Mission #001 レンジャースクールへ

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「ねえ、まだ〜?」

ドアを軽く叩きながら、退屈そうに少年が訊ねる。
木製のドアの向こうから、何やらドタバタと物音が聴こえてくる。
部屋の中で誰が何をしているのか分かってはいるのだが、その行為とは明らかにかけ離れた物音だけに、嫌でも気になってしまう。
待つのは嫌いではないのだが、世間一般の平均時間よりも待つのは退屈でしょうがない。
少年の言いたいことを理解しているのかいないのか、部屋の中から苛立ちに満ちた声が返ってきた。

「うるさいわねえ。女の子の着替えは時間がかかるのっ!!
もうちょっとで終わるけど、そんなに退屈だったら下でテレビでも観てなさいよ!!」

何をそんなに苛立っているのか、部屋の中で着替えている少女の声は怒声に近いものだった。

(女の子の着替えって、そんなに時間かかるのかなあ……?
別に、ぼくと大して変わらない気がするけど)

少年はドアの向かい側にある壁に背中を預けながら、そんなことを考えた。
正直なところ、女の子の着替えは時間がかかるとか言っている相手——少女の言葉の意味がイマイチ理解できない。
少年は可愛いという言葉が似合う顔立ちだったが、それに似合わぬシワが、眉間に寄っていた。
年の頃は十二、三歳だろうか。
髪を伸ばし、仕草を少し変えれば女の子に見間違えられるかもしれない顔立ちの少年で、背丈は年頃の少年少女と大して変わらない。
襟のついた黒い半袖のシャツに、灰色に青い縞が走った半ズボンというラフな服装。
恐らくは少女も似たような服を選ぶと思うのだが、それでどうしてこんなに時間がかかるのか……?
理解できないなりに考えてはみたものの、やはり答えは出なかった。
一分が経過しても相変わらずドタバタとした物音が止む気配はなく、少年は仕方なく一階のリビングで少女を待つことにした。

「しょうがないなあ……下で待ってるからね」
「そうしてちょうだい」

どうやら、木でできたドアの向こうで少年が今か今かと待ちわびているのが気に入らなかったらしい。
あからさまに待たれていたら、どうしても焦ってしまう。
……幸か不幸か、少女の声音に秘められた真意に、当の本人が気づくことはなかったが。

(ヒトミって、相変わらず怒りっぽいよなあ……なんでだろ?)

階段を一段ずつ、ゆっくり下りながら、少年は疑問符を浮かべた。
先ほどの少女——少年の双子の姉ヒトミのことである。
天真爛漫で気が強い、どこにでもいるような元気印の女の子だが、牛乳嫌いの影響でカルシウムが不足しているせいか、よく突っかかってくる。
勝気な性格ゆえのサガで、別に直接的な危害を加えてくるわけではないので放置している——というのが、少年の流儀だった。
階段を下りきって、玄関まで一直線に続く廊下の途中にあるリビングに入る。
開放感に満ちあふれた室内で、少年はテレビでも観ながらヒトミの到着を待つことにした。
真っ白なソファーに腰を下ろし、テレビのスイッチを入れたところで、キッチンから声が飛んできた。

「あら、アカツキ。ヒトミはどうしたの?」
「女の子の着替えは時間がかかるから、下で待ってろってさ」

少年——アカツキは顔をキッチンに向け、壁の隙間からこちらを見ている母親に向かって言葉を返した。
年の頃は三十過ぎで、顔立ちや柔和な目元は息子に良く似ている。
エプロン姿なのは、何らかの料理を作っているからだろう。
息子の言葉に、彼女——アイナは苦笑しながらこんなことを言った。

「あの子も年頃の装いを気にするようになったってことね。
まあ、あの年頃の女の子なら良くあることだと思うけど」
「そうなの?」
「男の子のあなたには分からないかもしれないわね」
「ふーん……」

料理をしているとばかり思っていたが、作業は終わったらしい。
エプロンをたたみながら歩いてくる母親に、アカツキは訝しげな視線を向けていた。

——あの年頃の女の子なら、着替えに時間がかかるのは仕方ない。

要するにそう言っているわけだが、良く分からなかった。
男の子には分からないと言われては、なおのこと。
年頃の女の子は身だしなみ——というよりもファッションに気を配り、服一つを選ぶのにも入念に時間をかけるのだ。
決してガサツというわけではないものの、身だしなみに必要以上のものを求めないアカツキには、年頃の女の子の趣向など理解できるはずがなかった。

(そういうモンなんだ……よく分かんないけど)

ソファーの背もたれに背中を預け、胸中でつぶやく。
息子が訝しく思っていることに気づいたのだろう、アイナは彼の隣に腰を下ろし、ニコッと微笑みかけた。

「今はまだ分からないかもしれないけど、いつかは分かるわよ。
それより、今はポケモンレンジャーになることを考えなきゃいけないわね」
「うん、そうだよね」

単純と言えば単純か、アカツキは母親の言葉に思考をあっさり切り替えた。
分からないなら考えるだけ無駄だと思っただけだが、テレビのニュース映像を見て、気持ちを切り替える。
『LIVE』と左上に表記されていることから、現地の状況を生放送しているのだろう。
赤を基調とした制服に身を包んだ男性が、ポケモンの力を借りて消火活動を行っているところだった。

(ポケモンレンジャー……そうなんだよね。明日から、頑張らなきゃいけないんだよね)

カメックスの『雨乞い』で広範囲の消火を一気に行っているのを観て、アカツキはごくりと唾を飲み下した。
テレビ画面の向こう側で消火活動を行っているのは、ポケモンレンジャーと呼ばれる職業の人だ。
ポケモンレンジャーとは、ポケモンの力を借りて自然や平和を守る職業のことである。
『ポケモンの力を借りる』と言うのは伊達ではなく、ポケモントレーナーのようにポケモンをゲットすることなく、必要な時だけ、最小限の力を借りて問題を解決していくのだ。問題を解決した後は、そのポケモンを自然の状態に戻す——つまり、リリースする。
だから、テレビ画面の向こうで雨を降らせているカメックスも、消火が終われば感謝の気持ちと共にリリースされ、元の生活に戻るのだ。

(明日はレンジャースクールの入学式だし、頑張らなきゃ)

テレビの向こう側で凛とした表情で消火活動を行うレンジャーを見て、アカツキはぐっと拳を握りしめた。
ポケモンレンジャーになる……それが今の自分の目標なのだ。
そのためには、ポケモンレンジャーを養成する学校——レンジャースクールを卒業しなければならない。
一部の例外はあるものの、基本的に、ポケモンレンジャーはレンジャースクールの卒業生で構成されている。
入学試験に合格した者のみがレンジャースクールの入学を許され、三ヶ月、みっちりと教育を受ける。
三ヶ月間の教育を終え、卒業した後は各地のレンジャーベースに配属され、晴れてレンジャーとして働き始めるのだ。
自然と平和を守るという理念を胸に各地で働いているポケモンレンジャーに憧れる少年少女は意外と多く、スクールおよびポケモンレンジャーを統率するレンジャーユニオンの側としては、教育の質を落とさずに有能な人材を育成するという観点から、入学試験を行うことで志願者を篩にかけている。
当然、その時点で激戦となるわけだが、アカツキとヒトミは入学試験に見事合格し、明日からレンジャースクールで学ぶことになる。
スクールに入学すれば、ヘマをやらかさない限りはポケモンレンジャーとしての将来が約束されているようなものだ。
とはいえ、三ヶ月間は基本的に寮生活となるため、この実家とはしばらくお別れである。

「でも、三ヶ月間お別れっていうのは、ちょっと寂しいわね」
「しょうがないよ。寮生活だし」
「まあ、それはそうだけどね」

母親としては、息子と娘が選んだこととはいえ、三ヶ月間も離れて暮らすのは不安があった。
ポケモンレンジャーは、少年少女の憧れとは裏腹に、人とは比べ物にならない力を持つポケモンに接する機会が多いため、常に危険がつきまとう職業なのだ。
レンジャースクールの教育期間は三ヶ月であり、一年に四期の卒業生を各地のレンジャーベースに輩出している。
期間が短いだけに、本当に必要なことを学んで卒業できるのか、それも不安ではある。
だが、レンジャーになりたいと聞いて反対した両親を二人がかりで説得した時の真剣な表情を思い返してみて、不安に思っても仕方ないという結論に至った。
どちらかというとおとなしい(……と母親としては思っている)性格の息子があんな真剣な表情をしたのも、それだけ真剣に、本気でレンジャーになりたいと思っていたからだろう。
だったら、反対するだけ詮無いし、その気になれば双子の姉弟は自分たちで手続きから何からやってのけて、入学まで漕ぎ着けてしまうだろう。
だから、不安はあるが、心配はしていない。
二人とも、自慢の子供である。
ヒトミは気が強くて余計なトラブルを持ち込んでくることもあるが、基本的には周囲を引っ張っていくだけの力がある。
アカツキはヒトミほど積極的ではないものの、人知れず勉強を重ねているだけあって物知りで、いざという時は頼りになる。
そんな子供たちなら、立派なレンジャーになれるかもしれない。
不安以上の期待があったから、心配はしていない。

「まあ、他の地方に行っちゃうわけじゃないから、そんなに心配はしてないけどね。
……それより、ヒトミ遅いわね。
レンジャースクールに行くまでの服なのに……」
「そうだよね。遅いよね」

レンジャースクールの入学式は明日。
入学生は前泊し、入学式当日に備える。
すでにクラス分けもされているため、今日から明日にかけて、三ヶ月間を共に過ごす仲間と仲良くする意味合いもある。
卒業後は散り散りになるが、スクール時代に築き上げた人脈が思わぬところで役立つことがあるのだ。
入学式前日の集合門限は夕方の六時なので、実際にはまだまだ時間があるのだが、どうせなら早く行って、友達を作りたい。
アカツキがそう思っているのを余所に、ヒトミが来ないことには家を出るに出られない。
荷物もすでに用意してあるし、あとは彼女と共にレンジャースクールに向かうだけ。
……そんなに早く行きたいなら、彼女を置いて一人で行けばいいと思うだろうが、それはできない相談だった。
残念ながら、ヒトミは極度の方向音痴なのである。
一家が居住しているのは、アルミア地方南部に位置する『チコレ村』。
豊かな自然が広がる森の中に築かれた新興住宅街で、街と呼べるほどの規模がないという理由で、村と呼ばれている。
チコレ村の真北には隣町ビエンタウンがあるのだが、ヒトミは隣町へのお遣いに一日近くかかってしまったのだ。
道はまっすぐであり、普通なら迷うことなどなく、子供の足でも三時間もあれば余裕で戻ってこられる。
……にも関わらず。
彼女は何に興味をそそられたのか、道の両脇に広がる森に散策に出かけた挙句迷ってしまい、心配した両親がやっとの思いで捜し出して連れ帰ったという苦い出来事があった。
それ以後、お遣いを頼む時はアカツキにするか、あるいは二人で行かせるようになった。
そんなことがあったものだから、アカツキはヒトミを待たざるを得ないのだ。
それでレンジャーなど目指して大丈夫なのかという意見もあったのだが、ヒトミはそんなこと関係ないと言い張って、強引に自分の考えを突き通した。
少しはファッションを気にし出したとはいえ、いくらなんでも時間がかかりすぎている。
そんなに迷うほど服があるわけではないのだが……
どうしたのだろうかと思って、アカツキとアイナが訝しげな顔を突き合わせた時だった。
ドドドドドッ……
階段を駆け降りる音が聴こえ、数秒後。

「お待たせ〜」

着替えを終えたヒトミがリビングに飛び込んできた。
いかにも活発そうな顔立ちで、美少女と呼んでもいいだろう。
背丈はアカツキよりもやや低いが、体格や面持ちは双子だけあって良く似ている。
彼女はアカツキを散々待たせていたことなどまるで気にしていないかのように、満面の笑みを浮かべていた。
どうやら、満足の行く上下の組み合わせを見つけ出せたらしい。

(ぼくと大して変わんないじゃん。
……なんであんなに時間かけてたんだろ。意味分かんない)

しかし、アカツキは呆れるしかなかった。
ヒトミが胸の部分に白い筋が入った黒いシャツと、オレンジ色の薄手の上着。それから灰色の半ズボンと、アカツキとほとんど変わらない服装だったからだ。
双子ゆえ似たような考え方があるのかもしれないが、自分がさほど時間もかけずに着替えたことを考えると、あまりに無駄な時間をかけていたとしか思えなかった。
まあ、そこのところを追及したところで不毛な争いになるだけだし、ここはアカツキが我慢するしかなかった。
テーブルを挟んだ向かいのソファーに腰を下ろした娘に笑みを向け、アイナはこんなことを言った。

「ねえヒトミ。
身だしなみに気を遣うのは大事なことだと思うけど、あんまり人を待たせちゃいけないわよ。
アカツキはあなたの弟だから、気兼ねする必要なんてないって思ってるかもしれないけれど……人様にまで同じ感覚でいちゃダメ。
増してや、これからレンジャーになって、一人前の大人として周囲と付き合っていく時に、そんな感覚のままでいたら、笑われてしまうわ。
あなただけならともかく、あなたの弟……アカツキまで同じ風に見られたら、それは嫌でしょう?」
「そ、そりゃそうだけど……」

笑顔でありながら、口調は明らかに説教だった。
もちろん説教で、多少厳しい言葉を用いたのは、これから広い世界へ旅立つことになる娘が、その時になって恥ずかしい思いをしないで済むように、誤った認識をこの場で正してもらいたいと思っていたからだ。
優しくするだけが愛情ではない。時に厳しさも必要である。
厳しい中にも存在する愛情が伝わらないのでは意味がないのだが、母親の厳しい言葉に秘められた愛情は、娘にしっかりと伝わったようである。
ヒトミは渋面になって、母親の言葉を受け止めていた。
確かに、弟なら少しくらいは待たせてもいいと思っていたのだが、それを他人にまで押し付けてしまえば、良くは思われまい。
そして、それがヒトミの弟であるアカツキにまでレッテルとして貼られてしまったら……それはそれで、ハッキリ言って困る。

「あたしが間違ってたわ。アカツキ、ごめん」
「いいよ、別に。いつものことだし。
だけど、母さんの言うとおりだから、これから気をつければいいよ」
「そうね。気をつけるよ」

ヒトミは素直に詫びた。
アカツキはいつものことだからと笑って許してくれたが、さすがに同じことが今後も続けば、温厚な彼の堪忍袋の緒が切れないという保証はない。
それに、弟に借りを作ったままでいるのは、姉としてどうにも許しがたいのだ。
さすがにそこのところは姉としてのプライドがあるらしく、非を認めるべきところは素直に認めていた。
真剣に考えるヒトミの前で、アカツキが立ち上がった。

「それより、早く行こうよ。クラスメートの人と仲良くしたいからさ」
「オッケー、行くわよ」
「うんっ」

ここで躓いていても仕方がない。
アカツキがこれ以上ツッコミを入れずにいてくれたのは幸いだったが、借りを返すという意味でも、彼に合わせてさっさとレンジャースクールに行くべきだろう。
アカツキとヒトミはリビングの隅にまとめられた荷物(着替えやエチケット、それから筆記用具の類)が入ったバッグを肩から提げ、母親に向き直った。

「それじゃあ母さん、行ってくるね」
「ええ、行ってらっしゃい。頑張ってね」

ペコリと頭を下げて、アカツキとヒトミは一緒に家を出た。
父親——マサトは仕事の都合でフィオレ地方に単身赴任しているため、テレビ電話か手紙でしかやり取りができない。
事前にレンジャースクールに入学することは話してあるし、大変だろうけど頑張れと励ましの言葉ももらってある。
だから、特に気負う必要もなく、将来の夢に向かってまっすぐに歩いていける。
雲一つない空の下、明るい日差しと涼やかな風を浴びて、アカツキは大きく深呼吸した。

「うーん、気持ちいい〜」
「家の中よりは外の方が楽しいわよね」

ヒトミも風の心地良さに気分が良くなっていた。
先ほどまでの気持ちのアップダウンなど忘れたと言わんばかりだった。
一頻り心地良さを満喫したところで、二人は改めて歩き出した。
当分はこの村に戻って来られないが、寂しさは感じていない。
新興住宅地だけあって、真新しい家が目立つ。
それでも、地域の条例によって周囲との景観が配慮された外観であり、森の景色と調和する色使いが為されている。
人口が少ないだけに、朝方という時間帯も重なって、村の南北を貫く通りに人の姿はほとんどなかった。
いたとしても、隣町ビエンタウンに通勤するサラリーマンくらいだろう。
人通りの少ない道を歩きながら、ヒトミがアカツキに話しかけた。

「そういえばさあ、入学試験で一番成績良かったのって、あんただったよね」
「たぶんそうだったと思う」

入学試験は、筆記及びキャプチャの実技(キャプチャとは、レンジャーがポケモンの力を借りるために、自分の気持ちを伝える行為を指す)、面接が行われた。
筆記試験とキャプチャの実技に関しては点数がつけられ、合否の判定に用いられる。
合否の通知書が送付されてきた時に、点数と順位が別紙で記載されていたのだが、点数のつけられる試験に関しては、百数十人いる受験者の中でアカツキが総合で一位だった。
幼い頃からポケモンレンジャーに憧れ、ゆくゆくはポケモンレンジャーになって困っている人やポケモンを助けたいと思って、勉強し続けてきた成果と言えるだろう。
ちなみに、ヒトミの総合順位は十八位だった。
彼女はあまり勉強が得意ではないらしく、キャプチャの技術を見る試験ではトップだったものの、知識を見るペーパーテストにおいてはやや下位だった。
ここでも姉としてのプライドがあるらしく、入学試験で負けた分、卒業する時はアカツキ以上の成績で卒業しようと決めていたのである。
今は双子の姉弟だが、レンジャースクールでは同級生であり、ライバルでもある。
不必要な馴れ合いはしたくなかった。
だから、今のうちに言いたいことを言っておくことにした。

「……でも、卒業する時はあたしが一番なんだからね。あんたには負けないわよ」
「ぼくだってヒトミには負けないからね」

当然のことだが、アカツキもヒトミに負けるつもりはこれっぽっちもなかった。
いくら明るく温厚な性格とはいえ、そういったところにまで馴れ合いを持ち込むほどヤワではない。
入学試験でのアドバンテージを感じているのだろう、浮かべた笑みには幾許かの余裕が感じられた。
少なくとも、知識面で彼女に負ける道理はなかった。
ヒトミは弟が自分より頭がいいことを知っているので、そこのところで焦りはなかった。
キャプチャの技術レベルを維持しつつ、猛勉強して知識面で追い抜いてしまえばいいという算段だ。

「後で吠え面かいても知らないわよ」
「そっちこそ。負けを認めるんだったら今のうちだよ」
「んっふっふっふ」
「あはははははは」

口にしたセリフとは裏腹に、互いに朗らかな笑みを浮かべながら道を行く。
傍から見れば異様な雰囲気ではあったが、それはあくまでもレンジャースクール入学に際して、ライバルであることを認識するためのものだった。
普段は仲が良かったり悪かったり……一応、ごく普通の姉弟である。






To Be Continued...

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