第41話 最終話 一億分の一

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最終話です・・!とうとうここまで来てしまいました・・・・。

という訳で、今回短めです。










ラウンジに戻るとセイラちゃん、ソウちゃん、ショウちゃん、お姉ちゃん、フウ姉、カエデのお母さんと私のお母さんが待っていてくれた。

「サキさん!も、もう私涙が止まらなくて・・・。」

セイラちゃんは私がラウンジに入るなり飛びついてきた。

「セイラちゃん、応援、本当にありがとう。セイラちゃんのおかげで勝てたんだから。」

「そ、そんなことないですよ!サキさんたち本当にお強かったです!」

隣ではカエデたちが抱き合っている。

「兄ちゃん、おめでとう。」

「おめでとう、兄さん。」

「ありがとう、ソウ、ショウ。」

「兄ちゃん、やっと父さんの敵を討ってくれたね。きっと父さんも天国で見てくれているはずだよ。」

「そうかな。」

「そうだよ。兄さん。兄さんは・・。私の誇りだよ。こんなすごい兄さんがいるからね。」

カエデも顔を赤くした後、少し涙を浮かべていた。

「カエデ、あなたに旅をさせて良かったわ。」

「母さん・・・!」

カエデのお母さんも泣いている。

「最初は、旅はすごく危ないものだと思っていたの。机にかじりついて勉強させている方が、将来に役立つと思っていたわ。でも、違ったわね。旅に出た方が新しい何かが見つかってより将来に役立つものなのね。カエデ・・・。ごめんなさい。」

カエデのお母さんぺこりと頭を下げる。

「か、母さん。もう、大丈夫です。怒ってないです。」

「カエデ・・・。」

「だから、顔をあげてください。」

カエデのお母さんはゆっくりと顔をあげ優しく微笑んだ。

「優しい子に育ったわね・・・。」

よしよし、とカエデの頭を撫でる。カエデは照れ臭そうにしながら笑っていた。

「あんたも。立派に成長したわね。」

「お母さん・・。」

お母さんもカエデのお母さんのように私の頭を優しく撫でた。

「サキは、立派な娘ね。私の自慢の娘だわ。」

「・・・。お母さん。」

思わず泣きそうになる。

「・・・・・。ただいま。」

私はお母さんに抱き着き、あふれ出る涙を堪えながら声を振り絞った。

「・・おかえり。」

お母さんは暖かかった。ぎゅっと抱きしめてくれる。

「家に帰ったらいっぱい話聞くわ。旅の話。聞きたいな。」

「うん、うん。沢山あるよ。沢山・・。」

後ろではお姉ちゃんとフウ姉が優しく見守っていてくれた。




「さて。僕たちそろそろ帰るよ。」

「兄さん、帰ってきたら話沢山聞かせてね。」

「俺たちも帰るか。」

「フウ、今夜はぜひ家にいらっしゃい。」

「いいのか?か、母さん。」

「いいわよ。カレンも帰るわよね。」

「・・・・。うん。」

「サキたちは後でゆっくり帰るのかな。」

「そうするつもり。」

「分かった、待ってるわね。」

そう言ってお母さんたちはラウンジから出ていった。

改めて3人きりになる。

「サキさん、カエデさん、改めて、チャンピオンおめでとうございます。」

「ありがとう、セイラ。」

「お二人がチャンピオンになられたと言う事はこの旅も終わり・・・ですね。」

「そう、だね。」

「・・・・。寂しいですね。」

「そうだね。でもまたきっと会えるよ。」

「そうでしょうか。」

「うん。会えるって信じてたらきっと会えるさ。」

私たちは外への道を歩きながら話す。

「最初はトウカの森が怖かったな。」

「そうだったね。」

きっと、私たちの旅は。

「ジムバッチ、部屋に飾ったらどうです?」

「そうしよっかな。」

私たちにとってかけがえのない。

「それじゃあ、そろそろ・・・かな。」

「そうだね。じゃあ、また」

「どこかでお会いしましょう。」

宝物なんだ。

「「「解散!!!」」」

私たちは笑いあい、自信のポケモンを取り出し、家路に着く。

それぞれ方向は違うけれど、未来へ歩む道は一緒だ。

ただ、少し休憩をするだけ。

夕日がさす。とてもきれいな夕日だ。

「チルタリス、きれいだね。」

こうして私たちの旅は、今、終わったのだ。













~5日後~

私はシダケタウンのカエデの家の前に来ている。

3日前にカエデに来てほしいと言われたからだ。

チャイムを鳴らすとソウちゃんが出てきた。

「ん。ようこそー入って入って。」

「お邪魔します。」

私は居間に通される。

「お茶、淹れたよ。よかったら飲んで。」

「ありがとう。」

私はソウちゃんのお茶を一口飲んで息をつく。

「あ、えと、カエデは・・・?」

「そうだそうだ。手紙預かってるよ。」

「手紙?」

「うん。サキちゃんに渡してってさ。」

私はソウちゃんから手紙を受け取り丁寧に開く。中から便せんが出てきた。

『サキへ

君がこの手紙を読んでいるとき、僕はカロス地方にいる事でしょう。

3日前、僕が呼び出しておいて今ここに僕が居なくてごめんなさい。母さんやショウかソウから話は聞いたでしょうか。

今僕はカロス地方にいます。

実は旅に出る前、僕がトレーナーズスクールに通っていた時に、カロス地方へ研究の手伝いをしてくれないかって誘われたんだ。

その時の僕は猛反対したんだ。家を飛びして旅をする予定だったから。

でも君とまた旅で再開して、一緒に旅して自分の中で何かが変わったんだ。

もしかしたら僕でもこれからの未来に貢献できるんじゃないかって。

この旅はすっごく楽しかったよ。

カナズミシティで初めてジム戦に勝利して。

ムロシティでセイラが仲間に加わって。

キンセツシティでサタン団を倒して。

フエンタウンのジム戦では初めて負けて。

トウカシティで初めて喧嘩して。

トクサネシティでサタン団を追いかけてサタン団のアジトに乗り込んで。

サタン団のアジトで戦ってクチートの謎を解いてサタン団を本当に倒して。

ルネシティで最後のバッジを獲得して。

ポケモンリーグで勝ち進んで。

コウタ君やソウ、ショウと戦って。

四天王にも勝利して。

最後はサタン団のトップ、そしてホウエン地方のチャンピオンのキツネも倒して。

僕の夢もサキの夢も叶えることができたね。

チャンピオンに挑戦する前日の夜に戦ったの覚えてる?その時僕が負けたよね。

正直言ってとっても悔しかったんだ。

それだからカロス地方で研究のお手伝いをして、もっともっと修行して、サキよりも強くなって足を引っ張らないようにして帰ってくる。

それにカロス地方に、僕の師匠がいるんだ。

メガリザードンXが相棒で、10年くらい前、カロスリーグの決勝で自分には不利になるゲッコウガを相手に優勝した人なんだ。その人に会ってくる。そしてもっと強くなる。チャンピオンとしてふさわしいようにね。

我が儘でごめん。

来年、帰って来た時はサキよりももっと強くなってくるから。

それまで、待っててくれないかな。

あ、あともう一つ。

サキ、

僕は君の事が

ずっとずっと

好きだった。

小学生の時からずっとね。

僕と一緒に旅に出てくれてありがとう。

それじゃあこの辺で。


カエデ。』

「え・・・?」

私の目から涙が1滴流れ落ちる。

「カエデ兄、サキちゃんの事が好きだったんだよ。小学生のころ、よく話してくれたよ。優しくて太陽みたいな子だって。だから、カロス地方に旅立つ前日もすごくサキちゃんの事心配してた。」

私は言葉が出ない。

「サキちゃん?」

「私も・・・。」

「ん?」

「私も、好き。カエデが、大好き。」

ソウちゃんは少し目を見開いてすぐ笑顔に戻った。

「両想い・・・だね。」

「そう・・だね。」

2人で照れ笑いする。

「カエデ、十分強かったよ。」

「じゃあもっと強くなって帰ってくるんだね。」

「大丈夫かなぁ、私が足引っ張っちゃいそう。」

「サキちゃんも十分強いから大丈夫だよ。」

そうかなぁ、とつぶやいて笑う。

カエデ。

私もあなたの事が、大好きだよ。

本当に、本当にありがとう。











とうとう終わりを迎えました一憶分の一!!次回はエピローグの予定です、次回が終わったら本当に終わりです。書き始めたのは2年前の10月。あっという間でした・・・。ここまでご覧いただきありがとうございました!!

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