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あらすじ
《「うらみこえみらい」 その6》あの人を望んだ。
あの子を呪った。
明日(あす)も、見えずに。
これはもう一つの「みらい」の物語。
シリーズ
この作品はシリーズ「うらみこえみらい」に所属しています。
本文冒頭
あの人の低いけれど張りのある声。何もかもを知っているようで急に幼さを見せる表情。ふと虚空を見上げ考えるしぐさ――すべてを愛していた。あの人のすべてこそが、私のすべてだった。
だから、分からなかった。あの人が私の前から消えて、あとに残ったものと一体どう向き合えばよいのか。
私には、未来が少しも分からなかった。
*
黙々と。料理を並べたダイニングテーブルの上に会話は咲かない。と言っても私ひとりの夕食ではなく、はす向かいに座り淡々と箸を口に運んでいるのは、今年高校二年生になった娘。
何があったのか、と。知らない誰かがこの光景を目にしたらそう思うだろう。でもこれは私達......
だから、分からなかった。あの人が私の前から消えて、あとに残ったものと一体どう向き合えばよいのか。
私には、未来が少しも分からなかった。
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黙々と。料理を並べたダイニングテーブルの上に会話は咲かない。と言っても私ひとりの夕食ではなく、はす向かいに座り淡々と箸を口に運んでいるのは、今年高校二年生になった娘。
何があったのか、と。知らない誰かがこの光景を目にしたらそう思うだろう。でもこれは私達......