3話 レインボードラゴンカブリアス! 翔VS風見(後)

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 オーキド博士の訪問でわざわざデッキの下に置いたカードを、パッチールの出し抜くで回収するコンボ。そして先ほどの風見の態度から見てもデッキの下に置かれていたカードは風見の最強カード……!
 今の俺のバトル場には炎エネルギーが一つついたマグマラシ80/80。ベンチには炎エネルギーをつけたモウカザル70/70。残りのサイドは二枚。
 一方の風見も同じくサイド二枚。バトル場にはパッチール70/70。ベンチに水エネルギー一枚ついたガバイト80/80、オドシシ70/70。
「俺のターン。行くぜ! 俺はマグマラシをバクフーン(110/110)に進化させ、炎エネルギーをつける」
「だがそれでは貴様のバクフーンは攻撃できまい! エネルギーが足りてないぞ!」
「見せてやるよ。バクフーンのポケパワー発動、たきつける。このポケパワーは一ターンに一度だけベンチポケモンにトラッシュの炎エネルギーをつける。さらにエネルギーつけかえ。自分のポケモンのエネルギーを入れ替えるトレーナーカードだ! トラッシュの炎エネルギーをモウカザルにつけ、そのエネルギーをバクフーンに移し替える」
 だがパッチールのHPはバクフーンの技の威力では届かない……。
「一気にエネルギーを揃えたか」
「まだだ、トレーナーカード、プラスパワー! この効果によりこのターンだけバクフーンの技の威力が10上がる!」
「何っ!」
 プラスパワーがフィールドに現れ、バクフーンに付加される。何かされる前にさっさと倒す!
「バクフーン行け! 気化熱!!」
 バクフーンの口から巨大な炎の塊が浮かび上がる。そしてそのままパッチールを炎が包み込んだ。炎が消滅すると、パッチール0/70は床に伏せて倒れた。
「パッチールが気絶したためサイドカードを一枚引く。ターンエンド」
「俺はガバイトを新たにバトル場に出す。行くぞ、俺のターン。これで終わりだ!」
「ターンエンドか?」
「違う、貴様の負けだということだ。ガバイトに水エネルギーをつけ、進化させる! 来い、ガブリアス!」
 俺の冗談をあっさりかわし、風見は大袈裟にガブリアス130/130のカードをガバイトに重ねる。そして機械が反応し、ガバイトはガブリアスへ進化を遂げる。
「お前には消えてもらう。ガブリアスの攻撃、竜の牙!」
 ガブリアスがバクフーンに向かって突進してくる!
「更にガブリアスのポケパワー発動! レインボースケール!」
「レインボー……スケール?」
「このポケパワーの効果は、このポケモンが、このポケモンのエネルギーと同じタイプの弱点を持つバトルポケモンに、ワザによるダメージを与えるとき、そのダメージは、すべてプラス40される」
「何っ!?」
 バクフーンのHPは110。竜の牙の威力は70。さらにレインボースケールの効果によって……。
「バクフーンがたった一撃で!」
 そのままガブリアスの攻撃がバクフーンにヒット。激しい爆風とともにバクフーン0/110が気絶させられる。
「サイドカードを一枚ひく。残りサイドカードは互いに一枚ずつだがもう勝敗は決まったも同然」
「俺はモウカザルをバトル場に出す……」
「まだやるか。好きにするがいい。ターンエンド」
「デッキにカードが。俺の想いの込めたカードがある限り、どんなことがあろうとも決して諦めない! ドロー!」
「どこかで聞いたことのあるようなセリフだな」
 風見が吐いて捨てるように言う。しかし、このドローが全てを変えるチャンスでもある!
「手札からトレーナーカード、ポケブロアー+を発動! このカードはコイントスの表裏によって効果の有無がある。コイントス!」
 頼むぜ、俺のデッキ。頼むぜ、俺のカード。
 静寂な空間に落ちたコインはオモテを指していた。
「オモテ! ガブリアスに10のダメージ!」
「ふん。悪あがきもいいとこだ」
「更にモウカザルに炎エネルギーをつけて進化! 来い、ゴウカザル!」
 モウカザルに光が走り、雄たけびとともにゴウカザル100/100が俺のバトル場に現れた。
「ゴウカザルの攻撃、流星パンチ。この攻撃はウラが出るまでコイントスをする。そしてオモテになった数かける30ダメージを与える! 四回オモテが出れば俺の勝ちだ! 一回目、オモテ!」
「そう運良くオモテが四回も出るわけがない」
「二回目オモテ!」
 あと二回。あと二回だけだ! 頼むぞデッキ! そしてゴウカザル!
「三回目、オモテだ!」
「バカな……。こっ、こんなことがありうるというのか!?」
「四回目は」
 誰もが固唾を飲んだ瞬間、答えは出た。
「オモテだああああ!」
「ばっ、バカな!?」
「五回目はウラ。しかしこれで勝負は決まった! 行け、ゴウカザル。流星パンチ!」
 ゴウカザルの怒涛のパンチラッシュがガブリアスを襲う! 攻撃が止むと同時にガブリアスはその場に倒れ、フィールドから消える。
「そしてサイドカードを一枚手札に。これで俺のサイドカードはなくなった。俺の勝ちだ!」
 俺が最後のサイドカードを一枚をひくと立体システムによって映し出されたすべてのポケモンは消えていく。そして俺は恭介に向ってVサインを作る。恭介もサムズアップで返してくれた。
 しかし一方の風見は。
「またこんなカードに情を入れたやつに負けた……だと」
 その場に膝を立ててくずれおち、なにやら喋っているようだ。『また』という言葉に気をひかれるものがあるが。
 そしてリングから降りて恭介のもとに行く。
「ふぅ。勝てた」
「なんかわからなかったけどすごかったぜ!」
「なんかわからなかったのね」
 恭介のキラキラした眼に俺は顔を引きつらせないと答えきれなかった。
 そんな瞬間、ドンッと何かをたたくような音が聞こえた。風見がリングを叩いた音であるようだ。俺達が何か声をかける前に走り去って行った。デッキを置いたまま……。
 風見側のリングへ向かい、放置されたデッキを眺める。
 ガブリアス、ガバイト、オドシシ……。俺が苦しめられた風見のデッキ。
 あたりを見回してみるが、だれも来る気配もない。風見も戻ってきそうにない。
「とりあえずこれは預かって明日学校で渡すか。恭介、帰ろうぜ」
「おう。帰ろう」
 何故かフロアを出た後も、ビルを出た後も風見の関係者には出会わなかった。大きなビルを尻目に見、歩いて俺達はそれぞれの帰路に着いていった。



翔「今日のキーカードはゴウカザル!
  HPは少ないが、その分攻撃力は高い。
  一気に勝負を決めてやれ!」

ゴウカザルLv.40 HP100 炎 (DP1)
無 りゅうせいパンチ 30×
 ウラが出るまでコインを投げ続け、オモテ×30ダメージ。
炎炎 フレアドライブ 90
 自分の炎エネルギーをすべてトラッシュ。
弱点 水+30 抵抗力 ─ にげる エネルギー 0

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