はがねタイプ:散弾銃エトセトラ

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作者:八十嶋 牢哉
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読了時間目安:3分



 知ってるかい?

「知らないね」

 じゃあ、知りたいかい?

「知りたくはないね」

 なら、知らなくても良いかい?

「知らなくても良くはないね」

 それじゃあ、少しだけ話してあげよう。こんな世界の一部となった、とある銃弾の話を。

「なるべく手短に頼むよ」

 今となっては当たり前だけれど、世の中は戦争で満ち溢れている。それは曲げようにも曲げられない事実だと誰もが納得して飲み込んでいる。そんな戦争の世界に、ポケモンの割り込む余地はほとんどなかった。
 ポケモンの力を戦争に持ち込むことは結局のところ禁忌……タブーとされている。その強大な力を持って戦いに臨めば、いつしか世界は『人間対人間』から『人間対ポケモン』に様変わりしていくことを概ね案じていたからだ。いわゆる、牽制の連鎖、心理的冷戦ってやつだ。
 ならば、人はどうやって戦うのか。答えは至極簡単で誰にでもわかる。そうだよ、武器を手に取るのさ。ライフル、ハンドガン、ショットガン、戦車、戦闘機、ナイフ、爆弾……挙げていけば枚挙に暇がないとは言ったものだけどね。
 そんな、武器を手に取る人間にとって、とある『素材』はもはや必要不可欠になった。
 何だかわかるかい?

「そんなもの、武器を作る素材に決まっている」

 そうそう、正解。そんな君に対しては、例えばこんな例がある。
 ショットガンなんかの銃弾は、この世界では主に金属の資源から作られている。しかしながらそうは言っても資源というものには限りがある。無限に生み出すのは不可能に等しい。
 そこで、とある人物は中々の妙案を思いついたんだ。着眼点は……はがねタイプのポケモンだよ。
 はがねタイプのポケモンは、一部の例外を除き、大抵は金属質の体を持っている。その成分は、武器を製造するのに非常に適した素材だったわけだ。

「ポケモンを素材に……だろう」

 そうそう。そういうことさ。例えばコイル。コイルは見るからに金属質の体を持っているだろう? だから、両腕がわりの磁石のユニットを強引に引き剥がせば、あとは高温で溶かして、素材として流用すれば良い話。そんなわけで、はがねタイプのポケモンは使い勝手が良いわけだよ。

「……知っていた」

 やっぱり。こっちも最初からそうだとは思っていたよ。

「だけれど……何故今更、こんな話をする?」

 え、何故かって? とぼけないでよ。君もその『仲間』であることには変わりないだろう? ついでに言えば、我々人間の『仲間』としてやっていく君なんだから。

「つまりは……冥土の土産、か」

 察しが良くて助かるよ。そうだね、そんな聡明な君は、どれだけの素材を生み出してくれるのかな。
 じゃあ、そろそろ君を溶かす番だ。今まで元気で何よりだったよ。銃弾になっても、人間のことは決して忘れないでね。君の命には確かに価値があった。
 バイバイ、ココドラ。


 

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