第15話 道無き道を行くと

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 久しぶりの更新です。遅くなってごめんなさい。
ーーねぇフェルータ、あの山登ってみようよ

 右手にそびえ立つ山を指差し言うラティアス。リンシン山。木々が鬱蒼と茂り、低山ではあるものの、登山の難易度は高いとされる。また、低山故の知名度の低さも冒険家には好かれず、登頂したと言う話は殆ど聞かない。
 そのため、登山道も全く整備されておらず、ほぼ未踏の地と言っても過言では無いレベルである。
「登る?」

ーーたまには冒険してみたいの!こんな整備された道路を歩くより、フェルータとハラハラドキドキの冒険を楽しみたい!ね?いいでしょ?

...このラティアスの笑顔にフェルータは弱いのだ。

「いいよ...行こ」
 あまり乗り気では無いフェルータではあったが、ここまで押されて行かないという選択肢は無い。
 ニコニコしながら道無き道を進んで行くラティアス。その後ろから草を必死に掻き分けながらついて行くフェルータ。


 その後、フェルータは汗だくになりながらも何とかラティアスに追い付いた。
「ラティアス...そろそろ戻らない?流石に...」

ーーねぇフェルータ。これ。

 彼女が指差す先には、巨大な岩壁と、その麓にある錆び付いたシャッター。岩壁をくり抜いて倉庫を作ったのだろうか。そうなればとんだ物好きである。
「だ、誰かの倉庫かも知れないし、ここ私有地かも...」
 だが時既に遅し。もう彼女は手にエネルギー弾を作っていた。
「まてまてまって!ミストボールは...!」

ーーえへっ


 ...大きな爆発音と共に、シャッターには大きな穴が。土煙が止むと...

「うわわわっ!」
 中から見張りだろうか、コロナ団が奥の方へ逃げて行った。

ーーほらね。

「『ほらね』じゃなーいっ!早く逃げないと...」
 フェルータはラティアスの手を引くが...

「アンタたち。こんなことやって。もう逃がさないわよ。行け!サザンドラ!」
 奥から出てきたのはミズハ。
「サササザンドラ!!」
 驚くフェルータ。いつもの冷静さはもう無い。が、ラティアスは凛として表情を変えなかった。
ーーフェルータ。大丈夫。何とかする。
 ラティアスは上空へ飛び立つ。サザンドラもそれを追い飛び立つ。
「ふーん。スピード勝負ねぇ...中々面白いじゃないの。サザンドラ!やってしまいなさい!」

 サザンドラは急加速し、ラティアスに噛み付こうとする。すんでの所でかわすラティアス。しかし、次は左の頭が。辛うじて避ける。が、また右の頭。上空に旋回して避ける。しかし、そこでついに中央の頭に噛み付かれてしまう。

「ラティアス!」

 そのままもみくちゃになりながら落ちて行く二匹。ニヤリとするミズハ。
「ふん!ここで手を抜く理由は無さそうね。ヘルガー!やっちまいなさい!」

 ヘルガーが背後から飛び出し、落下点で二匹を待ち受ける。
「不味い不味い...」
 フェルータが頭を抱えて下を向くと、腰にもう一つのボールが目に入る。
「...ごめんエアロスター。頼む!」
 すると、フェルータがボールを触る前に、エアロスターは飛び出して来た。
「エアロスター!」

 瞬時に地面に潜るエアロスター。ミズハは上空に気を取られこちらの新手に気付いていない。
「エアロスター、穴を掘るだ!」

「何っ!」
 ミズハが気づいた時には、もうエアロスターがヘルガーの四肢の間から顔を覗かせていた。
 エアロスターの大顎は、ヘルガーの腹にクリーンヒット。ヘルガーは吹き飛ばされる。

 また、上空でも変化が起こっていた。両手の頭で翼を噛み付かれ、中央の頭で首を噛み付かれていたラティアス。しかし、ラティアスは最後の力でサザンドラの首に噛み付いた。ダメージは勿論微弱だが、サザンドラを驚かせるには十分だった。つい中央の頭を彼女の首から離してしまう。
 その好機をラティアスが見逃す筈は無い。

 空いた中央の口に、りゅうのはどうを叩き込む。

 地上も同じ。空中で一回転して着地したヘルガー。前を向き火炎放射の構えを取るが、エアロスターは既に大顎を持ち上げていた。
 大顎ごと前足を地面に叩きつける。地震だ。
 ヘルガーは足を取られ、その場に倒れ込む。その隙を付き、エアロスターはヘルガーの足元へと地面を掘り進み、地面から飛び出し、全力で噛み付く。

「ば、馬鹿力...!」

 ヘルガーはついに力尽きる。また、エアロスターにも変化が。
 青い光に包まれたのだ。
「何っ!こんな良タイミングで進化かよ!」
 ミズハは地団駄を踏む。

 青い光の中から現れたのは、もうナックラーじゃない。ビブラーバだ。

「エアロスター!」

 エアロスターは一気に上空へと飛んで行く。まだ危なっかしい飛行だが、何とかサザンドラの背後へと回り込んだ。
「サザンドラ!後ろ!」
 ミズハは慌てて指示を飛ばす。が、それが仇となった。
 サザンドラの前への警戒が薄れたと見たフェルータは、すぐに指示を出す。
「ラティアス、りゅうのはどうだ!」

 ミズハがまた慌てて声を出そうとするが、もう遅い。見事にりゅうのはどうはサザンドラに命中した。
 落ちて行くサザンドラ。ミズハは負けを確信し、サザンドラをボールにしまう。

「やるねアンタたち。確かに私との勝負には勝った。ーーだがね。アンタたちの命運は決まった。」

 勝負に気を取られていたうちに、周囲をコロナ団に囲まれていた。全員いつ襲いかかってくるか分からない雰囲気だ。

「諦めて投降しな。殺しはしないよ。」

 フェルータは諦め膝を着こうとしたーーが。

「よくここまで粘ったわね!お疲れさん。カプ・テテフ!ムーンフォース!」

 フェルータたちが来た道から、謎の女の子が飛び出して来た。横にいたポケモンがエネルギー弾を飛ばすと、コロナ団たちは逃げたり立ち向かおうとして吹き飛んだり。

「チッ!お前は!」
 ミズハが舌打ちを打つ。
「私はアーカラ島クイーン、そして...エストのライバル、リョウコ!」

「あ、あの有名な、リョウコさん!」
 フェルータも驚く。無理は無い。リョウコーー。エストがしんぴのいずみで行方を眩ました後、その泉周辺のコロナ団のしたっぱたちを一人で蹴散らしたとして名高いトレーナーだからだ。

「アンタたち、後は任せたよ。」
 そう言い残し、ミズハはボールからボーマンダを出し、背に乗り逃げる。
 その姿を見て、したっぱたちも逃げ惑う。
 そこにジュンサーさんも雪崩れ込んで来て、静かだった山は一気に騒々しくなった。

「お礼にヨツドまで送ってあげるわ。コロナ団のアジト見つけてくれたお礼。」

 フェルータは、リョウコの行為に甘え、ヨツドまで送って貰うことにした。
 移動手段は、車。
 お陰で日が暮れる前までにヨツドに到着したフェルータたちだった。
 次回の更新時期は未定です。が、出来るだけ早く更新できるよう努めます。

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