真昼の出来事

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 あなたが黄色い宝石をはめて扉を開けると、真上に来た太陽が眩しいくらいの光を辺りに降り注いでいた。目の前に広がるのは樹の枝らしきものと、その間から覗く小さくなった町の風景。どうやら頂上に着いたらしい。
「だぁす!」
 この風景に、サンダースがキラキラと目を輝かせた。初めての冒険が上手くいき、その報酬としてこの美しい景色を見ることができたのだ。感動するのはよくわかる。あなたも小さな冒険が上手くいったことで、言葉に表しようのない感動を覚えていた。
 なぜこんなにも美しい景色のことを、今まで誰も知ろうとしなかったのか。あなたは首を傾げたが、どれだけ傾げたところで答えが浮かんでくるわけでもない。きっと最近まで裂け目はなかったのだろうと思うことにして、あなたはこの景色をしばらく楽しんだ。
 そして何度も振り返りながらも入った扉の中へと戻ると、思い出を噛みしめるように樹の中を降りていく。また小部屋のような場所に出た時サンダースは残った石で遊んでいたが、もう進化する可能性はないので思う存分遊ばせることにした。
 やがて樹に入る時に使った裂け目が見え、あなたとサンダースはまるで競うように勢いよく外へと出る。一刻も早くこのことを皆に伝えたかったのだ。
 しかし、あなた達の足が地面に着いた瞬間どこからか地鳴りのような音が響く。驚いて辺りを警戒するサンダースを落ち着かせながら、あなたも地鳴りの原因を探る。大きなポケモンが現れたというわけではなさそうだし、どこかで異変があった様子もない。
 一体何があったのか、と思いつくパターンを頭の中に巡らせていると、キョロキョロと辺りを見回していた突然サンダースが樹の方に向かって鳴いた。どうした、と声をかけながらあなたもその方向を見る。
 すると、先ほどまであった裂け目が最初から何もなかったかのように、綺麗さっぱり消えているではないか!
 そのことが信じられなかったあなたは二度、三度目を擦ったり瞬きをしたりして裂け目のあった場所を見るが、再び裂け目が現れることはなかった。今まで誰も知ろうとしなかったのは、これが原因なのかもしれない。
 貴重な体験をしたんだな、とあなたとサンダースが頷きあっていると、遠くからあなた達を呼ぶ声がした。そちらに振り向くと、お隣さんが息を切らして走ってくる。しばらく姿を見せなかったあなたを心配し、町中を探し回っていたのだろうか?
 心配性なお隣さんには本当のことを言うべきだったな、と反省をしながらあなた達はお隣さんのいる方へと走っていく。心配をかけたことを心の底から謝るために。ついさっきまで体験した、不思議で貴重な物語をたくさん聞かせるために。

エンド3「真昼の出来事」 終わり

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