君に至る海

作者:紫雲

あらすじ

私は、君を待っている。今日が、約束の日だった。
【覆面作家企画3投稿作品】

本文冒頭







 私は、君を待っている。

 今日が、約束の日だった。
 
 大海を抱く水平線上に浮かぶのは、雲間に形を崩された夕日。白波を起こす海原に走るのは、波間にのまれた一筋の光。
 
 斜陽を嫌った私の影は、背後から迷いなく伸び出でて、意思を持って逃げるように砂浜を貫いた。西日を浴びて翠に染まる、東の山肌の頂にまで、私の淡くて黒い姿が届きそうになるほどに。
 
 光り輝く砂浜に流れ着いた、大きな一

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