第4話 お味噌汁。

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紫雲さん、感想ありがと~!!え~と何がいいたいかといいますと感想を貰いました。だからありがと~って感じです。←何を言いたいんだこいつは…。
「えへへ…レンの匂いだ。ふっかふっかで温か~い‼」
「まじでここで寝るのか?」
「仕方ないじゃない、寝るとこがないんだから」
「え~~…まじか」
可愛い女の子が一緒に寝てあげるんだから少しくらい喜びなさいよ‼
私だって女の子の扱いはされたい…。
まぁね、私に女の子らしい要素が一つもないことは認めますよ。えぇ自覚してますとも。酒は飲むわ、料理はできないわ、洗濯すらもできやしない。これのどこが女らしいていうんだよぉぉぉおぉ‼………言ってて悲しくなってきた。
でもでも、それでも生物学上は雌なんだよ。
……生物学上でしか女って証明できない私っていったい…。
「わかったわかった。そんなに落ち込むな。ただ条件がある」
条件?と聞き返すと、うんと相槌を打つ。
「キッチンには立つな、掃除もするな、何もするな」
「それはなに、私に家事をするなって言いたいの?」
「うん」
そ、そんなにか!即答するほど駄目か!!
う~~~~じゃあ……じゃあさ、じゃあさぁ…。
「私の女磨きを手伝えぇぇえ!!」
「やだ、めんどい」
「いーじゃん、どうせ暇でしょ。今日は休みなんでしょ?手伝ってくれたっていいじゃないかあぁぁぁあ!!」
「………………」
うっ、何もそんな目付きしなくてもいいじゃないか。
なんだその俺じゃなくてもいいだろみたいな目は。
むむむ……こう言うときはコモさんの手を借りようじゃないか。
「コモさ~ん!!ヘルプ……あれ?」
一階にあるコモさんの部屋に行ってみると誰もいなかった。
「あなただ~れ?」
「かっ…」
訂正、可愛い可愛いコモさんがいました。
「くぁわいいぃぃぃいい‼」
あはは、小っちゃいコモさんだぁ~。可愛いなぁ~。コモさんの子どもかな?でもやっぱり色は受け継がなかったんだね。普通のガルーラの色が濃い感じ。ちょっと残念。
……レンもこんな感じのときあったのかな?こういう風に童顔なのかなぁ?
だったらかわいいだろ~なぁ~。あれ、よく考えたらバクフーンの進化前ってヒノアラシじゃん。ってことは細目?
「おばちゃんだ~れ?」
「お、おばちゃん!?」
言っておくけど私まだ二十代なんだけど…。でも、こういう小さい子からしたら私はおばちゃんなんだろうな。
「…………。そ、そうだお母さんいる?」
「知らない人には教えないよ~」
くっ、さすがコモさん。こういうところではやっぱりしっかりしてるな。やっぱり手持ちの中での頼もしき存在だったからか。
でも、ここで引き下がるわけのはいかないのだ。私の女子力アップのためには教えてもらうまでは帰れないのだ。
「じゃあ、お母さん何か言ってなかった?」
「言わないよ~だ」
「くっ…だめか」
う~ん、私の浅知恵ではこの子を動かせるものがない。第一、コモさんだって今日会ったばかりだし…。
「でも…」
「?」
「でも…私、今暇なんだ~。だからね遊んでくれたら教えてあげてもいいよ~」
「いよっしゃぁああぁぁ‼遊ぶぞ~‼」
思わぬ展開に思いっきり叫んでしまった。ぬっふっふ…これでも私、昔は遊び人ゆみとして近所を騒がせたものよ。そんな私と遊ぼうだと…やってやろうじゃないか。思いっきり遊んでやろうじゃないか!?
「ふふふ…何して遊ぶんだい?鬼ごっこ?木登り?かくれんぼ?缶けり?なんでもいいぞぉ」
「本当?じゃあじゃあ駆けっこしよ?」
外いこうと言われ、あれ何しに来たんだっけと本当に何も思い出せないでいると早く早く~と可愛い顔で言われては待たせるわけにはいかない。
ふと、上を見ると六つの部屋が見えた。
もしかしたらここには私のほかの手持ちたちも過ごしているのかもしれない。
でもそれは後、後。会う機会があれば会えるでしょう。
今は遊びに集中、集中。
「えっとね、えっとねここからあの木まで走ってタッチしてここに戻ってくる遊びするの」
外に出て道路を見てみると言われた通り道路の先に大きな木が見えた。
「ねぇ本気でいい?」
そう、子どもだろうと女だろうと私は手は抜かないわけよ。もちろんこの子はいいよと気前よく返事してくれた。そこ、大人げないとか言わないの。勝負は勝負。勝てなきゃ、やる意味ないのよ!
「いくよ~、よ~い…ドン‼」
その合図とともに思いっきり足を出した。ぴんと張る私の筋肉。ぐっと踏み込むつま先。風になびく私の髪の毛。足を出すたびに視界の隅に消えていく景色。
あぁこれだよ、これ。この感じ。ここ何年ぶりだろう?こんなに思いっきり走ったのは。
ふと、横を見ると、だったかだったか音を立てながら歯を食いしばって走っているあの子。
少し目が合うとニッと八重歯をのぞかせて笑った。
私もつられて口角が緩むのがなんとなく感じられた。
「おばちゃん早いね~」
「言っておくけど私まだ二十代だから」
走り終わって地べたに座りながら話してるとそんなことを言われた。そうなのだ。私はまだピッチピチの26歳なのだ。
だからまだおばちゃん言われる筋合いはないはず……多分。
「じゃあお姉ちゃんだ」
可愛いなぁ。もう本当に可愛いよ。反則的だよその満面の笑顔。
レンとは大違い。あいつ全然笑わねぇし、ねちねちねちねちしつこいし。挙句の果てに私を見ても女扱いしてくれないしさ。
その反面子どもっていいよね。素直だし何よりすぐなついてくれるしさ。
「ねぇお姉ちゃん?お母さんに何のよう?」
「あっそうだった、そうだった。お母さんに料理を教えてもらおうと思って…」
「あたし、料理出来るよ?」
えへへっと黒く大きな瞳を細めながら可愛く笑って私の顔を見上げる。
「本当?教えてくれる?…ところで何歳?」
「え~っとねぇ…10歳!!」
指折りしながら数えた結果、私と16も離れていることに気づく。そして私はこんな小さな子にも女として負けていることを実感させられる。
心の中の悪魔が私の天使に向かって不器用、ドぶす、変態と書かれた黒い槍を投げつけている様子が頭の中に浮かんで真っ黒な気分になりかける。
えぇい、止めんか。黒いの。ってか何だ変態って!!私は変態ではない!!
そう言うと手が止まって変態と書かれた槍を仕舞い込み別の槍を取り出した。
ロリコン…とかかれた槍を。
「うがぁぁああぁ!!」
「ど、どうしたのお姉ちゃん?」
はっと気がつくとコモさんの部屋の前に立っていた。どうやら叫ぶと同時にびったんびったんドアを叩いていたらしい。手が痛たい。あんの悪魔野郎、今度出てきたらぶっ飛ばしてやる。
なんでもないよ。と慌てて言って部屋に入っていく。なんだかなぁ…。
「ふ~んふんふん♪」
なんて鼻歌を歌いながら小さい手で包丁片手に踏み台に乗ってとんとんとリズミカルに野菜を刻んでいく。私はそれすら出来ない。
「でね、これをお鍋にいれま~す」
彼女はとても楽しそうに次々と下ごしらえをこなしていく。う~む、手際がいい。
「コツはね、次に何をするかを考えておくことだよ」
「何をするか?」
「うん、別に切り方なんて適当でいいの。その代わり順序良く味付けをしていくことのほうが大事なんだ」
へぇ…と聞いてて思い当たる事が一つあった。私はろくに料理が出来ないくせに切り口がかっこ悪いだの醤油を量るのがめんどくさくて目分量で入れてたりしてた。それで鍋を焦がしたり味付けに失敗したりしてたっけ。
「あとね、しっかり下準備はすること。それさえ守れば失敗はしないよ?」
最後に味噌らしき茶色いものを溶かしたら完成。で、出来たのは大根の味噌汁。
二つのおわんによそってずずっと啜ってほっと一息。おいしいねぇ。
「ねぇお姉ちゃん?」
「なぁに?」
「眠くなってきちゃった」
だからね…と言われてきゅんとしちゃうのは私がロリコンだからでしょうか?
そんなことは無いと思うんだけどなぁ…。
うん、いろいろお世話になったしこれくらいしてあげてもいいよね?コモさんの代わりになったと思えばいいか。
くぁぁぁ~。
私も眠くなってきちゃった。思いっきり走ったからなぁ~。どれ、私も…。

「ただいま~、ってあら?」
コモさんはくすくす笑っていました。コモさんの目の前には二人仲良く並んで寝ている姿がありましたから。その姿を見てコモさんも横になって一緒に眠りましたとさ。

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