螺旋の時間

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作者:早蕨
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本文冒頭

 檻の中から見える、空に浮かぶ月が憎たらしい。
 唯一外の見える真四角に切り取られた鉄柵付きの窓の縁に両手をかけ、月を見つめた。だんだんと手が自重を支えられなくなり、ボクはポトりと床に落ちる、落ちると床が冷たい。ヒンヤリなんて、生易しくない。ぶるりと一つ体を震わせ、もう一度月を仰ぎ見る。途端に、憎たらしく見えた月が恋しくなった。また天上近くにある窓に飛びつこうと思ったが、諦めた。いくら見つめても、近くにいっても、月は僕たちを照らしてはくれない。照らしてくれるのは、薄暗い檻の中の小さなランプの明りだけ。ボクの命のように、小さく揺らめいている。
「飽きないな」
 通路を一つ隔てた、反対側の檻......

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