【FINAL TALE】運命の決着

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:9分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

<SIDE ピカチュウ>

アンディとサーナイトさんを引き連れ、今までで一番異様な雰囲気のダンジョンへ足を踏み入れる。

ポリゴン/アンディ
「何だか僕、今日は一際緊張してるなぁ・・・」
ピカチュウ/廉太郎
「俺もだ・・・。 世界の運命を賭けた、最後の戦いが始まると思うと・・・」

そんな言葉を交わしてから間もなくの事。
目の前に大勢の敵が現れ、行く手をふさぐ。

ヘルガーの衛兵たち
「・・・一斉に火炎放射・・・!」
「ラジャー!」

サーナイト
「マジカルシャイン・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「瓦割り・・・!」

ヘルガーの衛兵たち
「ぐわあっ・・・!」
「おのれぇっ・・・!」

4、5匹ほどの敵兵を蹴散らし、急ぎ目のペースでダンジョンを奥へと向かう。

サーナイト
「・・・今のうちに奥へ向かいましょう!」
ピカチュウ/廉太郎
「はい・・・!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから、狭い通路をしばらく進んでいると・・・。

ポリゴン2の衛兵
「・・・全軍、シャドーボール・・・!」

今度は3匹の敵兵たちが道をふさぐ。

ポリゴン/アンディ
「ここは僕が前に出る! ・・・10万ボルト!」

アンディの10万ボルトが敵を阻むとともに、俺とサーナイトさんはその背後へと飛び上がる。

サーナイト
「サイコキネシス・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「瓦割り・・・!」

それから息を合わせ、それぞれの技を勢いよく敵に叩きこんだ。

ポリゴン2の衛兵たち
「・・・・・・・・!」

そして俺たちは、足並みをそろえ素早くその場を後にしようとするのだが・・・。

ポリゴン2の衛兵たち
「・・・敵前方、全軍冷凍ビーム!」

サーナイト
「・・・リフレクター!!」

サーナイトさんは技を片手で受け切るのと同時に飛び上がった。

サーナイト
「・・・続けてマジカルシャイン・・・!!」

ポリゴン2の衛兵たち
「・・・・・・・・!」

敵兵たちがマジカルシャインを受けてばたばたと倒れていく。
それを尻目に、俺たちはダンジョンの更に奥へと急いだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こうして俺たちは、やっとの想いで最奥部へと辿り着く。
そこにはヒスイバクフーンとドータクンが待ち構えていた。

ヒスイバクフーン
「・・・よくここまで来てくれた、世界樹の記憶を継ぐ者よ」
ピカチュウ/廉太郎
「バクフーン・・・! ・・・とにかく早く決着を付けましょう」
ヒスイバクフーン
「解っているさ。 ・・・百鬼夜行!」
ピカチュウ/廉太郎
「雷パンチ・・・!」

俺がヒスイバクフーンの懐へ飛び込むのとほぼ同じ頃。

ドータクン
「・・・親方の邪魔だけはさせねぇぜ、サイコショック!」
サーナイト
「・・・・・・・・!」
ポリゴン/アンディ
「危ないっ・・・! ・・・シャドーボール・・・!」
サーナイト
「ハイパーボイス・・・!」

3匹の技が激しくぶつかり合って消える。

ヒスイバクフーン
「シャドークロー・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「アイアンテール・・・!」

俺たち2匹もお互いに、激しい衝撃を受けて吹き飛ばされた。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・ところで、どうして世界を滅ぼそうだなんて考えたんだ・・・!」
ヒスイバクフーン
「・・・この世の全ての絶望を断ち切る為だ」
ピカチュウ/廉太郎
「全ての、絶望を・・・?」
ヒスイバクフーン
「・・・ああ」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・それだけで、本当に断ち切れるって言うんですか?」
ヒスイバクフーン
「・・・そう信じて今までやって来たんだ」

一方その頃。

ドータクン
「ステルスロック・・・!」

ドータクンは四方八方にステルスロックを飛ばし、アンディとサーナイトさんを妨害しようとする。

サーナイト
「ハイパーボイス・・・!」

サーナイトさんの技が飛び交う岩を一気に砕いていく。

ポリゴン/アンディ
「もう一度シャドーボール・・・!」
ドータクン
「ちっ・・・!」

ピカチュウ/廉太郎
「雷パンチ・・・!」
ヒスイバクフーン
「シャドークロー・・・!」

それから自ら技を叩き込んだり、敵の技を避けたりするのを、互いに必死になって繰り返していた。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・・・・・・!」
ヒスイバクフーン
「・・・・・・・・!」

しかし、数分後。

ヒスイバクフーン
「・・・百鬼夜行・・・!!」

いつになく苛烈さの感じられる技だ。
俺の身体は一瞬のうちに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまった。

ポリゴン/アンディ
「お兄ちゃん・・・!」
サーナイト
「ピカチュウさん・・・!」

ヒスイバクフーンはその後も、容赦なく俺に迫る。

ヒスイバクフーン
「・・・立ち上がれないというのか」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・全然そんな事は・・・!」
ヒスイバクフーン
「・・・もたもたと戦うより、とにかく早くけりを付けるぞ」

俺は頷きながら再び立ち上がる。

ピカチュウ/廉太郎
「もう一度雷パンチ・・・!」
ヒスイバクフーン
「・・・・・・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・未来の為なら、俺は何度だって立ち上がれます・・・!」
ヒスイバクフーン
「何が『未来の為なら』だ・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・未来も希望も諦めた奴に、自分の大事な未来まで奪わせてたまるか・・・!」
ヒスイバクフーン
「ぐっ・・・!」

一方その頃。

サーナイト
「・・・もう一度ハイパーボイス・・・!」
ポリゴン/アンディ
「・・・シャドーボール!」
ドータクン
「・・・・・・・・!」

アンディとサーナイトさんもまた、息を切らしながら最後の一撃を叩き込む。

ドータクン
「気を確かに持て、親方・・・!」
ヒスイバクフーン
「・・・・・・・・」

ヒスイバクフーンは地面へと倒れ伏せる。

ヒスイバクフーン
「諦めた、か・・・
 ・・・諦めなかったとして、わたしの未来には一体何が見えていただろうか・・・」
ドータクン
「親方・・・」

それから間もなく、彼の身体はドータクンに抱き抱えられる。

ヒスイバクフーン
「・・・ひとまずこれで充分だ。
 ・・・ようやく、気が楽になったな・・・」
ドータクン
「気を確かにっつってんだろ、親方・・・!」

ドータクンはこのまま、どこかへと姿を眩ましてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、俺たちはやっとの想いで世界樹の目の前まで到達した。

サーナイト
「・・・早いところ使命を完遂しましょう」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・はい」

俺とサーナイトさんが、ほんの一瞬だけアンディに背を向けた時の事。

ポリゴン/アンディ
「お兄ちゃん、サーナイトさん・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「アンディ・・・?」
ポリゴン/アンディ
「一緒に冒険した事、ずっと忘れないからね」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・ああ」
サーナイト
「・・・ええ」

俺たち2匹は再び振り向くと、ゆっくりと世界樹の扉の方へ歩きだすのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、世界樹の闇を浄化し終わってからの事。

ピカチュウ/廉太郎
「これでようやく世界を救えた、のか・・・?」
サーナイト
「その通りです。 お力添えいただき、本当にありがとうございました」

サーナイトさんの姿が、遠くに消えゆく気がする。

サーナイト
「・・・あちらの世界に戻っても、どうかお元気でいて下さいね」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・ええ」

こうして彼女に別れを告げてから、間もなくの事。
自分自身もまた、虚空に身体を溶かすかのような感覚を覚える。

・・・これで、この世界ともお別れなんだなぁ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、人間世界へと帰還してからの事。
俺はあの時のように、ぼんやりと時を過ごしている。
・・・俺だけが知る世界のみんなの、日々の安らぎを願いつつ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【THE END】
『ポケダン外伝 重なり合う運命』の本編は、これにて完結となります。
全49話に渡って本作をお読み頂き、本当にありがとうございました!

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想