おかえりなさい。

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読了時間目安:11分

この作品は小説ポケモン図鑑企画の投稿作品です。

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

初めてのポケモン小説図鑑。あまり図鑑らしくありませんがよろしくお願いします。




あなたはもしも自分の大好きなポケモンが倒れ、そして昏睡状態に陥ってしまったら、どうしますか。

これは大好きで初めて手に入れた相棒(パートナー)が倒れてしまった1人のお話。






















「はぁ、はぁ、はぁ、っ!」
私は一人、雨の降る暗い夜道を走っていた。オレンジ色でふさふさとした毛を持つ赤ちゃん位のポケモンを抱えながら。
「今、助けて、あげる、よ!だから、ちょっと、我慢、してて。」
私が抱えているポケモンの息は浅く、体は傷でボロボロ。ポケモンの体温もとても低かった。ポケモンは炎タイプ。炎タイプには考えられない冷たさ。きっと氷タイプのポケモンより冷たい。
それでもポケモンは生きていた。まるで私のためのように。




「すみません!このコを助けて下さい!」
ポケモンセンターに着いた私はすぐに桃色の髪をした女性・・・ジョーイさんに助けを求めた。
ジョーイさんは目を一瞬だけ見開いてすぐにベットを用意した。
「お預かりしますね。あなたも傷だらけではありませんか!今、治療をします。私たちについてきて下さい。プクリン、このポケモンを連れて行って。」
桃色のポケモン、プクリンは私のポケモンが乗っているベットを集中治療室に連れて行った。
「このコ、どうしたんですか?」
「あの・・・。」
すべてこうなってしまったのは私のせいだ。

私の夢はこの地方のチャンピオンになることで、私は、今日旅に出たばかりの新人トレーナーだった。私とあのコは今日出会って、お互いに一目惚れだった。ちなみにこのコはメスでメスのこのポケモンは珍しい、と博士は言っていた。
意気揚々と街中を探索していたとき、事件は起きた。
なんと3人の不良トレーナーにバトルを仕掛けられたのだ。
「よー。ねーちゃん。」
「なんだ、冒険かぁ?」
「何なら俺たちとバトルしようぜ!」
「まぁ、もちろん嫌だとは言わせねえけどな。ぎゃははははは。」
「で、どうすんだよ。バトル、すんのか?!」
3人の迫力に負けてしまい、私は
「いいですよ。」
と答えてしまった。これが地獄の始まりだった。
「出てこい!ミロカロス!」
「出てこい!ガブリアス!」
「出てこい!ドレディア!」
どのポケモンも旅に出たばかりの私には倒せる相手ではなかった。
私は唯一のあのコをバトルに繰り出した。
「ミロカロス!ハイドロポンプ!」
「ガブリアス!地震!」
「ドレディア!リーフブレード!」
あのコは瞬殺だった。
悔しいとか考えている暇はなかった。すぐにあのコをボールに戻そうとしたとき、相手の不良トレーナーの1人にボールを取られた。
「おっと。これだけで済むとは思うなよ。」
「か、返して!」
「お前、俺にそんな口きいていいのかと思ってんのか!」
殴られる!そう思ったとき、あのコは自らボールの中から出てきて相手のトレーナーにひのこを浴びせた。私の事を助けてくれた。瀕死状態にも関わらず。
「あちち、なにすんだよ!」
相手はあのコを殴った。
「やめて!」
私の声なんか届かず、3人であのコを殴っていた。
気が済んだのかふっと殴るのをやめ、私の方に来た。手にはスタンガンがあった。
そして私は首元になにかビリビリと来た後、気を失った。



「あら、そんな事が。」
私の話を真剣に聞きながら私の手当てをしてくれていたジョーイさんは同情してくれた。
「それで。どうしたの?」
「はい。あの後・・・。」


ふと目が覚めたら誰もいなかった。あのコは近くで倒れていた。
「あ、あ、あぁぁ!」
自分の財布も無くなっていて、自分もあのコもボロボロ。本当に泣きたくなった。でも、
「助けないと。私を守ってくれたこのコを!」
私はこの思いで自分を奮い立たせて、頑張って起き上がった。そして私は痛みと戦いながらも走り、今に至る。


「大変だったわね。」
「そうなんです。だからもう悔しくて、悔しくて。」
思わず涙がこぼれる。
「ひっく、ひっく。だって、自分、は、何も出来なかった。なのに、あのコだけ、傷ついて。」
「・・・。いいわよ。ここでは泣いても。」
私はお言葉に甘えて泣いた。私が泣いているとき、ジョーイさんは背中をさすってくれていた。

私が落ち着いて、話せるようになった時、ジョーイさんは言った。
「あなたのポケモンさんの治療が終わったみたいよ。行きましょう。」
ジョーイさんは私を集中治療室に連れて行ってくれた。
「君はこのコのトレーナーかな?」
「はい。」
集中治療室に入ったとたん、白衣を着た男性、おそらくお医者さんがいた。
「君の名前、何?」
「ミルクです。」
「ミルクちゃんね。あのね。このコ、命は取り留めたんだけど、昏睡状態に陥ってて。色々やったんだけどね。だめだったよ~。」
「え、じゃあ、」
「うん。眠ったまま。」
「そんな!」
お医者さんは『ちょっとコンビニ行ってくる~』みたいな軽いノリで今の現状を伝えた。
「でもさ、僕、このコ生き返らせたんだよ。感謝してよね。」
お医者さんはドヤ顔で言った。
「先生、それは言い過ぎで・・・」
「なに、君、黙ってくれる?」
ジョーイさんが止めるがお医者さんはやめない。
「ま、僕は色々やったから。だって、このコ死んでたんだよ。それを僕は生き返らせたわけ。昏睡状態で当たり前なわけ。」
「先生!」
「ジョーイは黙って僕の言う事聞いてりゃいいの。」
「そんな。」
プツン
自分の中で何かが切れる音がした。
「なんで!なんで助けてくれないんですか!私、このコと今日始めた会ったばかりなんですよ!それに、その態度、ジョーイさん失礼です!」
私はつい叫んでしまう。
「ふん。そんなの知らないし。それにさ、ここ病院、集中治療室。分かんないかな。静かにしようね。」
少し馬鹿にしたように言ってくる。
「うるさい!なにもできなかったくせに!」
「黙ってくれないかな。警察呼ぶよ?」
「お前が黙れ!このやぶ医者め!!!」
無我夢中で叫んでいた。
「何だとこら!」
私を殴ろうとする。
「先生!駄目ですよ!」
「うるさい!貴様ぁぁぁ!・・・っ!」
お医者さんは私を殴ろうとしたその時、ふと手を止めた。お医者さんの顔は青ざめていた。恐る恐る振り返ってみれば沢山のジョーイさんがこちらを見ていた。
「せ、先生・・・?」























~10年後~

ガラガラガラッ

「あの日から今日で10年か。」
私はあのコが眠っている病室に入る。
あの日、私たちの運命の日から10年も経っている。でもまだこのコは目を覚まさない。
「10年ねぇ。私も大人になったなぁ。」
あの日、私は11歳だったけど、気が付けば21歳になっている。


10年前のあのお医者さんとの言い争いの後、ポケモンセンターは大パニック。私は事情を聴かれ、お医者さんはポケモンセンターをクビ。私もここのポケモンセンターを追い出されそうになったけど、一緒にいたジョーイさんの弁護でなんとか残ることが出来た。

「今日は来たよ。」
私はあのコに話しかける。もちろん無反応。ただ静かに胸を上下に動かして呼吸している。
「・・・。はあ。」

ガラガラガラッ

「さて、点滴の交換です・・・あら。実瑠紅(ミルク)ちゃん!」
「お久しぶりです。ジョーイさん。」
10年前、私の手当てをして下さり、そして私の弁護もしてくれたジョーイさん
「ジョーイさん、今日で10年ですよ。早いですね。」
「あら。もう今日で10年なの?!早かったわね。私もあの頃は20代だったのに気が付けばアラサー。実瑠紅(ミルク)ちゃんも20代。もう。年を取るのは嫌だわ。」
笑いながらジョーイさんは話す。
気が付けばこの人との付き合いも10年。毎日このポケモンセンターに通っているけどもちろんこのコは目を覚ましていない。
「さてと。点滴の交換終わったよ。何かあったら呼んでね。あ、そうだ。今度ご飯食べに行こうね。最近の出来事、教えてよ!」
「ありがとうございます!」
「いいのよ。それじゃあ。」

ガラガラガラッ トン

「久しぶりだね。」
誰もいないことを確認して話し始める。
あのコは反応しないと分かっていても私は話を続ける。
「この10年間、私はとっても成長したの。体も、精神も、トレーナーとしても。でも、まだ私の心に穴は開いたまんま。・・・。いい加減目を覚ましてよ。」
「・・・・・」
「・・・。そうだよね。話せなもんね。・・・。そうだ。私ね、チャンピオンになったんだよ!この地方じゃないけど。アローラ地方ってところの初代チャンピオン。なんかかっこいいでしょ。・・・まあチャンピオンになったのは8年前だけど。でも今でもチャンピオンの座は防衛してるの。この地方ではチャンピオンに敗れて夢は叶わなかったけど、ほかの地方でチャンピオンになれたんだ。だからあなたにも見てほしいな。アローラの光景。きれいなんだよ。」
「・・・・・・・・」
10年経ってもまだ涙が溢れてくる。
「ねえ。10年も、経ったんだよ!ちょっとは良くなってよ。そんなにすぐに戦えるようにならなくてもいい。目を覚ましてくれるだけでいいんだよ!お願い。」
ポタッ
このコの上に涙が落ちる。

ポタッポタッポタッ

「ねえ。お願いだよ!」




















するとこのコはゆっくりゆっくり瞼を動かした。
そしてゆっくりと目を開いていく。このコ的には眩しかったのか一瞬目を閉じるけどゆっくり開いていく。
そして完全に開いて私の事を見たとき、このコは涙が溢れていた。
「なんであなたが泣くのよ。私だって泣きたいわよ。もう。」
私も泣きながら笑う。
「チャモ・・・。」
「久しぶりだね。君の声を聞くのは10年ぶりかな。」
弱々しく、か細く、とても小さな声。でも私にはしっかり、はっきりと聞こえた。
「お帰り。」
「チャモ・・・」
私はそっと抱きかかえる。高さにびっくりしたこのコはじたばたと暴れだす。
「もう。暴れちゃだめだよ。」
「チャモ!チャモ!」
ギュッと抱きしめる。
「お帰りなさい。






























アチャモ!!!!」

私の大好きなポケモン、アチャモでした!
私もアチャモに一目惚れしまして。人生で最初に手に入れたポケモンがこのコです。

読んでいただき、ありがとうございました!

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