといつもそうだ。心が折れて自身を追い詰め始める。
不安で脈が不安定になる。動悸も激しくなり暑くもないのに汗が出てくる。その汗のせいで身体に色が無くなってくる。まるで彼の存在意義がなくなり始めているかのように…

「…今日はもう寝よう…」

不安で執筆作業も捗らない。だからといって他のことで気を紛らわそうにもそんな気力は既にない。どうしようもなくなり寝て時間を過ごすことにしたのだ。寝ようにも不安というものが邪魔をしてくる。なんとか眠りについたのは横になってから一時間後のことであった。

寝ている間も彼にまとわりつく不安は彼を貪っている。彼は夢の中で目が覚める。独特の雰囲気の場所、今の心の内を表すかのような底のない黒に染まった空間。
光もなく闇に染まったその場所、夢の中とはいえそんな空間に居れば精神が不安定になってくるのは必然的なことであった。
不安を煽るかのような真っ黒さ、目を開けているだけで不安因子が増殖していっているのは彼でも理解できていた。彼は目を瞑り目が覚めることを待った。

目を瞑りどのくらいの時間が経ったのだろうか。どこからともなく声のようなものが直接頭の中に響いてくる。批判、軽蔑、中傷の声、今までの受け取ったメッセージのものであった。しかし、それ以外にもはっきりと目立つ声があった。


『なんで小説なんて書き始めたの?』


それは紛れもない自分自身の声であった。なんで?…なんでだろう…分からない…なんで小説なんて書き始めたのか…わからない…



『苦しんで書いててもなんの意味もないのにね』

『なのになんで書いてるわけ?』

『やめちゃいなよ、苦しまない方法はまだたくさんあるのに。楽になれるのに』

『…今のままで本当に楽しい?楽しくないよね?』

『……消えちゃえば?』



…グシャリ

どこかでそんなことが聞こえてきた。

彼の心の器は完全に崩れ去ってしまった…内からひび割れて壊れてしまった…

居ればの無くなった闇が崩れ去った容器の周りを蔓延っている。無機質でもありどこか不定形な姿でその場を気持ち悪い動きをしながら闇はその場を彷徨っている。

その様子は彼からは見えない。しかしどことなくそう感じるような気がしたのだ。不安、行き場のなくなった闇が彼の思考を乗っ取り始める。何をすればいいのか、不安で何もできていない今、何をすればいいのか…簡単なこと、“いなくなればいいじゃないか”…この世界から…

心は完全に崩れ思考の闇の方向へと進み、完全に闇に飲まれてしまっている。しかしどうすることもできない。これは自分自身の内のことであるから…誰も干渉できないければ自分自身でもどうすることもできないから…

「そうすれば…ラクになれる…そうだよ…カンタンなことだ…どうしてキヅカナカッタンダロウ…」

心は完全に壊れている。どうすることもできない。ただ自身を消すことに向かって動こうとする思考、それしか彼の中には残っていなかった。
そんな闇に飲まれていた彼の目の前に一つの本棚が現れる。所狭しと並べられた本を見てみると今まで読んだ小説であることに気づく。彼は無意識にある小説を探し始める。…何故だろうか、何か忘れてはいけない何かがある。そう思ったのだろうか。たくさんに並んでいる本、厚さはともあれどれも光が纏っている。暗闇のこの空間をどこか淡い光で包んでくれているかのような、そんな感じすら感じれた。

「……!アッタ…コレダ」

手にとって表紙を見てみる。どこか懐かしさを感じる表紙の絵、上手いかどうか問われたら正直わからない。が、その本は他のとは違い光のまとい方が違う。より一層煌びやかに光って見えたのだ。

ゆっくりと表紙をめくり本を読み始める。
プロローグから始まりそして第1話へとつながる。描写も忠実的でしっかりとした文章構成、そしてなりよりも作者自身の出したい要素をとことん盛り込んでいる。…夢の中ではあったがその内容は本物さながら忠実に書かれていた。夢か現か、しかし今の彼はそんなことなど微塵にも感じていない様子であった。夢であれ現であれ、今この小説を読んでいる、そのことに変わりはないのだから。

どれくらいの時間が経っただろうか。彼は最後のページの最後の句点までたどり着くと本の裏表紙を閉じる。これは彼が小説を書こうと決意するきっかけとなった小説であった。その小説自体は決して有名どころというわけではないがその小説は自分を突き動かしてくれる鍵となってくれていたのだ…
さっき自分自身が言っていたある言葉を思い出す。

『なんで小説なんて書き始めたの?』

…なんで?…そうだった、忘れていた…
この小説に心を突き動かされ、自分でもそんな世界を創り出したい…そう思ったからであったのだ。

「…ソウダヨ、キメタンダ…」

批判されてもいい…下手だっていい…それが自分の思い描いた世界なのだから…他人に評価されようと思って書いてても前には進みやしない…
書いて書いて書き続ける…批判や中傷されてもめげずに…それを糧にして書き続ければいい…

「ジブンガ…ホントウにやりたいこと…それは…しょうせつを…じぶんだけの小説を書きたい…!」

それがたとえ変に思われても、たとおかしいと笑われても…書き続ける強い信念を…
たしかに未熟なところもまだまだある…しかしそんなんで立ち止まっていたらもともこうもない。ビギナーならビギナーなりに書き続ければいいのだ。未熟なところはいろんな知識を身につけて熟せばいい。

それは成長することと同義、どんなことでもそうであるはずだ。少なくとも自分はそう思っている。本当にしたいのならやり続けろ、そうすればいずれ答えは見つかるはずだ。

暗闇の空間が眩しい光に包まれる。蔓延ってっていた闇が消え光に満たされる。心の器はどうなったのかわからないがきっと元の姿に戻っていることだろう…それは前よりも強くなっていることだろう。実際に見えないがそんな気がしたのだ。


目が覚めベットから体を起こす。カーテンの隙間から朝日が差し込み部屋を照らしている。カーテンを開け光をめいいっぱい部屋の中に入れ、彼はいつも通り椅子に座りいつも通り机で小説の執筆を始める。
しかしどこかいつも通りではないところもあった。

どこか心の突っかかりが取れたような感じがした。彼の日常は今まで通り、というより今まで以上により良いものとして動き始めていた。


***


今でもたまに思う。それは自分の性格なんだ…そんな性格を変えることはかなり難しいことだ。でも考え方を変えようと努力することはできるはずだ。考え方次第ではネガティブなこともポジティブに捉えることが出来るかもしれない。闇を溜めすぎた結果、自分はああなってしまった。闇はいつだって溜まる。生きてる上で辛い思いをしないヤツなんて存在しない。それでも生きていかないといかないからね。大変だな…生きていくって。でも色んな経験をしてこその人生なんだから、そう意識して強く生きていこうって…そう決めたから…

みなと

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