HR1:「仲良し3匹組」の巻

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 4月……それは暖かく心地よい風や優しい日差しに世界が包まれ、新たな希望の物語が動き始める季節だった。


 

 ここは“ポケモン・カントリー”の東部に位置する“あさひタウン”……。



 世界中で一番早く朝日が昇ることから、昔からあらゆる者たちにその光が大きな希望や夢を与えてくれる……そのような言い伝えが眠るこの町の中央に位置する“かがやきこうえん”で、とあるポケモンたちの姿があった………。





 読者のみなさんはじめまして♪私、ねずみポケモンと呼ばれる種族のピカチュウです。友達からはニックネームの“ピカっち”と呼ばれています。


 私は今、この“かがやきこうえん”で、お友達を待っているところなんです。今日は日曜日なので、これから友達とピクニックをしようと考えているんです。でも………


 「遅いね……“カゲっち”くん」
 「ハァー…………。……あんなに寝坊しないようにってクギを刺しておいたのに……全く。ホントに期待を裏切らないわね、あの泣き虫ヒトカゲってば」


 そうなんです。今日のピクニックに行く約束したのは私を含めた仲良し3匹組だったんですが、待ち合わせの時間を20分過ぎても、まだ全員が揃ってないのでちょっと困っているんです。


 先ほど私の言葉にため息をついていたのは、はっぱポケモンと呼ばれる種族のチコリータちゃん。普段はニックネームの“チコっち”ちゃんと呼ばれています。



 私もチコっちちゃんも、つい最近町の外れにある“あさひポケ中学校”に入学したばかりの中学1年生。家も近くて幼稚園のときからずっと仲良しでした。


 (ホントは“カゲっち”くんもここにいないとダメなのに……どうしちゃったのかな?)


 心配性な私は、もう一人の友達がなかなか来ないことに段々と不安を覚えました。


 「な~に不安そうにしているのよピカっち。あの子が寝坊して遅れることなんていつものことでしょ?」
 「そうだね。もうちょっと待っていれば……きっと来るよね」


 チコっちちゃんの言葉に無理やり感が否めない笑顔を作る私。


 確かにチコっちちゃんの言うように、“彼”の寝坊ぐせは今に始まったことじゃないから、そこまで気にする必要なんてホントはないと思うけれど……それでもだからといって友達をそんな冷たい目で見るなんて……出来るわけが無かった。


 「ホントにピカっちは優しいのね。どんなに相手が悪くても心配できるなんて。あたしには絶対に真似できないよ」
 「そんなこと無いよ。ただ争い事や嫌な思いをするのが嫌いなだけだから……」


 大切な友達だから争い無くずっと仲良しでいたい……それが私にとっての小さな願いだった。……だからこうやって“彼”のことを心配できるのかも知れない。


 そんな風にチコっちちゃんとお話ししているときでした。


 「遅れてゴメーン!!寝坊しちゃったぁぁぁぁぁ~!!」


 遠くから聞こえてくる聞き覚えのある声……。それに続くようにして段々と待ち続けた“彼”が、ようやく私たちのもとに到着しました。


 「ハァ……ハァ……ようやく着いた~良かった……。お待たせ……ピカっち、チコっち」
 「うんホントに良かったね“カゲっち”くん♪」
 「やっぱり……また寝坊したのね!お出かけの度に寝坊してばっかりじゃない!!」


 とかげポケモンと呼ばれる種族のヒトカゲくん。………私やチコっちちゃんがニックネームの“カゲっち”くんって呼んでいる彼も、幼稚園からの仲良しで同じ“あさひポケ中学校”に入学した中学1年生。


 ちょっとだけ朝寝坊したり、ちょっとだけドジしたり、ちょっとだけ勘違いしやすかったり、ちょっとだけ泣き虫だったり、ちょっとだけ騙されやすいところがあって、私やチコっちちゃんを困らせることもあるけれど……、それでも今までけんかしたことも無いほど、ずっと仲良し。



 ……だからこれからもずっと仲良しでいたいと思う気持ちが強くなって、逆に彼を心配しちゃうのはしょうがないのかな……。でもみんなが無事に揃って良かった♪



 「まぁ……いいわ。それより早くピクニックに行きましょう!」
 「うん!!」
 「そうだね!!」



 ……こうして私たちは気持ちのいい青空の中、ピクニックへと出発したのです。

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