82話 窮境

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「おれのターン!」
 俺のサイドは残り五枚。バトル場には炎エネルギー一枚ついたバシャーモFB80/80。ベンチにはヒードランLV.X120/120とネンドール80/80。
 山本信幸のサイドも同じく残り五枚。そしてバトル場には超エネルギーが一枚つき、やけど状態のクレセリア60/80、ベンチにはポケモンの道具となったアンノーンGをつけたフーディン100/100、超エネルギーが三つついたミュウツー10/90。
 山本はこの勝負に勝つと、自信の能力(ちから)が強まりポケモンカードを介せずとも能力を使い、相手の意識を奪って植物状態にさせれるという。そんなことが本当に起きればとんでもないことになってしまう。だからこの勝負にだけは絶対負けられない。これ以上こいつの好き勝手にさせる訳にはいかない。
「まずはスタジアムカードを使う。月光のスタジアム!」
 風景があっという間に月夜の草原になった。穏やかだが冷たい風が吹いて草が揺れ、ざわざわとその音がする。灯りは唯一空に浮かぶ月だけ。どことなく寂しい感じのするスタジアムだ。
「このスタジアムがあるとき、互いの超、悪ポケモンは逃げるエネルギーが0になる。おれはバトル場のクレセリアを逃がし、ベンチからミュウツーをバトル場に出す」
 ベンチにクレセリアが戻ったことで、クレセリアのやけどは回復する。だがバトル場に出たミュウツーの残りHPが10。虫の息もいいとこだ。
「手札からサポーターカードの地底探検隊を発動。デッキの底から四枚確認し、そのうち二枚を手札に加え、残り二枚を好きな順にして戻す。続いて手札の悪エネルギーをアブソルGにつける。そしてミュウツーのワザを使う。ミュウツーの超エネルギーを一枚トラッシュし、自己再生だ」
 ミュウツーの体が薄い青の光に覆われる。それと同時にHPバーも徐々に回復していく。これでミュウツーのHPは70/90にまで回復した。
「この自己再生はミュウツー自身についている超エネルギーを一つトラッシュすることで、そのHPを60回復させるワザ。ターンエンドだ」
 バシャーモFBでとどめがさせなかったがために回復をさせてしまったか……? いいや、全然そんなことはない。むしろ好都合だ。
「俺のターン。まずはバトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」
 バシャーモFB LV.X110/110が威嚇の雄叫びをあげる。レベルアップ前なら無理だったが、レベルアップしたバシャーモFBならミュウツーを倒すことが出来る。
「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからワカシャモ(80/80)を手札に加えてベンチのアチャモを進化させる!」
 手札はこれであと三枚。やはりこれでは心細いな。
「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを使い、手札を一枚戻して四枚デッキからドロー。そしてバシャーモFB LV.Xに炎エネルギーをつけてミュウツーに攻撃だ。ジェットシュート!」
 バシャーモFB LV.Xは高く跳躍すると、そこからミュウツーに向かってとび蹴りを放つ。その様はまるで降り注いでくる赤い彗星だ。ワザのヒットと同時に大きな音と爆風を生み出す。80ダメージのこの大技はミュウツーの体も吹き飛ばし、HPを0にした。
「……。おれはベンチのアブソルGを新たにバトル場に出す」
「よし! レベルアップさせる前になんとか倒したぜ。サイドを一枚引いてターンエンド!」
「おれのターンだ。ドロー。……、まずはアブソルGに悪エネルギーをつける」
 山本が使うポケモンはミュウツーやらクレセリアやらフーディンやら、超タイプばかりなのに、そこに一匹だけ混ざるアブソルG。一体どういう戦術で来るんだ……。
「愚図ばかりで腐りに腐ったこの世界を粛清するための第一歩だァ! アブソルGをレベルアップ。出でよ、アブソルG LV.X!」
 バトル場にアブソルG LV.X100/100が場に現れたと同時に冷気を感じ、肌に触れる空気がずしりと重くなった。山本の雰囲気も急に静かだったのが力強さを感じつつある。……何か来る。
「アァブソルG LV.Xのポケパワーを発動! 闇に送るッ!」
 山本がコイントスを三回行う。その結果はオモテ、オモテ、ウラ。どこに干渉するポケパワーだ。俺のバトル場か、それともベンチか。いや、手札に関係するものか?
「この効果はこのポケモンがレベルアップしたときにのみ使えるポケパワー! コイントスを三回行いオモテだった数だけ相手のデッキの上のカードをロストゾーンに送る! 淀んだ貴様のデッキを消してやるッ!」
「ろっ、ロストだと!?」
 ロストゾーンに送られたカードはゲーム中、一切使うことが出来なくなる。オモテは二回出た、よって俺のデッキからカード二枚がこのゲームから消えてしまう。
「まずは一枚目! ハードマウンテンか……。まあいい。二枚目もだ! ……カカカカッ! バシャーモもロストだァ!」
「しまった!」
 二枚のカードが、アブソルG LV.Xの額にある角が造り出した異次元に吸い込まれ消えていく。あの二枚はもうこの勝負で使うことが出来ない。
 ハードマウンテンはまあまだいいが、問題はバシャーモだ。山本の本来のキーカード、ミュウツーLV.Xは進化していないポケモンのワザと効果を受け付けないポケボディーをもつ。だがその進化ポケモンであるバシャーモがロストされてしまった……。
「さァらに! サポーター、ハマナのリサーチを発動! デッキからミュウツーとユクシーを手札に加え、ミュウツーをベンチに出すッ!」
 二体目のミュウツー90/90が山本のベンチに現れる。
「不要な物を切り落とし、新たな世界への一歩とするッ! 手札を一枚捨てアブソルG LV.Xで攻撃! ダークスラッガー!」
 山本が捨てたカードはスージーの抽選か。ワザの起動に入ったアブソルG LV.Xの角から黒い三日月形の波動が打ち出され、それがバシャーモFB LV.Xを襲う。
「ダークスラッガーは手札を一枚捨てることで、威力を30上げるワザ。元の威力が30なので60ダメージッ! さらに貴様のバシャーモFB LV.Xが前のターンに使ったジェットシュートのデメリット」
「このワザを使った次のターンに、このポケモンが受けるワザのダメージはプラス40される……」
「そうだ! よって100ダメージっ!」
 バシャーモFB LV.XのHPは110。それが今の一撃で100ダメージを受け、残りHPはたったの10。ダメージを与えれるワザを受けたらどんな些細な一撃でも倒れてしまう。
「くっそ、俺のターン! まずはワカシャモをバシャーモ(130/130)に進化させ、バシャーモに炎エネルギーをつける!」
 俺のデッキにはバシャーモは三枚しか入っていない。一枚はトラッシュ、もう一枚はロスト。よってこれが最後のバシャーモ。
 このターン、バシャーモFB LV.Xでジェットシュートをして80ダメージを与えると、アブソルG LV.XのHPは残り20になる。
 さらにバシャーモのポケパワーで火傷にしてやれば、ベンチのヒードランLV.Xのポケボディーで相手は必ずやけどの20ダメージを受け、アブソルG LV.Xを気絶させることができる。山本のベンチのポケモンはほとんど育っていない、今がチャンス。
「バシャーモのポケパワーを使う。バーニングブレス! このポケパワーは一ターンに一度、相手のバトルポケモンをやけどにさせる!」
 バシャーモが赤い吐息をアブソルG LV.Xに吹き付けたそのときだった。
「愚図はこれだから何も分かってないッ! 思い通りに行くと思うなァ! 手札を二枚捨てフーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラァー!」
 山本がバトルサーチャーとミズキの検索を捨てると、フーディンがスプーンをアブソルG LV.Xの方に向けた。するとアブソルG LV.Xの周りに青いバリアのようなものが張られ、バーニングブレスを弾く。
「なっ、ポケパワーを防がれた!?」
「このパワーキャンセラーは相手のターンに発動したポケパワーを、手札を二枚捨てることで一ターンに一度だけそのポケパワーを無効にすることが出来る!」
 このターンでアブソルG LV.Xを倒す手はずが完全に崩れてしまった。でも出来ることは今やらないと。
「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ジェットシュート!」
 またも激しい一撃が山本の場を襲う。強力な80ダメージのワザはアブソルG LV.XのHPを20/100まで減らした。
「おれのターンッ! まずはベンチのクレセリアに超エネルギーをつける。そしてユクシー(70/70)をベンチに出し、ポケパワーを発動する。セットアップ!」
 セットアップは、ユクシーをベンチに出した時デッキから手札が七枚になるまでドローできる強力ポケパワー。山本の手札がたったの一枚だけだったのにこれで七枚まで補充される。そしてこの手札がまたフーディンのパワーキャンセラーに回るのか……。
「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻しデッキからユクシーを手札に加える。そしてアブソルG LV.XでバシャーモFB LV.Xに攻撃だァ。だまし討ち!」
 ふとアブソルG LV.Xの姿が掻き消えると、瞬時にバシャーモFB LV.Xの背後に現れ、その背中を角で一突き攻撃する。残りHP10/110だったバシャーモFB LV.Xはもちろんたまらず気絶してしまう。
「このワザは相手一匹に弱点、抵抗力、ワザの効果を無視して20ダメージを与えるワザ。これ程度で十分だ!」
「ちっ。俺は新たにバシャーモを出す」
「サイドを一枚引いてターンエンドだっ!」
 あとアブソルG LV.XのHPはわずか20。だが、またしても俺の手札にエネルギーがない。ポケパワーが邪魔される以上、ワザで倒さなくてはならないのにこのままではそのワザさえ使えない。バシャーモについているエネルギーは炎エネルギー一つ。しかしバシャーモのワザはエネルギーを二つ以上要するから、このままでは攻撃出来ない。
「俺のターン、ドロー」
 引けたのはエネルギーじゃなくバシャーモFB80/80。くっ、ないよりはいささかマシか。
「ベンチにバシャーモFBを出し、ネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を二枚戻し三枚ドロー」
 山本はここでは動かない。あくまでバーニングブレス対策だけか。そして引いたカードの中には……。エネルギーがない。ダメだ、完全に流れは山本の元にある。なんとかして戻さないと。
「くそっ、バシャーモでバーニングブレ──」
「無駄だ。手札のハマナのリサーチと月光のスタジアムをトラッシュし、フーディンのパワーキャンセラーを発動ゥ!」
 またしても青いバリアに阻まれる。だが無意味じゃない。山本の手札は確実に削れている。
「……ターンエンド」
「おれのターン。アブソルG LV.Xに悪エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを発動だ。デッキから超エネルギー二枚を手札に加る。アブソルG LV.Xについている悪エネルギー三枚を全て手札に戻して攻撃。破滅の知らせェ!」
 しかし場は静まり返っており、ワザのエフェクトは何も起こらない。ワザは条件を満たさなかったために失敗したのか?
「このワザを受けた相手は次の貴様の番の終了時に気絶する!」
「っ!」
「おれは望む世界を造るためなら時間を惜しまないィ! 今すぐ消さずとも、その次に消せばいいだけだッ! クキャキャキャ! キヒャヒャヒャヒャ!」
 狂った笑いが辺りに木霊する。こいつもヤバいが俺の状況もかなりヤバい。ウソだろ、HP130もあるのにたった一撃かよ。いくら時間差とはいえひどすぎる。
「まだまだっ、俺のターン! まずはバシャーモのポケパワーを!」
「手札の悪エネルギーを二枚捨ててパワーキャンセラー!」
 なるほど、アブソルG LV.Xの破滅の知らせの効果で戻された悪エネルギーをここで利用するのか、その技術はうまい。
「俺はハンサムの捜査を発動。相手の手札を確認し、その後自分か相手の手札を全てデッキに戻しシャッフル。そして戻した人はデッキから五枚までドローする。さあまずは手札を見せてもらおう」
 山本の手札は先ほどミズキの検索で加えたユクシー以外、エネルギーカードばかり。なんだこの手札、引きは間違いなく良くない。
「俺は自分の手札をデッキに戻しシャッフル。五枚ドロー。……よし、バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーを使う。手札を二枚戻し四枚ドロー。ターンエンドだ」
「このとき、粛清の知らせが貴様に降りる! 破滅の知らせの効果発動。このワザを受けた相手は次の相手の番の終わりに気絶する!」
 バシャーモの真上から真っ白の極太レーザーが降り注ぐ。情け容赦は微塵もなく、悲鳴を聞く間にバシャーモのHPバーが全て削り取られて気絶してしまった。
 これでミュウツーLV.Xを倒せるバシャーモがこれでデッキと手札からいなくなってしまった。
「っ、俺はベンチのバシャーモFBをバトル場に!」
「サイドを一枚引く。そしておれのターン。クレセリア(60/80)に超エネルギーをつけてターンエンド!」
 もうターンエンドだと? アブソルG LV.Xはあくまでクレセリアを育てるための壁か。
「その挑発、乗ってやる。俺のターン。バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、グッズカードのプレミアボールを使う。デッキまたはトラッシュのLV.Xポケモンを一枚手札に加える。俺はデッキからバシャーモFB LV.X(110/110)を加え、レベルアップさせる!」
「LV.Xポケモンを二枚入れてるだと?」
「そしてネンドールのポケパワーを──」
「悪エネルギーと超エネルギーをトラッシュし、フーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラー!」
 今度はネンドールの体の周りに青いバリアが貼られ、ネンドールのポケパワーが封じられてしまった。もうバシャーモのバーニングブレスを恐れる必要がないから、今度は俺のドロー手段を封じるつもりか。
「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ベイパーキック!」
 水蒸気を纏った熱いキックがアブソルG LV.Xにヒットし、その体は宙を舞う。30ダメージのこのワザは、アブソルG LV.Xを気絶させるには十分だ。
「クレセリアをバトル場に出す」
「サイドを一枚引いてターンエンド!」
 これで俺も山本も残りサイドは三枚。勝負はここから後半戦に入る。
「おれのターン。まァずはクレセリアに超エネルギーをつける。そして、こいつが屑塗れのこの世界に光を与えるおれの力だァ! クレセリアをレベルアップ!」
 バトル場のクレセリアがレベルアップし、クレセリアLV.X80/100に。LV.Xポケモン、これで二匹目……。アブソルG LV.Xであんなだった。今度も厳しい一撃が来るのは間違いない……。
「光を与える? なんかの間違いじゃないのか」
「かつてこのおれが愚図から受けた屈辱、そしておれと同じような目に遭っている悲しき人々を救うための光だ! ポケパワー、満月の舞い!」
「屈辱?」
 クレセリアLV.Xが光をめいいっぱい放ちながら、満月を描くような、どこか妖艶な踊りを繰り広げる。するとクレセリアLV.Xの体から真っ赤な火の玉のようなものが這い出、それがバシャーモFB LV.Xに飛んでいく。火の玉はバシャーモFB LV.Xの体に埋まって行った。
「満月の舞いは自分の番に一度使え、自分または相手のポケモンのダメージカウンターを一つ取り除き、自分または相手の別のポケモンにそれを乗せ換える。おれはクレセリアLV.XのダメカンをバシャーモFB LV.Xに乗せ換える!」
 これでクレセリアLV.XのHPは90/100、バシャーモFB LV.XのHPは100/110に。
「サポーター、地底探検隊を発動。デッキの底のカードを四枚見、そのうち二枚を加え残り二枚を好きな順に戻す。さあ、クレセリアLV.Xで攻撃だ。三日月の舞い!」
 今度は三日月を描くような不思議な舞いを放つ。すると急にクレセリアLV.Xの輝きが強くなり、バシャーモFB LV.XのHPバーが削られる。残りHPは50/110、50ダメージのワザか。
「このワザは望むならこのポケモンのエネルギーを二つトラッシュすることでベンチのポケモンのダメージカウンターを全て取り除ける。だがおれのベンチにはそのようなポケモンはいないためこの効果は使わない」
 ……次のターン、クレセリアLV.Xにもう一度三日月の舞いを喰らうとバシャーモFB LV.Xは気絶になってしまう。
「次のターン! おれが満月の舞いでクレセリアLV.Xに乗っているダメージカウンターをバシャーモFB LV.Xに乗せ換えるとその残りHPは40になる。そこでクレセリアLV.Xのもう一つのワザ、ムーンスキップを使えば貴様の残りの命は減って行く! ムーンスキップの威力はたった40だが、このワザで相手を気絶させたとき、おれが引けるサイドは一枚多くなる。つまりサイドを一気に二枚、引くことが出来る! 貴様のバシャーモFB LV.Xのジェットシュート一撃ではわずかにクレセリアLV.Xを倒すに及ばないッ! もう少しだ……、もう少しで新たな希望に満ち溢れた世界を! クカキャキャキャキャ! ヒーヒャハハハハ!」
 ここで一気にサイドのアドバンテージをとられるともう取り返しがつかない。俺のベンチにはネンドールとヒードランLV.X、共に非戦闘要員。そうなったら本当に終わりだ……! こいつの好きにはさせてたまるか、その能力で身勝手に振る舞えばたくさんの人が傷つく。俺の大好きなポケモンカードでそんなことは絶対にさせない!
「そう思い通りには行かせない! ドロー!」
 来た、ここ一番で必要なカード。
「悪いがお前の思惑ははずれるようだ。ヒードランLV.Xに炎エネルギーをつけ、バシャーモFB LV.Xにポケモンの道具、達人の帯をつける!」
「なんだと!?」
「達人の帯をつけたポケモンは最大HPと相手に与えるワザの威力が20上がる! ……もちろんそのリスクとして達人の帯をつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドをさらに一枚引くことが出来る。しかしそれでもお前の思惑は崩すことが出来る!」
 バシャーモFB LV.XのHPは達人の帯の効果で70/130。これならムーンスキップで倒されることもない。さらに本来のジェットシュートの威力は80で、一撃でクレセリアLV.X90/100を倒すことが出来なかったが威力が20上がることで与えれるダメージは100になる。これなら倒すことが出来る!
「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動」
「させるか! 手札のケーシィ、不思議なアメを捨ててパワーキャンセラー発動! そのポケパワーを無効にする!」
「だが今から与えるワザのダメージは無効には出来ないぜ。行け、バシャーモFB LV.X。お前の力を見せてやれ! ジェットシュートッ!」
 真っ赤な灼熱の流星キックはクレセリアLV.XのHPと山本の思惑をまとめて消し飛ばす。熱風と爆煙が辺りに立ち込め山本の場が一瞬隠れる。
「……」
 ようやく煙が晴れると、バトル場には新しくミュウツー90/90が立っていた。これが山本の次のポケモンか……。
「よし、サイドを一枚引いてターンエンド!」
「おれの野望の、邪魔をするなアアアアアアアアアアアア!」
 今までとは格段に違う山本の目つき、雰囲気に思わず気圧されそうになる。体が震え、鳥肌が立つ。どうしてだ、勝負は快調じゃないか。バシャーモFB LV.XでクレセリアLV.Xを倒し、残りのサイドはあと二枚。もう少しで勝って、この悪夢を終わらせることが出来るはず。場のバシャーモFB LV.XのHPもまだまだ半分あるし、それに対し高津のミュウツーも、ベンチのフーディン、ユクシーもエネルギーは一枚もついていない。恐れることは何もないはずだ。なのにどうして。寒気が止まらない。
「くそォ! おれのタァーン! ……クハハ、キュハハハハ! いいタイミングでこのカードを引いたァ! ミュウツーに超エネルギーをつけ、貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」



翔「今回のキーカードはミュウツーLV.X。
  サイコバリアは未進化ポケモンからは一切何も受け付けない!
  そしてギガバーンは威力120の強力なワザだ」

ミュウツー LV.X HP120 超 (DP5)
ポケボディー サイコバリア
 このポケモンは、相手の「進化していないポケモン」のワザによるダメージや効果を受けない。
超超無 ギガバーン  120
 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。
─このカードは、バトル場のミュウツーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 超×2 抵抗力 - にげる 2

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