本文冒頭
シュウイチは今年一番ともいえる猛暑日の、それも一番気温の高いお昼に、神戸駅の改札口に立っていた。
日射しを避けるためのスポーツキャップを被り、通気性のよい綿素材のカッターシャツを羽織り、手にはスマートフォン。
袖から顔を覗かせている腕は、細いながらもほどよく筋肉がついていたが、日焼けとは無縁の白い肌をしており、この猛暑で既にじんわりと汗が滲み出ていた。
「あっつ…」
掌を団扇のようにぱたぱたさせながら、出口を探す。
この駅は私鉄と連絡しているし、近くには観光地もオフィスビルもあるし、
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