day19-2

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今日は4月18日。酷道界隈では日本最強酷道の国道418号の日。その他良い歯の日とか椎葉の日とか色々な日ですね。
「話を聞くだけだったのにどうしてこうなった。訳が分からないよ。」

急遽気味が悪いコラッタと一緒にハナダの岬に存在している建物へとお邪魔する事になったコウイチ達。
ハナダの岬と書かれた看板からその建物は少々高い位置に存在しており、湖からは見える位置に存在している。しかしそのように人目に付く事からか、いつの間にか幽霊屋敷という異名を付けられ、その建物は心霊スポットだから安易に近づくなという噂を立てられたりしているとそのコラッタは話を続けた。

「にしても僕達で良かったんです?こんなハクリューとかリザードンとか連れているので攻撃されるとか逆にすぐ逃げられるとか考えなかったのですか?」

「兄ちゃんも中々疑り深いなぁ~。兄ちゃんそもそもポケモンと話せるやろ?見たら分かるわ~、だから話しかけたっちゅう話やな。・・・そもそももう何人にも話したわ・・・みーんな気味悪がって逃げてったがな。おっそろそろ着くで。」

喋るコラッタに案内されながらコウイチは少々足場が悪い道を進んでいく。コラッタの話によると、少し前までは整備され歩きやすい道だったようだが、現在では獣道一歩手前まで荒廃してしまったという。

リ『歩きにくい・・・尻尾の炎が草木に移って炎上とか考えたくないけど考えてしまうなぁ・・・コウイチさん、ブイゼル一応出しておいた方が良いかも。延焼すると大惨事だし。』

ハ『私が居るから大丈夫でしょ?・・・えっ?私の水タイプ技だけだと厳しいって?それは・・・異論無いわ・・・分かった。コウイチさん、ブイゼルをボールから出しておいて?私だけだとちょっと戦力不足っぽいから・・・。』

「(ハクリューが珍しくリザードンの助言を聞いたな・・・何時もは反発するってのに)じゃあブイゼル出しておくか。ってもうすぐそこなんだけどなぁ・・・いっか。」

コウイチはブイゼルをボールから出す。しかしこの悪路ではまだ体が小さいブイゼルでは厳しいだろうとコウイチは肩に乗せ先へと進む。そしてその光景を見てハクリューは何とも言えない感情になったのはここだけの話である。




建物自体はしっかりとした造りの一軒家であった。コラッタは器用に鍵を開け扉を開けるとコウイチ達を中へと招き寄せる。ハクリューは大丈夫だったがリザードンが玄関ドアを通過できるか微妙な感じであった為、コウイチはリザードンだけをボールに戻し家の中へと入る。

「へぇ・・・結構家の中は広いんですね。外観からは想像できなかったですよ。・・・それでこの機械がそのポケモンとの合体マシーンって事ですか?如何にもそんな匂いがしますけど?」

「せや!これがワイが開発したポケモンと人間を合体させる画期的なマシーンや!・・・って元々はそんな合体させるなんて事は考えておらんで、遠くの人とポケモンを交換するっちゅー意味合いで開発しとったやつや。ボールで転送するとな・・・ポケモンだけで遠くに居る奴に送るよりも、かなりポケモン自身に負担になるわな・・・。それを改善する為にワイはここでこれを開発しとったちゅーわけや!」

「なるほど・・・でも何故ポケモンと合体する機械になっちゃったんですか??ポケモン交換するだけだったら合体は無いんじゃ・・・・。」

「本来はこっちからこっちに移動さえ出来れば良かったんやけども、こっからはワイの憶測やが、恐らくこっちとこっちの場所が入れ替わらへんといけんのに、すれ違う際にごちゃ混ぜになってこんな未確認生物っぽくお互いの体と意思がくっ付いったちゅー事やと思う。」

ハ『なんかそんなリスク背負うならボールで送ってもらった方が良いような気もするけどね・・・今回は人間とポケモンがくっ付いちゃったって感じだけど、これがポケモン同士だったら生態系のバランス崩れそう・・・。』

「研究目的で例外的にモンスターボールで捕まえてないポケモンを他所の地方に送るっちゅー事やっとる機関があるんや。あくまでもこれは一般向けやなくて業者向けっちゅー事やな!そもそも一般人には出せへん金額になるがな。」

「ほぉ・・・それで僕達に何をしろというんですか?」

「兄ちゃん話早くて助かるわー!ワイがこの機械の中に入るやさかい!そこの分離プログラムを実行してくれたらええねん!勿論失敗したらわいもコラッタも終わりやがな・・・でもこのままくっ付いたままなんて気持ち悪いやろ?ワイも困るし!・・・頼むわ!その画面に出てるOKボタンをクリックしてもらえるだけでええで!」

そう言い残すとコラッタは2つある扉の内の右側へと入って行く。それを見たコウイチ達は、そのコラッタから言われた通りにパソコンが置いてある机へと行き、画面に表示されたOKボタンをクリックした。するとその瞬間に機械が凄い轟音を立て出し、洗濯機のように小刻みに大きく揺れ始める。

「これ離れておいた方が良いよね??なんか色んな物飛んできそうな勢いだし・・・ブイゼルは僕の後ろに隠れて隠れて。リザードンは最悪翼でどうにか頭を守って、ハクリューは・・・がんばれ。」

ハ『ちょ・・・!それは無いんじゃない!?私だけ為す術無しって酷すぎるって!私もコウイチさんの後ろに隠れるんだからね!!って隠れきれない!?』

ブ『だから言わんこっちゃない。』

コウイチとハクリュー達があーだこーだしている内に機械はいつの間にかまき散らしていた轟音が収まっていた。それに気づいたコウイチ達は、コラッタとくっ付いていたのはどのような人か分からない事から警戒という事でやや離れた場所で扉を凝視していた。

「一応すぐ逃げられるように出口の扉も開けてきたから大丈夫だろ・・・ハクリューちょっとそんなくっ付かないで。動きづらいったらありゃしない。」

ハ『そんな冷たい事言わないでよ。私だって怖い物は怖いんだから・・・それよりほら見て?片方の扉が開いた・・・?でも中に居るのはコラッタ・・・?普通のコラッタ・・・んでもう片方は???』

ブ『ここからだとよく見えないね・・・もしかして・・・消えた?』

「んなまさかなぁ・・・。」

コウイチ達は細心の注意を払いつつももう一つのドアへと近づいていく。片方の扉の奥に居たコラッタはブイゼルに任せているが、特段逃げようともせずにその場でブイゼルからの質問にも素直に受け答えしていた。

「あっ、これこっちは外部からしか開ける事が出来ないタイプだわ。しかも結構頑丈な造りだし・・・ほら叩くとゴーンゴーンって音がする。遮音性ばっちりのカラオケするにはピッタリなカプセルだ事。じゃあ開けるよ?」

ハ『何か髪が長い女の人が出るかもよ?』

「貞子なんてどこで知ったんだ。えっ?僕の携帯フォルダになんかそんな記述があったって?あー・・・昔ダウンロードした携帯小説のコピーか・・・にしても貞子なんて今時何もないというかあの映画も良く分からなかったというかなんというか」

リ『その話は後で良いからまずは中身の確認からしてみない?あれなら扉開けた瞬間にハクリューはアクアテールで、僕は雷パンチかドラゴンクローでその中の物体を攻撃するってシナリオでも良いけど?』

「それだと生身の人間だと救急車案件になるからダメ。ポケモンの技って意外と痛いのよ。何回も受けた僕が言うのも何だけど、転んだとかぶつけたとかそんなレベルの話じゃなくてそれこそ刃物でぐさーって感じで」

ハ『良いから開けてみよう?コウイチさんが開けないんだったら私が開けちゃうからねー!ポチっとな!』

「あーー!!勝手に押して!」

「兄ちゃん達はよ出さんかい!!何外でワーワーギャーギャー言うとんねん!こちとらずっと待っとんねん!・・・にしても助かったわー!ホンマ恩に着るわ!」

中から出てきたのは普通の青年という感じの人だった事で、ちょっとヤバめの研究者チックな人と思い描いていたコウイチ達は少し複雑な気持ちになったのだとか。




彼の名前はマサキ。研究者の中ではイーブイの進化系統に関する研究を単独で行っている人。ポケモンの進化について研究している人は他にも居り、論文を発表したりその筋として有名になり取材やらで名が知られている人が多数いる中でも、マサキはこのように個人で黙々と研究に励んでいた。有名になる人も居ればその陰に隠れ細々と研究をする人が居る事は当然ではある。因みに彼はプログラミングにも優れているようで、今回はその腕を買われプログラミングを実装する必要がある実験を行っていた最中の事故だったようである。

コウイチ達はマサキから淹れて貰ったコーヒーやら緑茶やらを飲みながら世間話をする。ハナダシティに戻っても予定はほぼ無いというコウイチ達にとっては良い時間潰し、マサキにとっては久々に研究から離れて人間と世間話が出来て嬉しかったようで、お互いウィンウィンな関係で時間は過ぎて行った。

「いや~ホンマ今回は助かったわ!そや!助けてもらった代わりに何かお礼せんといかんなぁ~、コウイチはん達船とか興味あるん?」

コウイチはまさかこれはサントアンヌ号イベントの伏線だろうかと考え

「船です?船旅も良いものですよね~でも何故急に船の事を?」

「いや、前に別の研究者から船のチケットを送ってきたんやわ!その船はクチバシティの港を停泊港にしとるらしく、ここカントー地方からジョウト地方アサギシティまでを結んどるんやって!しかも他にもナナシマとかにも繋ぐ高速船もそっから出とるっちゅー話や!」

「(あれ?サントアンヌ号案件じゃない??これって高速船の方???じゃあファイヤーレッドリーフグリーンとか金銀クリスタル関係の時間軸なのだろうか???)」

「あっちに居る研究者からたまにはこっちに来て遊ぼうやって言われとるんやが、見ての通り仕事が立て込んどって行くに行ききらん。コウイチはん何か旅しとるっちゅー感じやん?有効期限は無いようやから一先ず時間出来たら行ってみたらどうやろか?」

「なるほど~、ジョウト地方まで行けるチケットですか~良いですね~。じゃあお言葉に甘えて頂きます~!ハクリュー達もそんなお菓子に夢中にならんでお礼言って!」

「ええんやええんや!ポケモンはポケモン、人間は人間やから気にせんでええ!おっ!もうこんな時間か!なーんかひっさびさに人と訳隔たり無く話せて嬉しかったわ!また近く寄ったら訪ねて来てや!またこんな感じに話そうや!」




ハナダシティに戻る途中で日は落ち、コウイチ達の行く先には真っ暗な静寂が広がっていた。ポケモンセンターまで比較的急ぎ気味で戻っているようだが、中々辿り着く事が出来ず少々焦燥気味にコウイチはなっていた。

「案外ハナダの岬からハナダシティまで遠かったんだね・・・行く時はそんなに遠い感じは受けなかったんだけどな・・・多分まだゴールデンボールブリッヂも過ぎてない。これはマズイと思いますな・・・。それよりもリザードンちゃんと付いてきてる??ハクリューは大丈夫??大分飛ばし気味で歩いているけど。」

ハ『私は大丈夫!道は悪いって言っても車も通る位には整備されてるから歩きにくくは無いし、暗いのが難点って所。でもリザードンの尻 尾 のお陰で少し照らされてるから大丈夫って感じ。』

リ『感謝するのは僕の尻尾の炎だけですかって(ボソッ)僕もOK!それよりもコウイチさんの方は大丈夫?大分飛ばし気味に歩いて来てるから少し疲れが出て来てるんじゃないかなと思うけど??』

「少しだけ疲れております。まぁハナダの岬であれだけドッタンバッタンしてたら疲れもそりゃあ溜まるよねって話。ハナダシティに帰ったからと言って何もする事は無いから、夜ご飯食べてゆっくりして疲れが取れればいいなって感じ。そしてまた明日って感じになるだけどね?」

コウイチ達が歩いている場所は幹線道路沿いの歩道。行き交う車の量は多く、ここがハナダシティとそれよりも北の地域を結ぶ交通の要所だという事が分かる。真っ暗になった道を行き交う車のヘッドライトの明かりが照らす。所々にダウンライトが設置されている事から歩く事に不自由は少ない。そしてリザードンの尻尾の炎、これがまたコウイチ達の足元を照らしていた。その中をコウイチ達は町へと急ぎ気味で戻って行った。




「何とか20時までには戻って来れたね・・・だけど食堂は閉まっちゃったな・・・夕飯どうするか・・・ポケモン達はまだポケモンフーズあるから良いけど、僕はちょっともう夕飯切れたし。しゃーない今日は断食と行きましょう(やけくそ)」

ハ『えぇ・・・そんなコウイチさんを出し抜いて私達だけが夕飯食べるなんて事・・・私はあまりしたくないなぁ~。・・・じゃあ私も今日は夕飯無しでいいや!』

ブ『いやいやそれは無いでしょ。そもそも何か食べておかないとゆっくり寝られないよ?空腹状態で寝るとあまり睡眠の質が良くなくなるというかなんというか。ハクリュー凄い睨み付けてくるけど僕何かした・・・??』

リ『安心しろ。あいつは何時もああ。』

ラ『コウイチさんも何かあるんじゃないの?保存食みたいな奴とかインスタント系とか何かしら残ってなかったかな?あれなら僕が売店かどっかに買いに行ってきてあげ・・・あっ僕のこの図体だったら周りに居る人に邪魔だし危険だからやめておけと・・・ふぃ~・・・リザードン表に出ろ。』

「こんな夜にバトル紛いは止めなさい。ハクリューも何かしら食べておかないとゆっくり眠る事出来ないよ?そうだな・・・ちょっとポケモンセンターの1階に行ってきてみよう。何かしらの自販機とかあれがあるかもしれない。」

リ『あっ、じゃあ僕がお供するよ。』

ニ『そもそもバックの中に何かしらの食べ物はあるんじゃない?・・・ほらやっぱりあったわ。結構奥にしまったあったけど?』

ニドクインが見つけたのは、随分昔にコウイチが別の町で買って、いつか記念な時に食べようと思って取っておいたお高いインスタントラーメンだった。

「あー・・・うん。じゃあ今日は緊急事態だからそれ食べるか~・・・僕も食べるからハクリューも夕飯食べないとダメだからね?」

ハ『分かった。でもそれってコウイチさんが取っておいたやつz』

「ハクリュー。お湯持ってきて。」

その後は夕飯を取り翌日の事を少し打ち合わせした後に少し早めに就寝したコウイチ達なのであった。
今年度は出来るだけ更新していきたいですねぇ・・・

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