38話 不意の先手

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

本編の下書きがようやく終わったので投稿再開します!国家試験後でただでさえ多いミスがさらに増えていると思いますがご意見、ご感想等をお気軽に頂けると嬉しいです!(誤字などは早めに改善します…!)
〜翌朝〜

アバゴーラ「さーて、儂もそろそろ行くとするか…のこりの者は村の指揮を頼むぞ〜?」

村のポケモン達「はいっ!」

アブソル「……はい?」

朝まで休み体力、道具を補充したアブソル達は完成したての村を後にしようとしていた…だが朝から早々問題発生…村長の筈であるアバゴーラがついてくるといいだしたのだ…。

キングドラ「おい…あんた村長だろ?この村のことは良いのか?」

アバゴーラ「奴らのアジトを潰さんとこの村で安心して暮らすことも出来んじゃろう?それにここの者達も自力でやっていける…儂がいなくてもな。」

リオル「じゃあここからもっと離れれば…。」

フィオーレ「…故郷から…遠さがりたくないんじゃないかな…亡くなった人の為にも。」

アバゴーラ「ほぉ、見事に村人達の心境が当てられたわ…そこのキュウコンよ、若いのに中々考えが鋭い…。」

フィオーレ「……。」

キングドラ「だが流石に戦闘に関しては…」

シルヴァ「彼の実力は私が保証します…昨夜手合わせをした時にその力を十分に味わいました…!」

アブソル「シルヴァ…?」


アバゴーラ「そういうことだ、ほれ、貴重な戦略じゃぞ〜?」

キングドラ「シルヴァが言うなら…その言葉を信じよう…だが危険を感じたら…。」

アバゴーラ「あーはいはい…分かっておるよ、その時は…な。」

キングドラ「分かってるならいいが…おっと時間か……行くぞ。」











〜数十分後〜

デンリュウ「もう村があんなに小さい…。」

アバゴーラ「この山がそれほどまでに高く急な坂という証拠じゃ、奴らのアジトはこの頂上に構えておるがの。」

デンリュウ「ふーん…。」

ボスゴドラ「もっと高い所から見下すってか…舐めた真似してくれるぜ…ん?まてよ…村長、あんたなんでアジトの位置まで把握してるんだ?」

アバゴーラ「そりゃあ見えとるからに決まっとるだろう…?」

キングドラ「見えてる…アジトが村から見えてたのか!?」

アバゴーラ「そう煩くするな…可愛らしい顔が台無しじゃぞ?」

キングドラ「こんのっ!?…ハァ…リーダーと話してる気分だ…。」

フィオーレ「でも見えるってことは…?」

デンリュウ「あっちからも見えてる筈…。」

アバゴーラ「その点は抜かりなし…死角に作ってあるからな…こちらから見えても奴らからは見えん。」

アブソル「…目が良いのですね…。」

アバゴーラ「こんな所に住むんじゃ、遠目で見てれば視力も良くなろうよ…だがそれもここまで…この手で粉砕してくれるわ…。」

ボスゴドラ(パワフルな爺さんだな…こんな大人にはならないように気をつけろよ?)

イーブイ(ブイっ…!)


シルヴァ「マスター…そろそろ敵の本拠地です…開始の前に耳に入れておきたいことが…。」

アブソル「あぁ…アバゴーラさん…僕の手持ちだね…?」

シルヴァ「思い出せたのですか…!」

アブソル「いや、ごめん…君がさっきから僕を見てオドオドしてるから何かあると思ってただけ…なるほど…それで教えた覚えのない本名まで言い当てられたのか…。」


シルヴァ「れいとうビーム、波乗り、いわなだれ、てっぺき…。」

アブソル「アバゴーラさんの技か…シルヴァみたいに指示は必要なのかな?」

シルヴァ「いえ…昨日の手合わせでは自分から技を…しかし私はまだ…本番では指示がないと動けないままで…。」

アブソル「…分かった、じゃあ僕と行動していくようにね…。」

シルヴァ「この騒ぎが収まれば本名を明かし、マスターの仲間であることも話すとのことです…更なる混乱を招かないようにそれを黙っているのが条件と…。」

アブソル「条件…?、ってことはシルヴァからついてくるように頼んだのか…。」

シルヴァ「申し訳ありません…勝手な行動をどうか…。」

アブソル「寧ろお礼を言いたいくらいだ…記憶がないとはいえ元仲間と会えたんだ…咎める理由なんてない。」

リオル「先生…!師匠…!ここからさきは捕捉される恐れがあるのでうつ伏せでとのことです…!」

アブソル「分かった…シルヴァ、この話はここまでだ…頼むぞ…?」

それだけ伝えるとアブソルは前に戻り、今度はキングドラと小声で会話を始める…同時にアバゴーラがこちらを見て一瞬ありがとうとも言いたげに小さく笑った気がしたが…正直シルヴァはアバゴーラの行動に納得が出来ていなかった…。

シルヴァ「…これで…良いのでしょうか…。」






〜更に数十分後〜


キングドラ「…ここで間違いないな…?」

デンリュウ「うん…ここで電流の行く先は途切れてる…。」

アブソル「……。」


少しづつ進みながらようやく敵のアジトを見つけることが出来た…大体の想像どおりだ…山と山の間に大きく要塞のように作られている…ヘルガーのボスもきっと…あそこにいるのだろう…。

ボスゴドラ「鉄で固く作られてるなぁ…村長…あれは流石に壊せんだろう?何なら俺が食べてみようか…鉄だしいけるぜ…?」

アバゴーラ「ぬかせ若造が、老いぼれと甘く見てたら痛い目見るぞ…。」

ボスゴドラ「へいへい…じゃあ俺も探してみるか…ヴェレーノ…お前もいるだろうしな…!」

イーブイ「…?」

ボスゴドラ「お前はカバンの中な…大人しくしてろよ?」

ボスゴドラに言われるがまま、イーブイは素直にカバンの中へと潜り込んでいく…村に預ければ良かったと一瞬思ったが…シャワーズとの約束もあったため、連れてきたのだ…。

ボスゴドラ(守るって言っちまったんだ…最悪死ぬことになったら…合わせる顔がねぇなこれ。)


キングドラ「よし、ここまで来たら後は『裏口』から入り込むだけだ…準備は良いか?」

フィオーレ「…出来てるよ…覚悟もね…。」

フィオーレの言葉に他のみんなも頷く…アブソルも槍を既に口に加え準備を万端に整える…。


キングドラ「合図をボスゴドラ…頼む。」

ボスゴドラ「おう…既に自然に視覚情報を掴ませた、敵の視線が離れたら…叩くぞ。」

リオル(叩く…?壊すじゃなくて…?)


ボスゴドラ「…スリーカウントで心の準備、アタックで作戦開始だ…構えろ。」

シルヴァ「無駄にカッコイイですね…。」

キングドラ「その冗談も言えなくなるがな…。」

デンリュウ「……。」

ボスゴドラ「3…。」


作戦…いや、戦闘開始のカウントダウンが始まった…全員少し崖から距離をとって助走が確保できるように構え始める…勢いと共に飛び降りるために…。


ボスゴドラ「2…。」

こんな時に誰かがゴクリと唾を飲み込んだ…今更誰かを探す気にもなれないが…全員緊張していることだけは伝わる…そしてその緊張もあと少しの1カウントで…。
















ボスゴドラ「…アタック…。」




ドスッ……!!










カランカラン……。



その鈍い音が聞こえた瞬間、フィオーレ達はすぐさま形相を変えて後ろを振り返る…最初に視界に入ったのは地面に転がった「命のたま」だった…。

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