残香

作者:雪椿

あらすじ

今年のクリスマスはとびきり甘いものになる。あの頃のわたしは、そう信じて疑わなかった。

本文冒頭

 青々としていた山も今ではすっかり赤や黄色に染まり、秋らしい景色になってきた。そこで観光がてらやってきたのは、紅葉が綺麗なエンジュシティ。紅色の絨毯が敷き詰められた小道を歩きながら、わたしはもうすぐやってくるクリスマスに思いを馳せる。
 クリスマス。それは恋人と過ごす特別な日だ。とはいってもそういう認識があるのはジョウトや周辺の地方だけで、他の地方では家族が集まって過ごす日という認識らしい。わたしがそれを知ったのは今の彼ができてからで、それまではずっと平日扱いしていた。
「せっかくのクリスマスなのに、今まで誰とも一緒に過ごさなかったの?」
 疑問符たっ

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