わたげのリボン

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作者:レイミラ
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読了時間目安:38分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 この作品は、Twitterで集結した「もふもふサークル『けもふぃ~』」の企画のひとつです。

#けもふぃ~文庫で調べると皆様の作品が出ます




───陽射しが暖かい物語。


 彼女は寒さに一人で震えていた。誰も気づかぬ冬の洞窟でひっそりと焚き火を炊いて、毛布を羽織って、熱いお茶を飲む。それでも陽の当たらない冷えた洞窟ではまだまだ寒い。週二で昼間に近くの森で木の実狩りをしてやっと食っていっている。夜になってようやく焚き火の熱が籠ってきたので、火を消して眠る。そうやってここ数ヶ月はずっと家に居っぱなし。冬の昼間はただ寒さに打ちひしがれながら木の実狩りだったり部屋に籠ってたりしてやり過ごすだけで、かなり辛い。しかし、彼女からすると昼間よりも夜中が何よりも嫌いである。悪夢だ。悪夢を見るのだ。二ヶ月前からうなされているのだが、いつも夢の内容も登場人物も何もかも同じで、それが逆に同じ時間を繰り返しているようで頭がおかしくなっていきそうだった。毎度毎度、夜中の三時に起きる。その度にハァ、とため息を漏らして
「お願いだから、もう忘れさせてよ。」
と切実に願うばかりであり 、そこからはいつも未明まで目が冴えてもう寝られない。いい加減に精神から崩れ落ちそうだったが、相談相手もいなくなった今、もう死ぬんじゃないか、とまで思ってしまい笑顔なんて忘れた極めて参った状態なのだった。そんな悪夢を見る度思い出させられてしまう、友だちが消えたあの瞬間。

 七年前、生まれた時には父も母もいなかった。タマゴだけ置いて去っていったらしい。置かれた場所は洞窟の奥の部屋。外へ出ると野菜が育てられる農地が広がっている。恐らく農家の家庭に産まれたのだろう。広がるハジメテノセカイを彼女はウロウロするしかなかった。だが恵まれたことに、彼女には友だちができた。メリープだった頃、たまたま通りすがったモンメンとイーブイが遊びに誘ってくれたのが始まりだった。
「ねえねえ、いっしょにあそぼうよ。」
イーブイが純粋無垢なココロで誘ってくれたことがメリープにとっては嬉しかった。それからというもの 、夜は楽しみに待って、朝に飛び出してみんなのところへ駆け出してゆく、それが日課だった。最初の遊びは必ずもふもふの身体をお互いにじゃれあっていた。ただそれだけ。そのそれだけが一番幸せだった。友だちからも羨ましがられていて、次第に仲間も増えていった。
 ある日、友だちのモンメンが進化した。エルフーンとなって、さらにふわふわな体毛を持った。羨ましかった。ただでさえふわふわな身体だったのがまるでコットンのような肌触り、優しく押し返してくる絶妙な弾力。どれを取っても進化していた。メリープは、進化とはそういうものだと過信していた。数日後にはイーブイもブースターになっていたし、他の仲間も日にちが経つにつれてもふもふが増えたり上質になっていたりしていた。そして、ようやく彼女にも時が来た。眩い光が彼女を包んだ途端、自分の身体が変わってゆく不思議な感覚が湧いていた。光が消えた時、震撼した。確かに進化はしたが、持っていたもふもふが明らかに少なくなっていた。
「あれ、もふもふ減ってない?」
友だちからも言われるくらいに目に見えて減っている。焦りに焦ったメリープ…進化してモココとなった彼女はいつかのようにウロウロしていたが、エルフーンが残っているもふもふを触ってみたら
「わあっ、前よりふわふわなんだけど!」
それを聞いた仲間たちは一斉に彼女の周りに集まり、いつも通り、いやいや、いつもよりもみんなの食い付きが良い。彼女はこれ以上にうれしいことは無かった。やはり進化はそういうものだと勝手な思い込みをしていた。それが後に悪夢を見せた。
 数ヶ月後、みんなの前で光を放った。また進化だ。この光を見守る仲間達、そして変化を待つモココ。体の変化が止まって光が消えてゆく。この時既に彼女は違和感を感じていた。だがもう後戻りはできなかった。光が消えたあの瞬間、もう忘れちゃいない。目の前の仲間達が口をぽかんと開けていた、あの顔を…。モココからデンリュウへと進化を遂げた時、全ての始まりであり終わりであった。身体の体毛は完全に消えていて探してもどこにもない。デンリュウはもうウロウロするしかできない。だが、以前とは違って仲間たちを寄せ付ける為のもふもふが無い。その時だ。
「…行こう、もふもふがなくなったら…ねぇ。」
周りの仲間たち…もう仲間でさえない彼らが遠ざかっていく。もう、手を引っ張るものもなかった。何も言えなかった。ただ秋風が体毛の消えた身体に直接ぶつかってくるだけだった。
 ───彼女は目を覚ました。…夜中の三時だ。日課のように見た寂しく辛く恐ろしい夢。『正夢』だなんてものよりもっと怖い。過去の悲痛な記憶を何度も、何度も、忘れても思い出させて、何度も何度も何度も何度も何度も何度も。彼女が壊れるまで永遠について行く。

 朝日が昇ったらしい。当然、洞窟を家としているから朝日なんて見えない。今日は洞窟から出て木の実狩り。いつも以上に寒さが厳しくなっていたが、飢えるのはとてもじゃないと思って出発の支度を済ませて扉を開けたら、そこには黒い翼を持つ大きな生き物。彼女は暫く呆然としていた。
「お願いだ…。火に当たらせてくれ…。」
誰だか知らない奴がいきなり現れるなり、暖まりたいと言ってきた。だが、彼の身体にはいくつもの傷ができていた。見過ごすわけにはいかなかったので、焚き火をもう一度起こして暖めながら翼の傷を見た。明らかに傷の量がとてつもない。そして低温火傷、ずっと我慢していたのだろう。直ぐに応急処置を施したデンリュウは、何があったの、と聞くと、
「警察に追われているんだ。」
「殺人者なんですか?」
彼女はあまりに不適切な発言にしまったと思った。だが彼は否定せず黙っていた。そして頭が垂れ落ちた後に小さく頷いた。
「俺はイベルタルだ。」
イベルタル。彼女はその言葉を聞いてハッと思い出した。あのブースターが言っていた。「奴は『死』を象徴する生き物だから、見つけたら直ぐに警察を呼べ」と。しかし…彼女はできなかった。気づいたのだ、彼の目の悲しさは鏡で見た私の目にそっくりだと。彼女は話を聞くことにした。
「なんで傷だらけだったんですか?」
「知らないのか、俺は…」
「『死』を象徴するポケモン、ですね。」
「知ってたらなぜ逃げない?」
「私と似た感情を持っていそうだったから…かな?」
イベルタルは首を傾げて変わった奴だと思い、先ほどの問いに答えた。
「スナイパーに追われて必死に逃げて来て、何も食わず飲まずでこの有様だ。」
そう聞いたデンリュウは、慌てて冷蔵庫を開けてオボンの実を取り出してイベルタルに渡した。するとまた彼は首を傾げていた。
「話、聞いてたか?」
「見捨てるなんてできない。私は、されて嫌な事は相手にはやりたくないから。」
イベルタルは彼女が悲しい目をしているのに気づいた。ただ、今は聞けるような雰囲気ではなかった。とにかく親切にしてくれる彼女に、「どうも。」と軽く感謝を述べたら「どういたしまして。」と快く返された。その一瞬間、僅かに笑顔が見えたような気がした。彼女はイベルタルと目を合わせて
「傷が治ったら何処へ行くんですか。」
と尋ねると彼は、秘密だ、と教えてくれる気もしない返事だった。知れてしまえば捕まる、いやそんな生ぬるい程度じゃ済まないのか、もっと攻撃されたりしてまたボロボロになってしまうのか。彼の言葉と状況が釣り合いを忘れたようでいて、でもその気持ちを理解できなくもない。例え悪い奴でも、傷つけられるのを想像するのはゴメンだ。かと言って、また外へ出ればいずれ見つかるのだろう。この家を知っているのは彼女自身と偶然入ってきた彼だけだ。ここにいる方が言うまでもなく安全なのは言うまでもない。
「暫くはここで過ごしてください。追っ手がいるのでしょう?」
そんなことは出来ない、と一度断わった彼だったが、もう戻ることの出来ないこの状況で生き延びる方法はそれ以外になかった。
「いいのか、お前は。俺を匿ったらお前がどうなっても知らないぞ。」
「でもさ、いい気持ちがしないよ。私は大丈夫だから、暫く隠れてて。」
イベルタルがお前はお節介が好きなのかと聞いたらそうなのかもねと答え、こんな命懸けの逃亡に手を貸すなんて大物だなと半分嘲てものを言ったが君はどうしても自分に似てるって思ったから、と返す。これで今日は三度目だ。彼は彼女を見て、やっぱり変な奴だとわかったような顔をしていた。

 この日の真夜中に、再び同じ悪夢を同じところから繰り返す。今、モココに進化したところまで来ていた。イベルタルは眠るデンリュウの異変に気がついた。汗をかいて魘されている。どうしようか迷ってちょっと様子を見ていたが、苦しそうな表情は変わらずにいたので、彼は無理矢理彼女の身体を傷ついた翼で大きく揺すった。ハッと夢の途中で目を覚ました。急に起こされて思考停止していたが、その揺すりが彼女が見ていた夢に変化が起きていた。
「あれは…誰の手…?」
寝ぼけたことを言っている彼女にイベルタルは肩をトンと叩いて
「心配したぞ。何か辛いことがあるなら打ち明けてくれ。俺の話を聞いてくれたんだから、何か恩返しでもしなきゃあ気がすまねぇ。」
優しく声を掛けた彼の手…デンリュウの肩に乗った彼の手は間違いなく直前の夢で差し伸べられた紅の翼だった。夢であるのに不思議と確信できたのだ、彼は救世主であると。デンリュウは、実は、と悪夢の正体について語れる全てを話した。彼は最後まで真剣に聞いてくれていた。そして息を飲んだ後に、思い出して蹲ったデンリュウの背中を優しくさすって
「わかった。俺が安らかに眠れるようにしてやるよ。」
デンリュウは感動して涙ぐんでいた。とても優しくて、安らかに眠れる、安らかに…眠る…?ゾッとデンリュウの背筋が凍えた。私も彼に殺されるのか?その意味に捕まって怯えていた。イベルタルは言葉の交錯に気づかないで、どうしたんだと言ってその凍えた背中を慌てて更にさすっていた。デンリュウは彼の顔を見た。彼は何か申し訳なさそうな顔で、彼女が怖がってた意味がわかっていなくても背中を温め続ける。妥当な言葉は見当たらなかったが、なんとなく彼が誰かを殺すようなポケモンじゃないように見えた。
「ごめんなさい、いま疑った。」
イベルタルは頭に疑問符をつけたように首を傾げていたがそのまま横にブンブン振って、なんともないという表情を見せた。これで今日は三度目だ。彼女は彼をを見て、やっぱり良い人だとわかったような顔をしていた。

 その日の朝。大きな欠伸をして起き上がったイベルタル。デンリュウはもう起きて朝飯を用意していた。なにか手伝えるか、と聞いたが大丈夫と返答をもらったが恩返ししたくてうずうずしていた。ソワソワしている彼を料理しながら眺めていたデンリュウは、いつの間にか彼が可愛く見えてきていた。
「…熱っ!」
よそ見をしていた彼女はアツアツの鍋に手が触れてしまい火傷を負った。手がジンジンと痛む。救急箱を取りに行きたいが料理が手放せなくて困っていた。そこにイベルタルはスっと静かにやけどなおしを差し出した。
「俺が手伝えるのはこれくらいだからさ、じっとしててくれ。」
治療中は両者共に無言だった。彼等は黙々と治療をしていたり受けていたりしていた。デンリュウはその静寂が続けば続くほどこの空間に自分と彼しかいないと把握してしまい、静寂に伴い段々と彼女の顔が赤くなっていった。彼女にはわかるのだが、イベルタルにはちっとも理解出来ていない様子だった。純粋無垢だ、なるほど、ゆうべに見つからなかった妥当な言葉はこれだったのだろう。
 治療が終わり、結局二人で料理を作り終えてテーブルにブリーとナナの実のシチューが置かれた。円卓で向かいあわせに床に座ったらすぐにイベルタルは食べ始めた。
「あちちっ!」
見かけによらず猫舌な彼につい微笑んでしまったデンリュウ。でもおいしいよ、と一声かけてくれたのも嬉しかったらしく顔にいっぱいの笑顔が見えた。それを見たイベルタルもまた、つられて笑顔になっていった。

それから数ヶ月が過ぎ、ふんわりとした笑顔が絶え間なく続いた生活を送っていた。
「…。」
寝ているイベルタルのお腹をじっと見つめていたデンリュウ。起こさない程度に、と恐る恐る右手をお腹に近づけた。
もふっ
「!?」
続いて左手も差し込んだ。
もふっ
「!!?」
そのままお腹を撫で回した。
ふわふわふわふわふわふわふわふわ
「…なにやってんだ?」
「えっ!ご…ごめんね…。」
そんな変なやりとりをしてても二人で笑っていた。このもふもふがやめられない止まらないしてからは癒されるために顔をスリスリしたり、もふもふに嫉妬して軽くお腹をパンチしたりとイベルタルにやりたい放題している。

 ある晴れた冬。今日は木の実狩りで山までイベルタルもついて行くことになった。狩り場所までの道のりは誰も通らない道なのであまり気にする必要は無い。さっそく冬用にいっぱい着込んで、木の実入れの籠を背負って出発した。
 予期せぬ出来事が起きた。晴れ模様の蒼空が一転、猛吹雪となり雪山に居る二人を襲う。木の実狩り所ではないが、中腹辺りまで来てしまったので引き返すにも危なくてそんなことはできない。安全な所を懸命に探していると、小さな洞穴を発見するなり迷わず入っていった。中はイベルタルとデンリュウで満員だが、吹雪には当たらないのでここでやり過ごすことにした。デンリュウは寒さで震えていた。いくら着込んで来たとはいえ、体毛のない体には直接冷気が刺さる。ガタガタと止まらない振動を見かねたイベルタルはデンリュウの体を覆ってうずくまる。黒い羽毛の中でまだ震えている彼女を包み込み、大丈夫、大丈夫と易しく声をかけて暖めていく。
 数時間後、外の猛吹雪はすっかり鎮まり、太陽が強く照りつけていた。そっとデンリュウを放して外の様子を見に行った。先程までの風の勢いはどこへ行ったのか、すっかり無風になって下山できるようになった。デンリュウは目を覚ましてイベルタルの後ろから外の景色を見ていた。
「これならすぐに帰れそうだな。」
どっさり木の実の入った籠を背負って二人は下山する。しかし途中で陽射しのせいで雪融けが起きていて歩きにくくなっていた。猛吹雪もあって雪が積もって深くなっていて、足が取られて転びそうになっていた。イベルタルは低空飛行している為になんの差し支えもないが、デンリュウはふらふらしながら必死に雪をかき分けている。見かねた彼は
「乗せてくぞ。」
デンリュウはニッコリと笑顔で
「そうさせてもらおっかな。」
と答えた。いつも通り甘えん坊な彼女は背中に乗るなり、イベルタルのふわふわな羽毛に顔をスリスリして気持ちよさそうにしていた。

 だいぶ降りたところで雪山が彼等に凶器を振りかざした。背後からドドドドド、と戦慄が走る鈍い音が勢いよく迫る。
「雪崩だ!」
轟音が鳴り響く。周りの林木が邪魔してイベルタルの大きな翼では引っかかって飛び上がることは出来ない、デンリュウは死を覚悟していた。刹那、イベルタルは彼女を下ろした。
「俺の後ろに居るんだ。雪崩くらい止めてやる。」
イベルタルは『デスウィング』を放った。どす黒い強力な放射状の光線が雪崩を押し続ける。周りの雪崩は弾いたものの、正面の勢いは止まらない。もうおしまいかと思ったが、彼は迷わず雪崩に突っ込んで迫り来る雪崩に自らの翼を広げた。l
「このくらい、受け止める!」
なんと大きな翼で覆うように雪崩を体で止めようとしている。ぶつかり始めは押されていた。しかしここで下がり続けるとデンリュウまで巻き込んでしまう。持てる全ての力で雪崩を押し上げる。
「グオオオオオオ!!」
雪崩は彼の勢いに押されて止まった。流石は伝説のポケモンだというのも束の間、彼はデンリュウの方へ倒れ込んだ。しかし強がりなのか、彼は苦しそうな表情を晒しても大丈夫だから、と言って再び翼を羽ばたかせてデンリュウを乗せて下山しようとする。
「お願い、無理はしないでよ。」
そうイベルタルに言い聞かすも帰ってくる言葉は一つ、「大丈夫」だけ。
 何とか家に帰ってきたが、イベルタルは力尽きてしまった。デンリュウは急いで処置を試みた。医者に診てもらいたい、しかしここでそれをすると帰ってイベルタルが殺されかねない。低温火傷に効くナナシの実?根本的には火傷だからチーゴの実?体力回復に欠かせないオボンの実は必要だ、ラムの実も大事だ。とにかく効きそうなものを探って当てるしかなかった。泣きながら必死に一晩中治療をしていた。ラムの実がかなり効いていることに気づいて、それ以降定期的に食べさせるようにした。しかし、低温火傷は三日から五日経って身体に現れる症状。その後酷く腫れてしまい、またすぐに治療の連続だった。治療の段階が早かった為に大きな傷にはならなかったが、二ヶ月の間は安静にせねばならなくなった。それなのに二ヶ月が短く感じた。デンリュウとたわいのない話で笑って楽しい時間を過ごしていたからだろう。

 春。彼は冬の出来事を思い出した時、ふと気になったことがあった。なぜ自分は雪崩を止めるなんて無謀なことをしたのだろうか。そこで自分が死んでしまえば全てが終わっていたのにもかかわらず、なぜ止めたのか。今頃になって不思議に思ったイベルタルはハッと自身の回想シーンの背中に居た彼女の姿が見えた。───あれはプライドなんかでも強がりでもなかったのか。彼女にはまた恩返ししなくてはならない、またそう思い始めていた。これってもしかして…。会った時と比べると、彼女が違って見え始めてきていた。考え始めると体が火照って恥ずかしくなっていく。もう考えまいと思っていても、彼女を見る度に蘇る。さてそれを何度繰り返したことか。しかも視界に入れたくなくても入ってくるのだった。
「イベルタル〜!ちょっと来て。」
このトーンで呼ばれたときは必ずイベルタルをもふもふする合図だ。甘えん坊ったらありゃしない、でも断りきれなくて結局デンリュウは黒い身体に身をうずめて、まるで彼を毛布のようにして過ごす。イベルタルを意識しているのはデンリュウ自身も既に感じていた。自分からはっきり言い出すのが辛くて気づいてもらおうとしたらいつの間にかこんなことをしていたのだが、両者揃って鈍いのでどちらも片想いだと勝手に決めつけて進んでいない。
 なんとか切り出したいイベルタルはデンリュウが買い物の間にこっそりと外に出て皆に見つからぬように彼女が好きそうなものを探した。家では相変わらず、くだらない話をして楽しく笑っていた。

 そして月日は経ち、夏。ある日の夜、突然今まで見ていた夢を見なくなった。朝起きて一番にそのことをイベルタルに伝えた。彼は寝ぼけた顔でも共に嬉しがってくれた。それと同時に彼はタンスに密かに仕舞って置いたものを彼女に差し出した。
「これ、受け取ってくれ。」
それはわたげのリボンだった。身につけると悪夢を見ないと言い伝えがある、滅多に見つからない道具だ。
「ありがとう!一生大事にするよ!」
すぐに気づいた。彼は自分にもふもふがなくて仲間外れにされた事を想ってこれを選んだことに。はしゃいだデンリュウはウキウキしながら夜の出来事はこれのおかげだったのかと有難みを感じながらスキップしていた。さっそく右耳につけた。うん、綺麗だと鏡を見て納得していたデンリュウだが、そこに付いていた謎の宝玉に気がついた。
「こんな綺麗な石、どうしたの。」
「実は一緒に見つかって、綺麗だから付けてみたんだが…気に入らなかったか?」
デンリュウはそんなことないよと一生懸命に首を横に振った。
今日もこっそり木の実集めに行こうと準備をして家を出た。家を出てもまだ洞窟内だが、そこからいつもよりも光が入ってこない。でもそんなことはどうでもいい、二人は仲良く洞窟を抜けた。そこは、絶望の闇だった。

 ブースター始め昔に見た仲間が偶然目の前に姿を現す。デンリュウはブースターたちを見て唖然としていたが、ブースターたちにとってはデンリュウなどどうでもよくて、イベルタルに目を向けるばかりであった。
「イ…イ…イベルタルだあああああ!」
助けを呼ぶような声で叫ぶと、あっという間に警察が押し寄せて洞窟を囲む。もう逃げることの出来ないこの状況で更にデンリュウが疑われている。イベルタルは決心をした。彼女はそちら側の者でいるべきだと、あの雪山で見せた良心が働いて。デンリュウの背中をボンッと突き押した。そして
「人質取ろうとしたけど、これじゃあ無理だよ。お前はさっさと帰りな。」
そんな訳分からぬ嘘でデンリュウの誤解を解いて逃がした…つもりだった。突き押したはずの背中は全く前に進まなかった。それどころか警察に向かって怒声を上げた。
「イベルタルを殺そうとする奴らは私は許さない!」
「君、そこを退きなさい!」
「いやだ!イベルタルは良い奴なんだよ!」
忠告を無視してまで抵抗するデンリュウ。イベルタルは止めたかった。これ以上彼女に喋らせたら彼女の命も狙われる。それでも彼女の怒鳴り声が響き続けていて、
「みんな、なんにも知らない!なんで伝説だけで消し飛ばさなきゃいけないのさ!」
必死に怒鳴る。しかし、多数の者に彼女の話は通じなかった。むしろ敵だと思われてしまったのだった。
「仕方ない。君に罪はないが、無理にでも通させてもらう。行け!」
聞く耳を持たない奴らだ、もう戦うしかない。身構えた彼をデンリュウは黙って止めた。
「止めないでくれ、お前を助けるから。」
聞いたデンリュウはううんと首を横に振って否定した。
「イベルタル、今度はあたしが助ける番なの。お願い、彼らに手を出したら疑いなんて晴れないよ。あたしが…絶対守ってあげるからッ!!」
そのとき、眩い光がデンリュウの石から放たれた。その石は紛れもない、デンリュウナイトだった。
「なんだ!何が起きたんだ!」
デンリュウはこの感覚に懐かしい覚えがあった。そうだ、あの忌まわしき進化だ。今度はどこまで卑屈な姿になるのか。いや、そんなことはどうでもいい、ただ彼を、愛する彼を守り抜けるなら力と代償にどんな姿になってもいい。
「進化して…もふもふが戻った…!」
メガデンリュウ…純白の美しい体毛が時を経て復活していたのだった。
「怯むな!進めええええ!」
 攻撃はしない。だが必死に多数の警察を退かせる。前とは比にならないくらいの耐久力が備わって鉄壁のごとく彼を傷つけさせない。だが、同時に任せっきりのイベルタルは精神的に参っていた。彼女が一人で自分のために戦って、自分自身は何も出来ない。苦しみながら彼女を見ていることしか出来なかった。
「そこをどけ!」
「嫌だ!嫌だあああっ!」
ブースターたちは、それを見て心が痛んでいた。
「どうしてイベルタルをそこまで守ってるの…。」
ブースターは遂にその答えまで辿り着いた。イベルタルは良い奴、彼女がそう言っていたのは本当のことだった。ブースターはその答えを出したあと、考えなくとも簡単な話だったと思った。大人達の作った勝手なイメージを叩き込まれていただけだったと気づいたら悔しさで涙が溢れかえった。周りの友達も既にその痛みを感じていて、目の雨を降らせた彼女を見て覚悟を決めた。

 デンリュウはもうボロボロで、膝を着いてしまっていた。意識ももうろうとしていた。それでも彼女は自分より後ろに行く者を許さなかった。とうとうカッとなった警官がデンリュウに攻撃をした。攻撃は彼女の心臓を貫通した。遂にデンリュウは身体ごと倒れてしまった。一匹の警官がデンリュウの横を通った。その警官の足をデンリュウは力を振り絞って離さない。そこに何度も攻撃を容赦なく畳み掛ける。イベルタルはもうどうしようもできなかった。助けたい、けれど体に力が入らない。メガシンカも解けて、それでも執念一本で掴み続けるデンリュウに一撃が飛ぼうとした。
「もうやめてッ!!」
その警官を突き飛ばして止めに入ったのはブースターと彼女の仲間だった。
「もう一回だけ彼女の言葉を繰り返します。よく聞いてください。イベルタルは良い奴です。わたし達はイベルタルのなにを知っているんですか?」
警官共は少しざわざわとしていたが、彼らの意見などはなから聞く気もないブースターは話し続けた。
「彼が『死を象徴する生き物』だって証拠はどこにあるんですか?…私たちはデンリュウを信じます。」
エルフーンはデンリュウを持ち上げてイベルタルに渡した。
「イベルタルさん、ごめんなさい。今のうちに。」
「お前らはなぜ俺を逃がすんだ。」
答えはただ一つ、エルフーンは迷いのない顔で言い放った。
「簡単だよ。私自身が信じたからだよ。」
そう言って彼女はまた警官に向かって叫び続ける。
「そうだよ、私たちの信じているもの、本当にその全てが自分が納得して真実だと思っているんですか!」
警官共は凍りついていた。自分に問い直したもの達全員の答えはNOだった。
「私たちは、自分自身が問い質すことであるまじきものに気づかなければならない。そうじゃないんですか!」
その間にイベルタルは洞窟を抜けて空へとデンリュウを運んだ。最後に聞いた言葉はイベルタルをも大きく動かしたのだった。

 流血しているデンリュウを優しく運んで、病院へと向かう。そこは自分を受け入れないだろうが、彼女が無事ならそれでいいと思って空を飛ぶ。
「お前らの昔の友達は、ある意味被害者だったのかもしれないな。」
「私は…ブースターちゃんたちを許してるよ…。」
彼はどんなに瀕死でもやっぱり彼女のポリシーは健在だったことに安心感を覚えた。しかし突如デンリュウは赤いモノを吐き出した。それは死へのカウントダウンを告げる鐘だった。イベルタルは迷わなかった。例えこの先に自分の命を狙うものがあっても、彼女を救えるならばそこで死んでも構わない。病院へかつてない速度で空を切り裂いて飛ぶ。
「イベルタルだ!」
「行け!殺せ!」
追っ手は追いかけて追いかけて追いかけた、だが、誰一人として攻撃を当てるどころか追いつける者はいなかった。

 辿り着いた病院に急いで駆け込んだ。イベルタルをひとたび見ると病院中は慌てふためく。それでも彼女の為にイベルタルは諦めずに呼びかけた。
「いいから早くコイツを治療してくれ!命を救うのがお前らの仕事だろ!」
誰も寄ってこないし、むしろ遠ざかっていく中、奥の部屋から駆け足で近づいてくるポケモンがいた。
「みんな落ち着け。患者が来たんだぞ!」
騒ぎを一瞬にして止めたのは院長のオオタチだった。彼はデンリュウを見てすぐに
「コイツは酷い。緊急手術だ!」
「ですが…」
「早くしなさい!全力で助けますよ!」
イベルタルは自分より遥かに小さい院長の背中が逆に自分より大きく見えた。
 手術を受けることになったデンリュウ。もう脈拍が無くなっていたものの、院長は最善策をチームと必死に繰り返した。しかし徐々に脈拍が低下していき、彼らももう全ての手段を施していた。その刹那、無理矢理手術室に入って来たイベルタルがデンリュウの手を握った。
「君、勝手に入って来たら…」
「お願いだ…目を覚ましてくれ!」
次の瞬間、脈拍数が急激に戻って、彼女が彼に応えるように目を覚ました。
「イベルタルの手…ふわふわで…あったかい…。」
「患者が、息を吹き返しました!直ちに…」
───それはたった一瞬の奇跡だった。モニタには動かない脈拍グラフ、鳴り止まない一音、もう息はしていなかった。最期の最期に、彼女は彼の腕を僅かな力で握ってくれた。

 彼女は死んだ、なのにどうしてだろう。最期ににぎってくれた手の力強さ、それは彼に今でも希望の光を与えてくれている。泣きたくても、まるで彼女が涙を拭いてくれているように涙を見せていない。彼女が最期までやりきったという想いは強かった、だから彼は今も前を向いている。
改めて失敗を告げに来た院長にイベルタルはどうして俺を恐れなかったのかと聞いたら、はっはっはと笑って
「ボクはウワサなんて信じない現実主義者なんだよ。つまらない人生だが、それゆえに医者が務まるからね。」
イベルタルの閉じた心の隙間から陽射しが射し込んだ。命を救えなかった者を目の前にしてなお能天気な態度を見せられているのに、普通は憎しみが溢れるはずなのに。
「ボクは君の知る苦悩よりは遥かに劣っているかもしれないけどね、実はボクも昔には虐められっ子だったんだ。親さえも助けてくれなくてさ、でもそこに通りかかったある農家がボクを助けてくれたんだよ。びっくりでしょ?だって見ず知らずの農家のおじさんだよ。」
農家のおじさん…誰かは知らないがイベルタルは彼の話は他人事じゃない気がした。
「でも、そのまま匿ってくれた農家のおじさんが原因不明の病で倒れた。たくさん笑顔を与えてくれた彼に出来ることは、またすぐに笑ってくれるように病を治すことだった。」
俺だ、まさに俺だ。同じ境遇の者を目の前にして、目頭から熱いものが流れた。
「おじさんは笑顔のまま死んじゃったよ。けどね、死に際に言ったんだよ。『今度は俺だけじゃなく、みんなに笑顔を与えてくれ』だって。くさい話だよ、でもそれこそがおじさんの願いだしボクの歩むべき未来だった。」
「お前と早く会いたかった。」その言葉だけが彼の唯一苦しみを忘れた今、自然に放った一言だった。院長は目をつむり、心底から頭をゆっくり縦に振って、「ボクもだ。」そう答えた。
「彼女を救えたらもっと良かったんだけど。」
イベルタルは首を横に振ってから
「至力を尽くしてくれただけで嬉しい。デンリュウは…俺に預けてくれ。どうしてもあの場所がいいんだ。」
院長も了解してそれがいいと言った後、イベルタルの背中をトンと押して
「いいかい、大切なのは信じてくれる友達だ。君なら絶対につくれるし、助けてあげられるから。デンリュウさんにしてあげたように、ね。」
イベルタルはコクリと静かに頷いてデンリュウを再び抱えてまたあの洞窟へと戻って行った。イベルタルが病院に背を向けたとき、院長はしっかりと彼の笑顔を確認した。それは一点の曇りもないおじさんの見せたそれだった。見送りを終えた院長はまた自室へ戻っていった。ある患者さんはたしかに院長がこぼした涙と言葉を聞いていた。
「ボクもまだまだだな…おじさんの残した子も救えないのに恩返しだなんて…な。」
 この騒動からイベルタルにつけられた空言は、彼女の命と共に消えていったのだった。

 デンリュウを抱えたまま、彼はその洞窟の奥へと足を運んだ。数日ぶりにその凍てつく温度を受けて、いろいろと浸みるものがあった。行き止まりには沢山の花が供えられていた。だが花を置いていった彼らは知らない、隠し通路があってその奥にデンリュウの家があること。彼らは何にも知らない、そう…なんにも…。
「何年ぶりでしょうか、イベルタル。」
デンリュウの家には先客がいた。イベルタルの名を呼んだ彼女は表情を変えずに
「イベルタル。貴方に何があったのか、今、貴方自身の心が変わっている。貴方は元々『死』を象った者として貴方はポケモンたちからは『排除せねばならない存在』となり始めた。そのことに貴方は何の感情も抱いていなかったというのに。」
「ゼルネアス、おさらいするところじゃあないぜ、ここは。」
イベルタルはゼルネアスの話を聞きながらもう息の無いデンリュウをベッドに横にさせた。鎮まりかえったデンリュウの家で彼は愚痴をこぼした。
「…理不尽なんだよ。勝手な解釈とか偏屈とかで全部が決まる世界、多数決で決まったものが全ての世界、信じたものだけが真実になるなんて、理不尽だ!」
思いのままの言葉を全て吐き出したあと彼は口を閉じた。ゼルネアスは、何かそれを聞いて頷いていた。そして暫くしてから、泣き崩れたイベルタルの眼前に立って
「しかし、彼女は貴方を信じた。彼女には貴方が真実を語っていると感じたのでしょう。ですが、多数の者に少数の者が喰われてしまう。本来有るべき姿は、『多数の者が少数の者に歩み寄る』べきのはず。この世界は、どこか遠くの世界の別の生き物達と同じだったのかも。」
ゼルネアスはふう、と一息ついてから
「ですが不幸中の幸い、貴方達のおかげでこの世界が動き始めている。自分は何を信じて何を疑うのか、皆さんは考え直しているようです。貴方と私の使命、それは単に生死の残酷さを教えるだけではないのかもしれません。」
 またすぐに話が途絶えて静けさが彼らを覆った。ところで、とゼルネアスが話を進める。
「彼女…デンリュウと言いましたね。貴方は彼女の何に惹かれたのです?」
「何に惹かれたかって?んなの…。」
彼は黙り込んだ。分からないわけじゃない、はっきり覚えている。彼女の背中の大きさだ。それはあまりにも鮮明で、恐怖が蘇るほどだった。そのとき初めて感じた。なるほど、俺はデンリュウに甘えていたのか、自分自身が生み出した恐怖から目を反らしていたのか。
「俺は、これからどうすればいいんだろうか。なあデンリュウ、お前は俺といたことが間違いだったのか。」
ずっと遠くにいる彼女に聞きながら黒い翼を涙が撫でるように伝って、端から雫がポツリ、ポツリとリズムを刻む。その悲哀のリズムは葛藤すればするほど速くなっていった。が、彼の葛藤した先に、彼自身のコトバがあった。
「違う…間違いなわけがあるか!俺もお前も、どんなことがあっても笑っていた!」
そのコトバは刻んだリズムを止めた。
「初めて気づいたんだ、生きることの価値ってのを。俺はアイツといっぱい笑った。だから俺は楽しくて、生きていかなくては…そう思ったんだ。」
ゼルネアスはまたコクコクとしっかりと噛み締めるように頷いていた。そして彼女は眠りについたデンリュウを抱えた。
「まさか…ゼルネアス、お前…!」
「貴方が『死』を司るように、私も『生』を司る。干渉すれば私を狙う者が再び現れるので、普通は誰かの命を蘇らせたりはしない。生き物は、生きては死んでを繰り返す。切ないように見えて、その間に何が出来るかを楽しむのが、生きている証なのかもしれない。」
生きている証…そう聞いたとき、彼にもコトバがあった。
「ゼルネアス、そういうことだけじゃないかもしれない。心から笑える。それだけでも生きている証になるんじゃないかな。」
デンリュウの周りに波紋ができる。それは次第に大きくなっている。光が眩しい、デンリュウの体の傷がゆっくりひいている。
「イベルタル…貴方はいい仲間ができたのですね。」
彼は静かに首を一回だけ縦に振った。このとき、コトバにはできなかったが、気づいていた。デンリュウは彼にとって仲間以上、友達以上のなにかであったこと、そして憶測だがデンリュウもそう思っていたのだろうと。もう再び会う決心はついた。

───彼女はゆっくり、また息をした。

 一月一日。またデンリュウの家で寒さしのぎに焚き火に毛布、熱いお茶。身を寄せ合って火に当たる。そのときの距離は昨年よりもずっとずっと近かった。
「デンリュウ。ちょっと近い…。」
「寒いんだもん!」
変わっていない。ちょっぴりわがままで甘えん坊。そんな彼女に、あの時決心したコトバを放つ。
「デンリュウ!」
「なあに?」
でも結局恥ずかしくて、首裏をしきりに掻いたり、眼がウロウロしたりして肝心のコトバが発せない。のぼせたような熱い気持ちが張り上げる。用意してたコトバさえ忘れて大ピンチ。眼は漫画のような渦巻きが出来上がっている感じ。さすがに変な様子に気づいたデンリュウは、何も言わず急いでイベルタルをベッドに倒した。そのとき、勢いで彼女もベッドに倒れてしまった。
「あ…えっと…ごめんね。今避けるから。」
彼は巡り巡ってきたチャンスを逃さなかった。デンリュウを流れで自分のふわふわの羽毛に抱き寄せた。
「どどどどうしたの…!」
デンリュウの動揺を気にも留めず、ついに温まっていたその矢を放った。
「デンリュウ…好きだ。」
全てを察知して黄色い体が真っ赤っかになって火照った。そして赤から色が戻ったとき、彼女は彼の一番好きな笑顔でイベルタルを抱き返してやった。それからすぐに
「…わたしもっ。」
「ヒュー!新年早々お熱いね!」
茶化しに来たブースターとエルフーンにあたふたし始めたデンリュウだったが、
みんな待ってるよ、とわざわざ家まで呼びに来てくれた友達を見つけて、「またもふもふし合うのかな」とウキウキワクワク、スキップしながら家を出た。
「まだ覚えているよ。ブースターちゃんはふさふさで〜、エルフーンちゃんはもっこもこ!」
そう詠ってまた友達同士で手と手を繋ぐ。デンリュウは何かが足りない、そう思ってすぐにまた家に戻ってはゴロゴロとベッドで寝ているイベルタルの脚をグイグイ引っ張って外套部屋に連れていった。
「なんで俺まで行かないとダメなんだ…。」
「イベルタルのもふもふが一番なんだってみんなに知らしめてやるの!ほらほら早く着込んで!」
「ええ…。」
「レッツゴー!」
初めはイベルタルを無理矢理引っ張って連れて行くデンリュウだったが、段々とイベルタルが追いついていつの間にか一緒に手を繋いで共に笑顔で歩いていた。
 二人の冬はもう、寒くなんてないのだろう。
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感想

お名前:しろあんさん
読了しました!グッとくるお話でした……!
お互いに周りから忌避されてきたからこそ、互いを想い合うデンリュウとイベルタルの姿が素敵でした。そうですよね……デンリュウは進化前と違ってもふもふがありませんからね……もふもふじゃないという理由で仲間外れにされたのは悲しいなぁと思いました。でも最終的にまた皆と仲良くなって良かった……!
「わたげのリボン」ってそんな道具あったけとおもって調べてみたら、ポケダンでのメリープ系統の専用道具だったのですね。これも上手い使い方をされていて良いなぁと思いました。ちゃっかりイベルタルもデンリュウの額を意識しているのか、宝玉を身に付けてる所が凄い推せる!((

あとスキンシップシーンが良かったです……もふもふ好きのツボを突いてくるところは流石の一言です。イベルタルのもふもふ!気持ち良さそう!
うまくまとめられなくて申し訳ないのですが、もふもふを抜きにしても楽しめる素晴らしいけもふぃ~作品でした!ありがとうございます!
書いた日:2019年04月21日