第10話 レッツパァリィィィィィ!

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おひさー、でござりまする。とてもとても暇でござったがどうにもこうにも書く気が起きなくて御無沙汰しておりました。更新が遅く相成って申し訳ない。(←今のマイブーム)
アパートこがね色
「…ねぇ、レン?」
「ん?」
「シロンちゃんを…」
「無理」
即答かよぉぉぉぉ、そりゃ、私だって周りの目を気にしなければ別にいいんだよ?
でもそれが出来ないんだよぉ、私はそこまで大らかじゃないんだよぉぉ! つかそれはマイペースダヨォォォォォ!
帰り道、ぴったりと後ろにくっつくように歩くシロンちゃん。そしてその後ろには大量の荷物を担ぐワンリキーとカイリキーの集団。と遥か後方に場違いのようにくっついてくるププリン。
正直、周りの目が痛い。
あ、てめぇ、そこのカイリュウのカップル、こっち見て笑うんじゃねぇ!
そして仲良く長い一本マフラーを巻くんじゃねぇ!
………正直可愛いです、お二人ともお似合いです。ごめんなさい。
「ねぇ、お姉ちゃん、何ブツブツ言ってんの?」
「気にすんな、チャム。独り言だ独り言」
「ふぅん」
私が答える前にレンがさらっと答える。
むぅ…また口に出てたか。この癖どうにかしないと…。
「妬ましいですよね…」
「ひい!」
後ろからぼそりと聞こえた何やら恐ろしい声。
驚いて後ろを見るがきょとんとしたシロンちゃんがいるだけで誰もいない。
……空耳?
「どうかしました?」
「今なんか言わなかった?」
「何をです?」
「わからないんだったらいいの、たぶん空耳だから!」
まさか、シロンちゃんがあんなこと言うわけないし、っていうかシロンちゃんでなくて本当によかった…。
もし、シロンちゃんがあんなこと言う恐ろしい子だったら私の中のシロンちゃんのイメージ像が崩れるよ。
しかし、先ほどの声がカップルが横を通るたびに後ろから聞こえてくる。
これはもう確定か……信じたくないよぉ。こんな可愛いのにぃ……。
「ふふふ……冷凍ビームで凍らせてやろうかしら……」
「シロンちゃん!」
「な、なんでしょう?」
「ねぇ、まさかとは思うけど二重人格?」
まさかねぇ?
本当にまさかとは思うけど一応ねぇ?
「ど、どうして分かったの?」
うわぁお、まさかのまさかだよ。質問した私がびっくり仰天だよ。天地がひっくり返った気分だよ。
「…私のこと軽蔑します?」
「はぁ?」
「こんな私なんか嫌いでしょ?」
「全然、なんでさ?」
「……だって気味悪くない?」
もう一度私は全然、と答える。そりゃあ後ろでぶつぶつ言われてたら気味悪いけどそれが性格のせいならば……というかそれを先に言ってくれればある程度身構えることは出来るしさ。
「……こんな性格でも?」
「だからさぁ~気にしないって言ってるじゃないの! それにそれはシロンちゃんの個性だよ、個性!」
私の独り言もまたしかり。これは個性、それ以上でも以下でもない。もしかしたらその個性でいいことが起こるかもしれないし起こらないかもしれない。まぁ起こらないだろうけど。
「……そういやシロンちゃん。こんなに買ってどうするの?」
この話題はあまり続けられないなと思った私は後ろをぞろぞろと歩く家具持ちワンリキーたちを見て思った事を聞いてみる。
「えぇと、なんか新しい人が入ったから新入会を……」
「あ、だめ! シロンちゃん!」
何かをシロンちゃんが言いかけたところでチャムちゃんが突っ走ってきた。
「だめだよ、シロンちゃん。言っちゃだめ!」
「ふえぇ、どうして?」
「とにかく駄目なものは駄目なの、わかった?」
「う、うん」
私はそのまま蚊帳の外。シロンちゃんにしつこく聞いてみてもチャムちゃんがジッと見てるから口を開かないしレンはレンでにやけてるし。
内容を理解出来ないままいつものアパートこがね色に付いてしまった。何度聞いても教えてくれないので仕方なくやっと日課になり始めた筋トレの手伝いをレンに頼もうとした。
「レン、ちょっと私の筋トレに……」
「お姉ちゃん、あーそぼ?」
「……………………ねぇチャムちゃん、あのさ……」
「かくれんぼ、かくれんぼしよっ?」
「二人でやってもなんにも面白くないと思うけど……」
「シロンちゃんもやるって!」
「えぇ!? 私はいいよぅ……」
「いいからいいから、ほら私が鬼ね? いーちにーいさーん……」
流された感すんごいけどこのまま負けるのはなんか癪だし何より負けたくないし……えぇい、やるしかねぇ!
「シロンちゃん、行くよっ!」
「え、ちょっ……」



「お姉ちゃんみーっけ!」
「くそぅ……ここなら見つからないと思ったのに……」
木の上にぽっかり空いた空間で息を潜めてジッとしてたのに思いの他あっさり見つかってしまった。えへへと笑うチャムちゃん。
可愛いなぁ……もう。
「さーて、シロンちゃん見つけよーっと」
そういって私の手を掴みながら走り出す。しかし私は気付いている。後ろからこそこそ付いてくる影に。
ちらっと後ろを見るとやっぱりいた。白い体が目立ちながらも付いてくる。私と目が合うとシーッと口元に前ヒレを持ってくる。
「シロンちゃーん?」
そんなことは露知らずチャムちゃんは岩陰や草陰などを重点的に探している。当の本人がまさか移動しながら隠れているということに気づいていないらしい。
ふと後ろが気になってもう一度振り向いてみるともうそこにシロンちゃんの姿はなかった。
「あ…あれぇ?」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「…今そこに、あれぇ?」
しばらくしてもチャムちゃんだけじゃ本当に見つからなさそうなので私も本気で探す。
しかしそのままシロンちゃんを見つけることは出来ずコモさんがチャムちゃんを呼び戻しに来てやっとシロンちゃんが出てきた。しかも、目の前からヌッと出てきた。一体全体どこに隠れていたというのか。
挙句の果てにチャムちゃんはシロンちゃんを見つけることが出来なかったからかむっすりしている。
「ほら、ゆみも入って入って」
コモさんが顔を覗かせると前の二人がコモさんの部屋に急いで駆け込んでいった。それについていけなかった私は取り残され、コモさんに急かされる。
「はら早く来なさい!」
「うわっ、ちょ、コモさん、何すんの!」
のたのたとコモさんの部屋までのんびり歩いていたらコモさんに担ぎ上げられた。
コモさん…恥ずかしいよぉ!
「ほら、みんなゆみのためにいろいろ準備してくれたのよ?」
「おせーぞ、主役が来なきゃ俺らが折角作ったのに上げ膳据え膳で終わっちまうだろ。早く座れ」
「へ?」
レンがちょいちょいと私を手招く。呼ばれるままに私はレンの横に座るが私には何が何だかさっぱりである。
つか、目の前のリングマ…誰? こっち超睨んでくるんだけど…、怖いんだけど…。
「さぁ、みんな揃ったわね?」
「神様がいないよ~?」
チャムちゃんがコモさんに言う。そういえばケシンサマ…あれから全然見ないけど何してるんだか…。
つか、本当に誰だよ、目の前のリングマ…、怖いからそんなに睨まないで欲しいんですけど…。
「神様はいいのよ、あの人は気が向いたら来るでしょうし」
「んな来てねー奴のことなんかよりとっとと始めよー」
リングマが大きく声を上げた。始めるって…何を?
そう思ってると隣にチャムちゃんが座り私に向けてにんまり笑う。
「お姉ちゃん、楽しんでいってね?」
いったい何が…と言いかけたところでレンが立ち上がり
「え~、ま、前置きは省略。ゆみが新しくこの新居に入ったことに…乾杯!」
「「かんぱ~い!」」
「えっと、乾杯」
「さぁさぁ、レン。手伝ってちょうだい」
「あいあい」
私の目の前の長テーブルには豪華な料理が次々と流れるように運ばれてくる。そしてそれらは私の腹に収まるよりも先に目の前にいるリングマの口と隣のチャムちゃんの口に入っていく。
うぅむ、一体あの体のどこに入っていくのか……。
私は目の前のエビチリを食べたくて大皿から小皿に取ろうとスプーンを伸ばした。しかしあと少しのところで皿が消えた。
皿を目で追うとシロンちゃんの手元にあった。
「……食べる?」
「そりゃもちろん」
チャムちゃんの隣からシロンちゃんの隣へ移動して小皿にエビチリをよそって貰う。
うん、旨い。流石コモさん。私には絶対作れない。
「ねぇシロンちゃん、あのリングマ誰?」
「うぇ!? あ、バンチョーのこと? 私、あの人苦手……」
あぁ、なんだ、バンチョーか。なぁーんだ。あいつか。
私がヒメグマが欲しくて友達から卵で貰って喜んでたらあっという間に進化しやがって最早、可愛いが消えて雄々しくなっちゃったあいつか。
んで、最早前の名前は似合わないから名前変えたんだっけ。なんだっけかなぁ……、あいつの名前。
う~んと唸りつつ思い出そうとしているとレンが両腕に一つづつと頭に一個大皿を載せてのしのしとこっちに来る。
「おいこら、テメーら。なんで主役より食ってんだよ」
「いいじゃねぇか、どうせこんなチミッコに食いきれるわけねぇんだし」
そうだそうだとチャムちゃんがはやし立てる。
そんな二人の前にレンは呆れたように大皿に盛られた料理を置く。
「ほれ、お前らも食え。つか食わねぇと奴等に全部持ってかれるぞ」
「うん、ありがと、レン」
私がお礼を言うと照れくさそうにあいあいと軽い返しをして台所に消えていく。
それにしてもバンチョーの前の名前……私なんてつけたっけかなぁ……。バンチョーってつけた理由はわかるんだけどなぁ……。う~ん……。
「おい、そこのチミッコ!」
「チミッコじゃなくてゆみお姉ちゃんだよ!」
チャムちゃんが訂正して突っ込む。
ん、チミッコ?
そういやヒメグマのときはちっこかったなぁ……、あのままなら可愛かったのにね。チミッコ……おチビ……チビ……チビ?
「あー!」
「ひゃっ、ど、どうしたのゆみ?」
「思い出したの!」
私の頭の中で電流が流れたかのようにヒメグマが生まれた時の記憶が蘇ってきた。


『キャー、ちっちゃくて可愛いぃぃぃぃぃ! なにこの愛くるしいポケモン!キャーーーーー! 名前何にしよっかなぁ、えっとぉ……じゃあ、ちっちゃくて可愛いからぁ……』


「ちびた! そうだよバンチョー、あんた、ちびたでしょ!」
ビシッと人差し指で指差すとみるみるうちにバンチョーの瞳孔が見開かれていく。
あ、やべ、これ地雷か。バンチョーの地雷だったか?
わなわなと茶色い毛を逆立てながら身体を震わせる。私を含め隣にいたシロンちゃんも怯える。いったいこれからどんなことが待ち受けているのか……!
次回衝撃の事実が……ッ?
変なとこで切ったなと思われるで御座ろうが本音をもうしますと疲れたのでござる……あい、申し訳ない!

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