24話 失楽のアーティスト

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 九月十三日午後二時。埼玉県西の人気が少ない山道に、ひっそりと佇む踏矢私設研究所。かつてはそれなりに人がいたと思わしき広さがある施設だが、この施設内で風見が出会ったのはその所長の息子である踏矢満と、守衛室で一人の警備員を確認した程度だ。
 私設もほとんど老朽化、というよりは荒廃しており、最低限必要とされる部屋以外は荷物が散らかっているようだ。というのが廊下から確認できる。
 今風見がいる会議室も、壊れていない座れる椅子をまず二人で探したくらいであった。
 踏矢の調査結果を聞き、風見は踏矢から渡していたAf八枚を預かる。
「助かりました。お陰様で推論に確証が持てます」
「いやいや、こちらこそ。父の受け売りな検証しか出来てない上に、時間も予定よりかかって申し訳ない」
「十分です、こんな突拍子も無いことに協力いただけるだけ感謝です」
 風見の推論通り、Afは人の感情をどうにかして読み取り、それをエネルギーとしているらしい。なぜかという理論的な部分は依然として分からないが、脳波をモニタリングしながら行われた実験で十分な相関関係は得られた。
 今回踏矢に依頼して新たに分かった事は主に二つ。一つは、所有者の怒りや悲しみなどの負の意思が強ければ強い程Afによるダメージも大きくなること。そしてもう一つ、Afはその所有者の負の意思を吸い上げているのか、使用を重ねる度にAfそのもののエネルギー準位が高まっている。
 プロセスとして、Afは使用者の負の意思を精神エネルギーとして吸収する。そしておそらく使用者が破壊衝動など、暴れたいとイメージすることで吸収したエネルギーを放出する。使用者がそうイメージしなければ、エネルギーはカードに蓄えられたまま。しかし放出されるエネルギーはごく僅か。さながらAfは精神エネルギーを集めるためのいわば充電池と考えることが出来る。
 ならこのAfの蓄えられたエネルギーは何のためだ? そこにきっとAfの真の目的が隠されていると考えるが……。
「まだ何か懸念事項があるならば、手伝いましょう」
「いえ、Afがどうして作られたのかを考えていて」
 歯切れの悪い風見に、踏矢は語りかける。
「それは、作った本人に直接会って聞いてみなくちゃ分からないことですね。作り方も含めて」
 踏矢の言葉を聞いて、風見は目が覚めた思いをした。Afを作った人間がいるのであれば、当然まだ作ることも出来るだろう。今目の前のAfを必死に回収するだけでは、やはりらちがあかない。そして二度と同じような事が起きないよう、根源を断たねばならない。
 幸いにもAf騒動は世間的にも大きな騒ぎにはならずに済んでいる。負傷者もいるが、軽微なもの。他にも肉体の疲労や倦怠感を訴えた者もいるが、大概翌日には快復した。一部のネットスラング、都市伝説として捉えられる程度でしかこの件は表面化していない。と希から報告を受けている。
 しかし明確な理由があってAfが作られているなら、こんな小火で済むはずがない。俺たちがまだ知覚できていないだけで、大きな何か、企みのようなものがあるはずだ。
「ところでなんだが、君は能力というものを知ってるかい?」
 虚を突く問いを踏矢が投げかける。踏矢の真意が推し量れず、風見は言葉が選べない。相手の狙いを汲み取る洞察力には自信があるが、踏矢の突飛な問いかけはその死角を突いていて、論理的に考えることが出来ない。
 何を言いたいかも分からなければ、相手が何を言って欲しいか、どう言えば気分を害さないかすら分からない。少なくとも風見は踏矢に対し、能力の話題を持ちかけた事がない。であれば選択肢は踏矢自身が能力者であるか、踏矢が能力にまつわる何かに近しいかのいずれかだ。
 困って黙りこくっていると、踏矢が語る。
「警戒しなくていいよ。別に悪い話をしたいわけじゃない。今のは私の方が意地が悪かったね。……昔この研究所では能力と呼ばれる人にまつわる超現象について研究されていた」
「能力の研究……? そんなことが」
「詳細は伏せるが元々私の父が能力者でね。それもあって前所長の私の父が主導していたんだが、まあ結果は今のこの研究所の有り様の通りさ。とはいえ、人の精神から作用して物理現象に影響を与えるという点では能力とAf、私は他人事ではないと思う。Afをより深く理解することが出来れば、能力を知ることも出来るのではないか。あるいはその逆も成立するのではないか、とね」
「つまり?」
「端的に言うと、Afを譲り受けたい。可能な金額は払おう」
 ようやく踏矢の真意が読めた。能力の研究の話、そしてAf。これが繋げる符号は一つ。
 それ故に風見は反応に戸惑った。この踏矢という男は、父の行なっていた能力の研究を引き継ぎたくて、それの手がかりとなりそうなAfを欲しているのだろう。
 確かにAfも能力も謎が多い。彼に預ければその謎は解けるかもしれない。
 しかし一歩間違えれば危険であるAfを、まだ完全に信用しきっていない他人に渡すのはあまりにもリスクが高い。人が持つ精神エネルギーを吸い取る恐ろしさは、風見自身が光子装甲(フォトンアームズ)を使うことで骨身に染みている。それこそまた新たな火種になりうるかもしれない。
「その線も少し考えさせてみたいと思います。もし、何かありましたらこちらからも是非協力をお願いします」
 お互いに精一杯のポーカーフェイスと笑顔を纏い、二人は握手を交わす。果たして、毒を盛られたのはどっちだ?
 まるで蛇睨みにでも遭ったような緊張から、一瞬で風見は現実に引き戻される。ガラガラと乱暴に応接室の扉が開かれ、細身の壮年男性が現れた。
「保城さん、どうしたんですか」
「踏矢君。トラブル発生だ。不審者がカメラに映ったと梓宸から連絡があった。まだ動くシャッターを使って極力C通路を封鎖をしたが全てが作動しているわけじゃない。ちょっと急ぎで来てくれるか。……ああ、そうだった来客か」
「大丈夫です、用件は終わりました。お手伝いしましょうか」
「いや、来客に怪我をさせたとなると申し訳が立たない。梓宸、悪いが彼を出口まで案内してやってくれ」
 保城の背後から警備服を着た男、汪梓宸(わん じーちぇん)が現れる。ここに来たときに入口でも出会った警備員。長すぎる前髪で片目が隠れている、中国系の男だ。
「こんな寂れたとこに賊とはね。申し訳ない、こんなドタバタに巻き込んでしまって。また連絡をさせてもらいたい」
「踏矢君、早く」
 名残惜しそうな表情を残したまま、保城に引っ張られるよう踏矢が部屋を飛び出す。風見様はこちらへ、と呼びかける汪に仕方なく着いていき、風見は半ば強引に慌ただしい踏矢研究所を後にすることになった。



 船橋市の人気の少ない住宅街、地図アプリを頼りに歩いたところようやく仁科希は雨野宮陽太郎が指定した住所に到着した。
 何の変哲も無いただの一軒家だが、その門は開かれている。門の向こうでは白いキャンバスに向かって難しい顔をしているオレンジ色の髪の青年がいる。おそらく、彼が雨野宮陽太郎だろう。ふと彼と目線が合うと、彼は手に持った絵筆を置き椅子から立ち上がる。
「来たな、このオレが雨野宮陽太郎だ。確かお前は仁科希、だったな? 知ってるぜ、フェアリーデッキ使いって事もな」
 希は思わず身構える。ストーキングされていたのか、それとも何か違う情報筋があったのか。今日のためにデッキを新調したが、どこまで手の内を知られているか。
「そっから上がってきな。このオレが相手してやっからよォ」
「その前に聞きたいんだけどいいかしら。君は本体? それとも分身?」
 希は意識を目の前の雨野宮に注ぎ込むことで、瞳の色が深緑色に輝きを放ち、オーバーズを発現した。端的に言えば希のオーバーズは嘘を見抜く絶対看破のオーバーズ。もしここで雨野宮が本体でないと分かれば、そもそも戦う必要すらないのだ。
「ハッ、そんな面白いこと今明かすのはつまんねーだろ! どうせオレとやればすぐにわかるじゃねぇか。焦んじゃねえよ」
「それは残念ね。君が本体って分かってた方が、あたしとしてはやる気が出るんだけど」
「オイオイオイオイ! それでもカードゲーマーか? どうなるか分かんねえからこそのゲームだろ。違うか?」
 翔君からの事前情報で比較的挑発には乗りやすい、と聞いてはいたけど流石にそこまで都合よくはいかないか。淡い期待は弾けたが、すぐに心を臨戦態勢に切り替える。
「確かに言うとおりね。先が見えてるカードゲームなんて勝負じゃなくて作業だもの。分からないからこそよね」
「へぇ、イイじゃん。良いノリしてるじゃねえか。ならばとっとと始めちまおうぜ」
 雨野宮に招かれて、希は庭に上がり込む。静かな郊外で対峙した二人は闘志を湛え、互いに距離を取ってデッキポケットを構える。
『ペアリング完了。対戦可能なバトルデバイスをサーチ。パーミッション。ハーフデッキ』
 先攻を取る陽太郎のバトルポケモンはカイリキーEX180/180、ベンチにはイトマル50/50。
 対する希のバトルポケモンはミュウ50/50、ベンチにはゼルネアス130/130。
 闘タイプと草タイプの混合デッキはあまり希の記憶には少ない、やや珍しい構成だ。
「さぁ行くぜ。手札からカイリキーEXに闘エネルギー一つをつけ、スタジアム発動だ。『巨大植物の森』!」
 カードがプレイされると同時に二人の足元に膝丈ほどの草が生え、二人を囲うように天を隠すほど巨大な樹木が背後からいくつも並び立つ。
 巨大植物の森がある限り、全ての草ポケモンは最初の番や場に出た番でも進化することが出来る効果のスタジアム。ということは雨野宮の狙いは早速の進化。
「サポート『ティエルノ』を使いカードを三枚引く。そして巨大植物の森の効果でイトマルを進化。早速進化したアリアドスの特性、『毒の巣』を喰らってもらおうか!」
 進化したてのアリアドス(70/70)は周囲に糸をたくさん放出し、巨大植物の森の中で大きな巣を作る。さらに尻の棘から毒を流し込むと、糸はおぞましい紫色に変色する。
「毒の巣の効果で、互いの草タイプでないバトルポケモンは毒になる」
 いつの間にかミュウ、カイリキーEXが共にアリアドスの巣にひっかかり、互いに青ざめた表情になり、HPバーに毒のマークが記載される。毒のポケモンはポケモンチェックの度にダメカンを10ずつ乗せることになるが、カイリキーEXでなくアリアドスをバトル場に出していれば雨野宮のポケモンは毒にならずに済んだはずだ。
「おっと! ミスっちまった。カイリキーEXじゃなくアリアドスがバトル場にいると思いこんじまった!」
 嘘だ。何か策がある前提で毒の巣を放ったことを確信した。
 先が読めない方が楽しい、とは言ったが、希からすればこれは遊びではない。負けられない、負けてはいけない勝負だ。雨野宮が能力を使っているのであれば、自分も嘘を見抜くオーバーズを含め、自分が持ちうる手札は全て使い切る。
「オレの番が終わり、毒の判定だ」
 これでお互いのポケモンのHPはそれぞれカイリキーEX170/180、ミュウ40/50。
「あたしは手札のフェアリーエネルギーをミュウにつけ、サポート『ポケモンだいすきクラブ』を使う。山札からたねポケモンを二枚手札に加える。あたしが選ぶのはゼルネアスとサーナイトEX。既にベンチにいるゼルネアスにポケモンの道具『学習装置』をつけ、サーナイトEX(170/170)をベンチにつける」
 ミュウの特性、始まりの記憶は自分のたねポケモンが持つワザを、エネルギーさえあれば全て使うことが出来る変わった特性だ。サーナイトEXのライフリープをコピーすれば、20ダメージを与えて20回復が出来るが、相手のHPに対して20ダメージはあまりにも雀の涙。ここは先に備えるのがベスト。
「ミュウの特性でゼルネアスのワザをコピー。そしてジオコントロール! 自分のベンチのポケモン二匹に、山札のフェアリーエネルギーをつける」
 これで希の番が終わり、更にカイリキーEXとミュウは10ダメージを受ける。次の番、きっと雨野宮は何かを仕掛けてくるはず。そこで相手の狙いを見定める。
「オレは手札の闘エネルギーをカイリキーEXにつけ、サポート『アズサ』を使う。その効果でジュカインEXをベンチに出すぜ」
 アズサはEXポケモンをベンチに出すか、EX以外のたねポケモンを三匹までベンチに出すかを選べるサポート。しかし雨野宮が出したジュカインEXは大会上位者も使う事のある強力なカード。やはり毒を活かしたデッキ構築だ。
「グッズ『Afオーバーリロード』を発動! 次の番、オレは手札からエネルギーがつけらんなくなる。その代わり、今自分の手札の基本エネルギーをポケモンにつけることができる。闘エネルギーをカイリキーEXにつけ、バトル。クレイジーハンマー!」
 振りかざした四本の腕が、ハンマーのようにミュウ0/50に向かって激しく打ち付けられる。まるで我を忘れたかのように、カイリキーEXは何度も攻撃をして汗を流すと、毒で苦しんでいた表情が一変晴れやかな笑顔を浮かべる。
「クレイジーハンマーの基本威力は80だが、カイリキーEXが状態異常なら威力は80追加される。さらに状態異常も回復と来たもんだ! 一石二鳥ってやつよ。サイドを一枚引いてオレの番は終わりだ」
「見せつけてくれるわね」
 クレイジーハンマーを使わずとも、もう一つのワザであるおにギレを使ってミュウを倒すことも出来たはずだ。しかもおにギレの方が必要なエネルギーも少ないため、Afを使わなくてもよかった。特に意味もなく、残りHP30のミュウに対して160ダメージを与えるなんて、余裕があるぞと言いたいのか。趣味の悪い挑発だ。
「学習装置の効果! バトルポケモンが相手のワザで気絶した場合、バトルポケモンについていた基本エネルギーをつけることが出来る。ミュウについていたフェアリーエネルギーをゼルネアスにつける。そしてゼルネアスをバトル場に出す」
 コンスタンスに毎ターン160ダメージを叩き出せるカイリキーEXをどうするか。とてもじゃないが、ゼルネアスでは倒し切ることが出来ない。かといってサーナイトEXも倒し切れず、逆に倒されてしまう。雨野宮のサイドが二枚となった今、サーナイトEXが倒されればそれでゲーム終了。
 いや、そうじゃない。と希は自分の思考に待ったをかける。雨野宮がAfを使った際、何か嘘をついていた。つまりAfオーバーリロードにはまだ何か効果が隠されている。問題はその効果がメリットかデメリットか、という点だ。
「あたしの番ね。サーナイトEXにフェアリーエネルギーをつけ、ゼルネアスをBREAK進化させる。さあ、来て!」
 バトル場に佇むゼルネアスが嘶くと共に、体が黄金に光り輝いてゼルネアスBREAK150/150へと進化を遂げる。大きな植物が根付くこのスタジアムでは、神秘さを殊更強く感じる風貌だ。
「二枚目のゼルネアス(130/130)をベンチに出し、サポート『サナ』を使う。手札を全て山札に戻してシャッフル。そして六枚カードを引く。ポケモンの道具『サーナイトソウルリンク』をサーナイトにつける」
 なんとなくのいつもの手癖でゲームを進行していたが、結局雨野宮がついていた嘘の内容が分からない。ええい、考えても答えは出ないんだし、ダメならダメでその時考えよう!
「バトル! ゼルネアスBREAK、ライフストリーム!」
 ゼルネアスBREAKの角に虹色の光が集約され、カイリキーEX80/180に向けて放出される。
「ライフストリームは自分の場のポケモンについているエネルギーの合計かける20ダメージ! 今あたしの場にはそれぞれフェアリーエネルギーが二枚ついているゼルネアスBREAKとサーナイトEX。つまり80ダメージよ」
「くっ、マジに踏み込んできやがった。カイリキーEXに返しのオレのターンで攻撃されんのが怖くねえのかよ!」
「そうなったらそうなった時に考えるだけだわ」
「オイオイオイ! なんだそのゴリラムーブ」
「ハァ!? あたしみたいな美人を相手にゴリラですって? やっぱり決めた。君を倒すだけじゃあ腹の虫が治まんない。その生意気な口が利けないように泣かしてやるわ」
 そう言ってから雨野宮の口車に乗せられていることに気付いたが、もうこの際どうだっていい。勝ってしまえばなんだっていい!
「くっ、まずはアリアドスで毒の巣だ」
 再びアリアドスが張り巡らせた毒の糸によって、お互いのポケモンが毒状態に陥る。これで再びクレイジーハンマーを使う体制は整った。
「グッズ『身代わりロボ』をベンチに出す。こいつは無色、HP30のたねポケモンとして扱える。続けてグッズ『ポケモン入れ替え』によってカイリキーEXを引っ込め、身代わりロボをバトル場に出す。これでオレの番は終わりだ」
「あら、怖気づいた? 今なら謝ったら許してあげる」
「Afオーバーリロードを使った次の番、オレはワザを使えない。勘違いすんじゃねえぞ、これは超合理的な判断だ」
 ふーん、と希は鼻で笑う。やはりオーバーリロードにはもう一つデメリットがあった。しかし本人が語っていたように、身代わりロボを場に出すのは合理的な判断ではある。身代わりロボは気絶させてもサイドを引けない。つまり次の番、こちらが使うワザも相手のポケモンには届かない。すなわちオーバーリロードのデメリットを打ち消されたようなものだ。おそらくこのデッキを組んだときから想定していたのだろう、周到に用意された戦術であることが読み取れる。
 そして雨野宮の番が終わったことで、毒のダメージ計算が入る。カイリキーEXはベンチに下がったため、毒は回復。つまりゼルネアスBREAK140/150だけがダメージを受ける。
「サーナイトEXに手札のフェアリーエネルギーをつけ、ゼルネアスBREAKでバトル。もう一度ライフストリーム!」
 場のエネルギーが一枚増えたことで、威力は20×5=100ダメージ。これで身代わりロボ0/30は撃破。
「もう少し考えてプレイしねえのかよ! ノータイムで殴ってきやがって。オレはジュカインEXをバトル場に出す。そしてまた毒のダメージを受けてもらうぜ」
 予想に反してカイリキーEXではなくジュカインEXが希の、そしてゼルネアスBREAK130/150の前に現れる。カイリキーEXであれば一撃でゼルネアスBREAKを倒せるはずなのに、あえてジュカインEXを出す目的が読めない。
「さあオレの番だ。グッズ『ダート自転車』を使い山札の上から二枚を見て片方を手札に加え、片方を捨てる」
 デッキポケットのモニターでトラッシュしたカードを確認する。トラッシュされたカードは草エネルギー。
「ジュカインに『ジュカインソウルリンク』と草エネルギーを手札からつけ、メガシンカだ。絶対孤高の密林の王者! メガジュカインEX!」
 ジュカインEXの体が光を帯び、その姿を変えていく。頭部や腕の葉はより鋭く、胸部には新たにXを象った鎧が肩まで広がる。長くしなやかな葉を茂らせていた尾は、鋭利な針のような葉に生え変わり、その先端には赤い巨大な棘が陽の光を受け輝いている。
 ソウルリンクをつけていたメガジュカインEX220/220は、メガシンカをすれば自分の番が終わるデメリットが無くなる。メガシンカポケモン、となれば雨野宮のエースカードに違いない。
「まだまだどんどん行くぜ。グッズ『メガターボ』! トラッシュにある草エネルギーをメガジュカインEXにつける」
 あの草エネルギーはさっきダート自転車でトラッシュしたカード。カードを引くことが目的ではなく、カードを捨てる方が目的だったようだ。これでメガジュカインEXのエネルギーは草二つ。ワザを使うために必要なエネルギーは全て揃った。
「行け、メガジュカインEX。ジャギドセイバー!」
 メガジュカインEXは巨大植物の森を縦横無尽に飛び回り、木の枝にぶら下がる。器械体操選手のように、枝に掴まり大車輪。そのまま地上にいるゼルネアスBREAKに向けて尾を飛ばす。遠心力も合わさったその攻撃は、当然物理的な威力もさながら、鋭利な葉がゼルネアスBREAK20/150の体を切り裂く。
「ジャギドセイバーの追加効果! 手札の草エネルギーを二枚までベンチポケモンにつけ、つけたポケモンのHPを全て回復する。オレは手札の草エネルギーをベンチのカイリキーEXにつける」
 ゼルネアスBREAKを攻撃したメガジュカインEXの尾先は炸裂し、香しい臭いを漂わせる。その香にあてられたカイリキーEX180/180は満足そうに四本の腕を振り回す。
 あえてカイリキーEXではなく、メガジュカインEXでバトルしたのは回復をさせるため。それは理解できる。確かにカイリキーEXの180というHPはタフな数字で、簡単に削り切れる値ではない。しかし、カイリキーEXで最初から攻撃すればゼルネアスBREAKは倒せたはずだ。消極的な姿勢は別に構わないが、何か引っかかる。
 雨野宮の番が終わり、再びポケモンチェック。更に毒のダメージを受け、ゼルネアスBREAK20/150は虫の息だ。
「確かに草タイプは回復効果を持つポケモンが多いけど、回復は草タイプだけの特権ではない、ってこと教えてあげるわ。手札からグッズ『フェアリードロップ』をゼルネアスBREAKに二枚使う。フェアリードロップ一枚で、フェアリーエネルギーをつけたポケモンのHPを50回復する。さらにもう一枚『キズぐすり』も使い、HPを30回復させる」
 これで回復量は50×2+30=130。ゼルネアスBREAK150/150は毒こそ残ったままだが、体力は全て回復。これでもう一度ジャギドセイバーを受けても耐えれる。
「あ? マジにマジかよ! ガキじゃねえんだから張り合ってんじゃねえぞ」
「いいじゃない。そんな風に見せつけられたら、やり返したくなるでしょ」
「カーッ、アンタも大概性格悪ぃーな」
「君の根性の悪さよりはマシだと思うけどね。確実に安全だ、って状況からしか踏み出してこない。リスクマネージメントといえば聞こえはいいけど、勝負師としては面白くないわね」
「ほざいてろ」
 吐き捨てるように雨野宮が悪態を突いて、会話が滞る。希は深く呼吸をして舞い上がった心を落ち着かせつつ、雨野宮の全身をなぞるように見る。
 さっきから散々浴びせられて耳に残る、威圧するような口調に大きな声。目付きの悪さに大きな態度。どれも自分を大きく見せようとしているものだ。
 態度や行動こそ違うが、自分を大きく見せようとしている姿勢は少しあたしと重なって複雑な胸中だ。しかし俄かに湧き出た同情は、毒にも薬にもなりはしない。他人を理解した気になるのは簡単だけど、真の意味で理解するのはほとんど不可能に近い。分かったつもり、で吐かれる言葉は最も理解から遠く、最も人の心を傷つける。だから、あえて何も言わない。今はあたしが信じる人の力になるため、力を振り絞る。
「手札のフェアリーエネルギーをサーナイトEXにつけて、ゼルネアスBREAKで攻撃よ。ライフストリーム!」
 希の場のフェアリーエネルギーは今六枚。これでライフストリームの威力は20×6=120ダメージ。メガジュカインEX100/220のジャギドセイバーは確かに強力な回復効果を持つが、自分自身を回復させることは出来ない。無理に一撃で仕留める必要はない。次の番で倒せば大丈夫。
 再び毒のダメージでゼルネアスBREAK140/150のHPが削られていく。
「どっちもタフで全然ラチが明かねえ、となったら使うしかねえなぁ。サポート『Af失楽のアーティスト』、発動! メガジュカインEXをジュカインEXに退化させ、このカードをバトル場の横に置く」
「自分のポケモンをわざわざ退化させるなんて」
「そのままバトルだ。アサシンクロー!」
 元の姿に戻ったジュカインEX30/150は体を震わせ、ゼルネアスBREAK140/150に腕の葉で斬りかかる。
「アサシンクローは基本威力60に加え、相手のバトルポケモンが状態異常であるなら70ダメージを追加する」
 ゼルネアスBREAKは毒状態のままなのでアサシンクローの効果が適用し、60+70+=130ダメージ。これでゼルネアスBREAKの残りHPは10/150。
「そしてオレの番が終わって、楽しい楽しいポケモンチェックだ。毒による10のダメージを受けてもらう!」
 ゼルネアスBREAK0/150が体から放つ黄金の輝きは光を失い、その場で倒れ込んでしまう。
「おおっと! ここでバトル場の横にあるAf失楽のアーティストの効果が発動だ。相手のポケモンが気絶した時、相手の山札の上からカードを二枚確認。そして好きな順にして山札の一番上か下に置くことが出来る」
「やってくれる」
 希の声に口角を上げ、雨野宮は自身のデッキポケットのモニターを操作する。
 一見地味に見える効果だが、非常に使われると嫌な効果だ。次の番自分が引き当てるカードを相手によって決められてしまう。相手にとって都合の悪いカードは山札の下へ。都合の良い、つまり引いても意味のないようなカードを山札の上(デッキトップ)にセットされてしまう。
 雨野宮は一枚を山札の下に、もう一枚を山札の上に置くように指示。それに応じて希のデッキポケットがカードを自動で入れ替える。
「そしてサイドを一枚引く」
「あたしはサーナイトEXをバトル場に出すわ」
 依然希のサイドは三枚のまま、雨野宮のサイドは一枚。この番でジュカインEXを倒すことは出来るだろうが、完全に戦況をコントロールされている。
 手札二枚と少ない希だが、ここで引いたカードはスーパーボール。今更使わない、ハズレカードだ。手札にはエネルギーもサポートも無く、希が取れる行動はかなり限られた。確かにこの結果だけ見れば雨野宮の戦術はどれも器用に一定の効果を発揮しているが、靄が残る。
 状態異常と絡ませた高い火力で押し込む速攻性、回復や身代わりロボを用いた持久戦、相手の山札の上を操作するコントロール。ハッキリ言って噛み合っているとは言えない。どれか一つか二つに特化して戦うのが、一般的なデッキの作り方だ。希のデッキであれば相手の攻撃を受けつつ、エネルギーを溜めて一気に押し込むといった戦法に特化している。しかし雨野宮のデッキの特徴が掴み切れない。よく言えば器用だが、その反面どれも中途半端とも取れる。そして、それは確実に戦術の穴になる。
「バトル場のサーナイトEXをメガシンカ。光煌く聖なる淑女、今花開く舞台に至り! さあ、おいで。メガサーナイトEX!」
 腕はロンググローブを嵌めたかのようにたおやかに、そして腰から下はクリノリンを身につけたかのようにふわりとドレス状に膨らみを持って豪奢に。胸部の赤いツノのような器官が新たにもう一つ現れ、胸元でリボンのように開いた。メガサーナイトEX210/210はドレスの裾を軽く掴んで、ジュカインEXと対峙する。
 希は右手を真っ直ぐ伸ばし、ピストルのように構えた指でジュカインEXを指す。左手は伸ばした右ひじに当て、高らかにワザを宣言する。
「さあ、撃ち抜いて。ブリリアントアロー!」
 メガサーナイトEXは、念動力で光の弓矢を生み出す。
「ブリリアントアローは場のフェアリーエネルギーの数かける30ダメージ。今場にあるフェアリーエネルギーは四枚」
「120ダメージってか」
 放たれた光の矢はジュカインEX0/150を撃ち抜き、雨野宮の背後に聳える巨大植物に打ちつけられた。
「くっ……。オレのポケモンが気絶したことで、バトル場の横にあるAf失楽のアーティストも、自身の効果でトラッシュされる」
 ジュカインEXを倒したことで、希は二枚のサイドを引く。山札から引くカードは制限されたが、サイドからカードを引ければチャンスは来る。これでサイドは互いに残り一枚。雨野宮の次のポケモンは、当然カイリキーEX180/180だ。ここまでくればあとは根競べ。どちらが先に相手を倒すか。
「オイオイ、やっと一匹倒したってだけでそんな笑顔になられても困るぜ。なんせ勝負はこっからなんだからよォ。まずはベンチのアリアドスの特性、毒の巣」
 毒の巣によって草タイプ以外のバトルポケモン、すなわちメガサーナイトEXとカイリキーEXは両者共に毒を受ける。これでカイリキーEXのワザの条件も整った。
「これだけだと思うなよ。ポケモンの道具『闘魂のまわし』をカイリキーEXにつける。たねポケモンの最大HPを40、そしてワザの威力を10アップ」
 カイリキーEXのベルトが外され、代わりに古風なまわしがつけられる。気合が入ったか、カイリキーEX220/220は声を上げ四本の腕で胸を叩く。
「さらにグッズ『Afアクティブジャマー』を使う。次のアンタの番で、相手バトルポケモンがポケモンの道具をつけているならば、オレのポケモンが受けるダメージを20減らす。そしてもういっちょサポート『AZ』だ。ベンチのアリアドスを手札に戻す。これで布陣は全て揃った。……確かにこの番でオレはお前のメガサーナイトEXを倒し切れない。だがそれと同時に、お前のメガサーナイトEXでカイリキーEXを倒し切ることも出来ない。なんせ使えるワザはさっき見たブリリアントアローだけだ。一手遅かったな!」
 次の希の番に手札からフェアリーエネルギーをつけたところで、ブリリアントアローのダメージは30×5=150ダメージ。さらにAfアクティブジャマーでダメージを20減らされてしまう。何らかの手段でフェアリーエネルギーを三枚つけない限り、カイリキーEXを倒すことは出来ない。雨野宮の言う通り、このメガサーナイトEXでは一手遅い。
「カイリキーで攻撃。クレイジーハンマー!」
 腰につけたまわしを揺らしながら、カイリキーEXが四本の腕でメガサーナイトEXに襲い掛かる。毒状態のカイリキーEXはワザの威力が80増え、闘魂のまわしの効果も併せて80+80+10=170ダメージ。そしてクレイジーハンマーの追加効果でカイリキーEXの毒状態が回復する。
「いわゆるチェックメイトというやつだな。これでオレの番は終了だ」
 ポケモンチェックで毒のダメージを受け、メガサーナイトEXの残りHPは30/210。先ほどは中途半端、と称したものの高い攻撃力、高い耐久力、そしてダメ押しの妨害。一気に240ダメージを出さなければ次の番、確実にやられてしまう。
 ベンチにいたアリアドスも手札に戻す用意周到さだ。相手のポケモンを無理やり入れ替えて、アリアドスを倒すことすら叶わない。
「絶体絶命の崖っぷち? ん~違うねェ! もう崖から落ちてる最中ってとこか! あァ!?」
 オーバーズを通さずとも分かる、嘘偽りのない自信っぷりだ。もう雨野宮の中では勝負が決してしまっている。仮に周囲にギャラリーがいたとしても、全員がそう確信するだろう、それくらいに状況は悪すぎる。
「そうね、どうしようもないわ。絶対に負けたくない気迫も君から感じる。でもね、まだ最後のサイドを引くまで勝負は終わらないわ」
「んん? 弱い犬程よく吠えるって確かだなァ」
「弱い犬かどうか、確かめてみる? 手札からグッズ『Afカラーコードチェンジ』。メガサーナイトEXのフェアリーエネルギーを一つトラッシュして効果発動。メガサーナイトEXと同名のポケモンを、手札または山札から一枚選び、そのポケモンに重ねる。あたしは山札から二枚目のメガサーナイトEXを選択し、重ねる!」
「同じポケモンを重ねたとこで何にな───」
 嘲るような雨野宮の言葉が、時が止まってしまったかのように途切れる。
 バトル場のメガサーナイトEXの黄緑色の体色が花浅葱色に、ロンググローブとドレス部が黒に変色していく。カラーコードチェンジの名の通り、色違いのメガサーナイトEX30/210へとお色直しを果たした。
「色を変えたっていうのは見た目だけの話じゃないわ。さっきまでのメガサーナイトEXはフェアリータイプだったけど、今はフェアリーと超タイプの二つ持つデュアルタイプ」
「オイオイオイオイ……マジに言ってんのか? 超だと、ふざけやがって。カイリキーEXの弱点じゃねえか。いや、それでもサーナイトソウルリンクをつけてる限り、Afアクティブジャマーの効果を受けることも忘れるなよ」
 平静を保とうとしているが、雨野宮の声は震え始めている。先ほどまでの威勢はどことやら、語気も弱々しい。一気に形勢は変わりつつある。
「あたしのモットーは『押してダメならぶっ壊せ』なの。あとは試してみるしかないじゃん? メガサーナイトEXで攻撃。ディスペアーレイ!」
 メガサーナイトEXの両の掌の間、ブラックホールを想起するような黒いエネルギーの塊が集まっていく。
「ディスペアーレイの効果で、ベンチのゼルネアスをトラッシュする。そしてトラッシュしたポケモンの数かける10、ワザの威力はアップ」
「ぐっ……!」
 ゼルネアスが光の粒子となり、メガサーナイトEXの掌の元へ吸い込まれていく。元の威力が110に対し、1×10=10ダメージが追加される。
 そして超タイプをもつメガサーナイトEXはカイリキーEXの弱点を突くため威力は二倍。最後の最後にAfアクティブジャマーのダメージ減少効果が計算される。これでダメージはトータルで(110+1×10)×2-20=220ダメージ。
 希が右手で指をパチン、と鳴らすと同時。凝縮されたエネルギーの塊が、黒い光線となってカイリキーEX0/220を貫く。
「ごめんね。あたしも勝ちを譲る気はさらさらなかったもの。あたしを止めたければもっと高い壁を用意することね」
 最後のサイドを引き、メガサーナイトEX、そしてスタジアムの巨大植物の森が消え、閑静な住宅街に景色が戻る。
 攻撃の衝撃を受け、仰向けに倒れていた雨野宮の元へゆっくりと希は近付いていく。
「ハッ、まさかこのオレが負けるなんてな。早いゲームプレイは本当の狙いを気付かせないための作戦ってわけか」
「何言ってるんだか。あたしがAfを引いたのはジュカインEXを倒してサイドを引いた時。そんな最初から何か考えて思い至った訳じゃないわ」
「なんだよそれ、結局どこまでも行き当たりばったりじゃねえか」
 周到に用意してゲームをコントロールしようとしていた雨野宮に対し、勝利を収めたのは常に出たとこ勝負の希。しかし、希も何も考えていない訳ではない。今ある手札で何が出来るか、今の状況では何が必要かを素早く判断し、的確にプレイする思い切りの良さが勝敗を分けたのだ。
 雨野宮はゲームをコントロールしようとするがあまり、最もシンプルかつ勝利への最短ルート。すなわち相手をいかに早く倒すか、という思考が欠落していた。まずは確実に自分の身を守って、余裕が出来てから戦う。そんな消極性、或いは一人よがりな戦いでは、相手に向かって本気で突撃してくる希を捌ききれなかった。
 メガジュカインEXで回復などせずに、先にカイリキーEXでゼルネアスBREAKを倒されていれば勝敗は変わっていたかもしれない。押すべきところで押さずに退いた、そこが勝負の分かれ目となっていた。勝ち運はそこで雨野宮を見限ったのだ。
 ハハハと自嘲気味な笑みを浮かべる雨野宮に対し、希は何も言えなかった。おそらく彼自身も薄々と敗因を理解しているだろう。しかしそれを認められるかどうか、となると事は違う。生意気な口が利けないように泣かす、と息巻いていたのも忘れ、希は雨野宮から目を逸らす。自分が自覚している欠点ほど、他人に突かれるのは癪なのだ。
「このオレに勝った気でいるみたいだがよォ。試合には負けたが、勝負にはまだ負けちゃいねえ」
 突如口を開いた雨野宮。聞き捨てならないその台詞に、依然仰向けのまま天を仰ぐ雨野宮を見下ろす。
「どういうつもり?」
「オイオイ……。その脳みそは飾りか? ちょっとは考える事だな。分身のオレに勝っただけで満足するんじゃねえ。最後の最後まで油断は禁物ってわけだ」
 それだけ告げると、初めからそこに誰もいなかったかのようにフッと雨野宮は消えていった。
 呪いのように胸の中に雨野宮の声が渦巻く。少なくともここにいては何も分からない。希は急いでその場から離れ、静かな街並みを走り出した。



陽太郎「オイオイオイオイ! ダークナイトを倒した奴だと聞いて楽しみにしてたのによォ。
    どうやらこいつはオレの期待のしすぎか? それともダークナイトがヘボだったってか?」
恭介「俺がどう言われたって構わないが、俺の不甲斐なさで誰かを貶められるってら話は別だ。
   次回、『地獄のロックスター』。諦めない事。それが強さの真価だ!」


●TIPS
仁科希のオーバーズ
「絶対看破のオーバーズ」 瞳の色:深緑
周囲の政治的な発言から逃げ出すために発現したオーバーズ。
数メートル以内の面と向かった人間の嘘を高確率で見抜ける。
相手の目を直接見る必要があるため、ゴーグルやサングラスなど目が隠れる物を着用されていると効果がない。

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