君に捧ぐ戦い

作者:円山翔

本文冒頭

 線香の匂いが立ち込めている。
 じりじりと線香が燃える速度は、早いようにも遅いようにも見える。燃え尽きるまでに終えなければならない。誰が決めたわけでもないが、それはふたりの間で暗黙の了解だった。
 これは、試合ではない。喧嘩だ。年に一度、ふたりが亡きパートナーに捧げる大喧嘩だ。
 狐の九つの尾に青白い炎が宿る。放たれた鬼火は我先にと竜を襲うが、竜はそれらをかいくぐって狐に迫った。竜の爪攻撃を、狐は前足でいなす。そして火炎放射。大したダメージにはならないが、竜は火傷を治すためにリフレッシュを使う。すなわち、攻撃が止まるということ。狐の瞳が輝き、怪しい光

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