エージェント

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:2分

 かつて、人とポケモンはお互いの世界の中で暮らしていた。

 それは時折交わることがあっても、おおむね重ならぬものであった。

 世界はそれで均衡を保ち、二つの種族は平和の中に暮らしていた。







 ――が、あるとき人間はその境界を侵し、ポケモンに対して戦争を仕掛ける。

 ポケモン、当時ガーディアンと呼ばれていた存在はそれに怒り、瞬く間に人の世界を飲み込んでいく。それに恐怖した人間は、ガーディアンたちに非常に「近しい」人間たちを通じてガーディアンと和睦した。

 それで平和は戻ったけれど、均衡を崩した世界はお互いに浸食を始めた。

 人に興味を持つガーディアン。

 ガーディアンに興味を持つ人。

 やがて徐々に、時間をかけて近づいたその距離で、小さな問題が頻発し始めた。

 その時人が頼ったのが、ガーディアンに近しい人間たち。

 すなわち、トレーナーと呼ばれていた人間たちであった。









 世界と世界の、侵されざる境界を守る者たち。

 かつてあった戦争が時に風化し忘れ去られても、彼らはただ守るために鍛えた力をふるう。

 人よりポケモンの世界に近しく、二つの世界の中に争いが起こらぬよう、境界に立つ者たち。









 人はやがて、彼らをトレーナーではなく、エージェントと呼ぶようになった。








読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想