本文冒頭
「一応これも仕事じゃからのう、いやはやうら若き男子の身体をまさぐるというのは気が進まぬが……じゅるり」
勝利を確信したリムの手が、ムメイに伸びる。その瞬間、ムメイの中で何かが壊れた。
それが何だったのかは分からなかった。分かるのは、それまで必死に守ってきた何か、ということだけ。そこからとめどなく溢れ出す激情。それは大津波の如くムメイの意識を飲み込み、心を怒りで真っ赤に染めた。
落ち着いている時ならば、自制心が働いたのだろう。怒りは破壊を呼び、後には悲しみと虚しさしか残らない。カオルには散々教え込ま
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