ゴーストタイプ:もしもヒトモシも

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作者:八十嶋 牢哉
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読了時間目安:3分



 僕とヒトモシは友達だ。それはほんの少し前からだけど、やっぱり紛れもなく、この子と僕は友達である。

「もし?」

 僕がヒトモシを抱きかかえると、ヒトモシは不思議そうな顔をして頭の炎を揺らめかせた。僕はそれが少しだけ嬉しかったりするのだけど、大事なことを言っておきたい。

「ヒトモシ、抱っこしてる時に炎をユラユラさせると、僕、凄く熱いんだけど」
「もっしもしもしもし」
「笑うなよ」

 ヒトモシはそんなことを言う僕を小馬鹿にするようにキャッキャと笑ったが、大事なことを言っておきたい。

「熱い、熱い、熱い。あと、生命力が吸い取られていく」
「もしぃ〜?」

 身体から力が抜けて、僕は膝を足場についた。なんとか踏ん張って、ヒトモシに注意する。そうだよ、ヒトモシは人間の生命力を吸い取って炎を燃やすって何処かの文書で目にしたことがあったんだよ。だから、そういうのやめてくれない?
 そして、ヒトモシは僕の腕の中でウネウネとうねりながら向きを変え、僕の方を上目遣いで見つめてくる。だけど、大事なことを言っておきたい。

「あ、あのねヒトモシ。あんまりモゾモゾ動かれると、僕の服の色んなところが燃えて……あっ、熱い」
「もしゃしゃもしぃ〜!」

 ヒトモシは面白そうに嘲笑う。そんなヒトモシの姿が可愛らしくて、僕はついつい口元を綻ばせてしまう。するとヒトモシは僕の身体にピタッと身を寄せて、甘えてくる。だけど、大事なことを言っておきたい。

「ちょっとヒトモシ、熱い熱い、炎が、あごに当たって、顔が焼ける……」
「もしぃ」

 ヒトモシはこればかりは反省したのか、少し小さな声のトーンで俯く。ただ、俯くように顔の向きを下げることによって、つまり、大事なことを言っておきたい。

「あっ、服に火がっ……熱い熱い熱い」
「ウアァァァァァッ!」

 えっ、今かなり野太い声出さなかったか? 今のは本当にヒトモシなのか? いや、今僕が抱いているのはヒトモシなのか? それより、僕の服はチリチリと焦げ臭い煙を立てながら燃え盛っている。
 そして、ヒトモシは生命力を吸い取って灯火をメラメラさせているということで、大事なことを言っておきたい。

「ねえ、ヒトモシ……だから……さ……生命力を吸い取るのは……やめ……て……」
「もしぃーっ!」

 僕は、ヨロヨロの体で、燃え盛る身体で、地面にパタリと倒れた。意識がユラユラして、どうなるのだろうか。まあ、ヒトモシと戯れるとこんなこともあるから、注意してみるのも吉だろう。

「もしもし!」

 次にヒトモシと遊ぶのは、君かな?


 

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