ココロノート

作者:円山翔

本文冒頭

 最初に言っておこうと思う。僕は声を出すことができない。
 何が原因か全くわかっていないのだけれど、生まれつき泣くときも笑う時にも声を全く出さなかったというのだ。中学生になった今でも、思ったことを声に出すことはできない。そのせいかどうかは知らないけれど、僕は実の親の顔を知らない。物心ついた頃から、孤児院で養ってもらっていた。
 そんなわけで、僕のコミュニケーションは手話を使うか、小さいノートに言いたいことを書いて相手に見せるしかない。手話を理解してくれる人が僕の周りにはいないから、僕は普段はノートに字を書いて見せている。当然、書く間のタイムラグがあるから時々タイミン

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