かつて、人とポケモンはお互いの世界の中で暮らしていた。
それは時折交わることがあっても、おおむね重ならぬものであった。
世界はそれで均衡を保ち、二つの種族は平和の中に暮らしていた。
――が、あるとき人間はその境界を侵し、ポケモンに対して戦争を仕掛ける。
ポケモン、当時ガーディアンと呼ばれていた存在はそれに怒り、瞬く間に人の世界を飲み込んでいく。それに恐怖した人間は、ガーディアンたちに非常に「近しい」人間たちを通じてガーディアンと和睦した。
それで平和は戻ったけれど、均衡を崩した世界はお互いに浸食を始めた。
人に興味を持つガーディアン。
ガーディアンに興味を持つ人。
やがて徐々に、時間をかけて近づいたその距離で、小さな問題が頻発し始めた。
その時人が頼ったのが、ガーディアンに近しい人間たち。
すなわち、トレーナーと呼ばれていた人間たちであった。
世界と世界の、侵されざる境界を守る者たち。
かつてあった戦争が時に風化し忘れ去られても、彼らはただ守るために鍛えた力をふるう。
人よりポケモンの世界に近しく、二つの世界の中に争いが起こらぬよう、境界に立つ者たち。
人はやがて、彼らをトレーナーではなく、エージェントと呼ぶようになった。