第57話

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

洞窟内はひんやりとしており所々氷が張っているがそれが功を奏してか入口からかなり遠いところでも明るく十分視界は確保できるほどだった。また中は雪解け水が流れている川があり
そこは流れも急でとてもじゃないが波乗り等はやらないほうがよさそうな感じだ。

タ「うーん・・・あんまり目ぼしいものはなさそうだね・・・。まぁ氷は沢山あるからかき氷には出来そうだけどね。」

ス『それってお腹壊すんじゃ…。』

タ「まぁそうなるから手を出さないんだよね・・・雪国での積もっている雪を食べるくらい危ないかもね。」

ク『まぁ雪なんて滅多に食わないけどな~。』




他愛無い会話をしながら先へと進むタツミ達、そんな中中では彼らの行動を監視する一つの影があった。

?「・・・・・・。」

フ『?』

タ「フィーロどうした?」

フ『いや・・・なんか嫌な視線を感じたと思って・・・。』

タ「えっ?どこから?」

フ『あそこの岩陰から・・・でも何もないね・・。気のせいかな・・・?』

ク『気のせいだろ?それよりも先に進んでみよう。』

ス『クラウン張り切っているなぁ・・・。』


暫く歩くと川に出た。ただ流れが速くとてもじゃないけど波乗りは出来そうにない。

タ「あちゃ~・・・行き止まりか・・・。まだ先はあるみたいだけどこっから先はちょっと暗くなるし危ないからここら辺で引き返すとしますか・・・?」

タツミはどこかから感じる殺気ともとれる嫌な視線を感じてしまった。

タ「なんだ・・・?」

フ『・・・・・・・。』

ク『なんなんだ?』

ス『一体何者がいるんだ・・・?』

暫くタツミ達がその視線を感じる方向を見ていると1匹のポケモンが現れた。

『勝手に人の土地に入るなぁぁぁぁぁ!!!!!!』

タ『!?』

ス『タツミ!危ない!!』

急にフリーザーが攻撃を仕掛けてきたがスパイアが咄嗟の判断でタツミをかばったため人的被害は出なかった。

タ「スパイア!大丈夫か!?」

ス『何とか大丈夫・・・。』

ク『なんでこんな事するんだ!』

フリ『人の土地にのこのこ入ってきておいて・・・よくそんな口が効けたものだな!』

フ『待って!別に僕たちは荒らしたわけでもないしそもそもそんな事をするつもりは一切ない!』

フリ『誰かと思ったらルギアのとこの息子か、ふん。お前ひとりに何が出来るってんだよ。そこで大人しく見てろよ。ここは子供がいる場所じゃねーんだよ!』

言い終わると同時にフリーザーはタツミの方へ行きタツミを攻撃しようとしたが

ス『トレーナーを攻撃するスタイル・・・どうかしているな。』

間にスパイアがいたためタツミまで攻撃は行かなかったが、それがさらに火に油を注ぐような形でフリーザーの怒りを増長させていた。

タ「これじゃとてもじゃないが話が出来ない・・・・。氷と言うことは・・・・スパイア!クラウン!』

ス『わかった!』

ク『よし、行くぞ!』

スパイアとクラウンは一緒に火炎放射をフリーザーに向けて放ったが、軽々と避けられスパイアが攻撃の為タツミの前からいなくなった隙に1人になったタツミが狙われた。

タ「!!!!」

フリ『くたばれぇぇぇぇ!!!!!』

ゴッ!

嫌な音が辺り一面に響き渡った。・・・そうフリーザーがタツミを攻撃したのだ。その衝撃でタツミは地面に叩き付けられた。

フ『タツミ!』

フィーロは咄嗟にタツミの元に駆け寄る。

タ「いててて・・・・。」

フ『タツミ大丈夫?怪我は・・・。』

タ「何とか大丈夫だけどかなり痛い・・・。」



ス『てめぇ・・・・お前こそくたばる覚悟はできているか・・・?』

その時スパイアが付けていたメガストーンが光りだした。

ク『これってまさか・・・。』

タ「いてててて・・・・・ん・・・?メガストーンが輝いている・・・。と言うことは・・・。」

スパイアの身体が光り輝いている。そしてその光が収まったときそこにいたのは・・・・

ス『・・・・お前いい加減にしろよ・・?』

タ「スパイア・・・その姿・・・。」

ク『あれがメガ進化ってやつなのか・・・?』

そう、スパイアはメガ進化しメガリザードンXへと進化した。

ク『スパイア、お前凄いな!』

ス『・・・・少し黙っていてくれ。その間にあいつを仕留める・・・。』

タ「・・・・スパイアの奴・・・ちょっとやばい目をしている・・・クラウン!スパイアを止めろ!」

ク『えっ・・・!わかった!』

タツミからの言葉を聞きクラウンはスパイアを止めようとしたが一歩遅くスパイアは普通では考えられない速さでフリーザーの首元まで迫った。

ス『・・・・遅すぎるんだよ・・・・。』

フリ『・・・・!!』

フリーザーは高速移動で離れようとしたがその前に翼にスパイアのきりさくがヒットした。また素早い動きで両翼を共に狙い撃ちしたかのようにヒットした。また続けざまに軽く火炎放射で体力を削っていた。
それはまるで苦しみを味合わせようと感じ取れるような攻撃だった、

フリ『なんだこいつ・・・・うっ・・・。』

翼を打った為か痛みが出てきて飛ぶことが困難になったフリーザーは地面へと降りて行った・・・・しかし、

ス『・・・・そんなもんなのか?伝説級って言っても張り合いないな。タツミを直接攻撃した罰だ・・・。とどめを刺してやるよ・・・。』

フリーザーはその言葉を聞いてぞっとした。さっきまでこんなに威圧感や殺気が無かったスパイアがこんな姿を見せたためだ。

タ「・・・つっ・・・!スパイア・・・!」

フ『タツミ!危ないよ!それに怪我もしているじゃない!』

タ「でもあのままだとスパイアは・・・絶対・・・。」

ク『・・・・・・スパイアの奴・・・まったく世話が焼けるな。タツミ!ここは僕に任せて!・・・絶対スパイアを元に戻すから・・・!』

そう言い残すとクラウンはスパイアの元へ駆けていった。


ス『・・・・・・くたばれ。』

フリ『ま・・・待て!話せばわかる!私が悪かった!だから頼む!命だけは取らないでくれ!』

ス『・・・・うるさい・・・それがタツミに攻撃した奴の言葉か?つまらん。』

フリ『ま待て・・・頼むから!!あーーーーー!!!!!!』

スパイアは躊躇なくフリーザーの体に向かって今度は本気の火炎放射を至近距離から放った。


















ス『・・・・・クラウン、なんで邪魔した・・・・?』

ク『スパイア、お前さっきからやり過ぎだ。そこら辺で勘弁してやったらどうだ?それ以上やるともうそいつ以下になるぞ。逆にタツミが悲しむことになる。お前今までタツミに迷惑かけてきただろ?
これ以上またタツミを追い込む気か?』

ス『・・・・・・・・。』

スパイアはそっと強く押さえつけていたフリーザーの翼から手を離した。フリーザーは安堵した表情で

フリ『すまなかった・・・・よくここには密猟者が入ってきてな・・・はぁ・・・それでお前たちもその仲間かと・・・はぁ・・・・思っただけだ・・・。』

そこへ少々体をフィーロに支えてもらいながらタツミが来た。

タ「スパイア・・・・。フリーザー、それよりもお前怪我しているじゃないか。治療するからそこ動かないでよ?フィーロ手伝って。」

フ『うん!分かった。』


治療している際フリーザーから

フリ『襲ったし怪我もさせたのに何で私の事をかばうんだ?』

タ「さぁ?まぁスパイアが色々と迷惑かけちゃったからね。あと、性格上放っておくのも嫌だからかな?」

フリ『・・・・すまなかった・・・・。急に襲ったりして・・・。怪我の方が大丈夫なのか?』

タ「怪我?あー、ちょっと脇腹とか鎖骨とか痛いけどそれほど重症な程じゃないと思うから気にしなくていいよ。」

フリ『そうか・・・・。ところで名前を聞いていなかったな。私はフリーザー、君は?』

タ「僕?僕はタツミ。」

フリ『タツミか・・・。』


一通り治療が終わった後、タツミはスパイアの前に立ち

タ「スパイア、僕の事を思ってくれるのは良いけど我を忘れて攻撃するのはあんまり良くないぞ。まぁ次からは気をつけてね。」

ス『・・・・・ごめん・・・・。』

スパイアはまだメガ進化したままだ。それを不思議に思ったタツミは

タ「?メガ進化って普通勝負が終わったら元に戻るって聞いたけど・・・スパイア、調子悪くない?」

ス『・・・いや、特に調子は変じゃない・・・・。』

タ「うーん・・・後でオーキド博士に聞いておくことにしようか。それよりももう3時だ。早めに行かないと約束の時間に間に合わなくなる。・・・それじゃ、フリーザー、これからは気を付けてよ。それじゃ。・・・所で出口どっちだっけ?」

フリ『出口まで案内しよう・・・。それと・・・すまなかった・・・。』


その後フリーザーに案内されて洞窟の外へと出た。そこにはさっきまでの活気はなくただ波の音だけがする静かな砂浜が広がっていた。

タ「ほぉ~綺麗だね。それよりも早めに行こう。スパイア、疲れたでしょ?ボールに戻って休んでおく?」

ス『・・・・・・・そうするよ・・・・。』

ク『(あちゃ~・・・スパイア落ち込んでいるよ・・。それよりもまだメガ進化したままなんだな・・・。)』



結局ふたご島からはレガに飛んでもらいグレンまで向かった。その道中レガはスパイアの事を気に掛けていたがタツミは「大丈夫だよ、疲れただけだろう。」と不安を煽らなかった。

レガ『タツミ大丈夫?また何かスパイアが・・・。』

タ「いや、大丈夫大丈夫。気にしないで。」

レガ『・・・・・。』

その会話の後グレンまでタツミは言葉を発することはなかった。

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