本文冒頭
ボ~ッ、ボ~ッ──
船の汽笛は高らかに鳴り響く。
ここは、豪華客船サントアンヌ号。
そして……私は、この船に乗船しているしがない老婆。
《まもなく、当船は カントー地方 クチバ港 へと到着致します……》
クチバ港……あの日を、思い出す。
あれは、そう……50年も昔の出来事だった。
私の脳裏に焼き付いた、とある、懐かしき想い出──
………
……
…
──50年前
私の職業は、貿易商。
商品の輸出入を展開するのが仕事でした。
その一環として、豪華客船サントアンヌ号で世界各地を巡っていたのです。
贅沢だとお思い......
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