第1話

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読了時間目安:7分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください


「よし・・・これで完成だ・・・あとはこのスイッチを押して・・!?なんだ・・この振動は・・・これは・・・お・・おい!数値はどうなってる!!」

「数値が急上昇しています!!は・・博士!!機械が暴走状態に入りました!このままではここも危険になります!!非常停止ボタンを!!」

「い・・いかん!これを押してしまうと今までの努力が全て水の泡だ!!構わん!そのまま続けろ!!くそ・・一体どこが悪いのだ・・・!このままでは・・・・・!!!」

「博士!!もう駄目です!!急いで逃げましょう!!機械はまた作れば良いのでしょ!!それより命が大事ですって!!急いで!!」

「わ・・私の今まで技術の結晶が・・・く・・くそがぁ!!!」





まだ夏の暑さが残る10月初旬。暦の上では秋となっているのだが、ここ九州地方ではまだまだ厳しい残暑に見舞われていた。

キーンコーンカーンコーン・・・

「ふぁ~・・・やっと今日の授業全部終了っと。さっさと帰ろう。」

今あくびをし1人で最寄り駅まで歩くこの冴えない男は現在受験真っ最中の高校3年生。名前はタツミという。

タ「あー今週もきつかった・・・。早よ帰って寝よ。」

タツミは駅までの道を一人でボーっと歩く、周りには商業施設やコンビニ等ごく見慣れた風景が広がっているがそれには目もくれずに家路を急ぐ。

タ「あー暇だなぁ・・・。もう受験勉強も疲れたしどこの大学に行くかなんてもう見当もつかないし・・・そうだ!」

タツミはポケットから機種変更したばかりのスマホを取り出し違う学校へ通っている同級生にメールを送信した。ちなみにその2人とは中学校の時によく家に遊びに行ったり来たりしていた仲である。

タ「今週の土曜に息抜きがてらあの山に行こうぜ・・・っと。送信。」


暫くして返ってきた返答は・・・

タ「よし、2人ともOKと。あー久しぶりにあの場所に行くなぁ・・・よし!帰ったら自転車の整備だな。」


タツミは少々ウキウキしながら帰りの電車を待った。

・・・・・・・

土曜日の午前8時、待ち合わせ場所。

タ「まだかなまだかな・・・。」


「タツミー!」

タ「おっ、リュウセイが先に来たな。」

タツミより少々遅れてやってきたリュウセイ。タツミとは中学1年からの付き合いでありよく連絡を取り合う仲である、家がやや金持ちであるがそれでもよくある上から目線が無く誰からでも好かれるような性格である。

タ「あれ?ショウは?」

リュ「あーもうすぐ来ると思うよ。確か後ろにいたから・・・。」



それからしばらくしてからやや自由人という話のショウがやってきた。彼は小学校からの付き合いであるが、タツミとの距離はとても適切に保たれており近すぎず遠すぎずという対人関係では最適な位置づけの友達である。

ショウ「いや~お待たせお待たせ。」


・・・・・・・
タ「リュウセイもショウも来たな。よし!それじゃあ行こうか。」



リュ「そうだな。早くしないと結構遠いからな。うん。」

ショウ「よし、出発だ!」

3人は一斉にペダルを漕ぎ出した。


ある町の隠れ家的な展望台に自転車で向かっていたタツミ達。


タ「・・・・・上りはきついよ・・・・。別に自転車で来なくてもいいんじゃなかったんじゃ・・・。」

ショ「バカだなぁ。こういうのがまたいいんじゃないかよ。っていうかこれ位の上りでばてるってどんだけ体力ないんだよ。」

タ「部活にも入ってないし、運動も好きじゃないし・・・体力ももともと無かったからなぁ・・・。」

リュ「まぁ、そういう俺も運動と勉強は苦手だがな。うん。」

タ「そうそう。」

ショ「おいおい、2人とも話し込んで。俺を忘れてはいないかい?」

タ「・・・・・・・・・・・ごめん・・・忘れていた・・。」

リュ「・・・・・・後でゆっくりと・・・・。」

ショ「ちょ・・・・・・お前ら・・・・・・・・・・・。」

それ以降、なぜか3人の間に沈黙という時間が流れた。

無言のまま走り続けること10分。急だった坂道が緩やかな坂道に変わってきた。

ショ「ほら、もうそろそろゴールに着くぞ。」


緩やかな先にあったのはとある展望台だった。車は2,3台停まっているだけで賑やかな雰囲気もない。ちなみにここの展望台は旧道沿いにあるため寄る人はあまりいない。ちなみに新道はトンネルでこの山を抜けていく。

リュ「市内から結構掛かったな・・・。出発して2時間か・・・。」

タ「まぁまぁ・・・。そういわずに。」

3人はとりあえず休憩がてら近くにあった屋根つきのベンチに座った。

乗ってきた自転車をテーブルの近くにおいておく。


ショ「とりあえず、昼食にしようぜ。タツミ。」

タ「はいはい、全くショウはせっかちなんだから・・・。」

ショ「早くしてくれよ~おい、リュウセイもなんか言えよ。」

リュ「飽きれてなんもいえんわ・・・。」



ショ「ところでさぁ、タツミ。なんでここに行こうなんて言ったんだ?」

タツミはおにぎりを食べながらこう答えた。

タ「えー別にいいじゃないの~理由なんて特にないよ!」

リュ「なんだよそれ。こっち定期テスト前だって言ってただろ?」

タ「まぁまぁたまには息抜きしないと勉強にも身が入らないだろ~?それにもうすぐ夏休みやぞ、定期テストはもう終ってるはずやろ。」

リュ「補習じゃごらぁ!」

ショ「補習を定期テストと表記するのは果たして良いのかと・・・それにしてもどうする?折角ここまで来た事だし何かしら遊ぶ?何持ってきた?」

3人は、持ってきた遊び道具で遊び始めた。その持ってきたものは・・・・今の時代ではあまり見かけなくなったフリスビーであった。

ショ「おっおい!!リュウセイ!!もうチョイましな道具はなかったんかい!!」

リュ「いやいや、フリスビーだって立派な遊び道具だから。」

ショ「笑い事じゃないんだよ!!!!」

タ「まぁまぁ、もう仕方ないからこれで遊ぼう・・・。」


フリスビーを楽しく(?)やり始めたが・・・。でも、下手したら谷底へまっさかさまだから逆に気を使ってしまう。

・・・・・・

リュ「疲れたー!!フリスビーって意外にも体力使うな・・・。」

タ「それもそうだね・・まずは、やる場所に問題があったね・・・。まだ時間あるから少し寝る?暖かいし、しかも帰りは下りばっかだし・・。」

ショ「それもそうだな・・・よし!みんな!寝よう!!」


タ「・・・・・って寝れるかー!!!」

ショ「大丈夫だ、すぐ寝れる。俺今頭痛いから起さんでね。」

タ「そういう僕も頭がちょっと痛い・・・。疲れかなぁ~。」

リュ「そうだろ。時間もまだ早いから3時くらいに起きたらちょうどいい感じに帰れるぞ。」

ショ「そうだな、じゃあ遅くとも4時には起きよう。お休み―。」

タ「おいおい・・・。まぁいいけど・・・。」


Zzzzzzz・・・・。

全員屋根が付いたちょっと広めのベンチが備え付けられているテーブルにうつ伏せるとすぐに夢の中へと落ちて行った。

ちなみにこの時の時刻は13時32分だった。
H24 7月12日  初投稿日

H25 1月13日  本文の変更・訂正

H25 10月 8日 本文変更・訂正 加筆

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