まちばりのワルツ

&nsbp;
作者:セイ
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます

本文冒頭

 まちばりのワルツ(26,900字)   




 ぽきり。
 また折れた。今日で何回目だ。
 デニム生地を裏返し、さっと玉止め。曲がった縫い針の先端が左の手のひらにちくりと刺さる。ポケモンの出す“ミサイルばり”というワザは、こんなに脆かっただろうか。
「ワルツ、どうしたんだい」
 針穴越しに見た横顔からは何の色も読み取れない。夕食のカリーヴルストをしゃにむにむしゃむしゃ。油を引きすぎたのか、咀嚼するたびにギザギザの口元からどろりとした液体が滴る。首の周りの葉っぱが枯葉色に汚れているのに、そんなことは意にも介さないといったふうに耳の花を閉ざして、壁に掛かったショパンの肖像画......

全文はこちらから