本文冒頭
一人のツタージャが、凄く不機嫌そうな顔をしながら鳥居前へと歩いてくる。彼女が来ている着物の裾は、秋風によってヒラヒラと靡いている。
(はぁ……何でこんな寒い中、外で朝礼なのよ……。)
彼女は名をツツジといい、晴雪堂(せいせつどう)に勤める祈祷師の一人だ。晴雪堂が位置するのは、瑞雪町(ずいせつちょう)という町で、夜桜堂がある地域より一つ程季節が遅れている。
今は二月。真冬日の気候で寒いのが当たり前だが、ここは季節が遅れているため、今は秋。空には雲一つなく、秋晴れの清々しい朝……と言いたかったが、やはり秋といっても十一月中旬
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