朝っぱらからのハプニングほどベタな悲劇はない

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 朝。
 サトシは、いつもの時間に、いつもの寝袋から出る。
 この後もいつも通りに過ごす、はずだった。
 ふと、自分の周りが、いつもと違う事に気付く。
 出てきた寝袋が、異様に大きい。何事かと振り返ると、自分の目の前に黄色くて長いものが。
(これ、どこかで見た様な…?!)
 まさかと思い、隣を見る、すると、いつもサトシと一緒にいた、相棒ピカチュウの姿が見当たらない。
「ピカチュウ、どうしたんだろう」
 不安を覚えながらも、確認のため水か鏡を探す。
 少し歩いた先に、池があったはずだ。
 遂にやってきた池の前。つばをごくりと飲み込み、池を覗く。
「なん、だ、これ…」
 目の前に映っているのは、人間であるサトシではない。サトシの帽子を被ったピカチュウだ。
「何でだよ…どうなってるんだよぉー!!!!」
 声の限り叫ぶが、それで元に戻るわけでも、誰かが答えを教えてくれるわけでもなく。
 その場に力なく座り込む。すると、
「もう、何よサトシ。今の声…」
「一体、何がどうしたんだい?」
 言い終わるや否や、驚愕の声をあげたのは、ご存じサトシの旅の仲間、
「…アイリス?デント?」
 そう。あくまで声だけは。
 二人の姿も、人間ではなかった。どこからどう見ても、ポケモンだ。
 アイリスは可愛らしいエモンガ。デントはひょうきんな顔をしたヤナップだ。
「そう言うアンタは、まさかサトシ?!」
 そりゃ、驚くのも無理はない。
 なぜなら、お互い元々は人間だったのだから。
「みんなポケモンになっただなんて…まさに、ワンダフルでミステリアスなバッドテイストだね…」
「そんな呑気にテイスティングしてる場合じゃないでしょ!早く原因を見つけて、元に戻らなきゃ!それに、キバゴ達の姿がないのよ。モンスターボールも。…もしかしたら、あたし達がポケモンになった事と、何か関係があるのかも…」
 今回のアイリスは、なんだか冴えている様だ。
「よし、とにかく行こう!そのうち何か分かるさ!」

 かくして、自分たちがポケモンになった理由を探り、元に戻るべく、彼らの旅は始まった。
「よしアイリス。オレらを乗せて次の町まで飛ぶんだ!」
「イヤよ!っていうか無理よ!!」
「確かに、6㎏+10.5㎏を乗せるのは、今は5㎏のアイリスには無理だね…」

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