ポケットモンスター ガーディアンズVSブレイブウォーリアーズ

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作者:川畑拓也
読了時間目安:235分
今作は、「ポケットモンスター ガーディアンズ」と「ポケットモンスター ブレイブウォーリアーズ」の競演です。ルイーズ達とミジュマル達が、協力して強大な敵に立ち向かいます。
ストーリーとしては、「ポケットモンスター ブレイブウォーリアーズ」は原作終了後、「ポケットモンスター ガーディアンズ」の32~33話の間の出来事となっております。
それでは、最後までお楽しみください!
午後3時、イッシュ地方ライモンシティ。
今そこは、突如として発生したビル街の火災で火の海になっていた。その火事の周辺には、燃える建物から逃げてきた人たちや野次馬でいっぱいだった。静かな夜の空気が、恐怖とざわめきに彩られている。レスキュー隊が事態の収拾に当たっているが、炎の勢いは激しく、事態の収拾には時間がかかりそうだった。
その上空を、1体のメスのケンホロウが飛んでいた。彼女は家事の様子を眺め、バッヂを通して「仲間」に呼びかけた。
「こちらケンホロウ!現在、火災はビル10件に及んでいます!多くの人たちが避難に成功していますが、未だに逃げ遅れた人たちが多数いる模様!」
同じ頃、炎が広がるビルの中には、逃げ遅れた人間とポケモン達が複数いた。逃げ道がない彼らにも、炎は容赦なく襲いかかろうとしていた。
しかし、突如彼らに迫って来ていた入り口側の炎が消し止められた。そこにいた一同が呆然と見ている中、そこに1体のミジュマルが出てきた。
そのミジュマルは、中にいた人たちが無事である事を確認していた。
「おー、よかった。こっちの逃げ遅れた人たちは無事だったか!」
『・・・・・・。』
呆然と自分を見つめる彼らに、ミジュマルは手招きして呼びかけた。
「さぁ、皆さん早く逃げましょう!こっちです、急いで!!」
ポケモン語ではあるものの、その人達も、そのミジュマルが自分達を助けに来たんだとわかり、喜んだ。
「私達の事、助けてくれるのね・・・。」
「おい、こいつまさか・・・!」
「あぁ!急ごう、みんな!!」
そして彼らは、そのミジュマルに続いて脱出した。途中で炎の壁が立ちふさがるが、ミジュマルは「ハイドロポンプ」で消し止める。そしてどうにか全員、燃え盛るビルから脱出する事が出来た。
「やった!出られたわ!」
「俺達、助かったんだ!」
脱出した人たちも、自分達が助かった事を実感して喜んでいた。助けられた1人が、そのミジュマルに尋ねた。
「ありがとう!君はもしかして・・・?」
すると、そのミジュマルもニッと笑い、歌舞伎の動作をしながら答えた。
「俺達ぁ無敵の、ブレイブウォーリアーズ~!」
最後に腹をポンと叩いて、ミジュマルは答えた。
すると、すぐに彼の「仲間」も動き出していた。隣のビルで逃げ遅れ、窓から顔を出す1人の女性がいた。
「助けてー!」
その人がいるビルの向かいのビルの屋上から、1体のハハコモリが構えていた。彼は「いとをはく」を使い、その女性の体に糸を巻き付け、そこから引っ張り上げた。女性はそのまま吊り上げられるが、すぐに安全な場所に下ろされた。すぐにレスキュー隊が、女性の保護に向かう。
「一丁あがりや!」
手を両頬に当て、そのハハコモリは答えた。そして彼は、向こう側のビルを眺めていた。
「あいつらはどないやろか?」
彼が見つめているビルの1階では、「あなをほる」でワルビアルが床から出て来ていた。彼はその中で着地できる場所がある事を確認し、仲間に呼びかけた。
「よし、ここから出られるぞ!」
その言葉の後で、彼に付いて来ていたチャオブーが飛び出してきた。チャオブーはそのワルビアルに聞いた。
「確か、ここの1階のフロアーに逃げ遅れた人たちがいるんだよな?」
「アルトリウスからの情報が正しかったら、そう言うことだろう。」
ワルビアルが答えた。そして彼は、その情報に会った通りのフロアーを探して、その場所を指差した。
「確かあそこだ!」
「よーし!」
そしてチャオブーは、その場所へ「かわらわり」を叩き込んで壁を突き破った。そこには、男性1人に、女性2人、小さいポケモン4、5体がいた。
「よかった、みんな無事だな!?」
彼らの無事を確認すると、チャオブーは彼らに呼びかけた。
「よし、それじゃあ俺に続いてください、脱出します!」
彼に続いて、逃げ遅れていた人たちもフロアーから出た。そらから、一斉にワルビアルが掘った穴をくぐってビルから脱出していく。
そしてそこから全員、火災ビルから脱出に成功すると、チャオブーが呼びかけた。
「今だ、みんな!頼む!!」
その報告を受け、ツタージャも仲間に呼びかけた。
「よし、一気に消火といくわよ、みんな!!」
『おう!!』
ズルッグ、ガントル、ガマガル、そして合流したミジュマルが一斉に返事をした。
そして、ズルッグの「きあいだま」とミジュマル、ガマガルの「ハイドロポンプ」、そしてガントルの「ラスターカノン」で一気に火を消し止めた。
その様子を上空から眺めながら、他に炎が出ている場所が無い事を確認し、ケンホロウが報告した。
「こちらケンホロウ!火は完全に消し止められました!!」
ブレイブウォーリアーズの活躍で、街への被害は食い止められた。その活躍ぶりに、周りの人間達も大興奮していた。
「やったぜ、一気にあれだけの炎を消し止めたぞ!!」
「うおー、ブレイブウォーリアーズすげぇー!!」
一同の歓声を受けながら、集合したブレイブウォーリアーズは誇らしげな様子で立っていた。

それから午前5時半近く、彼らは火災跡の調査の様子を眺めていた。そして、ひとまずそこで息抜きしていた。
「何とか、あの大規模火災は消し止められたな。」
手を腰にやってミジュマルが呟いた。
「全くだぜ、夜中だってのに突然火災発生で呼び出されたんだもんな。」
ズルッグも続いて、大あくびをした。まだ幼いのに自分も消火作業に尽力した彼に触れ、ハハコモリも「お疲れさん」と呟いた。
だが、ワルビアルはある疑問を抱き、腕組みをしながら呟いた。
「しかし、あの火の原因は何だったんだ?」
彼と同じことを疑問に思い、ケンホロウも首を傾げた。
「出火元は、ガスや漏電じゃないんですよね?」
「今、消防や警察が調査しているけど、あの炎の広がり方は異常だって言われているわね。」
ツタージャも腕組みをして言った。チャオブーは手を腰にやって呟いた。
「ただの火災じゃないのか・・・?」
その時、彼らの後ろで爆発が響いた。ミジュマル達は一斉に、その場所を振り向いた。
「何だ!?」
「向こうからだ!」
彼らは急いで、その場所へと向かった。

多くの野次馬が立っている間をくぐり抜け、ブレイブウォーリアーズがその場所に出た。するとそこには、逃げ惑う人々の後で、白い鎧とマントを付けた、セミロングの金髪の、目つきの鋭い騎士のような男が、剣を構えて歩いていた。
「さぁ、逃げ惑え、地球生物どもよ!我らガルザーク帝国の恐怖をたっぷりと味わえ!!」
それは、ガルザーク帝国の兵士だった。ミジュマル達も、その姿を見て汗を浮かべていた。
「あの純白の騎士、今、ガルザーク帝国って言ったよな!?」
「ガルザーク帝国って言ったら、この星を狙って来ているヤツらじゃないか!」
「まさかヤツらとこんな所でかち合うなんて・・・!」
ミジュマルとチャオブー、ツタージャが言った。その時、その純白の騎士は剣から何かエネルギーのような物を出現させ、その前に振りかざした。ブレイブウォーリアーズや野次馬達は伏せ、そのエネルギーは彼らの後方にあった木箱に当たった。木箱は瞬く間に燃えた。
「!火箱に火が!」
「任せろ!!」
ミジュマルはすぐさま、「ハイドロポンプ」で火を消し止めた。何とかそれが燃え広がる事は阻止できたようだ。
「エネルギーを放って炎を出すだなんて・・・!」
チャオブーは顎を拭って呟いた。ツタージャもそれを見て気付いた。
「!まさか、さっきの火災!」
「どうしたんですか?」
ケンホロウが尋ねる。ツタージャはガルザーク帝国の騎士の方を見て答える。
「さっきの大規模火災、ヤツが発した物だったのよ!」
「えっ!?」
「じゃあ、あのエネルギーを各所にぶつけて火災を!?」
ズルッグとワルビアルが叫ぶ。だが、騎士は周辺の住民に向かって、大声で叫んだ。
「この街に住む者達に告ぐ!これよりこの街は、我らガルザーク帝国の手で制圧する!!逆らう者達は全て、俺の剣のサビにしてくれよう!!」
その瞬間、恐怖で周囲がざわめく。しかし、これまで幾多の悪に立ち向かってきたブレイブウォーリアーズはそんなものに臆しなかった。
「野郎、好き勝手言いやがって!」
「この街はやらせない!みんな!!」
『おう!』「はい!」
思い思いに返事が返り、彼らは純白の騎士の前に出る。相手と向き合い、ミジュマルが叫んだ。
「ガルザーク帝国だろうが、平和を乱すヤツらの好きにやらせるかよ!!」
「ほう、貴様らが噂のブレイブウォーリアーズか。」
純白の騎士は彼らについてすぐに理解した。しかし、すぐに剣にエネルギーを溜め、眼前のポケモン達に向かって放つ。
「だが、貴様らが来たところで!!」
騎士が放ったエネルギーは炎となり、ブレイブウォーリアーズのポケモン達に浴びせられて彼らを弾いた。
『うわあぁぁぁーーー!!』
ミジュマル達はその後ろ飛ばされ、コンクリートの地面に倒れた。その様子を眺める野次馬にまぎれて、マントを付けた謎の存在もその場所を見ていた。
それを見下しながら、騎士はほくそえんだ。
「もはや俺に敵う者などここにはいない!この街はいずれ、ガルザーク帝国の支配下に置かれる運命なのだ!!」
純白の騎士はそう言って、剣先を顔の近くに持って行ってほくそ笑んだ。相手の攻撃に倒れるブレイブウォーリアーズだったが、すぐに立ち上がろうとする。
「くそっ、あの野郎・・・!」
ワルビアルが呟き、ツタージャは一同に呼びかけた。
「さっきは油断してたけど、もう1度行くわよ、みんな・・・!」
そしてミジュマル達は起き上がり、再び立ち上がろうとする。
とその時、ふと彼らの上空から接近するものがあった。一同は一斉にそれを眺めた。
「!」
それは、ロケットブースターを装着した、ゲッコウガ、マフォクシー、ブリガロン、ゴロンダの4体、そしてファイアロー1体という編成の5体のポケモン達だった。軍服を着用した彼らは一斉に、騎士の前に着地しそしてその相手を見据える。
そのポケモン達は、カロス地方軍特装部隊「ガーディアンズ」の、ルイーズ、マナ、ゲイル、カゴメ、そしてディアゴといったポケモン達だった。現在、彼らはカロス地方のみならず、世界各地にも活動の幅を広げていた。
そのガーディアンズの姿を眺め、ズルッグとハハコモリは言った。
「ガーディアンズか!?」
「今到着したところかいな!」
ミジュマルも、始めて見るカロス軍の「地球防衛の要(かなめ)」を前に呆然と見つめていた。
「ガーディアンズ、あれが・・・。」
彼らが見つめる中で、ルイーズは相手の騎士に話しかけた。
「おうおう、てめぇ!よくも今まで好き勝手暴れてくれたな!」
すると、そのガーディアンズの姿を見て、純白の騎士はほくそえんだ
「ガーディアンズ、お前達が来るのを待っていたぞ!」
「何!?」
ルイーズ達は一斉にその騎士を睨んだ。その純白の騎士は名乗った。
「俺の名はアルガディ、ガルザーク帝国の騎士だ!」
そして、ガーディアンズに剣を向けた。
「ガーディアンズ、お前達を倒すため、俺自らが相手になろう!!」
「ほう、随分と威勢のいいヤツだな。」
腕組みをしながらディアゴが言う。一方、カゴメとゲイルは周囲の被害状況を見て、その光景に言葉を失った。
「ひどい、街がこんなに滅茶苦茶に・・・!」
「まさか、俺達をおびき寄せるために!?」
その相手からの問いに答えるように、アルガディはほくそえんだ。
「その通り!お前達も、俺の剣技であの世に送り届けてやる!!」
群集に混じってその光景を眺めている謎の存在も、その様子を見てほくそ笑んでいた。
「フフフ、面白い素材ですな・・・。」
その一方で、マナはアルガディに叫んだ。
「お前達の好きにはさせない!!」
そしてルイーズ達もアルガディと交戦に入ろうとしていた。
「行くぜ、アルガディとやら!やぁってやるぜ!!」
「ふん!」
強気な姿勢で決めゼリフを叫ぶルイーズに、アルガディも鼻で笑った。
そしていよいよ、ガーディアンズとアルガディの対決が始まった。

ガーディアンズはまず、個別に散開して、ルイーズが「みずしゅりけん」を放つ。アルガディはそれを自分の剣で弾き、ルイーズに接近する。だが、すぐにマナがトライアルスナイパーを向けて放った。
「ぐっ!?」
エネルギー弾がアルガディの鎧の腹部に当たり、彼は後ろに下がった。さらにその真横からゲイルが「ウッドハンマー」で飛び込み、相手に叩き込んだ。が、アルガディは剣の平らな面を前にして、それを防いだ。
「何!?」
「ハハハハ、俺の剣は防御にも使えるのだ!!」
剣を構えながらアルガディは笑った。
「ほう、それなら・・・!」
だが、直後にその声とともにディアゴが「きあいパンチ」で近づいてきた。
「剣と拳(けん)の対決と行こうか!!」
「むっ・・・!」
アルガディもすぐに巻き返し、相手の「きあいパンチ」を防いだ。そして振りほどくとアルガディは剣を横に振るうが、ディアゴは1回転してそれを避けた。そのままディアゴは、アルガディの顔面に再度「きあいパンチ」を叩き込み、地面に倒した。砂ぼこりが一瞬巻き起こるが、アルガディはその中からバク転して着地した。
「ちぃっ、貴様!!」
彼はすぐに剣からエネルギーを発し、今度はプラズマを出現させてディアゴにぶつけた。
「ぐおおぉぉっ!?」
ディアゴは倒れるが、今度がアルガディの上空からカゴメが接近してきた。彼女はトライアルバルカンを放ち、相手に急降下してくる。
「むん!」
しかし、それですらもアルガディの剣に防がれてしまう。
「くっ!」
カゴメはすぐに相手の後ろ側に巻き返し、そこからさらに攻撃を仕掛けようとする。が、彼女にすぐにアルガディの剣が振りかざされる。だが、切られたと思われた彼女の姿は残像で、すぐに消えてしまった。
「なっ!?どこに消えた!?」
「ここよ!」
「!?」
カゴメの本体は、切られる寸前で「こうそくいどう」で相手の反対側に逃れ、「でんこうせっか」で近づいていた。そのまま彼女は技を決め、アルガディを一瞬地面に倒した。が、アルガディは受け身をしたはずみでバク転し、態勢を立て直した。
「ちぃっ、ならこれで!!」
と、アルガディは剣から激流を飛ばし、カゴメを押し流した。
「きゃあぁぁぁーーー!!」
「カゴメ!!」
マナはそれを眺め、枝を取り出してアルガディに仕掛ける。
「よくも!!」
彼女は「マジカルフレイム」を放つが、アルガディはそれを剣で切り裂いてしまった。
「そんなものがどうした!?」
と、アルガディは接近して来る。だが、マナはすぐにそれを「サイコキネシス」で止める。
「がっ・・・!?」
相手が動けなくなると、彼女はさらにトライアルスナイパーを相手に体に叩き込んだ。
「があぁぁっ!?」
アルガディはそれにより吹っ飛び、後方に飛ぶ。だが、すぐ地面に片膝をついて立ち上がる。
そこを逃さず、ゲイルの「ミサイルばり」とカゴメの「ひのこ」が左右から炸裂した。アルガディは伏せた状態で剣を回してそれを防ぐが、相手の攻撃が止むと同時にそれを解くと、さらにディアゴが「きあいだま」を彼の顔にぶつけてきた。アルガディはさらに吹き飛ぶが、着地し、そこへついにルイーズがギガブレードを抜いて切り込んで来た。ルイーズとアルガディの剣が交差し合う。
「なんと、貴様も剣を!?」
「そうだ!これでてめぇと剣技対決ができるぜ!!」
そして、ルイーズとアルガディは、互いの剣を交差させ、弾き合った。その最中で、ルイーズが相手の剣をバク転でかわしたり、ルイーズの剣をアルガディが平らな面を前にして防いだり、一進一退の切り合いは続いた。だがやがて、ルイーズの剣がアルガディの鎧の胴体部に直撃した。アルガディはふらつき、斬撃を受けた鎧には右上から左下まで傷が付いていた。
「くっ、俺の鎧に傷が・・・!」
騎士の誇りと言える鎧を傷つけられ、アルガディは静かに動揺した。
そしてルイーズは、相手がひるんでいる隙にとどめをかけようと、集結した仲間達に呼びかける。
「よし、とどめのトランシック・ブラスターだ!!」
『OK、ルイーズ!!』
マナ達の返事とともに、5人のトライアルユニットが合体し、トランシック・ブラスターが完成した。
『トランシック・ブラスター!!』
「ターゲット!」
「ロックオン!!」
照準がアルガディに向けられ、エネルギーチャージが行われた。そして・・・、
「やぁってやるぜ!!」
ルイーズが引き金を引き、そのエネルギー弾はアルガディに命中した。
「ぐわあああぁぁぁぁぁーーー!!」
アルガディの叫びとともに、その周囲は勢いよく爆発した。そしてガーディアンズも、トランシック・ブラスターを肩にかけるルイーズを中心に、その爆発を背に立った。

『やったぁー!!』
その様子を眺め、ブレイブウォーリアーズの面々も一斉に喜んだ。
「やっぱりすごいや、ガーディアンズって!!」
「あぁ!特に最後のトランシック・ブラスターのバーンっての、すげぇ威力だったよな!」
チャオブーとズルッグが叫んだ。ミジュマルも、ガーディアンズの戦闘を前に脱帽し、開いた口がふさがらなかった。
「信じられない、何て強さなんだ・・・!」
しかし、ガーディアンズが背にする爆風の中から、密かに声が聞こえてきた。
「・・・フフフフ、フハハハハハ!!貴様らは甘い!!」
「!?」
ガーディアンズも、ブレイブウォーリアーズもその声の方を向いた。
なんとそこには、トランシック・ブラスターの直撃を喰らってもなおもピンピンしているアルガディがいた。
「俺をギリギリのところまで追い詰めたつもりだろうが、そうはいかなかったな・・・。」
「お前、まだ生きてやがったのか!?」
ゲイルはアルガディを睨んだ。
ブレイブウォーリアーズも、相手のガルザーク帝国の騎士が倒されていない事を知り、愕然としていた。ケンホロウとツタージャが、額に汗を浮かべていた。
「あいつ、まだ立っていますよ!?」
「全然倒せていないわ!」
「何やってるんだよ、あの人達は・・・!」
敵を倒せていないガーディアンズに、ミジュマルも苛立ちを覚えていた。
しかし、この状況を前に、ディアゴも舌を巻いていた。
「だが何故、直撃のハズだ!?」
「残念だが、貴様等の目の前で起こっている事は現実だ!カロス方面軍が苦戦している相手だと聞いてどれほどの物かと思っていたが、その程度の腕だったとはな!」
あざ笑うようにアルガディは言った。
「何!?」
ルイーズ達も彼を睨むが、アルガディは撤収しようとする。
「とはいえ先ほどの戦闘でダメージを負ったため、これ以上お前達とは遊んでもいられん。ここは引かせてもらう!」
「野郎、逃げる気か!?」
そう叫ぶルイーズを見て、アルガディは目つきを変えて、彼を指差して呼びかけた。
「それから、そこのゲッコウガ!」
「!俺に何か用か?」
ルイーズも目つきを鋭くして尋ねた。アルガディは、先ほどのルイーズとの切り合いでできた傷を抑えて告げた。
「この俺の鎧に傷を付けたお前は、必ず俺の手で葬ってやろう!!」
自らの誇りを傷つけられた相手に因縁を感じたかのようなその捨て台詞とともに、アルガディはすぐさまそこから離れて行った。ガーディアンズは、その様子をただ眺めていた。
「もう、逃がしちゃうなんて!」
カゴメは悔しそうに、手を腰に当てて言った。マナも先ほどの光景に疑問を抱いていた。
「どうなってるんだ?トランシック・ブラスターなら一発のはずなのに・・・?」
「マーティーのトライアルリボルバーとも合体するようになったから、それに伴って威力が落ちたのかもな。」
自分のトライアルランチャーを眺めながら、ゲイルは呟いた。
一方、ルイーズはアルガディの捨て台詞の事を考えていた。
「ルイーズ・・・。」
ディアゴが彼に近寄り、静かに声をかけた。ルイーズは彼が言いたい事を理解して「あぁ・・・」と頷いた。
「あいつとはまた会うことがあるかもしれない。だが必ず、その時は俺の手で・・・。」
その言葉を、ディアゴも静かに聞いて、彼が自分の言いたかったことがわかっている事を確認する。
だが、そんな彼らに対して浴びせられる言葉が。
「バカ野郎!!」
「!?」
ルイーズ達はすぐに、その場所を向いた。そこには、ブレイブウォーリアーズのポケモン達が立っていた。
その中心の、先ほどの言葉を放ったミジュマルが、ガーディアンズを叱責した。
「あんた達、何やってるんだよ!?いくら勝てそうだからって油断しているから、倒せずに逃げられるんじゃないか!!」
「何だと、このガキ!?」
ルイーズは思わず突っかかるが、マナとカゴメは止めた。
「やめな、ルイーズ!」
「相手は民間のポケモンよ!」
しかし、自分達と向き合ったガーディアンズに対し、ミジュマル達の追及が始まった。
「バトルスタイル、文句無カッタ。デモ勢イダケ、最後油断シテ相手ノ状況、確認シナカッタ。」
「あたし達ずっと見ていたけど、あれは痛かったわね。」
「もし相手が退いてくれなかったら、あなた達はあっという間にやられていたかもしれません。」
ガントルとツタージャ、ケンホロウが意見を述べた。さらにチャオブーも続く。
「確かに今までずっとガルザーク帝国に勝って来ていたんだろうけど、それってただ勢いだけで押していった結果なんじゃないですか?少なくとも軍の戦い方は、一般で言われているトレーナーとポケモンのそれとは根本的に違う感じですし。」
「おいおいお前ら、俺達をバカにしているのか?」
ゲイルはムッとし、ディアゴも腕組みをしながら目つきを鋭くした。
「誰が地球(この星)の平和を守ってやがると思ってんだ!?」
ルイーズもさらにつっかかるが、それに対してミジュマルが言い放った。
「あんた達の考えは一般と比べて堅いんだよ!だから大切な物が欠けているんだ!!」
「何が俺達に欠けているってんだよ!?」
ルイーズが怒鳴ると、ミジュマルはすぐに答えた。
「それは、「気合」と「根性」だ!!」
「き、気合と、根性・・・!?」
それを聞いた途端、ルイーズはキョトンとなるが、彼を抑えるマナとカゴメが声をかけた。
「ルイーズ、帰還命令が出ているよ!」
「早く戻りましょう、戦闘の報告もしないといけないし・・・。」
「・・・ふん!」
ルイーズはそう言い、ブレイブウォーリアーズに背中を向けた。ロケットブースターを起動させ、ガーディアンズは母艦ドミニオンに帰還していく。残されたブレイブウォーリアーズは、静かにそれを見送るだけだった。
この時、ルイーズ達は気付かなかった。今、自分達が衝突したポケモン達が、このイッシュ地方一のお助けチーム、ブレイブウォーリアーズである事を・・・。

母艦へ帰還したアルガディは、ブリッジに上がった。彼の副官であるこの艦の艦長は、彼をいたわった。
「アルガディ様・・・!」
だが、そっと近づく彼の前に手を差し伸べ、アルガディは司令台の手すりを両手で掴んで支え、呼吸を整えた。
「はぁ、はぁ・・・、一時はどうなる事かと思ったが・・・。」
彼はすぐに正面を向き、ゆっくりとほくそ笑んだ。
「だが、私は今こうしてピンピンしているぞ!ガーディアンズめ、私を倒し損ねた事を後悔するがいい・・・!」
同時に、そのガーディアンズの中でも自分の鎧に傷を付けたゲッコウガの事を考え、不気味に笑いだした。
「そして、あの2刀流のゲッコウガは、必ず次の戦いで仕留める・・・!」
その時、艦のオペレーターが通信をキャッチして告げた。
「アルガディ様、友軍の通信をキャッチしました!」
「何、どこからだ!?」
アルガディが尋ねると、オペレーターはその通信の先をキャッチした。
「これは、カロス方面軍のジェイク様からです!」
「なんと、あの方からと!?」
通信の相手がわかると、すぐにアルガディは告げた。
「すぐに回線を開け!」
「はっ!」
オペレーターは直ちに、通信回線を開いた。すると、モニターにオンバーンのジェイクと、その副官のハンナの姿が映し出された。
『久しぶりだな、アルガディ。そちらの戦果はすでに聞いている。』
「はっ、誠に恐縮でございます!」
アルガディは彼に丁寧に頭を下げた。元々地球のオンバーンであったジェイクは、ガルザーク帝国の将校たちからは煙たがられる事が多かったが、(ハンナ等、直属の部下達もそうなのだが)アルガディは彼を真(まこと)の同胞と受け入れる数少ない存在であった。故にアルガディは、ジェイクを上官としてとても尊敬していた。
通信の向こうで、ジェイクも母艦から語り掛けた。
「私が、そちらに赴いたのは他でもない。イッシュ地方制圧の任を帯び、これまでにいくつもの地域を制圧してきたお前の健闘を称え、これからの戦闘を有利に進めるための戦力を提供しようとしたまでだ。」
彼の隣のハンナも、上官の言葉に続いた。
「彼らはいずれも、ジェイク様に忠誠を誓っている存在だ。その気持ちを同じくするお前になら、すぐにでも彼らを指揮できるだろう。」
『はっ!ありがたきご配慮!』
アルガディはお辞儀をした。するとジェイクは、その彼の姿を見て尋ねた。
「・・・ところでそのダメージ、随分派手にやられたと見れるが・・・?」
『はっ!こちらは先ほどガーディアンズと戦闘して負傷しました!』
アルガディはすぐさま答えた。するとジェイクは驚いた。
「何!?ヤツらと戦ったと!?」
母艦でアルガディは説明した。
「はい、私は先ほどヤツらをターゲットとした作戦を実行したのですが、追い詰められて危うく倒される寸前にまで・・・。」
『そうか、よく無事に生き延びたな・・・。』
ジェイクはいたわるように言った。ガーディアンズ討伐を2の次に地球侵攻を続けている彼でも、さすがに他の士官の作戦に対し「ガーディアンズを倒すことにこだわるな」とは言わなかった。
『それで、どのようにして生き延びたのだ?』
ハンナも尋ねた。だが、アルガディにもあの時の事はよくわからなかった。
「それが、よくわからないんです。ヤツらの攻撃が飛んできて、当たると思っていましたが・・・。」
『?どういうことだ?』
ジェイクも不思議そうに尋ねる?
その時、アルガディの艦のブリッジ入り口から、何者かが入ってきた。
「それは私が施した呪術の効果です。」
「!?」
アルガディ達と、通信の向こうのジェイク達も、その方向を向いた。そこには、先ほどの戦闘の野次馬の中にいた、怪しいマントの男だった。アルガディの隣の艦長が、そのマントの男に問い詰める。
「貴様、何者だ!?どうやってこの艦の中に・・・!?」
「待て!」
だがアルガディがすぐさま止めた。
「しかしアルガディ様・・・!」
反論しようとする副官だったが、すぐ自分に向けられたアルガディの目を見て引き下がった。するとアルガディは通信の先のジェイクと見合って、頷いてジェイクが尋ねた。
『では聞こう、貴様は何者だ?どのような目的があってここに来た?』
すると、その男はマントを脱ぎ、その素顔を見せた。
その男は、緑色の肌に白い短髪、そして僧侶のような格好をしていた。その姿を見た時、ジェイクは目を凝らした。
『その容姿、さては貴様は・・・!?』
するとその男はフッと笑い、
「私はバド、亜獣です!」
『何!?』
「!?」
その名乗りを聞いたとき、一同の表情は変わった。アルガディが説明する。
「亜獣・・・、かつてこの星をその驚異のパワーで恐怖させた、非道なる存在。そのように緑色の肌に白い髪、そしてどこか民族風の衣装といった独特の用紙を持ち合わせていると聞く。彼らは「亜獣族」と呼ばれ、その王イノセンスとともに多くの人間やポケモンを蹂躙(じゅうりん)し、世界を恐怖させたと言われている。」
『だが、王であるイノセンスが人間やポケモン達の反撃で討たれたことがきっかけで、亜獣族は壊滅させられた。後にイノセンスが蘇ったことで再び勢力を増し、一時はイッシュ地方を制圧したが、ブレイブウォーリアーズたる組織のミジュマルにイノセンスは再び討たれ、またも崩壊したと聞く。その亜獣族の生き残りがここにいると言うことか。』
ジェイクが部下の説明に続いて述べた。するとバドも答える。
「はい、私は長らくイノセンス様に仕えておりましたが、主が滅ぼされる度に、1回目は人間どもに捕まり、2回目の時は行く当てを無くしてさまよう事になるといった経験を通して、現在に至ります。」
「ふん、かつて地球を恐怖させた亜獣族とやらが、落ちた物だな!」
艦長はあざ笑うが、アルガディが目配りすると彼は押し黙った。ハンナも尋ねた。
『それで、貴様の要件は何だ?』
ハンナも尋ねると、バドは説明し出した。
「私は常に、我々の種族と王を討ち滅ぼしたブレイブウォーリアーズへの復讐を誓っていました。」
「ブレイブウォーリアーズ、貴様らの種族を滅ぼした組織だな。」
「はい。ですが、主や多くの同胞を失った今、私にはそのための手段が存在しなかったのです。思い悩んでいた時にあなた方が戦闘を行っている所を目撃し、私はずっと、そちらのアルガディという騎士の後を必死で追ってきたのです。」
「すると、さっき俺を助けたのは、貴様だったと言うことか。」
相手の亜獣を覗き込んで、アルガディは呟いた。バドも「はい」と答える。
「ちなみに、その際に放った呪術というのは、この呪符を使ってのもの。あなたをガーディアンズとやらの攻撃から守る際に使用したのは、こちらの防御の呪符。」
手持ちの呪符を見せながら、バドは説明した。この呪符は、バドが自らの能力をもってして作り出した、彼の能力によるものだった。
「しかし、助けた手前でこのようなストーカーまがいな事をした無礼は謝罪いたします。しかし、私がこうまでしたのには、人案講じた故なのです。」
『では、その案とは?』
ジェイクはほくそえんで尋ねた。するとバドは、彼らにお辞儀をして、
「私をガルザーク帝国の一員として、こちらの艦で雇っていただきたい。」
『何!?』
ジェイクを始め、全ての物がその亜獣の提案に呆然としていた。バドは顔を上げて説明した。
「我々亜獣族は、この星の他の生物とは対をなす存在、故にあなた方で言う地球生物達の敵です。そして、あなた方は地球を我々の敵から奪取しようとしている。完全に利害は一致するかと・・・。」
「戯言を!それを言ったら貴様ら亜獣族だって地球の・・・!」
艦長は反論するが、アルガディは手を差し伸べて止める。そしてバドに語り掛けた。
「お前をどうするかは、この中で身分の高いジェイク様が決める。彼の判断をよく聞くんだ。」
そう言うと、アルガディはジェイクを向いた。ジェイクは頷き、ハンナはその彼を見てフフフと笑った。ジェイクはバドに告げた。
『いいだろう、貴様がそこまで言うのなら、我々が手を打とう。』
「え!?」
艦長は疑問視するが、アルガディは微笑んだ。ジェイクは語る。
『実は私も地球生物のはしくれだが、この星の生物達を見て来て先の無い未来を予感し、現在においてガルザーク帝国に身を寄せたのだ。それに地球生物と敵対する目的が同じならば、何であろうとこの場に受け入れられるだろう。』
それを聞いて、バドは頭を下げて感謝した。
「そ、それはありがたい!どうかよろしくお願いします!」
『では、私から父であるガルザーク17世にかけあってみよう。それでもし了承されれば、晴れてお前もガルザーク帝国の一員だ。』
「はっ!」
バドは再度、お辞儀をした。
『では、ひとまず我々はこれで失礼する。アルガディ、その男に関する本国からの決定が下されるまで、ヤツはお前の方で預かってくれ。』
ジェイクはそう告げ、アルガディが「はっ!」と答えた。と同時に、通信は終了した。
その後でアルガディが、バドを向いて語り掛けた。
「我々としても、地球侵攻のために戦力は必要だからな。お前が俺の部隊に来れることを祈っているよ。」
「はっ、ありがたきお言葉!」
バドはアルガディにお辞儀をした。しかし艦長は疑問に思い、指揮官に顔を近づけて聞いた。
「よろしいのでしょうか?確かに目的が同じでも、ヤツも地球生物・・・。」
「よせ、ジェイク様も地球生物なのだ!受け入れんという選択肢は無いだろう!」
アルガディはたしなめた。そして再度バドを見て、戦力が増える予感にほくそ笑んだ。

その頃、ジェイク艦でもハンナが上官に語り掛けていた。
「今までの流れから、ジェイク様が本国に渡ったばかりの時の事を思い出しました。」
「フッ、何を言う、ハンナ。」
そう答えながらも、バドに自分のかつての姿を映してか、ジェイクは穏やかな笑みを浮かべていた。その時の事を思い出しての事だろう。
「さて、ハンナ。早くヤツの事を本国に伝ねばな、頼むぞ。」
「はっ!」
ハンナは答え、通信機を取った。それを見た後、ジェイクは顔を正面に向けながらほくそ笑んでいた。

翌日、ガーディアンズの面々は、マニーとともにライモンシティ近くの森の河原へキャンプに訪れていた。そこは太陽が輝き、鳥ポケモンがさえずり、小川の水もせせらぎ、そして緑も豊かに冴えわたっていた。
「ほーら、行くよマナ!」
「きゃっ、冷たい!やったな、こいつー!」
「そらそらー、あたしからも行くわよー!」
マナ、カゴメ、マニーの3人で水遊びをして、ゲイルは昼食の準備、ディアゴは大きい岩の上に座って座禅を組んでいた。ちなみにプライベートなので、メンバーは軍服を着ていなかった。幾度となく激戦を潜り抜けてきた彼らにとって、この自然の中で過ごす時はまさに心癒される瞬間であった。
「セントラルカロスで不審な動きを見せているガルザーク帝国の調査に向かっていて、この中にいれないマーティーがちょっと不憫だけどな!」
そう言うゲイルだが、その顔は穏やかに笑っていた。誰もがこの自然の中を満喫しているようであった。
しかし、ルイーズだけはそんな気分ではなかった。彼はテントの中で頭を手に乗せて足を組み、昨日の戦闘における、あの民間のミジュマル達の言葉を思い返していた。
(あんた達、何やってるんだよ!?いくら勝てそうだからって油断しているから、倒せずに逃げられるんじゃないか!!)
(バトルスタイル、文句無カッタ。デモ勢イダケ、最後油断シテ相手ノ状況、確認シナカッタ。)
(もし相手が退いてくれなかったら、あなた達はあっという間にやられていたかもしれません。)
(あんた達の考えは一般と比べて堅いんだよ!だから大切な物が欠けているんだ!!)
「・・・・・・。」
色々思い浮かんで来るが、その中でも最も気になっているのは、あのミジュマルが最後に言った言葉だった。
(それは、「気合」と「根性」だ!!)
「・・・って言ってもよぉ・・・。」
彼は呟きながら、小さく目を閉じた。
「どうしろってんだよ・・・。」
その時、ゲイルがテントの扉を開けた。
「ルイーズ!」
「!」
ルイーズはそれに気づき、すぐさま体を起こした。
「昼飯、出来たぞ!」
「あぁ、今行くよ・・・。」
そう言ってルイーズも、テントの中から出てきた。水遊びをしていたマナ達も、テント近くに引かれた、カレーときのみサラダが乗ったシートの前に集まって行く。
「私、もうお腹ペッコペコ!」
「あたしもー!」
「さて、早く食べよう!」
しかし、ルイーズは相変わらず乗り気でなかった。
「・・・・・・。」
見かねたマナが尋ねた。
「どうしたんだよ、ルイーズ?せっかくのキャンプなのに元気ないじゃないか?」
「何か悩み事であるの?」
マニーも彼の手に触れて尋ねた。ルイーズは話し出す。
「ちょっと・・・、この前のミジュマルの坊主が言っていた事が気になってな・・・。」
「あぁ、あの生意気な民間の子供達だろ?」
ゲイルが答えた。カゴメも言った。
「あんな言葉なんか気にしていたら、満足に戦えないでしょ。」
「そうなんだけどな・・・。」
さすがのルイーズも、何か引っかかることはあるようだ。敗北の原因は、自分の詰めの甘さにあるのだろうと、薄々気づいているのかもしれない。
そこへやってきたディアゴも、彼と同じくミジュマル達の言葉について引っかかっていた。
「だが、あの子供達の言う事も一理あるように思える。まるで、何か熱い物が込められているような・・・。」
その時、彼らのいる河原に近づくポケモンの一団が、こっちにやって来た。彼らはワイワイガヤガヤ話しながら、こちらに近づいてくる。
「おい、本当にここで合ってるんだよな?」
「心配いらないよ、アリーシャと一緒に調べたんだぜ?」
「はい、私は不器用ですが、その分時間をかけましたけど。」
「到着までにも時間かかったけど?」
「そう言わないでください、ツタージャさん。せっかくのキャンプなんですから。」
「そうだぞ、エンジョイしようぜ!」
彼らの話に混じって、何やらホバークラフトのような音まで聞こえる。
ルイーズ達がその場所を向くと、彼らはそろって目を疑った。
「着いたぜー!」
「ホンマに聞いていた通りに自然「豊か」な場所やな~。」
「だったら「浴衣(ゆかた)」でも用意しとけばよかったかな。」
「ワルビアル、ダジャレ寒イ。」
「はい、夏の気持ちいい熱さが死んだー!」
「えー、勘弁してくれよ~(笑)。」
などと笑い合いながら、自分達が乗っている乗り物を停止させると、それらは降りてきた。ルイーズ達には、その「ポケモン達」には見覚えがあった。
「あっ、お前ら!?」
「ん?」
それは、ミジュマル、チャオブー、ツタージャ、ケンホロウ、ズルッグ、ハハコモリ、ガマガル、ガントル、ワルビアルの9体の、ブレイブウォーリアーズのポケモン達に、さらにチルタリスが1体いた。
「あの時のヤツらか・・・!」
ルイーズは苦虫を噛み潰した顔で呟くが、
「どうもー、先客さんですかー?」
自分達がガーディアンズだと気付いていないのか、以前とは違い、陽気に声をかけるミジュマルに、ルイーズの表情もキョトンとなった。
「あっ、本当だ!誰かいる!」
「こんにちは、そっちもキャンプなのに悪いわね。」
「でもあの人ら、あんま見ぃへんで?」
「アノ姿、多分カロス地方ノポケモン。ソレモ5体。」
チャオブーやツタージャ等、他のポケモン達も同じ反応だった。ガーディアンズのメンバー達は思わず、その状態に呆然としていた。
(気付いてないのか、こいつら・・・。)

それから、ルイーズ達とブレイブウォーリアーズは、互いに向き合うように、シートの上に座って昼食を一緒に食べることになった。
「いやー、まさかキャンプで予定していた河原にすでに先客がいたなんてな!」
「思わない偶然でしたね。」
ミジュマルとそのチルタリス、アリーシャは笑い合った。ツタージャも和んでいた。
「でも相手はあたし達より大人だから、何か困ったことがあれば手助けしてもらえそうね。」
「1人、子供もいますけどね。」
ケンホロウもそう言って、マニーに微笑みかけた。マニーも笑顔を返す。
ブレイブウォーリアーズの面々は全員、穏やかな雰囲気だったが、彼らはまさか自分達の前にいる「大人のポケモン達」が実はガーディアンズだとは誰も気付いていなかったのだった。軍服を着ていないため、一般のポケモンだと思っているのだろう。
ルイーズ達は相手を見ながらヒソヒソささやき合った。
「おい、こんな所で昨日のガキどもが来ちまったぞ、どうすんだよ?」
「どうするったって、今更移動するわけにもいかないだろ。」
「それにあの子達、幸いにも俺達の正体には気付いてないみたいだし。」
「年代の近いマニーとも気が合うみたいよ。」
「乗り掛かった舟だ、ここは身分を隠して一晩過ごすほかは無い。」
「・・・その通りだな、ディアゴ。」
そんな彼らの様子を、ミジュマルが彼に話しかけた。
「ん、何の話だ?」
「あっ、いや!こっちの話だ!」
ルイーズは答え、先ほどディアゴが言ったように、ミジュマル達に愛想よく接する。
「とにかくだ!今回は同じキャンプの名目で一晩過ごすんだ!よろしく頼む!!」
『はーい、こちらこそよろしくお願いしまーす!!』
ブレイブウォーリアーズの面々も、そろって返事をした。
それから一同は、そろって昼食を食べ始める。互いに話し合ったり、(素性はどうあれ)微笑み返したり、サラダを分け合ったりと和やかな雰囲気だった。
ズルッグとマニーも、互いに近寄って話し合う。
「へぇー、お前も仲間達と一緒に過ごしているんだ。」
「うん、家族はみんな死んじゃって、今はルイーズ達が家族みたいなものよ。」
「そっか、なんか俺とおんなじだな。」
互いに、家族がいないが仲間と楽しく過ごせているポケモン同士、気が合うようだった。ハハコモリもそれを見守りながら、ゲイルに話しかけた。
「おたくのお嬢ちゃんも、結構素直に育っとりますのぅ。」
「多分、ご家族の育て方がなっているんだと思っています。」
ゲイルは頭をかいて答えるが、ハハコモリは付け加えた。
「あと、あんさんらの接し方もなぁ。」
「・・・・・・。」
それを言われるとゲイルも照れくさくなり、顔をポリポリかいていた。
一方、ここでは同じチーム同士でいい雰囲気になっているのもいた。
「はい、ミジュマル、アーンしてください。」
「おっ!アーン・・・。」
アリーシャがミジュマルに「アーン」してあげて、カレーを食べさせていた。ミジュマルはアリーシャからのカレーを食べた。
「う~ん、アリーシャが食べさせてくれたらさらに美味い!」
「ありがとうございます、ミジュマル!」
ミジュマルの美味しそうな顔に、アリーシャも満足そうだった。その様子には、ツタージャ達もガーディアンズの面々も微妙な表情を浮かべていた。マナが尋ねた。
「あのー・・・、1つ聞いていいかい?」
「え?」
「何ですか?」
ミジュマルとアリーシャが首を傾げた。マナは思い切って言った。
「あんたら、どういう関係?」
「何って・・・。」
そうミジュマルが言いかけると、アリーシャが彼に寄り添って答えた。
「私達、夫婦なんです。」
『!!?』
その意外な事実に、ガーディアンズのメンバー達は衝撃を受けた。
『夫婦~!!?』
ディアゴと、よくわからないマニー以外が、一斉にしりもちをついた。ルイーズとマナも震え声だった。
「お、おいおい、そいつぁ・・・!?」
「いくら何でも、衝撃的すぎ・・・!」
「あたし達もそう思ったのよ。」
「この2人が結婚するって言った時は・・・。」
そう答えるツタージャやチャオブー達も、ミジュマルとアリーシャのべったり具合には参っている様子だった。
「アリーシャ、サラダ取るか?」
「はい、少しくらいお願いします。」
対する2人は、一同の目など気にしないで食事を続ける。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
その様子を眺めながら、未だ目を丸くするガーディアンズにワルビアルは話した。
「まぁ、こいつらは同じチームとして一緒に過ごした仲だったもんな。」
「チーム?」
カゴメが尋ねた。ケンホロウが答える。
「私達は、イッシュ地方各地を回って、色々な人たちからの依頼を受けているんです。」
「あと、任務で悪い奴らと戦ったりもするんですわ。」
ハハコモリも続いた。その時、ルイーズは確信した。
「!お前ら、もしかしてブレイブウォーリアーズの!?」
「えっ、ブレイブウォーリアーズって、あの!?」
マナ達も続けて気付いた。今まで気付かなかったが、今一緒にいるポケモンの子供達は、イッシュ地方のあらゆる問題解決に関与していた、あのブレイブウォーリアーズだったのだ。
「勇気の球をめぐる一連の事件やサンショウ派との戦い。」
「それから、復活した亜獣族との戦いも制し、その王であるイノセンスを2度も打ち破った・・・。」
「あのブレイブウォーリアーズ・・・?あなた達が?」
ゲイルとディアゴ、カゴメが口々に言う。ハハコモリとガマガルが答えた。
「そうどす、ワイらはこれでも歴戦の勇士なんですわ!」
「今はあんた達のルーツのカロス地方に旅に出ているトレーナーとのバトルの経験も生かして、様々な激戦を潜り抜けて行ったんだ!」
「カロス地方?」
マナはそのキーワードを聞き、目を丸くした。
「じゃあ、こいつらのトレーナーとはどこかで会うかもね・・・。」
ミジュマルは話を続けた。
「隊長は俺の父さんのダイケンキなんだけど、今、父さんは別地方からの依頼でどこか行っているんだ。だけど、俺達はそれでも上手くやってるぜ!」
そう言いながらも、ミジュマルはこう述べた。
「昨日なんか、夜中の午前3時にライモンシティで発生した火災を食い止めに行ったんだけど、その犯人のガルザーク帝国の騎士がいたんだよ。俺達が相手をしようとしたところへガーディアンズが来てくれたんだけど、あいつらあろうことか敵を倒し損ねちまったんだ!」
それを聞いて瞬間、ガーディアンズはウッとなった。チャオブーも言う。
「あなた達の地方の軍を悪く言うつもりはないんですけど、戦闘スタイルは悪くないけど、彼らの戦いは大方勢い任せな感じがして・・・。」
「軍人の戦いはいつも現実味を帯びているから、「気合」だとか「根性」だとかの精神論よりそっちが優先されるのかも。」
ツタージャも両手をくいっとやって言った。
「それにあそこで逃がすくらいなら、あたし達だけで相手するんだったわ。」
「・・・・・・!」
マナもその言われ様に怒りを覚えるが、ルイーズはまた出てきた「気合」と「根性」などという言葉に動揺していた。
(また、あの言葉か・・・!)
そしてミジュマルは言いきった。
「カーディガンズだか何だか知らないけど、あんな軍人ばかりに戦いを任せてられるか!」
「ミジュマル!」
「それを言うならガーディアンズ!」
チャオブーとツタージャがツッコミを入れた。
しかし、自分達のチームの悪態を突かれまくったルイーズ、マナ、ゲイルは、彼らに不満タラタラな様子だった。
「ほう?歴戦の勇士といえどたかが一般のポケモン達が、宇宙の巨悪を倒せるとでも?」
3人は一斉に、ブレイブウォーリアーズを睨んだ。しかし、カゴメは彼らを窘めた。
「ちょっと、2人とも!マナまで!」
ミジュマル達も、途端に目くじらを立てる大人たちに、オロオロしていた。
「な、何だ?」
「どうしたんだよ、あんた達・・・?」
やはりまだこちらは何も気づいていないようだった。
ディアゴは目を閉じてあぐらをかくだけで何も言わなかったが、相手の子供達にああまで言われるのもわかる気がした。
(だが、確かに俺達はまだ未熟かもしれん・・・。彼らが言うように、現実的視点でものを考えるばかりで、彼らから感じるような熱い物が欠けているのかもしれん。)
彼は感じていた、ミジュマル達から心の底から湧き出る熱い物を。
その時、ガーディアンズの通信機が鳴った。ルイーズが出た。
「はい、こちらルイーズ!」
『少尉、ガルザーク帝国からこちらへ緊急メッセージです!』
「何だと!?」
「何だ、それは!?」
ゲイルやマナ達も、それに注目した。
『「本日午後1時30分までにライモンシティ内の中央広場まで来い。もし時間内に来なければ、街を無差別攻撃する。そちらの賢明な判断に期待する。」・・・以上です。』
「果たし状みたいなものか、乗ってやろうじゃないか!」
マナが叫んだ。ゲイルもリーダーに呼びかけた。
「ルイーズ!」
「おう、連中がそこまでするなら、俺達が行くしかねぇな!」
しかし、ブレイブウォーリアーズの面々はその会話の内容がよくわからなかった。ガーディアンズはその場から立ち上がる
「悪ぃ、ガキ達!俺達、ちょっと急ぎの用事があるから!しばらくお前らだけで楽しく過ごしてくれ!」
ルイーズがそう言い残すと、一同はその場を後にして、ライモンシティへと急いだ。
「頑張ってね、みんなー!」
戦闘に参加しないマニーは、彼らに手を振って送り出した。
「あっ、ちょっと待ってくれよ!」
「一体どうしたんですか!?」
だが、ミジュマルとアリーシャが呼び止めるが、ガーディアンズはあっという間にいなくなってしまった。
「行っちまった・・・。」
「一体、どないしたんやろか?」
ズルッグとハハコモリが言った。すると、さっきの会話を聞き取ったガントルが言った。
「今、彼ラ通信デ、ガルザーク帝国ガドウトカ言ッテタ。」
「!何!?」
「本当なの、ガントル!」
チャオブーとツタージャが尋ねた。ガントルは頷く。
「アァ。ソレカラ、正体トカ身分トカ、ワケノワカラナイ事ヲ言ッテイタ。」
「何だそりゃ!?」
ガマガルがツッコミを入れた。ワルビアルが一同に呼びかける。
「とにかく、もしガルザーク帝国絡みなら、あの人達が心配だ!急ごうぜ、みんな!」
『うん!』「はい!」
ミジュマル達の返事が一斉に返った。そして彼らは、急いで乗ってきた軽トラ方式のスカイライダーに搭乗した。ワルビアルが運転席に乗り、ハンドルを握った。
「ワルビアルさん、早く出して!」
ミジュマルがせかすが、ワルビアルは落ち着かせた。
「だー、待て!全員乗り込まないとすぐ発進できないぜ!」
だが、間もなく全員乗り込もうとしていた。一方でハハコモリとズルッグは、マニーをスカイライダーに乗せようとしていた。
「ほら、あんさん急いでーな!」
「え、でも私は・・・。」
「こんな所にお前1人置いて行けるか!ほら、急いで!」
2人にせかされ、マニーも乗り込んだ。その場にいた全員が乗り込んだ事を確認すると、ツタージャは告げた。
「いいわよ、ワルビアルさん、行って!!」
「よっしゃあ!!」
ワルビアルはアクセルを踏み、スカイライダーは勢いよく発進した。
ブレイブウォーリアーズも、(まだ正体に気付いていないが)ガーディアンズに続いてライモンシティへと急いだ。

ライモンシティでは、住民達や野生のポケモン達の波が、ある物から逃げていた。
それは、人間型の姿だが、黒い鎧をまとった男3人と女2人がいた。彼らは1列に並び、ゆっくりと中央広場を歩いていた。
そこへ、ガーディアンズが駆けつけ、相手の前に出た。彼らは、鎧の男達に声をかけた。
「止まれ、てめぇら!!」
「あんたらか、果たし状の相手は!?」
それから一瞬沈黙するが、鎧の男達は口々に話し出した。
「正確には、俺達の上司達だがな、お前らを呼んだのは。」
「私達は彼らの命を受けて、ここで待っていたのよ。」
「昨日は失敗したが、あの方はここでお前達にリベンジするつもりらしい。」
黒い短髪の男と、カーブのかかった金髪の女、そして黒い長髪の男の順番で台詞が出た。
「あの方ってのは、アルガディの事か?」
ルイーズが尋ねると、男達は顎を引いて微笑した。
「どうやらそのようだな。」
彼らの様子から判断したディアゴが言い、ゲイルも敵に質問した。
「お前ら、何者だ!?」
すると、男達も順番に名乗り出した。
まず、中央の黒い短髪の男だ。
「コードネーム「シュバルツ1」、タオ!」
次に、その左のカーブのかかった金髪の女だ。
「コードネーム「シュバルツ2」、デミー!」
それから、彼女の左の黒い長髪の男だ。
「コードネーム「シュバルツ3」、ディン!」
その次は、タオの右の、前髪の揃ったストレートヘアーの茶髪の女だ。
「コードネーム「シュバルツ4」、マグ!」
最後は、彼女の隣の、金髪のショートヘアーの青年だ。
「コードネーム「シュバルツ5」、アロ!」
『我ら、ガルザーク帝国第206特殊部隊、「シュバルツ・クレッセント」!!』
そして、5人そろって部隊名を名乗った。ガーディアンズは彼らを見据えた。
「特殊部隊!?」
「そうか、ガルザークの連中、俺達相手についにそう言うのを出してきたか!」
ディアゴとゲイルが言うと、シュバルツ・クレッセント達も答えた。
「いい加減、貴様らに対抗するべき戦力が必要と見てな。」
「私達はその名目で詰められた精鋭なのよ。」
「ここらで引導を渡してくれる、ガーディアンズ!!」
アロ、マグ、そして隊長のタオの順番で言った。ガーディアンズも臨戦態勢を整えた。
「なるほど、ついに敵も本腰入れてきたってわけね!」
カゴメは強気な姿勢で言った。
そこへ、ブレイブウォーリアーズも到着し、スカイライダーから降りて中央公園の上から眺めていた。そんな中でルイーズが敵に宣言する。
「それじゃあてめぇらを倒して、また生まれた脅威を1つ取り除いてやる!!」
ミジュマル達と一緒に来ていたマニーも、その様子を眺めて、ルイーズ達に微笑んだ。
(ルイーズ、みんな・・・。)
そしてルイーズが、仲間達に呼びかけた。
「行くぜ、みんな!!」
『OK、ルイーズ!!』
マナ達も返事を返した。
すると、5人は懐から、しまっていた軍服を取り出し、瞬時に着用した。
「!?」
「お、おい、あれって・・・!?」
ミジュマル達はその光景に唖然が、ガーディアンズの5人は軍服を着用した。
「来い、シュバルツ・クレッセント!!」
そして、シュバルツ・クレッセントに一斉に向かって行った。同時に、シュバルツ・クレッセントも動き出した。
「ふん、やはり威勢のいい連中だ。行くぞ!」
5人は一斉に腰の剣を抜き、ガーディアンズに切りかかって行った。
ブレイブウォーリアーズの面々は、その光景にかなり驚いていた。どうやら彼らも、自分達が先ほどキャンプしていた大人のポケモン達がガーディアンズだとようやく気付いたようだった。
「え、あのお兄さん達がガーディアンズだったの!?」
チャオブーが叫んだ。ミジュマルも、さっき自分がこぼした愚痴(ぐち)に関して、まずそうな顔をする。
「やべっ、俺まずい事言っちゃったかな・・・?」
「いや、言っていたっていうか・・・。」
「言いまくりだったぜ。」
ツタージャとズルッグが返した。
そして、彼らの眼前で、ブレイブオォーリアーズとシュバルツ・クレッセントの両者は交戦を開始した。
ルイーズは、まっすぐタオに向かって行き、手始めに「みずしゅりけん」を投げる。タオはそれを剣で弾き、切りかかって行く。相手が近づくと、ルイーズもギガブレードを抜いて、相手と剣を交える。そこから切り合いに興じ、激しく動きながら互いの刃が交差し合った。
やがて幾度か目に互いの剣を交えると、ルイーズとタオは互いの顔を近づけた。
「やるな、ゲッコウガ!この俺の剣と互角にやり合うとは!」
「へっ、こっちも剣の扱いには慣れてるからな!」
相手が自分の名前を呼んだのを聞きながら、ルイーズが相手の刃を弾き合った。そして距離を保つ。
そこからルイーズが「みずのはどう」を、タオの足元に放った。同時に、水しぶきがタオにかぶさる、それにまぎれてルイーズが相手にギガブレードの連撃を繰り出し、斬撃を喰らわせた。タオは一瞬、地面に背中をぶつけるが、すぐにバク転で起き上がり、剣を構えてルイーズに体を向けた。
「やるな、しかし!!」
と、右足をバネにして接近し、ルイーズの腹に横一閃を喰らわせた。ルイーズはその場に倒れる。
デミーと交戦に入ったマナは、まずは「マジカルフレイム」で攻め込む。が、デミーはそれに左腕を向けて、相手のマフォクシーに押し返した。
「何!?」
「これは私の能力、念動力を操る力!」
そのままデミーは、「マジカルフレイム」をマナに押し返そうとする。しかし、マナも「サイコキネシス」を使い、それを押し返す。そして互いに、「サイコキネシス」と念動力による「マジカルフレイム」の押し合いが続く。が、やがてデミーの念動力がマナの「サイコキネシス」を打ち破り、その炎がマナに降りかかった。
「ぐわああぁぁぁーーー!!」
その炎がマナに降りかかる。と同時に、デミーが剣で切りかかる。しかし、「マジカルフレイム」の炎を振り払い、マナは勢いよく飛び出した。そして、近づく敵にトライアルスナイパーを放った。デミーは後方に弾かれたと思われたが、念動波を放ち、マナを吹き飛ばした。
ゲイルは「ニードルガード」で、ディンからの剣を防ぐと、それをすぐに解いて「たいあたり」で突撃した。命中させて相手を後方に吹き飛ばすが、ディンはすぐに着地して剣の突きを繰り出す。対してゲイルも「ウッドハンマー」を叩き込み、相手の突きとぶつかり合い、やがて相手を弾き出した。衝撃で自らも後ろに下がる。
「なるほど、やはり頑丈だな。」
ディンは剣を横に振って呟いた。
「これでも防御力は固くってな!」
ゲイルも返した。だが、すぐにディンが反撃に出る。
「ならば、これで!!」
彼はゲイルより後方に下がり、その先に会った街灯(がいとう)を足場にして、勢いよくゲイルに近づいた。
「!」
ゲイルはすぐに「ニードルガード」を展開するが、すぐに相手から繰り出された突きが彼に炸裂した、が、その勢いの強さで、ゲイルは後方に倒れる。
「うおおっ!?」
「ニードルガード」が解け、ゲイルはふらつく。ディンは着地際に説明した。
「どれだけ固い防御力を誇ろうと、足が動く分、強い衝撃で飛ばされる。そして浮いた分は・・・!」
と、彼は剣を構えて、ゲイルに左下からの斜め一閃を喰らわせた。
「隙が生まれる!!」
ゲイルはその斬撃を受け、倒れ込んだ。ディンはそれにあくどい笑みを浮かべるのであった。
そしてカゴメは、頭上からマグに接近し、「ひのこ」を浴びせた。マグは剣を回してそれをはじき返すが、そこへすぐにカゴメが「でんこうせっか」で近づき、1撃を決めた。そして再び上昇すると、カゴメはトライアルバルカンで攻め入ろうとする。地上の敵には、上空に止まればこちらが有利だと思ったのだろう。
(このまま、この距離を保って攻め続ければ・・・!)
しかし、その考えはすぐに覆された。
「フフッ、かわいい子ね。」
「!?」
突如、マグが地面をそっと叩くと、彼女の体は上空に浮いた。そしてすぐに、地上の自分に攻めようとしていた彼女とすれ違った。
「えっ!?」
カゴメは慌てて、動きを止めた。そしてマグと向かい合う。
「これは私の浮遊能力よ。これがあれば私は上空の敵とも戦うことができるの。」
そう説明するとマグは、鎧の左袖部からビームガンを出し、カゴメに放った。全弾命中した。
「ぐっ・・・!」
そうしてカゴメの動きが止まったところへ、マグは接近して剣を構える。
「そぉれ!!」
そして、カゴメの脇腹に剣の斬撃を喰らわせた。
「がっ・・・!」
攻撃を受けたカゴメは、そのまま落下していく。マグはそれを見下し、不気味に笑った。
ディアゴはアロに「きあいパンチ」のストレートを叩き込む。が、アロは両腕で受け止め、剣を振りかざした。ディアゴはその剣を真剣白羽取りし、相手の腹に蹴りを入れて距離を取った。そして今度は「きあいだま」をぶつけようとする。しかし・・・、
「ふん、貴様のはそんなものか?」
「何!?」
直後、アロは右腕をディアゴに向け、ポケモンの技で言う「シャドーボール」のような色のエネルギー球を出現させた。ディアゴもそれに思わず見入ってしまう。
「そ、それは・・・!?」
「これが私のエネルギーボールだ!!」
そしてアロは、ディアゴにその「エネルギーボール」をすかさず放った。ディアゴは直撃を受け、吹き飛ばされた。
「ぐおおぉぉぉーーー!!」
さらにそこへ、アロの剣が迫る。
「せやぁ!!」
そして、それはディアゴの体に直撃してしまう。ディアゴは吹き飛び、後方に倒れた。
敵の攻撃にやられたガーディアンズは1か所にまとまって倒れ、シュバルツ・クレッセントの5人はその前に並ぶ。
「よし、「エナジー・オブ・カタストロフィー」だ!!」
『了解!!』
タオの掛け声とともに、4人も返事をした。そして5人は、剣の先端からエネルギーをチャージした。
「エナジー・オブ・・・!」
『カタストロフィー!!』
シュバルツ1の出だしから、全員で技名を叫んで、剣から溜めたビームを放った。そのビームは収束し、1つの強大なビームの閃となってガーディアンズに直撃した。
これは、アルガディの剣がエネルギーから炎やプラズマを放つ機能と同じ方式で、シュバルツ・クレッセント全員の剣にも備わっていた。
その直撃を受けたガーディアンズは、ボロボロの状態になって倒れる。
「う・・・うぅ・・・!」
何とか起き上がろうとするルイーズ達だったが、対してシュバルツ・クレッセントは彼らに不敵な笑みを浮かべていた。
「みんな!」
マニーは、仲間達がやられる姿を見て叫んだ。ミジュマル達も焦りを覚えていた。
「やっぱりやられてるじゃないか、くそっ!」
「このままだと危険です!」
アリーシャも、チャオブーとツタージャ達も状況を危ぶんだ。
「やっぱりガーディアンズだけじゃ荷が重い!」
「あたし達も行くわよ!」
『おう!』「はい!」
それぞれの返事が一斉に返る。
しかし、彼らが動き出す前に、後方からガルザーク帝国の兵士5人、ドロイド3体が迫る。
「いたぞ、ガーディアンズとシュバルツ・クレッセントの戦い介入しようとする者達だ!」
「ヤツらを行かせるな、この場で抑えろ!!」
その兵士とドロイド達は、ミジュマル達に歩き出す。ブレイブウォーリアーズの面々も、一斉にその敵を見据えた。
「ガルザークの部隊!?」
「せぇか、ワイらをあの戦いに行かせんために!」
ケンホロウとハハコモリが言い、ツタージャが一同に呼びかけた。
「みんな、まずはあいつらをどうにかするわよ!」
「おう、こっちも急いでるからな!早々に片づける!!」
ミジュマルも答え、彼らはガルザークの部隊と交戦しようとする。アリーシャも、マニーを守ろうと抱き留める。
「マニーちゃん、私が付いています!」
「はい・・・!」
マニーも彼女の体に触れた。ガルザーク帝国の部隊は、ブレイブウォーリアーズに一斉に銃口を向けた。
しかし、彼らが攻撃を開始しようとする前に、ドロイド3体が突如、斜めに真っ二つになって爆発した。
「!?」
「何だ!?」
ブレイブウォーリアーズも、兵士達もその爆発の方を向いた。その直後、兵士達にも「ハイドロカノン」の一撃が降り注ぎ、瞬く間に全員倒れた。
一瞬の出来事に、ブレイブウォーリアーズは唖然としていた。
「何、今の攻撃?」
「みずタイプの技、だったよな・・・。」
ツタージャとワルビアルが呟いた。するとミジュマルは、今の技から推測した。
「ま、まさか・・・。」
すると、その正体が爆発の煙の向こうから出てきた。
それは、ブレイブウォーリアーズの隊長でミジュマルの父親の、アララギ博士のダイケンキだったのだ。
「よう、待たせたな、ガキ共!」
ダイケンキは、先ほどドロイド達を切り裂いた「シェルブレード」をしまった右腕を顔に近づけてあいさつした。
「父さん!!」
『ダイさん!!』
ミジュマルやツタージャ達も、彼に近づいていった。マニーも、そのダイケンキの姿を見て呟いた。
「あの人、ミジュマルの・・・。」
「はい、お父さんです。」
アリーシャは笑顔で答えた。
「それと私のお義父さんで、ブレイブウォーリアーズの隊長です。」
「・・・・・・。」
マニーは再度、そのブレイブウォーリアーズの隊長の姿を見つめた。
ダイケンキに駆け寄ったミジュマル達は、口々に声をかけた。
「久しぶりだな、父さん!」
「あなたの留守は、ちゃんとあたしが守ったわ。」
「その間は色々と大変だったけどな。」
ミジュマル、ツタージャ、ズルッグの順番で言った。そんな彼らにダイケンキも、威勢よくそれに答えた。
「遅くなってすまなかった。今戻ったところだ!」
「ほんと、いいところに来てくれたぜ!」
息子のミジュマルも、父親の援軍に感謝した。するとダイケンキは、先ほど自分が倒したガルザーク帝国の部隊を見た。
「しかし、まさかガルザークの連中と絡んでいたとはなぁ・・・。」
そう言いながら頭をかくダイケンキ。そんな彼にズルッグは尋ねた。
「そう言えばダイさん、出張に行っていたって言ってたけど、どこ行っていたんだ?」
するとダイケンキも一瞬、彼に目を向けて答えた。
「実は、カロス軍の連中から突然依頼されて、対ガルザーク帝国を目的とした、ビギナー軍用ポケモンの訓練を任されてな・・・。おそらくカロス軍のお偉方は、歴戦の勇士である俺の腕前を買って教官役を依頼したんだろうぜ。」
ダイケンキは自慢げに話すが、
『えっ!?』
一同は隊長の説明に目を丸くした。
「カロス軍って・・・!?」
ケンホロウが言いかけ、ハハコモリも続く。
「ガーディアンズがおる所ですかいな!」
「あぁ、そんなところだ。」
そう答えるダイケンキに、アリーシャもある方向を指差しながら言った。
「実は今、そのガーディアンズがあそこで戦っているんですが・・・。」
「何!?」
ダイケンキも、その戦闘の様子を覗き込んだ。するとそこには、シュバルツ・クレッセントの攻撃を前に倒れるガーディアンズの姿が映っていた。
「しかも彼ら、今苦戦しているみたいなんだ!」
「早ク行カナイト、ミンナヤラレル!俺達モ行コウトシテイタ所!」
チャオブーとガントルも説明する。それを聞いてダイケンキも状況を知った。
そしてすぐさま、隊長として部隊に命令した。
「わかった、ガーディアンズ各員、すぐにガーディアンズの援護に向かえ!!俺は周辺からお前らを追って出てきたヤツらを叩く!!」
『了解!!』
ミジュマル達は返事をし、一斉にガーディアンズの戦闘の場へと急いだ。彼らを見送った後、ダイケンキもアリーシャ達の横に出る。
「きっとまたミジュマル達とガーディアンズが何とかするだろうが、落ち着くまでここを動くんじゃねぇぞ。」
『はい!』
アリーシャとマニーは返事をすると、戦闘の方を向いた。
(ルイーズ、みんな・・・。)
(ミジュマル・・・、私は信じていますよ。)
彼女達は仲間への思い思いの気持ちを、心の中で呟いた。

その頃、シュバルツ・クレッセントの5人が、一歩ずつガーディアンズに近づいてきていた。何とか起き上がろうとするがダメージがかなり来ているガーディアンズに、タオ達がほくそ笑んで呟く。
「ガーディアンズ、悪くない腕だが、最期はこうもあっけないとはな・・・。」
「さて、そろそろとどめと行こうかしら。」
「その首、もらうぞ!」
そして彼らは、一斉にガーディアンズに剣を向けた。ルイーズ達もその方向を見て、歯ぎしりや額に汗を浮かべていた。
しかし、そこへ彼らが到着する。
「待て!!」
ミジュマルの声が響くとともに、ブレイブウォーリアーズの面々がガーディアンズの前に出た。
「お、お前ら・・・!?」
横たわるルイーズ達も、呆然と彼らを見上げていた。対してディンとアロは、突然飛び出してきたポケモン達に問いただす。
「何者だ、貴様らは?」
「我々とガーディアンズの戦いを邪魔する気か?」
「しゃらくせぇ!!」
ミジュマルは強気に返した。そして歌舞伎のポーズとともに名乗る。
「俺達ぁイッシュ地方一、最強チーム、ブレイブウォーリアーズ~!!」
「ブレイブウォーリアーズ?」
タオはその名前を聞き、呟いた。デミーとディンも言った。
「へぇー、「あいつ」が言っていたヤツらか?」
「ミジュマルにチャオブーにツタージャ・・・、上方通りだな。」
そんな事もつい知らず、ブレイブウォーリアーズのポケモン達はシュバルツ・クレッセントに告げる。
「俺達がいる限り、イッシュ地方で勝手な真似はさせない!!」
「例えガルザーク帝国が相手だろうと!」
「私達は戦います!」
「ワイらはみんな、勇気の戦士なんや!!」
チャオブー、ツタージャ、ケンホロウ、ハハコモリの順番で言うと、最後にミジュマルが宣言した。
「行くぞ、ガルザーク帝国!!ガーディアンズに続いて、俺達が相手だ!!」
対するシュバルツ・クレッセントも、彼らの様子にほくそ笑んでいた。
「ほう、次は貴様らが楽しませてくれるか。」
そして彼らも剣を構え、ブレイブウォーリアーズに挑もうとする。
「行くぞ!」
そして、ブレイブウォーリアーズとシュバルツ・クレッセントは激突する。

まず、タオが左袖部から放った連射ビームを、ミジュマルがホタチで防ぐ。全て防ぎきると、ミジュマルはホタチを持った手を横に出す。
「ほう、その貝にそのような使い方があるとは。」
そう呟くと今度は、タオが剣を振りかざしてまっすぐ向かってきた。ミジュマルはそれに対して、「シェルブレード」を抜いて相手の剣と交差させる。タオが押しながら振りかざす剣を、ミジュマルも下がりながら弾いていく。だがやがて、ミジュマルは相手の剣を弾き、自らの斬撃を喰らわせる。
「ぐわあぁぁっ!?」
一瞬ふらつくタオ。その隙を逃さず、ミジュマルはさらに「アクアジェット」で突撃して、相手を吹き飛ばした。その後で「アクアジェット」を解き、ミジュマルは手を腰にやってたった。
デミーはチャオブーとツタージャに挑む。チャオブーの「かえんほうしゃ」を念動力で止め、相手にぶつける。しかしその後ろからツタージャが飛び込んできて、
「そこ、逃がさないわ!」
「!」
デミーに向かって勢いよく「リーフブレード」を振りかざした。それはデミーの剣に止められるが、ツタージャはその前に出て叫んだ。
「今よ、チャオブー!!」
「よっしゃあ!!」
すぐさま、チャオブーは「ほのおのちかい」を使い、「リーフブレード」を防いで間もないデミーを包み込んだ。それと同時タイミングで、ツタージャも「リーフストーム」を決めた。
「きゃあああぁぁぁーーー!!」
衝撃でデミーは飛ばされ、チャオブーとツタージャは互いを見合った。
さらにディンには、ワルビアルとズルッグが挑む。ディンが振るった剣をワルビアルが「ドラゴンクロー」の右手で受け止め、左腕の物を相手の腹に喰らわせる。それでディンが後ろに下がったところへ、ズルッグが「きあいだま」を投げ、その間にワルビアルが「あなをほる」で地面に潜り、下から攻めようとする。
しかしディンは、ワルビアルが地面に潜った地点めがけて、拳を叩きつける。すると、その地面が盛り上がり、一直線上に伸びていく。
「これは俺の能力、グランド・クラッシャーだ!!相手のいる方向に地面を叩けば、その地面が盛り上がる!!」
その盛り上がった地面はワルビアルを地中から出して持ち上げ、さらにズルッグにもダメージを与えた。その様子を見てほくそ笑むディンだが、すぐにズルッグは巻き返し、相手に「ずつき」で突撃して、顎に当てる。
「がっ・・・!?」
さらにワルビアルも空中で巻き返し、ズルッグに呼びかけた。
「ズルッグ、合わせろ!!」
「よーし!!」
そして2人は、それぞれ「ストーンエッジ」と「きあいだま」を同時に投げた。「きあいだま」の周辺を「ストーンエッジ」が包むように囲い、一気にディンに直撃した。
「ぐおおぉぉぉ!?」
その爆発を見届けながらワルビアルとズルッグは、
「へへっ、やったな!」
「あぁ、あんたもナイスタイミングだぜ!」
そう言葉を返しあって拳を合わせた。
ケンホロウとハハコモリは、上空に浮かぶマグと交戦する。ケンホロウの「エアカッター」とハハコモリの「はっぱカッター」が、空中と地上でそれぞれ炸裂する。が、マグは剣を回してそれを防いだ。しかしすぐにケンホロウが「つばめがえし」で向かって来て、マグは相手が近づいてきたギリギリの所で剣を振り上げ、間合いに入ったと思ったところで振りかざした。
「!」
だが、ケンホロウは上手くかわし、彼女の真後ろに出た。
「ちぃっ・・・!」
直後、彼女の足に糸が巻き付いた。
「!?」
それは、ハハコモリが「いとをはく」で出した物だった。ハハコモリは捕まえた相手をしっかりと押さえていた。
「よーし、逃がさへんで!」
「くっ・・・!」
マグはすぐに糸を切ろうとするが、その真横からケンホロウが迫り、再度「つばめがえし」を仕掛ける。マグの位置を捉えると、彼女はまっすぐ突撃して、命中させた。同時に、ハハコモリも糸伝いに「エナジーボール」をぶつけた。直撃を受けた彼女は落下していく。
「やったな、ケンホロウ!」
「はい!」
ハハコモリとケンホロウも声をかけあった。
最後にアロの相手は、ガマガルとガントルだった。アロはガマガルに向かってエネルギーボールを連射するが、ガマガルは軽い身のこなしでかわしていく。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ~!」
「ちぃっ!」
相手の素早い動きに翻弄されながらも、やがてアロは剣で切りかかって行く。するとガマガルは、
「今だ!!」
と、近づいてきた相手に「ハイドロポンプ」を放ち、後方に押し流す。アロは後方に出て倒れる。だがすぐに体を起こし、左袖部の連射ビームを放った。しかし今度はガントルが現れ、そのビームを弾いた。
「な、何!?」
アロはおどけるが、ガントルは「ラスターカノン」をチャージする。
「させるか!!」
阻止しようとエネルギーボールを構えるアロだったが、その前にガマガルが上に出て、
「こっちこそさせるかよ!!」
すぐさま「マッドショット」を放って阻止した。
その間にガントルの「ラスターカノン」のチャージが完了され、その光は一気にアロに向かって伸びていった。アロはどうにか受けようとするが、その勢いにより弾かれ、吹っ飛ばされる。
「へへっ、ざまぁ見ろってんだ!」
「俺達ノ腕、マダマダ捨テタ物ジャナイ。」
ガマガルとガントルも、その言葉を呟いた。
歴戦の勇士であるブレイブウォーリアーズは、いずれもガルザーク帝国の兵士相手に善戦していた。ガーディアンズもその様子を、じっと眺めていた。
「すごい、ガルザークの連中をあそこまで追い詰めるなんて・・・。」
「ブレイブウォーリアーズ、確かに歴戦の勇士だな・・・。」
マナとゲイルが感心して言うが、ルイーズが一同に呼びかけた。
「のん気なこと言ってるばいいじゃないぞ!俺達も行くぞ!」
そしてダメージが少し引いたガーディアンズも、すぐに起き上がって前に出た。
ブレイブウォーリアーズに圧倒されるシュバルツ・クレッセントは、1か所に固まって、ゆっくり体を起こした。
「ぐっ・・・!」
彼らと向かい合うブレイブウォーリアーズの横に、ガーディアンズも駆けつける。
「!あんた達・・・!」
ミジュマル達も彼らに気付いた。ルイーズとマナは呼びかけた。
「このままだと大人の面子が立たねぇからな!」
「あたし達だってまだまだ戦えるのさ!」
それを聞いて、ツタージャもフッと笑った。
「フフフ、どうやら意地があるのはお互い様みたいね。」
他のブレイブウォーリアーズも、彼女の言葉に納得していた。
ルイーズは再度、彼らに語り掛けた。
「だが、今は獲物を取り合っている暇はねぇ!敵が共通なら、協力して戦うぞ!」
「へっ、今のは大人の勝手な言い分にも思えるな。」
ミジュマルが言うと、ルイーズは少しムッとした。だが、ミジュマルも相手の意見には賛成だった。
「けど、それも一理あるよな!」
「そう言うことね!」
ツタージャも答え、自分のチームのメンバーに呼びかけた。
「いいわね、みんな!ここはガーディアンズと協力して戦うわよ!!」
『おぉー!!』
ミジュマルやチャオブー達が勢いよく返事をした。それを見ながらマナも、ルイーズの隣でフッと笑った。
「さて、それじゃあ・・・!」
「共同戦線、開始だ!!」
協力して戦闘に当たると決意した、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズ。今は同じ平和を守る戦士として利害が一致したため共に戦うと決めたのかもしれないが、両組織の意志は対ガルザーク帝国に向かっていたようだった。
対してシュバルツ・クレッセントも、完全に起き上がって彼らに挑もうとする。
「ふん、2つの勢力が手を組んだところで!」
「こちらもまだ戦えるわよ。」
そして、正義と悪の両組織は、互いに戦闘の構えを取った。
しかし、そこへさらに2つの声が聞こえた。
「地球を守護する2勢力の共闘か。」
「利害が一致した故だろうが、それはこちらも同じ事・・・。」
「!」
一同はその場所を向いた。するとそこには、アルガディとバドが歩いて来ていた。
「ガーディアンズ、やはりこちらの誘いに乗ってくれたか。」
「アルガディ!」
ルイーズ達はアルガディを睨んだ。同時に、隣にいた緑色の肌の男にも気づく。
「なんか、ガルザーク帝国のヤツにしちゃあ、もっと化け物じみた色のヤツもいるみたいだけど?」
しかし、彼女の今の言葉で言う「化け物じみた色のヤツ」には、ブレイブウォーリアーズには見覚えがあった。
「!あいつは・・・!?」
「まさか・・・!?」
ミジュマルとチャオブーは目を丸くした。するとバドも、彼らを向いて話しかけた。
「ようやく巡り会えたな、ブレイブウォーリアーズ。いつぶりかな?」
そして顔を勢いよく前に突きだし、彼は叫んだ。
「私は貴様らへの復讐の時を待ち詫びていたのだよ!!」
「バド!お前、生きていたのか!」
相手を睨み返し、ミジュマルがその名前を叫んだ。
「亜獣族の王、イノセンスの側近・・・!」
「まさかガルザーク帝国と組んでおったとはなぁ。」
ケンホロウとハハコモリも言った。中央広場の外から、マニーもバドの姿を不思議そうに見ていた。
「あ、あれは何なの・・・?」
アリーシャは、不安そうな彼女を抱きながら答えた。
「亜獣族、かつてこの世界を恐怖に陥れた存在・・・!」
「この世界を恐怖に・・・?」
ダイケンキも同じ場所を見て、歯ぎしりを浮かべた。
「イノセンスの側近だったヤツか!行方が分からなかったが、まさか生きていたとはな!」
バドは不気味な笑みを浮かべながら、かつての主の仇であるミジュマルを指差して話し出した。
一度は制圧したガイオウシティでの戦いで、主がブレイブウォーリアーズのミジュマルに倒された、あの日の事を思い出しながら・・・。
「あの時、そこのミジュマルの小僧にイノセンス様が倒されてからというもの、私は復讐を誓ったがそれを行う術がなく、ずっとこのイッシュ地方を静かにさまよって行く他は無かった。だがこの以前、こちらにいるアルガディ様がガーディアンズと戦っている様子を眺め、ようやく時は満ちた!今こそ我が主の仇、討たせてもらうぞ!!」
それを横で聞きながら、アルガディも微笑して話し出した。
「それから、こいつらの種族は我々と敵対する地球生物どもと対をなす存在だ。地球征服を狙い、貴様らと対峙する我々とは利害は同じ。故に、俺とジェイク様はこいつを新たな戦力として迎え入れたのだ!」
「ジェイク!?」
相手の口から出た名前に、マナは反応した。そして尋ねた。
「今回もジェイクが絡んでいるのか!?」
「ならばどうなんだ?」
アルガディは不気味な笑みで答える。そしてもう1つ告げた。
「今頃、このライモンシティの付近には、我が軍の艦隊が部隊を用意して迫ってきている頃だろう!そうなれば、この街は瞬く間に戦火に包まれるだろう!?」
「何!?」

現在、ライモンシティの近郊より、アルガディの艦を含む5隻のガルザーク帝国の艦隊が、少しずつ近づいて来ていた。
その旗艦であるジェイク艦のブリッジで、ジェイクとハンナはガーディアンズおよびブレイブウォーリアーズと、アルガディやバド達のいる中央広場の様子を眺めていた。
「バド、お父様の決定で我がガルザーク帝国の戦力となったからには、それなりの成果を見せてもらうぞ。」
ハンナは画面に映るバドの姿にそう呟き、ジェイクは艦隊の指揮を執る。
「各艦、合図と同時に、準備が完了した者から部隊を発進させよ!その後で我が艦隊による総攻撃を開始する!!」
ガルザーク艦隊が、少しずつライモンシティの領内へと入ろうとしていた。

「なんてこったよ・・・!」
「コンナ時ニソノ艦隊ニ来ラレタラ・・・!」
ミジュマルとガントルが額に汗を浮かべ、一同も息をのんだ。ルイーズ達も焦る。
「街があぶねぇ!!」
「すぐにドミニオンに連絡を・・・!」
ゲイルが呼びかけるが、その前にアルガディが告げた。
「おっと、残念だが貴様らはあの艦隊を対処できない!」
「何、どういう事だ!?」
ディアゴが尋ねる。アルガディはほくそえみ、
「貴様らは邪魔の入らない場所で、ゆっくりと処刑してやる!」
「!?」
ルイーズやミジュマル達が警戒した。するとアルガディが呼びかけた。
「やれ、バド!!」
「はっ!」
するとバドは、上空に1枚の呪符を投げた。と同時に、呪符が光り出し、上空に大きな空間の穴が空いた。そして、その周囲を飲み込まんとする勢いで、周囲の物を吸い込み始めた。
「ハハハハ、これぞ我が「時空間解放の呪符」!これを空中に向けて放つことで、その投げた位置から時空間の穴が開き、敵と見なした者達を全てバラバラの時空へと連れて行ってしまうのだ!!」
「ガーディアンズ、そしてブレイブウォーリアーズ!この穴に吸い込まれた先が、貴様らの墓場となる!!」
バドとアルガディが答えた。
ダイケンキがアリーシャ達を守ろうと寄り添うが、時空の穴の真下にいたガーディアンズとブレイブウォーリアーズは、その穴に引き込まれていく。
『うわあああぁぁぁぁぁーーーーー!!』
『きゃあああぁぁぁぁぁーーーーー!!』
そして全員、その穴の中に吸い込まれていってしまう。それを確認し、アルガディとシュバルツ・クレッセントも動き出す。
「シュバルツ・クレッセント各員、俺達も行くぞ!ヤツらが飛ばされた時空で、それぞれ始末するのだ!!」
『はっ!』
そして、2勢力を吸い込んだ後閉じかけていた時空の穴に飛び込み入っていき、それと同時に時空の穴は消えてしまった。
「ミジュマル!!」
「みんな!!」
アリーシャとマニーが、その一部始終を見て叫んだ。ダイケンキも、自分の息子と部下達が時空の穴に吸い込まれる様子を見て、歯ぎしりを浮かべた。
「くそっ、なんてこったよ・・・!」
一方、バドは自らの仇と、新たに属することになった組織の目の上のこぶのような存在の最期を予感し、不敵にほくそ笑んだ。
「あちらはアルガディ様らが始末してくれよう・・・。」
そして彼は、こちらに近づいてくる艦隊を向いて呟いた。
「あとは、この街を攻め落とすだけ・・・。」
一方、ジェイク艦のブリッジでも、ジェイクがガーディアンズとブレイブウォーリアーズが時空の穴の中に消える様子を眺めてほくそ笑んでいた。ハンナも彼に告げる。
「ヤツらは時空の向こうへと消えた模様ですね・・・。」
「あぁ、これでようやく終わる、ガーディアンズとの因縁もな・・・。」
ジェイクは呟き、その敵の中にいたかつての恋人の事を思い、心の中で告げた。
(今度こそお別れだ、マナ・・・。)

その頃、ガーディアンズの母艦ドミニオンでは、オペレーター達が、先ほど起きた状況を報告していた。
「ライモンシティ中央広場にて、空間のひずみが発生!」
「ルイーズ少尉らが、その穴に吸い込まれてしまいました!!」
「何!?」
指揮官のロン博士は、その報告を聞き叫んだ。
「なんという事だ、ルイーズ達が!?」
同時に、さらにオペレーター達が伝える。
「さらにその穴の中に、交戦していたガルザーク帝国の部隊が入っていきます!」
「同時に、街の外より敵艦隊、接近します!!」
「ぬぅぅ・・・!」
彼は歯ぎしりをして握り拳を固めながら、やがて決断した。
「ガーディアンズの安否も気になるところだが、今、我々はライモンシティをガルザーク帝国から守らなければならない!これより、敵艦隊との戦闘に赴く!!」
「え!?し、しかし、ルイーズ少尉たちのいないこの状況では・・・!?」
「艦の砲撃だけでは地上の部隊もしのぎきれません!!」
異論を唱えるオペレーターにも、ロン博士は告げた。
「確かにリスクは大きい!だが、ここで我々が行かなければ、街は制圧されてしまう!!」
「・・・・・・。」
その指揮官の決定には、クルー達も異論を唱える者はいなかった。そしてロン博士は再度指示を下した。
「ドミニオン発進!!ライモンシティに近づくガルザーク帝国の艦隊を迎撃する!!」
直ちにドミニオンのエンジンに火がともり、ライモンシティ付近の敵艦隊に向かって行くのだった。

しかし、その間にガルザーク艦隊も、ライモンシティへの攻撃を開始しようとしていた。
「各部隊、発進準備よし!いつでも行けます!」
オペレーターが報告した。ハンナも指揮官に呼びかけた。
「ジェイク様。」
それにジェイクも頷き、彼は各艦に告げた。
「各艦、攻撃開始!!部隊を出撃させ、総攻撃を行う!!」
すぐさま各艦から、兵士とドロイド、戦闘機の部隊が出撃し、艦隊ライモンシティへと攻め込んだ。
「主砲発射!!周辺の建造物を蹂躙する!!」
ガルザーク艦から放たれた主砲が、ビルをいくつか破壊していく。その残骸から真下の者達が逃げ、さらに逃げる人間やポケモン達にも、兵士とドロイドのレーザー射撃に、戦闘機の機関砲が降り注ぐ。
周辺に部隊を固めるバドも、その様子を眺めて高笑いを浮かべた。
「ハハハハハ、そうだ!もって攻めろ!我ら亜獣族が受けた屈辱を、この攻撃で晴らしてくれる!!」
さらにその攻撃は、マニーやダイケンキ達にも迫ってきた。戦えないマニーとアリーシャを守るために、ダイケンキが前に出て迫る敵部隊に応戦する。
「女子供には手出しさせねぇぞ!!」
彼は「シェルブレード」を振り回し、近づく敵部隊を切り払って行く。さらに遠くの敵にも、「ハイドロカノン」を飛ばして薙ぎ払う。が、数の多い敵を前に防戦一方だった。
「くっ・・・!」
「ハハハハハハ、かつてイノセンス様を圧倒したダイケンキが情けない物だな!」
そこへバドがあざ笑いながら、彼らの前に姿を現した。
「これだけの敵の数に手を焼くとはな・・・!」
「うるせぇ、本当ならもっと早く片づけてたさ!」
強がりにも似たセリフを吐きながら、ダイケンキは目の前の敵を薙ぎ払って行く。そんな彼にさらにバドは言い放った。
「そうだな、後ろに女が2人もいるから、あの時のようにメトロポリス・イレイザーを使って倒れるわけにもいかないからな・・・。」
「くっ・・・!」
ダイケンキは歯ぎしりをしながらも、前方左右の敵を「シェルブレード」で切り払って行く。そんな彼にアリーシャも、心配させまいと呼びかける。
「ダイさん、私達の事は構わずに!」
マニーも彼女の言葉に続いて頷いた。2人とも、今ダイケンキが倒れてはなすすべはないと考えたのだろう。
だが、敵の数は圧倒的で、さらに勢力を増していく。バドは圧制と見てほくそ笑む。
「フフフ、ガーディアンズとあのミジュマル達がいない今、ヤツらを討てば我々に勝利となる・・・、ん?」
ふと、彼は上空を眺めた。そこには、街の到着したドミニオンが浮かんでいた。
「あれは確か、ガーディアンズのドミニオンという艦か。」
ダイケンキとマニー達も、付近まで近づいたドミニオンを眺めていた。アリーシャは呟く。
「あれは一体・・・?」
「ドミニオン!」
マニーが表情を和らげて叫んだ。
「え?」
「ガーディアンズの母艦か、ありがてぇ!」
ダイケンキは直ちに、右手でバッヂを取って通信を取ろうとする。もちろん、左手には「シェルブレード」を抜いている。
その頃、同じくジェイク艦でも、ドミニオンの艦影を捉えていた。
「ドミニオン、確認!こちらに向かってくる模様!」
「ふん、ガーディアンズがいなくなったというのに、1隻だけで向かってくる気か?」
だが、ガーディアンズのいない状況下では、ジェイクはドミニオンなど特に危険視していなかった。
「すぐに沈めてくれる!」

一方、ライモンシティ内へと入ったドミニオンでも、オペレーター達が状況確認を行っていた。
「ガルザーク帝国の部隊、ライモンシティ内の広範囲に展開!」
「攻撃による被害増大!建造物の損壊率、40パーセントに到達!」
「これほどまでの損害をかぶるとは・・・!」
ロン博士は歯ぎしりをしながら、艦内に指示を下した。
「本艦はこれより、ガルザーク艦隊との交戦に入る!ガーディアンズがいない今、苦戦は免れないだろうが、これ以上ヤツらの暴挙を許すわけにはいかない!!」
彼もクルー達も、みな覚悟はできていた。命に代えてもガルザーク帝国を倒す、その気持ちでいっぱいだった。
だがその時、オペレーターのバオップが艦への通信をキャッチした。
「ロン博士、地上より通信です!」
「何!?誰からだ!」
「これは、ブレイブウォーリアーズのダイケンキです!」
「何!?軍本部が教官役として呼んでいだポケモンか!?」
ダイケンキがカロス軍の軍用ポケモンの教官役をやっていた事は、ロン博士も知っていた。彼はすぐに伝えた。
「すぐに通信を開け、彼と話したい!」
「了解!」
すぐさま回線が開かれた。ダイケンキからの声が聞こえる。
『こちら、ブレイブウォーリアーズ所属のダイケンキ!ドミニオン、聞こえますか?』
「はい、こちらからも聞こえております!」
ロン博士は答えた。

中央広場内において、ダイケンキは左手の「シェルブレード」で向かって来る敵を払いながら、右手のバッヂで応える。
「現在、こちらはガルザーク帝国の大部隊と交戦中です!傍には女の子が2人いますが、どちらも無事です・・・、って、おわっ!」
が、ダイケンキが言い終わる前後で、マニーもダイケンキの横に出て、バッヂに呼びかけた。
「ロン博士、マニーよ!私も彼らといるわ!」
通信から聞こえた彼女の声に、ロン博士達は目を丸くした。
「何!?本当にマニーなのか!?」
『えぇ、今ダイケンキのおじさまが守ってくれてるの!』
そう呼びかけるマニーを後ろに下がらせ、ダイケンキは続けた。
「というわけでしてね!実を言うとこっちも仲間があの空間のひずみに吸い込まれていて、1人でこの大部隊に苦戦していた所です!そこへあなた方が来てくれたので、こちらも安心しました!協力して敵の殲滅に当たりましょう!」
『了解しました!』
ロン博士は答えるが、やはり自分達だけでは戦力不足だと見ていた。
「しかし、我々が組んだところでもこれだけの敵を相手取るのには不十分かと・・・。」
だが、ダイケンキは明るく答えた。
「大丈夫、こんなことがあろうかと、ちゃんと援軍を呼んでおきましたよ!」
「え?」
彼がそう告げた時、通信の向こうでロン博士が首を傾げた。
その時、ダイケンキ達の周辺に、多数のミサイルが降り注いで敵部隊を一掃した。周辺に爆風が吹き荒れ、マニーとアリーシャは身を伏せ、ダイケンキも「シェルブレード」でそれを防いだ。バドも思わず身をかがめる。
「ぐおおぉぉぉーーー!?」
しばらくして、爆風が止んで彼が顔を起こし、ミサイルが降ってきた上空を眺めた。
「ぐっ、どこからだ!?」
ミサイルを放った物、それは、ブレイブウォーリアーズの所有する空中戦艦アルトリウスだった。
「ぬっ、あれは・・・!?」
バドが冷や汗をかいた。マニーもアリーシャに尋ねた。
「あの艦は・・・?」
「私達の戦艦、アルトリウスです。」
ダイケンキも、その姿を眺めて笑みを浮かべた。
「へっ、やっと来たか、ルディ!!」
一方、ガルザーク帝国の艦隊でも、アルトリウスの姿を捉えていた。ジェイク艦でも、オペレーターが伝える。
「ジェイク様、新たな艦影を確認!識別はブレイブウォーリアーズ!」
「ほう、とするとアルトリウスか。」
ジェイクは呟くが、強敵がいない今、たとえ彼らでもとるに足らないと見た。
「構わん、ヤツらも攻撃せよ!!」
すぐに彼が指示を出すと、部下達も「はっ!!」と一斉に返事をした。

アルトリウスのブリッジでは、シキジカ、ミネズミ、ヤブクロンらオペレーターと、CICター複数、そして指揮官としてルディが乗っていた。本来の艦長はダイケンキなのだが、彼が不在時には副長であるルディが指揮を執るのだった。ちなみに、今回はダイケンキはカロス軍の教官の依頼からまっすぐイッシュ地方に戻って来たため、アララギ研究所からまっすぐ飛んできたルディが艦長席に座っていた。
「街の中央広場で、ダイさんとアリーシャを確認しました!」
「さらに当宙域にて、カロス軍のドミニオンの姿も見られます!」
オペレーターのシキジカとミネズミの報告を聞きながら、ルディもドミニオンの方向を向いた。
「ドミニオン・・・、と言うことは、やっぱりガーディアンズもここに・・・。」
その時、オペレーターのヤブクロンが、通信をキャッチした。
「ルディさん、ダイさんから通信です!」
「!つないで!」
ルディが答え、すぐにダイケンキからの通信が入った。
『こちらダイケンキ!アルトリウス、間に合ったか!』
「ダイケンキ、無事だったのね!」
出撃要請を送った隊長の無事を確認し、ルディも喜んだ。だが、状況は思わしくない事は彼女もわかっていた。
「ガルザーク帝国は総力を持ってこの街を攻め落とすつもりみたいね!」
『あぁ!しかもヤツらの策でミジュマル達が妙な穴に・・・!』
「えぇ、こちらでも確認していたわ!」
ルディは答えた。アルトリウス側でも、ミジュマル達が吸い込まれた時空の穴の存在は確認していたようだった。
「今彼らの行方を捜しているけど・・・、まだ見つからないのよね。」
そう彼女が尋ねると、シキジカも告げた。
「ダメです、別な場所に飛ばされた形跡もありません!」
『・・・そうか。』
通信からダイケンキの声が重々しく聞こえる。が、彼は中央広場からアルトリウスに伝えた。
「とにかく、そっちからも部隊を出せ!地上のドロイドやら戦闘機やらを対処する!それから、アルトリウスもドミニオンとともに、敵艦隊を叩け!!」
『了解!』
ルディは答え、アルトリウスのブリッジからオペレーターに伝えた。
「ドミニオン側にも通信を!」
「了解!」
シキジカは返事をし、ドミニオンとの回線をつなげた。

ドミニオンの側にも、アルトリウスからの通信が入った。
『こちら、ブレイブウォーリアーズ所属艦、アルトリウス。私は副長のルディです。ドミニオン、聞こえますか?』
「はい、こちらは艦長を務めるロン博士です。」
ロン博士は答えた。ルディが呼びかける。
『現在、状況は思わしくありません。そこで我々も共同戦線で、あれらの敵と対峙する方が有効かと思われますが。』
彼女の提案にロン博士も「うむ」と頷き、彼も申し出た。
「ではこれより、本艦もそちらとともにガルザーク帝国を迎撃します!よろしく頼みます、ルディさん。」
『はい、こちらこそ、ロン博士。』
ルディも答えた。その通信の後、ロン博士はクルーに呼びかけた。
「聞いての通りだ!本艦はこれより、ブレイブウォーリアーズと共同でガルザーク帝国の迎撃に当たる!各武装、展開!敵艦隊との戦闘を開始する!!」
ドミニオンの各武装が展開される。アルトリウスでも同様に、戦闘態勢が整えられた。
「これより、本艦も敵艦隊との戦闘に入ります!第1から第4カタパルト展開!エネル・ミサイル、およびリニア・カノン展開!!」
アルトリウスのエネル・ミサイルとリニア・カノンが展開され、第1から第4カタパルトまでが展開された。各カタパルトには、第1カタパルトがスカイライダー搭乗のツンベアー、第2カタパルトにスカイライダー搭乗のモグリューとミルホッグ、第3カタパルトにランクルス、そして第4カタパルトにスワンナが待機していた。彼らもミジュマル達の行方不明の知らせを聞き、それぞれ言葉を述べていた。
「ミジュマル達が行方不明だって?」
「一体、どこに行ったんだよ?」
ミルホッグとモグリューが不安そうに言うが、ツンベアーは叱咤した。
「今はそんな事を考えている暇は無い!」
「そうですね、今は街に展開中のガルザーク帝国を何とかしないと。」
ランクルスも続いた。そしてスワンナが呼びかけた。
「ミジュマルやツタージャ達の分は、私達がしっかり戦いましょう!」
『おう!!』
4体の返事が同時に返った。
そして各カタパルトの発艦シーケンスが完了し、ツンベアー達は出撃した。そして展開中のガルザーク帝国に向かって行った。
ツンベアーが地上の兵士とドロイドに「れいとうビーム」を浴びせて凍らせ、スカイライダーから降りて「いわくだき」を繰り出して砕いた。そして再びスカイライダーに乗って上昇し、戦闘機部隊にも「つららおとし」を繰り出し、火球に変えた。
同じスカイライダーの搭乗するモグリューとミルホッグも、地上部隊に降下していく。モグリューが操縦する中、ミルホッグは「きあいだま」を放ち、周辺の敵を吹き飛ばす。その上で操縦を代わり、モグリューが目の前のドロイドに突撃し、一気にそれらのボディを突き抜け、多数を撃破していく。その1直線が、大きな道を作った。さらに残った部隊にも、ミルホッグが「でんこうせっか」で突撃し、すれ違いざまに「アイアンテール」をかまして、ドロイドをも撃破する。さらに別方向の敵にも、「あなをほる」でモグリューが敵ドロイドの下方から接近し攻め込んだ。その上でその周辺の敵も「きあいだま」をぶつけ、さらに合流したミルホッグも、ドロイド2体に「アイアンテール」を決めて倒す。背景をバッグに、2人は後方に出た。
上空でも、ランクルスがゆっくり横回転しながら「サイコウェーブ」を放ち、戦闘機部隊を撃破していく。上下から飛んできたミサイルや機関砲も「サイコキネシス」で止め、周辺に放って撃破する。スワンナも「れいとうビーム」や「ねっとう」で多くの戦闘機を撃ち落とす。
だが、戦闘機部隊の多くは、ドミニオンやアルトリウスにも仕掛けていく。
接近してきた戦闘機が、アルトリウスにミサイルや機関砲を放つ。被弾と同時に、艦内に衝撃が走る。
「ぐっ・・・!」
「右舷に被弾!戦闘行動に支障無し!」
シキジカが報告する。それを受けながらルディは反撃しようとする。
「エネル・ミサイル、1番から4番!確実に当てて!!」
ルディが指示を出すと、エネル・ミサイルが放たれ、敵戦闘機部隊を一掃した。
ドミニオンでも同様に、敵戦闘機からの攻撃にさらされていた。
「左舷後方に被弾!装甲への貫通無し!」
「後部ミサイル発射!敵を追い払え!!」
ドミニオンの後部ミサイルが、接近してくる敵戦闘機を撃ち落とした。
しかし、今度は敵艦からの砲撃が迫る。ジェイクが艦隊の砲撃指示を出した。
「各艦、一斉射用意!よく狙え!!」
ガルザーク艦隊の主砲が、ドミニオンとアルトリウスに向けられた。
「発射!!」
ジェイクが指示を出すと同時に、各艦の主砲が放たれた。それぞれドミニオンとアルトリウスに被弾し、両艦は激しく揺れた。
「左舷に被弾!出力90パーセント以内に低下!」
アルトリウスでシキジカが状況報告を行った。
「右舷上部に被弾!装甲、わずかに損傷!艦の航行に支障無し!」
こちらはドミニオンのニンフィア。
両艦は直ちに、反撃を開始する。ロン博士とルディが、それぞれの艦から指揮を執る。
「リニアカノン砲、および下部レールガン照準!中央より左方の艦隊を狙う!!」
「リニア・カノン照準、艦隊の右側2隻を当てるのよ!!」
それぞれの艦の武装の照準が、敵艦隊に向けられる。
『撃てー!!』
そして同時に、それぞれの攻撃が敵艦隊に命中した。ジェイク艦のブリッジも激しい衝撃が走った。
「ぐっ・・・!」
ジェイクとハンナは揺られ、ジェイクは手すりに倒れ込み、ハンナもその彼の体に倒れ込んだ。オペレーターはすかさず報告した。
「各艦、被弾!しかし、いずれも戦闘継続に支障なし!」
「おのれ、たった2隻といえどよくやる・・・!」
ジェイクは歯ぎしりをしながら、さらなる攻撃指示を出した。
「攻撃、続行!!何としてもあの2隻の艦を沈めろ!!」
そして、両勢力の激しい艦隊戦が繰り広げられた。
一方、地上ではバドがその艦隊戦の様子を眺め、歯ぎしりを浮かべていた。
「むぅぅ、まさかヤツらの戦艦まで来るとは・・・!」
しかし彼はすぐさま、付近の兵士とドロイドに呼びかけた。
ダイケンキは敵が少なくなったうちに、マニーとアリーシャを下がらせる。
「お前達は戦闘が落ち着くまで、安全なところへ隠れているんだ!」
「はい!さぁ、マニーちゃん、こっちです!」
アリーシャはマニーを連れて、そこから離れようとする。マニーもそれに続きながら、ダイケンキにも声をかけた。
「おじさんも気を付けて!」
「あぁ、心配すんな!」
そう答えながら、ダイケンキは再び湧き出した敵を見据えた。
「俺は簡単にはやられねぇよ!」
そして敵が向かってくると、ダイケンキは敵陣に突っ込み、「シェルブレード」と「ハイドロカノン」で敵の兵士やドロイドをなぎ倒していく。
「オラオラァ、1人とは言わず束になってかかってきやがれ!!」
彼の奮戦の様子を、少し離れた茂みで隠れてマニーとアリーシャが見守っていた。
「これで、状況が少しでもこちらに傾いてくれればいいけど・・・。」
アリーシャは呟いた。マニーも、時空の穴の向こうに消えたガーディアンズ達を案じて呟いた。
「ガーディアンズのみんなは・・・、今どこにいるの・・・?」

その頃、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズは、それぞれの時空に飛ばされていた―――

江戸時代。
長屋が立ち並び、河原には柳の生えている古き良き町並みの中で、何やら遠い声が聞こえる。
『御用だ、御用だ!!』
奉行所(ぶぎょうしょ)の役員達と彼らのガーディ達に、ガマガルとワルビアルが追いかけられていた。
「ひぃーーーーー!」
「何じゃこりゃあー!?」
2人は、必死で役員らから逃げながら、江戸の町を駆け巡っていた。
「ワルビアル、これは一体どうなってるんだー!?」
「俺に聞くなぁーーー!!」
やがて2人は、ある建物の角をまがった。と、ふとそこの戸から手が伸び、ワルビアル達を建物の中に引き込んだ。
役員達は2人を見失い、周辺を探し回った。
「痛ててて・・・、何だ、何だ?」
建物の中で、しりもちをついて頭をかいてその中を伺った。ガマガルも同様だった。
「大丈夫だった?」
「探シタゾ。」
「チャオブー、ガントル!」
なんと、そこにいたのは江戸の町人の格好をしたチャオブーと、同じ格好に頭に手ぬぐいをかけたガントルの姿だった。
「お前ら、その格好・・・?」
ガマガルが尋ねると、チャオブーは後ろの者達に手をかざした。
「彼らの手引きでね。」
『え?』
2人は、その相手に注目した。そこには、運び屋の格好をしたゲイルと、侍の格好をしたディアゴがいた。
「この町の人たちに怪しまれないようにって、ちょっとこの衣装を調達したんだよ。」
「ここは江戸時代らしいからな、それに関する知識を蓄えていたのが功を成した。」
『・・・・・・。』
2人は、呆然と彼らの姿を眺めていた。

西部開拓時代。
砂塵(さじん)の吹き荒れる町を、カゴメは1人佇んでいた。しかし、彼女はその静けさを不気味に思っていた。
(不思議だわ・・・。ここは町なのに、こんなに静まり返って・・・。)
それでもカゴメは、周辺に誰かいないかを探し続けた。
(ここには、誰もいないの・・・?)
その時、彼女の前に何かうごめく物の気配がした。
「!誰!?」
トライアルバルカンを構えてその場所を向くと、
「きゃあ!」
そこにはケンホロウがいた。
「あなたは・・・。」
「ガーディアンズの方、ですよね・・・。」
ケンホロウは恐る恐る尋ねた。カゴメは「えぇ」と返した。
「まさか、あなたもこの場所へ?」
「はい。ですが、他の皆さんがどこへ行ったのか・・・。」
そう呟きながら、ケンホロウは上空を見渡した。
だがその時、突然2人の前に2つの影が飛び出してきた。
「!何!?」
彼女達が振り向くと、そこにはデミーとマグがいた。
「フフフ、やはりこんな所に獲物が2匹もいた。」
「さぁ、遊んであげるわ!」
『・・・・・・!』
2人は、敵に対し身構えた。すると両者にも動きがみられた。
「シュバルツ4、回り込んで!」
「了解!」
デミーの指示で、マグは2人の反対側に回った。カゴメとケンホロウは、すぐに挟まれてしまった。
「今だわ!」
と、デミーとマグが左袖部からの連射ビームで仕掛け、カゴメとケンホロウはそれを上昇して避けた。だが、
「逃がさない!」
と、今度は右袖部からワイヤーを放ち、2人の足にかけて引きずりおろした。
『きゃあ!』
彼女達は地面に倒れる。さらにデミー達は、今度はワイヤーをカゴメとケンホロウの体に巻き付けた。2人は身動きが取れなくなってしまう。
「ぐっ・・・!」
それを見てデミー達はほくそえんだ。
「安心なさい。」
「すぐ楽にしてあげるから。」
と、2人は左手首を向けてビームを構える。カゴメもケンホロウもどうすることもできず、そのビームが降り注いでくるのを待つしかなかった。
だがその時、カゴメ達を拘束しているワイヤーが、突如飛んできたエネルギー弾と「リーフストーム」で切られ、2人が拘束から解かれた。
「なっ!?」
「どこから!?」
一同がその場所を向くと、そこにはそれぞれギャロップとゼブライカに乗った、マナとツタージャがいた。
「マナ!」
「ツタージャさん!」
カゴメとケンホロウがその名を叫んだ後、ギャロップに乗るマナと、ゼブライカに乗るツタージャの「リーフストーム」が、デミーとマグにそれぞれ直撃する。マナ達はカゴメとケンホロウの所で止まり、2人に呼びかけた。
「今のうちに逃げるんだ!」
「こっちよ、付いて来て!」
「うん!」「はい!」
それぞれ返事をして、カゴメ達もマナ達に続いてその場を離れて行く。しかし、デミーとマグは彼女達に銃口を向ける。
「逃がすか!」
「あんた達はここで!!」
だがマナやツタージャ達が過ぎ去った後で、ハハコモリとズルッグが出て来る。彼らもデミー達に仕掛ける。
「そうはいかへんで!」
「男のメンツにかけてな!!」
そして2人は、デミー達に「エナジーボール」と「きあいだま」を飛ばした。2人の手前にそれらは当たり、爆発の煙が舞った。
「ぐっ・・・!」
デミーとマグが顔を上げると、すでに彼らはいなくなっていた。
「くっ、逃がしたか!」
「すぐに見つけ出して始末するわよ、シュバルツ2!」
「えぇ!私はあいつらの消えた向こう側、あなたは反対側を!」
「わかったわ!」
そして2人は、マナとツタージャ達を探し周りだした。

石器時代。
時空の穴で飛ばされてきたルイーズは、その後で見事に着地する。そして周辺を見渡した。目の前には、見渡す限りの荒地が広がっていた。
「荒地か・・・。さっきまで街にいたはずなのに、こんな所まで飛ばされちまうなんてな・・・。」
手を腰にやって呟いた時、崖の下から楽しそうな声がするのが聞こえた。
「さぁさ、どうぞ・・・。」
「いやー、ははは・・・。」
「!何だ・・・?」
彼はすぐにその場所に向かった。するとそこには、アーケンやプロトーガ等の古代ポケモンから施しを受けるミジュマルの姿があった。
「さぁさぁ、どうぞこれを。」
「どうか召し上がってくだされ。」
「おぉ、やったね。サンキュー!」
「あ、肩とか揉みましょうか?」
「え、マジで、悪いね。」
ミジュマルも古代ポケモン達からの厚意に全く遠慮しない。そこでルイーズが声をかける。
「お前、ブレイブウォーリアーズのヤツか?」
「あっ、ガーディアンズの兄ちゃん!」
ミジュマルもルイーズに気が付いた。ルイーズはこの状況下でものん気なミジュマルに呆れていた。
「何やってんだ、お前。こんなわけわからねぇ状況だってのに。」
「それがさ、こいつらさっき俺がここへ落ちてきたときに、なぜか一斉に崇めてきたんだよ!」
「全く、のん気なもんだな・・・。」
だがその時、ルイーズも気付いた。
「!そうか、そう言うことか。」
「え、何がだ?」
「お前も空から来たんだろ、ここへ?」
「そうだけど・・・?」
「だったら、神様か何かだと思われてるんじゃねぇのか?」
「え、神様!?」
思わずミジュマルは目を丸くした。確かに空から降ってきたとなれば、神様の類だと思われるのも無理な話でもない。
「それもそうか・・・。」
そしてすんなりと受け入れるミジュマル。さらに古代ポケモンからの恩恵は続いた。
「ささっ、このきのみもどうぞ。」
「どうも、どうも!」
状況を知ったら知ったで、調子に乗るミジュマル。それを見てルイーズは、手を腰にやってため息交じりで呟いた。
「単純なガキだ・・・。」
とその時、突然ルイーズの立っている場所から爆発が巻き起こった。ルイーズは吹き飛ばされ、崖から落下する。
「うわあああぁぁぁぁぁーーー!!」
「何だ!?」
ミジュマルも古代ポケモン達も、その場所を向いた。落下するルイーズは、「みずのはどう」をクッションにして着地し、爆発の起こった方向を向いた。
「何モンだ!?」
古代ポケモン達はその瞬間逃げ出していったが、ミジュマルも同じ方向を向いた。
「今の爆発・・・!?」
するとそこには、アルガディとタオが、ルイーズが先ほどまでいた崖の上に立っていた。
「見つけたぞ、ガーディアンズのゲッコウガにブレイブウォーリアーズのミジュマル。」
「貴様らはこの時代で始末してくれる!」
「時代?つーことはここは石器時代か?」
ルイーズが問いかけると、アルガディもあざ笑うように、
「それがどうした?」
「貴様らをバラバラの時代で討てば、もはや俺達ガルザーク帝国の敵はいないにも等しい。」
「お前ら・・・!」
ミジュマルもアルガディ達を睨んだ。と、アルガディとタオは彼らの前まで降り立った。そして着地し、アルガディが2人に剣を向けて話す。
「バドの「時空間解放の呪符」によって生じた時空の穴に吸い込まれた者は、元の時代に戻る事はできん!だが俺達は、バドが渡した「時空渡来の呪符」によって、貴様らを葬った後で元の時代に返る事が出来る!」
「つまり、貴様らを討てばガルザーク帝国の天下というわけだ!!」
タオも続いた。次にアルガディは、ルイーズに呼びかけた。
「ガーディアンズのゲッコウガ、特にこの俺の鎧に傷を付けたお前は、我が剣で葬らねば気が済まん!この時代で討ち、現代を我らガルザーク帝国の手に!!」
「・・・・・・!」
ルイーズは歯ぎしりをしたまま、静かに相手を睨んだ。
そして2人は微笑しながら、ルイーズ達に近づいていく。ルイーズ達は身構え、応戦しようとする。
「早ぇところあいつら倒して、現代に戻らねぇとライモンシティがあぶねぇ!!」
「でもどうする?仮にあいつら倒しても、帰る方法がわからないと・・・!」
ミジュマルは不安そうな表情で呟く。
「・・・・・・!」
それを聞いて額に汗を浮かべるが、直後ルイーズは敵の言葉の意味を逆算した。
「待てよ・・・?」
「どうした?」
ミジュマルが尋ねる。と、ルイーズは答えを出した。
「あいつらが呪符を使ってここから戻れるってことは、つまりあいつらを倒して呪符を奪えば、俺達も元の時代に戻る事ができるのか。」
「そうか、てことは俺達が現代に戻ったら、バドを捕まえてみんなを元の時代に戻させることもできるな!」
ミジュマルはそう呟く。しかしアルガディ達は、間もなくこちらに近づいてくる。
「どうした?先にやられる相談か?」
不気味な笑みで尋ねかけるアルガディ。すると、ミジュマルがルイーズに呼びかけた。
「ルイーズ!」
「わーってる!まずはこいつらから叩くぞ!!」
ルイーズもすぐに答え、ギガブレードを抜いた。ミジュマルも敵を向いて「シェルブレード」を抜くが、
「甘いな。」
そう呟きアルガディがタオに呼びかける。
「やれ、シュバルツ1!」
「了解。」
するとタオは、右手からエネルギーを発し、天に掲げると一気にそれを上空に放った。それは「黒いプラズマ」となり、ルイーズ達に降り注いだ。
「ぐわあああぁぁぁーーーーー!!」
「うわあああぁぁぁーーーーー!!」
電流を受け、ルイーズとミジュマルは地面に倒れた。
「ハハハハ、やはりみずタイプのポケモンにはかなりの威力があったか!!」
「くっ・・・!」
ルイーズ達は体を起こす。タオは今の能力について説明した。
「今の電流は俺の能力、「シュバルツ・プラズマ」だ。手から黒いエネルギーを溜め、それを上空に放つことで黒いプラズマを相手に降らせる事が出来る。しかもピンポイントで狙えるゆえ、死角などは無い!!」
「そう言うことだ!」
アルガディも不気味な笑みで続いた。
「俺達を倒すなど、一筋縄ではいかんぞ!!」
『・・・・・・!』
2人は歯ぎしりをしながら、眼前の敵を見据えた。

現代での戦闘も、まだ継続していた。
地上の兵士とドロイドには、ツンベアーが「れいとうビーム」と「つららおとし」、モグリューとミルホッグが「きあいだま」と、それぞれ「ドリルライナー」と「アイアンテール」で応戦し、上空の戦闘機部隊もランクルスの「サイコキネシス」と「サイケこうせん」、スワンナの「れいとうビーム」と「ねっとう」で撃ち落としていく。
艦隊戦も熾烈(しれつ)を極め、敵戦闘機がドミニオンに接近する。バオップが伝える。
「敵戦闘機、接近!」
「リニアカノン砲照準、撃てー!!」
すぐさまロン博士が指示し、リニアカノンが放たれた。それによって近づいてきた戦闘機が落とされるが、アルガディ艦でもドミニオンに主砲の照準が合わせられた。
「主砲、照準合わせよし!」
「よーし、そのまま固定!」
オペレーターの報告を聞きながら、艦長が指示を出した。彼にはアルガディの副官としての意地があった。
(アルガディ様がおられない今、あの亜獣なんていう馬の骨などにいい顔をされ続けるわけにはいかんのだ!)
そう考えながら、彼は艦隊に指示を出した。
「主砲、ミサイル斉射、撃てー!!」
艦の主砲とミサイルが、一斉にドミニオンに放たれた。ドミニオンは直撃し、艦体が「激しく揺れた。
「ぐっ・・・!」
「きゃあ!!」
バオップが直ちに損害報告を行った。
「艦体上部、および正面に被弾!出力80パーセントに低下!!」
すぐにロン博士が反撃の指示を出した。
「下部レールガン照準、撃てー!!」
ドミニオンの下部レールガンが、アルガディ艦の正面に向かって放たれた。被弾したアルガディ艦は衝撃に揺れた。
「ぐっ・・・!」
「本艦正面に被弾!出力低下、戦闘継続に支障なし!」
「持ち直せ!!」
艦長が指示を出す。
一方、アルガディ艦の2つ左側の艦でも、艦長が指示を出した。
「ミサイル全弾、目標アルトリウス!撃てー!!」
ガルザーク艦からミサイルが一斉に放たれる。ミネズミが報告する。
「ミサイル、来ます!」
「回避、面舵50!!同時にエネル・ミサイルで迎撃!!」
アルトリウスは旋回し、エネル・ミサイルで飛んで来る敵艦のミサイルを迎撃した。続いてルディが指示を出す。
「リニア・カノン照準、目標、一番右側にいる敵艦!」
リニア・カノンの照準が、アルトリウスから見て一番右側の敵艦に向けられた。
「撃てー!!」
そして、その砲撃が敵艦のブリッジに命中した。そのガルザーク艦は随所に爆発し、やがて轟沈した。
「敵艦、撃沈を確認!!」
「よくやったわ、その調子よ!」
ルディが一同に告げた。しかし、その隣の艦のでも、その一部始終が確認されていた。
「友軍艦、撃沈!」
「何だと!?えぇい、反撃だ!!」
艦長はすぐに攻撃指示を出した。
「主砲、一斉射!!確実に当てろ!!」
そのガルザーク艦から放たれた主砲が、アルトリウスに直撃する直撃。ルディは衝撃で前に倒れかかる。オペレーター達も損害を報告する。
「本艦、左右舷に被弾!出力、10パーセント低下!」
「機関部に直撃!操舵効率2割低下!」
「まだよ、まだここで引き下がってはいけないわ!」
ルディはクルーを鼓舞(こぶ)し、さらに指示を出した。
「リニア・カノン1番、2番照準、撃てー!!」
アルトリウスのリニア・カノンが、敵艦隊に向かって放たれた。
その真下でも、ダイケンキが敵部隊相手に「シェルブレード」と「ハイドロカノン」で応戦していた。
「うぉら!!」
一撃のもとで兵士をなぎ倒し、ドロイドを切り裂いていく。その姿を、近くの茂みで隠れながら、アリーシャとマニーが見守っていた。
「ダイさん・・・。」
アリーシャが呟き、マニーも静かにその場を見つめていた。
だが、やがて敵の攻撃がダイケンキに数発命中し、彼は倒れた。
「ダイさん!」
「おじさん!」
アリーシャとマニーが叫ぶ。が、ダイケンキは再び起き上がる。周囲にはまだ、多数の兵士とドロイドが展開している。
「くっ、さすがにこの数はキツイか・・・!」
その時、どこからともなく声が聞こえた。何やら、うっとうしそうな声で。
『ハハハハハハハハ、待たせたね!』
「え、何?」
「この声・・・?」
一同はその声の方向を向くが、
「むっ!?」
特にその声に反応したのはダイケンキの方だった。
「その妙にウザい声は・・・!?」
『そう、僕さぁ!!』
そこには、街の大きい階段の一番上に、1人の男が立っていた。その男は、さわやかな顔にきれいなスーツ、そしてサラサラヘアーのセミロングだった。が、その容姿からもどことなくうっとうしさを感じさせる感じだった。
『ウジシマコーポレーション次期社長候補、ウジシマ、推・参!!』
マイク越しにウジシマは名乗りを上げた。彼は聞いての通り、ウジシマコーポレーションの御曹司であるが、イッシュ地方でも有名なブレイブウォーリアーズより優位に立とうと、彼らの戦場に現れては会社の株を上げようと、新製品を持ち込んでデモンストレーションするが、度々失敗しているという。さらに前述の経緯などから、ダイケンキからは目の敵にされ、たびたび叩きのめされている始末である。
彼の隣には、部下のシンタがいて、スピーカーの音量を調整していた。
「坊ちゃんも大胆ですねぇ、わざわざこんな戦場のど真ん中でもマイクパフォーマンスだなんて。」
そう呟くシンタに、ウジシマは「当然さぁ」と答えた。
「なぜならここはあのライモンシティ!これほど大きな街でうちの新製品の発表となれば、我がウジシマコーポレーションの株も上がるというものさぁ!!」
軍も絡んでいる決死の戦いが繰り広げられている中でも、何という商魂だろうか(呆笑)、さすが大手企業の御曹司である・・・、と皮肉を言いたくなるような状況は、ガルザーク艦隊からも確認できた。
ジェイク艦でも、ハンナが唖然としていた。
「ジェイク様、あれは何でしょうか・・・?」
ジェイクもウジシマの姿に呆然としながらも、目をつぶって小さく息を吐いて呟いた。
「・・・なるほど、ウジシマコーポレーションか・・・。」
「は?」
「イッシュ地方を主な活動拠点とする大手企業、ウジシマコーポレーション、その御曹司なのだよ。ああやってブレイブウォーリアーズの戦闘にひょっこり現れては、新製品の紹介と言って状況をややこしくしていると聞く・・・。」
さすがのジェイクも、ウジシマの存在には呆れさせられていた。ハンナもそんな彼に「はぁ・・・」と返すだけだった。
そんな周囲の反応など気にせず、ウジシマは恒例の無駄にかっこいいポーズをしながら、マイク片手に街全体に呼びかけた。
『ライモンシティの皆さん、ご安心いただきたい!これから街にはびこるガルザーク帝国を追い払うとともに、わが社の新製品の威力を存分にお見せしましょう!!』
だがその時、案の定、彼を敵視するダイケンキの「ハイドロカノン」が放たれた。
「ウーザシマァァァーーー!!」
「あ・・・!」
その様子を見てマニーが慌てるが、アリーシャは話した。
「いいんです、いつものパターンですから。」
「はぁ・・・。」
マニーはそれに、呆然と呟いた。
だが、ダイケンキに放った「ハイドロカノン」は、ウザシマまでまっすぐ伸びたが、突如、何者かが割って入り、パラソルでウザシマを守った。
「なっ・・・!?」
ダイケンキは慌てるが、そのパラソルはウザシマの部下でシンタの姉、エミリがかざした物だった。エミリはダイケンキに呼びかける。
「ダイケンキ、今は状況が状況なんで、坊ちゃんへのちょっかいはご勘弁くださいッス。」
「え?あぁ、悪ぃ・・・。」
ダイケンキはおどけながらも答えた。ウジシマとその部下達は、ポケモン用の翻訳機を付けているため、ブレイブウォーリアーズのポケモン達の言っていることが理解できるようだった。
エミリの言葉で引き下がったダイケンキに、マニーが聞いた。
「おじさま、あの男性は・・・?」
「あぁ、あいつはウジシマ、大手企業の御曹司だ。」
ダイケンキはウジシマの方を向きながら答えた。
「俺達のチームのほとんどはウザシマって呼んでるぜ。まぁ、お前さんは好きな方で呼びな。」
「は、はぁ・・・。」
マニーはまたも呆然と答えた。
そしてウザシ・・・、ウジシマはシンタに呼びかけた。
「シンタ、布を取れ!!」
「はい!」
シンタは答え、その「新製品」にかぶせられた布を取った。
そこには、真上に太陽光発射装置と、中心に7つの穴が空いた、大砲のような兵器があった。ウジシマはマイク片手に説明する。
『この装置は、わが社の新製品、「サンシャイン・メテオ・ホッパー」さぁ!!』
「サンシャイン・・・。」
「メテオ・ホッパぁー?」
マニーやダイケンキ達が首を傾げた。ウザシマはまたも無駄にかっこいいポーズを取って説明した。
『このサンシャイン・メテオ・ホッパーは今この場に照り付けている太陽の光を吸収し、それを内部でエネルギーに変換して1発ずつ空中に放つのさぁ!それは何とも、ほらに降り注ぐ流星群の如き美しい輝き!ポケモンの技であるソーラービームとりゅうせいぐんの性質を分析して開発した、我がウジシマコーポレーション製の新兵器、それがこのサンシャイン・メテオ・ホッパー!!現在、イッシュ軍各部隊に向けて販売予定の試作モデルさぁ!!』
「ほーう、してその威力は?」
あまり気の進まなそうにダイケンキが言った。するとウジシマは「ふふん」と言い、シンタに指示を出した。
「シンタ、起動さぁ!!」
「はい。」
シンタは返事をし、装置に付いているレバーを引いて装置を起動させた。
すると、サンシャイン・メテオ・ホッパーは降り注ぐ太陽光を吸収し、エネルギーを蓄え始めた。ブゥゥンという音とともに、筒状の機械の中にオレンジ色の光が溜まって行く。シンタが計器を確認しながら報告する。
「エネルギー充填率、80・・・、90・・・、100!行けます!」
「よぅし!」
ウジシマはそう告げ、堂々と号令した。
「発射さぁ!!」
「了解、発射!!」
シンタが発射ボタンを押した。と同時に、オレンジ色のエネルギー弾が空に向かって順番に放たれた。それらはやがて、地上に向かって降り注いでガルザーク帝国の部隊を次々と火球の中に葬って行く。
「すごい、ガルザーク帝国の部隊が次々と!」
「今回は大成功かもしれないわ!」
マニーとアリーシャが目を輝かせた。いつもはウジシマに火花を散らしてばかりのダイケンキも、こればかりには「よっしゃ!!」と腕を引いていた。
「少し癪(しゃく)だが、今回は感謝するぜ!!」
しかし、それもここまでだった。
サンシャイン・メテオ・ホッパーは、確かにガルザーク帝国の部隊を多数撃破していたが、あろうことか周囲の建物にまで当たり、少なからずライモンシティに被害をもたらした。
それどころか、ドミニオンとアルトリウスにも降り注いだ。
「本艦、各所に被弾!ダメージ、30パーセントにまで上昇!」
ドミニオンでニンフィアが叫ぶ。
「随所に被弾!第2、第5、第21ブロックに被弾!」
と、こちらはアルトリウスのシキジカ。
「ダメージコントロール!戦闘継続!」
「消火作業、急いで!」
それぞれの指揮官がすぐさま対応する。
だが、ガルザーク艦隊でも同様に、サンシャイン・メテオ・ホッパーの攻撃が降り注いでいた。
「敵の攻撃により、本艦出力、さらに低下!」
ジェイク艦でオペレーターが叫ぶ。ハンナも上官に告げた。
「部隊も半数が撃破されています。ですが、街の方にも少なからずの被害が・・・!」
「やはりあのお坊ちゃんはやりすぎる!聞いた通りだ!」
ジェイクもこの状況には、そう吐き捨てる他はなかった。
しかし、ガルザーク帝国を圧倒している自分の会社の新製品の威力に、ウジシマは満足していた。
「どうだい?やっぱり今回こそ僕の会社の発明に間違いはなかっただろう?」
「それは確かにそうッスけど・・・。」
「街にも少なからず被害が及んでるッスよ。」
シンタとエミリが指摘すると、ウジシマも「え?」と普通くらいの声で返した。そして、
「そうかぁ、そう言えばターゲットロックの機能は付けていなかったなぁ。」
と、のん気に言いながらマシンに近づく。
「まだまだこいつには改良の余地が・・・。」
とその時、ガルザーク帝国のドロイドが放ったレーザーカノンが、サンシャイン・メテオ・ホッパーを撃ち抜いて破壊した。その爆発に巻き込まれ、ウジシマは黒焦げの状態で出てきた。
「ハ・・・ハハハ・・・ハハ・・・。」
そう笑いながらウジシマは、さわやかな顔で目を開けたまま気絶した。
「あぁ、ったく!やっぱウザシマは使えねぇ!」
すっかり冷めた様子で、ダイケンキは頭をかいて返した。
ジェイク艦でも、ハンナがその状況をジェイクに告げた。
「あの装置の破壊は成功しました。同時に、あちらの御曹司の男も倒しましたが・・・。」
「もうあいつらは放っておけ。」
さしものジェイクもすっかり呆れた様子だった。彼は気を取り戻して、部隊に告げた。
「向こうの装置を破壊したからには最早こっちが有利だ!一気に攻め込め!!」
残ったガルザーク帝国の部隊が、さらに勢力を増す。ダイケンキは、マニーを背中に乗せるアリーシャとともに、急いでウザシマ達のいる階段の上に昇った。
「お前ら、無事か!?」
ダイケンキがシンタ達に呼びかける。シンタとエミリも答える。
「はい、旦那。2人とも、装置から離れていたので。」
「しかし、ヤツらは勢力を増してるッス。」
2人の言葉に、ダイケンキは「あぁ!」と頷いて下を向いた。ガルザーク帝国の部隊が、こちらに近づいてくる。
「あいつらは俺達で何とかする!お前らは避難が完了してねぇ街の住民を守ってくれ!!」
『はい!』「ッス!」
2人は同時に返事をした。エミリの返事には、ハモった後で語尾が聞こえていたが。
「あっ、それと坊ちゃんはどうしますか、旦那?」
「何、ウザシマ?どっかに隠しとけ!こいつの事だからそうした方が無難だろうからな!」
「はい。」
シンタは気絶したままのウザシマをおんぶし、姉弟まずは主を連れてどこかへと移動していった。
それを見送てダイケンキは「シェルブレード」を構えるが、そこへバドが歩いてくる。
「フフフ、ウジシマコーポレーションの御曹司ともあろう者が、随分とあっけない物だな。」
「バド!」
ダイケンキもバドを睨んだ。今のサンシャイン・メテオ・ホッパーの攻撃で部隊の多くを殲滅させられたが、バドはまだ勝利を確信していた。
「先ほどは痛手を喰らわされたが、ガーディアンズもブレイブウォーリアーズもいない今、我らガルザーク帝国に歯向かう存在は最早1人もおらん!例えこの場で貴様らを始末できずとも、いずれガルザーク帝国がこの地球全土を支配下に置くのだ!!」
だがしかし、突如として数発のエネルギー弾が飛び、バドの後方の兵士とドロイドを多数撃破した。
「!何だ!?」
バドも、マニーもダイケンキ達もその方向を向いた。
そこには、上空でガーディアンズの1人、火炎騎士マーティーが、トライアルリボルバーを構えていた。
「な、何だ、貴様は!?」
バドが大声で指をさして尋ねる。ダイケンキもマーティーを向いて呆然と呟いた。
「あいつは一体・・・?」
「マーティー!」
駆けつけてきたガーディアンズの仲間に、マニーが目を輝かせて叫んだ。
「マーティー?」
ダイケンキとともに彼女を向き、アリーシャが復唱した。
するとマーティーも、トライアルリボルバーを肩に掲げ、バドを見下した。
「火炎騎士マーティーを忘れていたようだな。」
「おのれ・・・、まだガーディアンズが残っていたか・・・!」
バドは握り拳と歯ぎしりをした。
ドミニオンでも、マーティーの姿が確認され、バオップが報告した。
「ロン博士、火炎騎士(マーティー)です!火炎騎士が戻ってきました!」
「マーティー!」
ロン博士が叫び、司令席から前のめりになった。同時に、通信の向こうから、マーティーが話しかけた。
『こちらマーティー!ドミニオン、聞こえますか?』
「マーティー、よく戻って来た!」
ロン博士も通信に答える。マーティーが報告した。
『以前より調査していたセントラルカロスで不審な動きを見せるガルザーク帝国の部隊は、現地にいた紅蓮の騎士団のメンバーとともに、殲滅しました!これより私も、そちらの戦列に加わります!』
「現在、君以外のガーディアンズは行方不明だ!助かる!」
『はい、状況はすでに理解しております!』
すでにルイーズ達が行方不明である事はすでに情報網を介して確認済みのマーティーは答え、そして自分の後ろを向いた。
「それに、こちらには援軍がいます!」
ドミニオンのブリッジで、ロン博士が呆然と呟いた。
「何・・・あっ!?」
その時、彼はマーティーの後方を見てすべてを理解した。
一方、ガルザーク艦隊側でも、マーティーの姿が捉えられていた。ジェイク艦のオペレーターが叫ぶ。
「ガーディアンズのリザードン、出現!」
「おのれ、まだヤツが残っていたとは・・・!」
ハンナも敵のリザードンを向いて、握り拳を固める。しかしジェイクは、ここでも腕組みをしながら少し冷静に考えていた。
(しかし、相手は1人。集中攻撃か消耗戦に持ち込めば、あるいは・・・。)
だが次の瞬間、オペレーターが叫んだ。
「さ、さらにヤツの後方より、多数のポケモン達を確認!?」
「!?」
その瞬間、ジェイクは目をモニターに向けた。オペレーターが報告する。
「これは・・・、紅蓮の騎士団です!!」
「紅蓮の騎士団だと!?」
「・・・・・・!」
ハンナが叫び、ジェイクは呆然として歯ぎしりをした。

マーティーの後ろには、かつて自分が指揮していた紅蓮の騎士団のポケモン達が、多数展開していた。現在の指揮者であるアレクを筆頭に、彼を含むカイリュー4体、エアームド6体、そして飛行用ボードに乗ったブーバーンとブビィが5体ずつ、ボスゴドラとガーディが6体ずつだった。
「あのポケモン達は・・・?」
「紅蓮の騎士団!」
アリーシャは呆然とそれを眺め、マニーがその部隊の名前を言った。
「カロス軍の特殊部隊か!」
ダイケンキも彼らを見てほほ笑んだ。
するとマーティーも、下にいるダイケンキに気付いて、声をかけた。
「あなたは確か、ブレイブウォーリアーズの・・・。」
「あぁ!お前らん所のビギナーを教官役としてしごいていたぜ!」
「やはりそうだったのですか・・・。」
マーティーも、ダイケンキがカロス軍で教官をやっていた事をセントラルカロスでの任務中に知っており、彼に言いかけた。
「これより私と紅蓮の騎士団も、戦列に加わります!協力して敵の迎撃に当たりましょう!」
「了解だ!ここから巻き返してやるぜ!!」
ダイケンキも返事をした。そして彼とマーティーは、敵部隊の方を向いた。
マーティーの隣のアレクも、再び自分達の隊の隊長とともに戦えて、とても誇らしそうだった。
「隊長、私は、再び隊長と同じ戦場に立てることを、とてもうれしく存じます!」
「そうだな、私も同じ気分だ。」
かつてこの部隊を指揮していた頃を思い出し、マーティーも腕組をして微笑んだ。
そしてマーティーは、首元のメガストーンを光らせ、「メガリザードンY」の姿にメガシンカした。その上で、再び指揮を執ることになった紅蓮の騎士団に呼びかけた。
「各部隊、攻撃開始!!」
『了解!!』
アレクらも返事をした。しかしバドは焦りを現した。
「おのれ、だが好きにはさせん!やれ!!」
彼の号令とともに、ガルザーク帝国の兵士とドロイド、戦闘機が一斉に向かって行く。同時に、マーティー率いる紅蓮の騎士団も、敵部隊に突撃していった。

その頃の江戸時代。
町中を奉行所の役員が捜索し、その中に混じって侍の格好をしたディンとアロが、周辺を見渡しながら歩いていた。
「この辺りに違いない。必ずヤツらはいる!」
「あぁ!この町の奉行所の連中に、ヤツらの姿と特徴はすでに伝えてあるからな。」
すでに、この町の至る頃には、ゲイル、ディアゴ、チャオブー、ガマガル、ガントル、ワルビアルの6体の手配書が張り巡らされていた。ディンとアロが奉行所にかけあったため、彼らは完全にマークされていたのだった。
「見つけたら、我々の手で必ず仕留めるぞ!」
「向こうに行くぞ!」
そして、奉行所に混じって2人も先へと急いだ。彼らが過ぎ去った屋根の上では、ゲイルやチャオブー達6人が見下していた。
「ヤバいな、俺達完全にお尋ね者だぜ。」
「捕まったら確実にヤツらに討たれるのは確かか。」
ゲイルとディアゴが呟くが、チャオブーは反論した。
「のん気な事言ってる場合じゃないですよ、2人とも。」
「そうだぜ、こうしている間にも、いつ奉行所の連中が来るか・・・。」
ワルビアルも返した。ガントルも下を覗き込みながら警戒していた。
「ソレニ、アノ鎧ノヤツラニ合エバ、ソレコソ危険・・・。」
とその時、地上から奉行所が叫んだ。
「いたぞ、奴らだ!!」
「!?」
ゲイルとチャオブー達が慌てて、声がした方向を向いた。そこには、ちょうちんやハシゴを持った奉行所と、手持ちのガーディが多数集まっていた。
「逃がすな、ここで捕えろ!!」
「しまった、追っ手だ!」
「ちぃっ!」
ゲイルがすかさず、自分達の真下にいる相手から「ミサイルばり」で薙ぎ払う。そこへ一同は着地し、左右を挟む相手には、ガントルとガマガルが前に出る。
「悪ク思ウナ!」
「そこをどけぇ!!」
2人は、それぞれ「ラスターカノン」と「ハイドロポンプ」で左右の敵を追い払う。そして河原の側に走って行くが、そこへディンとアロが歩いてきた。
「逃げられると思っていたようだが、そうはいかない!」
「この場で全員、仕留めてくれる!!」
そして2人は剣を抜き、ゲイルやチャオブー達に挑みかかろうとする。だが、ワルビアルが彼らの前に出る。
「そうはいくかよ!!」
彼はすかさず「ストーンエッジ」を放ち、ディン達の足元に放った。砂ぼこりが2人の視界を遮り、ディンとアロはすぐさま剣で煙を払った。
「くっ、おのれ・・・!」
「小癪な真似を・・・!」
しかし、砂ぼこりが払われた先には、誰もいなくなっていた。どうやら、逃げられたようだ。
「なっ、くそ!!」
「おのれ、逃がすとは・・・!」
2人はすぐに、再び6体を探し始めた。彼らが過ぎ去って行く様子を、ゲイルとチャオブー達は、長屋を介した河原の反対側に出て、眺めていた。
「どうやら、上手くまいたようだな。」
ディアゴは呟くが、ワルビアルは大きなため息をついた。
「しかし、これからどうするか・・・。」
『・・・・・・。』
現時点では、元の時代に帰る方法もわからない。それにガルザーク帝国の追撃もまだ止んでいない。一同は途方に暮れていた。

西部開拓時代。
デミーとマグが、マナやツタージャ達を探して、無人の町をさまよっていた。2人は合流し、
状況を尋ね合った。
「どう、いたかしら?」
「いいえ、こっちにはいない。そっちは?」
「残念だけど、同じくよ。」
「ふん、あいつら随分上手く隠れたつもりなんだろうけど、往生際が悪いわね。」
マグが腕組をしながら見渡す。デミーは小さくほくそ笑んだ。
「すぐにでも見つけてやるわ。今度は向こうを探すわ。」
「OK、私はあっちを行くわ。」
そして2人は、再び分かれて敵を探し始めた。
その様子を、マナ、カゴメ、ツタージャ、ケンホロウ、ハハコモリ、ズルッグが見ていた。ツタージャはその様子を見ながら呟いた。
「相手は2人。分散した所を狙うべきかと思うけど・・・。」
「迂闊に飛び込めば挟み撃ちを受ける危険もあるってことだね。」
彼女の言葉に続き、マナも返した。
「だけど、あたし達とあいつら以外誰もいないところからすると、ここは近いうちに立ち退きがあった廃墟・・・。」
「つまり、物音だけでも見つかるリスクは十分高いわね・・・。」
カゴメも、マナの言葉に続いて呟いた。ハハコモリとズルッグも、状況を危惧して呟いた。
「しかもワイらをここに送り込んだあの穴はふさがってもうて、開ける方法もわからん・・・。」
「もし運よくあいつらを倒せても、帰れるかどうか・・・。」
その時、ケンホロウはすすり泣いた。
「うっ、うっ、ううっ・・・。」
「ケンホロウ?」
ツタージャが彼女の顔を覗き込む。ケンホロウは小さく話す。
「私達、もう元の時代に戻れないんでしょうか・・・。ずっとここにとどまり続けるのでしょうか・・・。」
「な、何言ってるんだよ!?」
ズルッグは慌てて返した。
「まだ完全に手が無くなったわけじゃねぇだろ!?」
「せや、最後まで希望を無くさんといてや!」
「それはわかってますけど・・・。」
ケンホロウは涙を浮かべながら続けた。
「ここは私達の知らない場所、違う時代・・・。私達のいた場所とも切り離されて、それに帰り道もわからなくて、もうご主人様や、大切な人たちに2度と会えなくなる気がして・・・。」
「ケンホロウ・・・。」
ツタージャも彼女の体に触れて、切ない表情を浮かべた。
すると、見かねたマナはそっと話し出した。
「なんか、あたしと似てるね。」
「え?」
ケンホロウや一同も、彼女の方を向いた。マナは話し出した。
「あたしも、幼いフォッコだった頃に、カロスのとある森で一緒に暮らしていた家族が地震で倒れてきた木に潰されて死んじゃって、それから1人で生きていたところで軍に拾われて、軍用ポケモンとして訓練してきた。その際に教官のオンバーンと恋に落ちるんだけど、ガルザーク帝国との戦いが始まり、あたしがガーディアンズに来る前に、そのオンバーンがあたしを置いて、あろうことかガルザーク帝国に寝返っちまった。」
その話の合間に、マナはケンホロウに目をやった。
「だからあたしも、今言った大切な人たちがいなくなってからは、どんどん遠い存在になっていくように思えてね。」
「マナさん・・・。」
するとカゴメも、マナの話に続いて話し出した。
「あたしも、ガーディアンズに入る前に一緒の部隊だった上官が、ガルザーク帝国との戦いで死んでからは、心にぽっかり穴が空いたような気がして・・・。」
「カゴメさん・・・。」
ケンホロウも2人の話を聞き、涙を拭った。そんな彼女に微笑み、マナはそっと語り掛けた。
「ねぇ、歌を歌ってあげようか?これは、あたしとさっき言ったオンバーンとの思い出の歌なんだけど・・・。」
「え?」
ケンホロウはそっと彼女を見つめた。だがカゴメは、マナの気持ちを案じた。
「でもマナ、それは・・・!」
「いいんだ。」
マナは切ない表情で答えた。
あの歌は、敵味方という形で再開したジェイクとの決別を機に封印したはずだった。だが、その気持ちとは別に、今度は自分と今の仲間達、そして共に正義のために戦っているポケモン達にささげるために歌うと、彼女はそう決めていた。
「あいつとは別に、今度はあたし自信として・・・。」
その時、ツタージャは気が付いた。マナが恋に落ちていたオンバーンの事について・・・。
「ねぇ、マナ。」
「ん、何だい?」
「もしかして・・・、あなたの言っていたオンバーンは、あの時言っていたジェイクの事?」
「え・・・!?」
マナは戸惑うが、ツタージャは確信していた。
この時代に飛ばされる前のアルガディとの会話で、マナが反応した名前、そしてその時と同じような彼女の様子から、ツタージャはすでに見抜いていたのだった。
やがて、相手も気付いていたと確信し、マナはそっと答えた。
「・・・そう、だよ・・・。」
「やっぱり・・・。」
ツタージャは呟き、一同も少し沈黙した。だがマナは、そっと口を開いた。
「・・・ごめん。でももう大丈夫・・・。今度は、あたしの今の思いとともに・・・。」
彼女のその様子に、一同もそっと微笑んだ。
「じゃあ・・・、歌うね・・・。」
そしてマナは、静かに歌いだした。

―――風は大地に薫り、くたびれた心を癒してくれる。
花はその風に、香りを乗せて運ぶ。
森の木々が注ぐ、優しさとぬくもり。
水のせせらぎは、清き涙の音―――

一同はその歌声に、そっと聞き入っていた。そして自然と、心が落ち着いていくようだった。
この状況における不安と暗雲を掻き消すかのように、マナの歌声は切なく、そして華やかにバーの中に響き渡った。
マナ自信も、この歌声の中に、これから自分が歩く道への希望を乗せていた・・・。

石器時代。
ルイーズとミジュマル、アルガディとタオの両者が激戦を繰り広げていた。
ルイーズのギガブレードと、アルガディの剣が激しく交差し続ける。ルイーズの二刀流に対しても、アルガディはひるむことなく剣を振るい、対抗する。だがやがて、アルガディの剣がルイーズの脇腹に当たった。ルイーズは倒れるが、すぐに「みずしゅりけん」で対抗する。しかしアルガディは剣を回して防ぎ、その剣の先からエネルギーを溜めて放ち、炎として相手にぶつけた。
その隣でも、ミジュマルが「シェルブレード」で切りかかってくるのに対し、タオも剣を抜いてそれに対抗する。両者の剣が交差し、ミジュマルは地面に落ちるが、すぐに彼は再び「シェルブレード」で切りかかる。だが、タオはその剣を勢いよく振るい、相手の刃を弾いた。
「う・・・!」
「そこだ!!」
さらにタオが左袖部から連射ビームを放つが、ミジュマルはそれをホタチで防ぐと、
「・・・この野郎!アクアジェットー!!」
今度は「アクアジェット」で旋回しながら敵の横に出当てようとする。
しかし、タオが剣を振るおうとすると再び旋回し、後方に回ってぶつかった。その影響でタオは地面に倒れ、砂ぼこりが舞い、ミジュマルはその前に倒れて笑みを浮かべる。だがタオは、その砂ぼこりの中から、まっすぐ飛び込んで来た。
「!」
ミジュマルが気付く間もなく、タオの刃がミジュマルを弾き飛ばした。
やがて、ルイーズとミジュマルが、同じ場所に倒れる。同時にアルガディとタオも並び、タオは右手から再びエネルギーをチャージして空に放ち、「シュバルツ・プラズマ」をルイーズ達に浴びせた。
『うわあああぁぁぁぁぁーーー!!』
2人は倒れ、アルガディとタオも微笑した。
ルイーズとミジュマルは、少しだけ体を起こすが、ここまでの戦闘のダメージもかなり伝わっていた。
「くそっ、やっぱりあいつら強い・・・!」
ミジュマルは歯ぎしりをした。ルイーズも地面に拳を叩きつけた。
「ちくしょう・・・、やっぱなすすべ無しか!」
彼がそうボヤいた時、ミジュマルが言い返した。
「って、あんたもう諦めてんのかよ!?」
「んなわけあるか!やられっぱなしで終わってたまるかよ!!」
「だったら、そんな情けないこと言うな!!あんた戦いのプロだろ!?軍人だろ!?」
「民間人に言われるまでもねぇ!!」
ゆっくりと起き上がりながら、言葉をぶつけ合う2人。だが、敵は待ってくれない。
「内輪揉めなら、あの世でやるのだな!」
アルガディは言いながら、タオとともに接近する。その間にも完全に立ち上がったルイーズとミジュマルは、再び敵を向く。
「ちっ、どうにもあいつらをどうにかしねぇ限りは・・・!」
「わかってるさ・・・、いい加減、カタを付けようぜ!」
そして2人は、じわじわと迫る敵と向かい合うのだった。

現代では、紅蓮の騎士団の介入から、形成はガーディアンズ、ブレイブウォーリアーズ側に傾きつつあった。
上空の戦闘機には、エアームドの「でんこうせっか」と「エアスラッシュ」で切り込み、地上でも、ブーバーンの「だいもんじ」に「はかいこうせん」、ブビィの「ほのおのうず」とガーディの「かえんぐるま」、そしてボスゴドラの「ラスターカノン」や「ストーンエッジで、兵士とドロイドを次々と撃破していく。
アレク率いるカイリューも、敵戦闘機に「かえんほうしゃ」と「れいとうビーム」を浴びせて撃墜し、地上のドロイドにも「かみなりパンチ」や「アームハンマー」等で応戦し、さらにアレクが上昇し、地上の敵を中心に「ドラゴンダイブ」で一気に蹴散らした。
そしてマーティーも、地上の敵に「はがねのつばさ」で飛び込んで随時撃破し、さらに後方で生き残っていた敵にも「かえんほうしゃ」を放ち、全て倒す。さらに上昇すると、敵戦闘機にトライアルリボルバーの弾を浴びせ、さらに「ドラゴンクロー」で飛び込んで一気に撃破する。その上で「オーバーヒート」で、遠くの戦闘機を全て撃ち落とす。
紅蓮の騎士団は、この時に再びマーティーが指揮を執っているために士気が高まってか、全員奮戦していた。
その付近での艦隊戦も、未だ継続していた。
「各艦、主砲一斉照射!外すなよ!!」
ジェイクの指揮の下、4隻の艦は敵の2隻の艦に、主砲を一斉に放った。それらはドミニオンとアルトリウスをかすめ、各艦のブリッジが激しく揺れた。
「左右に被弾!右翼に若干の損傷!」
ドミニオンのニンフィアが報告する。
「機関部に損傷!出力、70パーセント近くにダウン!」
アルトリウスでもシキジカが、被害状況を伝える。
すぐにロン博士とルディは、敵旗艦へ反撃をかける事を決断し、すぐさま命令を下す。
「リニアカノン砲、および下部レールガン全門、敵旗艦に照準!」
「リニア・カノン、敵の旗艦に向けて!当たらなくてもかすりさえすれば!」
2隻の攻撃の照準が、艦体中央のジェイク艦に向けられた。そしてそれぞれの指揮官が叫ぶ。
『撃てー!!』
同時に、ドミニオンとアルトリウスの砲撃が、全てジェイク艦に降り注いだ。ジェイク艦は随所に被弾した。
「ぐおっ!」
「きゃあ!」
ジェイクは衝撃で揺られ、指揮台の手すりにつかまり、ハンナも彼の背中に倒れ込んだ。オペレーターが同時に叫ぶ。
「ひ、被弾個所多数!!機関部にも異常発生!!」
「何!?」
「ジェイク様・・・!」
ハンナもジェイクに向かって呟く。ジェイクも、このままこの状態の艦で前にい続けては危険だと踏んだ。
「くそっ、本艦は後方に下がる!他の艦はその前列に並ばせ!!」
中破に近い状態にあるジェイク艦は後方に下がり、アルガディ艦を含む3隻がその前に出た。ドミニオンでも、その様子をバオップが報告した。
「敵旗艦、後列に下がります!残りの3隻、依然前列に展開!」
「よし、よくやった!」
ロン博士は表情を少し和らげた。
「あとは前列の艦隊をやれば!」
アルトリウスでもルディが告げた。
「戦況はこちらに傾きつつあるわ!みんな、あと少しよ!このまま押し切って!!」
『了解!!』
アルトリウスのクルー達も、一斉に返事をした。しかしロン博士は、同時に行方不明のルイーズ達の身を案じていた。
(だが、どうにかしてルイーズ達を戻って来させる方法を考えねば・・・!)
その頃、外ではマーティーがトライアルリボルバーで敵戦闘機を撃ち落として、地上の敵にも「オーバーヒート」を放ち、多数撃破する。が、そこへ地上からの兵士とドロイドのレーザー射撃が降り注ぎ、マーティーに直撃した。
その先ではダイケンキが「シェルブレード」で敵を切り払っていたが、彼の後方にマーティーが落下した。
「火炎騎士の坊主!」
『マーティー!』
ダイケンキが彼に気付き、そのそばに駆け寄った。茂みの中のアリーシャとマニーも、そのそばに駆け寄った。倒れたマーティーを、ダイケンキが抱えて声をかけた。
「おい、大丈夫か、坊主!?」
「しっかり、マーティー!」
マニーもマーティーの体を揺さぶった。マーティーはゆっくり体を起こした。
「ハハハ、久しぶりに紅蓮の騎士団を率いて戦ったから、少し熱くなりすぎたかな・・・。」
彼は冗談交じりでそう呟き、余裕を見せるように笑いかけた。その様子は、ドミニオンからも確認できた。
「マーティー・・・!」
ロン博士も、倒れたマーティーを見て呟いた。
その時、彼はある事を思いついた。
「そうか、その手があった!」
彼はそう言うと司令席を立ち、ニンフィアのインカムを取ってマーティーの通信機に放そうとする。
同じく、自分の通信機が鳴るのを確認し、マーティーがそれを取った。
「こちらマーティー!ドミニオン、どうした?」
『マーティー、聞こえるか!?』
「ロン博士!?」
ドミニオンから通信を送りながら、ロン博士が説明した。
「いいか、よく聞け!お前のトライアルリボルバーには、母艦からエネルギーケーブルを介してパワーをチャージし、より強力なエネルギー弾を発射する特殊な充填システムがある!」
その説明に、マーティーは目を丸くした。
「なっ、それは本当なのですか!?」
『あぁ、しかもドミニオン、アルトリウスどちらかでも可能だ!』
「すげぇ、こいつの武器にそんな秘密が・・・!」
ダイケンキも感心していた。ロン博士は説明を続けた。
「もしそれをルイーズ達を吸い込んだあの次元のひずみのあった地点にめがけて撃てば、きっとそこから再度、それを開く事が可能なはずだ!!」
マーティーは一通り説明を聞き、それを実行する決意をした。
「了解、早速その手で行きましょう!」
しかし、司令席に戻ったロン博士は、エネルギーを与える艦をどちらにするかで考えていた。
「しかし、果たしてどちらの艦にするべきか・・・。」
するとその時、アルトリウスからルディが通信で申し出た。
『でしたら、アルトリウスを使ってください!』
「え?」
ロン博士はキョトンとした。だが、地上で聞いていたダイケンキも頷き、ロン博士に呼びかけた。
「どっちの艦からエネルギー引っ張ってきても、この坊主の武器のパワーアップには有効なんでしょ?だったら、アルトリウスも撃ってつですぜ!!」
「隊長さん・・・。」
マーティーもダイケンキを見て、そう呟く。
『どうか、お願いします・・・!』
ルディは改めて頼み込んだ。やがてロン博士は、ついにその申し出を承諾した。
「・・・わかりました、ではマーティーは、アルトリウスのエネルギーをチャージし、空間に穴を空けろ!!」
その指示を受け、マーティーは答える。
「了解!!」
そして、アルトリウスまで上昇する。それをダイケンキ達が見守るが、再び兵士とドロイドが彼に狙いを定める。しかし、
「やらせるか!!」
すかさずダイケンキが「ハイドロカノン」でそれらを追い払う。
その間にマーティーは、アルトリウスの甲板に着地する。同艦のブリッジでもそれが伝えられる。
「マーティー氏、甲板に着地しました!」
「よしっ!」
それを聞きルディは、すかさず指示を出す。
「マーティーさんに伝えて、本艦のイオン・ブラスターをトライアルリボルバーと直結させて発射するようにと!」
「了解!」
シキジカは返事をし、マーティーに伝えた。
「マーティー氏、あなたの武器と本艦のイオン・ブラスターを直結して発射願います!」
艦の甲板から、マーティーも通信機で返事を返す。
「了解した!」
そして彼は、直ちに準備に取り掛かった。ドミニオンでもそれが報告された。
「火炎騎士(マーティー)、準備に入りました!」
「よし、本艦はアルトリウスの援護に出る!」
ロン博士が指示し、ドミニオンはアルトリウスの前に出た。
一方、ジェイク艦からも、敵艦の様子が映し出されていた。
「ヤツらは何をするつもりなのでしょうか?」
ハンナが尋ねる。ジェイクも目をやや細めた。
「わからんが、ヤツらの策ならば阻止せねばならん!アルガディの艦を中心に、一斉射で敵艦を沈めろ!!」
すぐさまジェイクが指示を出した。
しかしそうしている間に、マーティーがアルトリウスのイオン・ブラスターと自信のトライアルリボルバーをケーブルで直結し、準備が完了しつつあった。
「よし!」
そしてロン博士が、ドミニオンから時空の穴が生じたポイントを表示する。
「今から言うポイントに、トライアルリボルバーを向けてくれ!地上より130メートル、左右MからP、上下RからTだ!」
このライモンシティのような街は、上下、左右と分けて、地表の面積の幅はAからZまでのアルファベットで表現される事が多い。上や右からがAで下や左までがZである。それで例えられた地点に、アルトリウスごとマーティーの体が向けられた。
イオン・ブラスターと直結されたトライアルリボルバーを、マーティーはその地点に構えた。
「軸合わせ、よし!」
彼のその様子を確認すると、ルディも説明した。
「マーティーさん、これより本艦もイオン・ブラスターのエネルギーをチャージしますが、こちらもここまでの戦闘で損傷しております。おそらくこのまま最大出力でチャージすれば、アルトリウスのエネルギーが低下し、それ以降の戦闘継続が不可能になる可能性も考えられますが・・・。」
「構いません!」
マーティーは迷いなく答えた。
「それで仲間達を救えるなら!あなた方もその覚悟なのですから!」
「・・・はい、ありがとうございます。」
自分達と気持ちを同じくする相手に、ルディは感謝した。そして、再び覚悟を決めて告げた。
「・・・では、行きます!」
「頼みます!」
そして、ルディはすぐに指示を下した。
「これより本艦は、イオン・ブラスターのエネルギーチャージを開始します!最大出力までチャージし、マーティーさんのトライアルリボルバーに送ります!!」
『了解!!』
クルー達も一斉に返事をして、アルトリウスのイオン・ブラスターのチャージが始まった。CICター達が機器を操作し、エネルギーチャージが開始された。そのエネルギーが、マーティーの構えるトライアルリボルバーに送られていく。
「エネルギーチャージ開始!システムに異常なし!」
「充填率、順調に上昇中!」
CICターのチュリネとヨーテリーが伝えた。エネルギーチャージは、特に問題も無く続けられる。
しかしその間、アルガディ艦を中心とする3隻からの攻撃が、アルトリウスに迫っていた。
「各艦、ミサイル一斉照射!撃てー!!」
アルガディ艦の艦長の指示で、ミサイルがアルトリウスに向かって一斉に放たれた。しかし、
「アルトリウスよりミサイル、多数接近!!」
ドミニオンでバオップが報告し、ロン博士が指示を出した。
「迎撃だ!リニアカノン砲、および後部ミサイル全弾、撃てー!!」
ドミニオンから放たれたリニアカノン砲の弾とミサイルが、ガルザーク艦隊からのミサイルを全て打ち消した。アルトリウスの前方で、ミサイルの爆発の光がほとばしる。
アルガディ艦でも、その様子が報告される。
「ミ、ミサイル全弾!全て撃ち落とされました!」
「何だと!?えぇい!」
艦長は歯ぎしりをし、指揮台の手すりを叩いた。
そしてその間にも、トライアルリボルバーのエネルギーチャージが完了しようとしていた。
「エネルギー充填率、80・・・、90・・・!まもなく臨界に到達!!」
「ここまで各機能に異常、見られません!」
CICターのダルマッカとメグロコが報告する。ルディも真剣な表情で呟く。
「あと少しね・・・。」
エネルギーチャージが臨界に近づくにつれて、トライアルリボルバーの周囲にプラズマが走る。それにも屈することなく、マーティーはリボルバーを構え続けた。
「まだだ、まだもう少し・・・!保ってくれ、トライアルリボルバー・・・!」
やがて、チャージされていたエネルギーが臨界に達する。シキジカが叫んだ。
「エネルギチャージ、100パーセントに到達!!ルディさん!!」
「えぇ!」
ルディも返事をし、マーティーに呼びかけた。
「マーティーさん、今です!!」
「了解!!」
マーティーは、軸を合わせた地点に向かって、トライアルリボルバーの引き金を引いた。
「空間の壁を、破壊する!!」
そして、イオン・ブラスターのエネルギーで最大出力になったトライアルリボルバーの弾は、時空の穴のあった地点に勢いよく放たれた。すると、そこの空間の壁が破壊され、再び時空の穴が開かれた。
「よし、やったぞ!!」
それを確認してマーティーが叫ぶ。
ドミニオンとアルトリウスでも、それが確認されていた。
「トライアルリボルバー、目標地点に命中!次元のひずみが再び開かれました!」
ドミニオンでニンフィアが告げ、
「これで、飛ばされたミジュマル達が戻って来られます!」
続くようにアルトリウスでも、シキジカが告げていた。
「やったぞ、これで・・・!」
ロン博士は表情を明るくし、ルディも目を輝かせた。
地上にてダイケンキとマニー達も、その様子を眺めていた。
「あの穴がまた・・・!」
「これでミジュマル達は・・・!」
マニーとアリーシャが言うと、ダイケンキも頷いた。
「帰って来れるな、あいつら全員・・・!」
一方、ガルザーク艦隊側では、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズを別時空に封じ込めた穴が再び開かれ、焦りが現れていた。ジェイク艦でオペレーターが叫ぶ。
「じ、時空の穴、再び開かれました・・・!」
これにはハンナとジェイクも表情を歪ませる。
「何だと!?」
「このままでは、ヤツらがこの場所に戻ってきてしまう・・・!」
一方、アルトリウスではルディが艦のエネルギーの状況を尋ねていた。
「艦のエネルギーはどう?」
「安定しています!戦闘継続は可能!」
ヤブクロンが報告した。ルディはそれを見て、ふぅっと息を吐いて肩の力を抜いた。
「どうにか、もってくれたみたいね・・・。」
そしてマーティーは、トライアルリボルバーを下して、時空の穴を見つめながら、小さくほくそ笑んだ。
「早く戻って来い、ルイーズ達・・・。」

マーティーが時空の穴を開けたと同じ頃、ガーディアンズ達が飛ばされた各時代でも、時空の穴が空いたことが確認されていた。

江戸時代では、江戸の町を移動中のゲイルやチャオブー達が、上空を見上げ、時空の穴が空いた事を知った。
「あれは・・・!?」
「あの時の穴だ!」
ゲイルとディアゴが言い、チャオブーも呟いた。
「じゃあ、あそこを通れば・・・。」
「あぁ!活路は見えた!」
ワルビアルも答えて返した。一同の表情が明るくなる。

西部開拓時代でも、マナやツタージャ達が、バーの入り口から時空の穴を見つけていた。
「あれってあたし達が吸い込まれた・・・?」
「また、出てきたのですか?」
ツタージャとケンホロウが呟き、マナも頷いた。
「あそこはきっと、あたし達の時代につながっているんだ。」
「やったぜ、これで帰れる!」
ズルッグが叫び、ハハコモリも頷いた。カゴメも一同に言った。
「まだ、希望は残されていたわね!」
それにマナ達も頷く。その表情は笑顔で満ちていた。希望は、まだある・・・。

そして石器時代でも、ルイーズとアルガディ、ミジュマルとタオが刃を交えていた。ルイーズのギガブレードを自分の剣で押し込まんとするアルガディだったが、ルイーズは勢いづけてアルガディの剣を押し切り、その腹に「みずのはどう」を叩き込んだ。そしてミジュマルも「シェルブレード」をタオの剣と交差させ、それを弾いたタイミングを見計らい、「アクアジェット」しながら「シェルブレード」を振るい、腹部に命中させた。アルガディとタオは後ろに下がり、ルイーズとミジュマルは並んで敵の前に出た。
すると、ルイーズ達にも、上空に再び時空の穴が空いたことを確認した。
「あれは、あの時の穴か!?」
「じゃあ、あの穴は俺達の時代につながっているってことか!?」
「そう言うことだろうな!」
ルイーズとミジュマルはそれを見て笑みを浮かべた。一方で、アルガディとタオは焦りを覚えていた。
「バカな!?時空の穴が・・・!?」
「なぜだ!?なぜ再び開いた!?」
しかし、ミジュマルもルイーズも、切り開かれた希望への道に再び強気な姿勢を見せていた。
「へへっ、もう呪符を奪うまでもねぇ!ここまで来たら、もっと本気で挑むぜ!!」
「あぁ!!どうやら運はこっちに向いている!!この場で決めるぜ!!」
ミジュマルの言葉にルイーズも続いた。するとミジュマルが、ルイーズを茶化すように声をかけた。
「え?あんたさっき、諦めているみたいな事言ってなかった?」
「勘違いすんな!」
ルイーズは強気な笑顔で返した。
「頭では何を考えていても、自分が望んだ可能性に向かって突き進むもんだろ!!」
「へっ、言ってくれるじゃないか!」
そう言ってミジュマルは、ルイーズの体に肘を付けた。それを見てルイーズもフッと笑い返し、自分達に向かって歩いてくるアルガディとタオの方を再度向いた。
「やぁってやるぜ!!」
その掛け声とともにルイーズは、ミジュマルとともに再びアルガディ達に挑みかかったった。

江戸時代にて、ゲイルやチャオブー達の元へ、ディンとアロが駆けつける。
「貴様ら・・・!」
2人は相手を見据え、その頭上の時空の穴を見て言う。
「あの時空の穴・・・、まさか!?」
「そうだ!俺達はここで終わるわけにはいかん!」
「ここでお前らを倒して、元の時代に帰るぜ!!」
ディアゴとワルビアルが答えた。ゲイルが呼びかけた。
「行くぞ、みんな!!」
『おう!!』
チャオブーやディアゴ達も一斉に返事を返す。
「ぬぅ・・・!」
ディンとアロも、相手を見据えた。ゲイル達はまっすぐ向かって行く。

西部開拓時代でも、デミーとマグが時空の穴が開いたことに気が付いた。
「時空の穴が・・・!?」
「これは一体・・・!?」
すると、彼女達の元へ、マナやツタージャ達が突撃してくる。まずはマナとカゴメがまっすぐ挑みかかる。
「ふん、今頃飛び込んでくるなんて無謀だわ!」
マグはそう言い、浮遊して剣を抜く。そしてカゴメに斬撃を喰らわせ、地上に倒す。
「美しく残酷に散りなさい!!」
デミーも念動力でマナを後方に弾き出した。マナとカゴメは、同時に地面に倒れる。
しかし、すぐにその後ろから、ツタージャが「リーフストーム」を放ち、ケンホロウが「かぜおこし」で周囲の砂塵をまき散らす。デミーとマグはそれを浴び、ダメージとともに砂塵が目に入り悶える。
「目が、目がぁ~!!」
「あぁああ、あぁああぁ!!」
マグもデミーの近くに着地する。さらにそこへ、ハハコモリとズルッグが飛び出し、ハハコモリがデミーに「エナジーボール」、ズルッグがマグに「とびひざげり」を繰り出して当てる。2人はふらつくが、さらに今度は再びマナとカゴメが挑みかかる。
「こいつでぇ!!」
「どうかしら!!」
マナの「マジカルフレイム」とカゴメの「ひのこ」が同時に放たれ、「マジカルフレイム」の周囲に「ひのこ」がまとわり、デミーとマグに浴びせられた。同時に、2人の立っていた場所が爆発した。

再び江戸時代では、アロがエネルギーボールを数発、ゲイル達に向かって発射していた。しかし、ガマガルがすかさず「マッドショット」を放ち、打ち消していく。さらにワルビアルが、「あなをほる」で彼らに接近しようとする。
「ちぃっ、させるか!!」
ディンはすかさず、グランド・クラッシャーを放ち、ワルビアルを地面から弾き出そうとする。が、伸びていく先をゲイル達が避けたが、ワルビアルが出て来る様子は無い。
「なっ!?どこへ行った!?」
ディンは慌てて周囲を見渡すが、直後にその下からワルビアルが飛び出し、ディンに一発お見舞いした。
「ぐはっ・・・!?」
ディンは宙に上がるが、すぐに着地する。ワルビアルは彼に告げた。
「ハハハハ、さすがにあなをほるで地面に潜った後、そこからカーブしながら来るとは思ってなかっただろ!何度も喰らってたまるかよ!」
「おのれ・・・!」
ディンは剣を抜くが、そこへゲイルが「ウッドハンマー」で迫った。
「そこだぁ!!」
「!?」
ディンは慌てて剣で防ぎ、ゲイルとにらみ合った。剣を弾かれると同時にディンは後ろに下がり、剣先にビームを溜めて放つ。だがゲイルは、寸前で「ニードルガード」で防いだ。
「へへっ、残念だったな!」
「くっ!」
余裕で返す相手にディンは再び剣で挑もうとするが、直後にゲイルの後ろからチャオブーが飛び出した。
「!?」
そしてチャオブーは、その場で「ほのおのちかい」を使い、地面を叩いてディンを炎で包んだ。
「ぐおおぉぉぉーーー!?」
その後でディンは、さらに後方に出る。
「シュバルツ3!」
アロが叫び、エネルギーボールで援護しようとするが、その正面からディアゴが「きあいパンチ」で接近する。
「むっ!?」
アロはすかさず後方に下がるが、ディアゴはさらに踏み込んで、左手からのもう1撃を敵の顔面に当てて吹っ飛ばす。さらにトライアルパルサーを取り出し、相手の胴体に当てて倒した。
「シュバルツ5!」
ダメージを負った箇所を抑えながらディンは、アロの元へ近づいた。
同時に、ゲイル達は左右に下がり、その先にはガントルが「ラスターカノン」を構えて待っていた。
「!?」
「コレデ、トドメダ!!」
そしてディン達に向かって、勢いよく放たれた。避ける間もなく、ディンとアロはその直撃を受け、その地点に大きな砂ぼこりが舞った。

石器時代では、ルイーズのギガブレードとアルガディの剣、ミジュマルの「シェルブレード」とタオの剣が交差し合っていた。激しい動きでの切り合いは続いたが、やがてルイーズが右手のギガブレードでアルガディの剣を弾き、左手のギガブレードで相手の胴体に斬撃を喰らわせた。
「がっ・・・!?」
アルガディはその衝撃でふらつくが、ルイーズは次に両方のギガブレードを合わせ、右に振り上げた。
「これでくたばれぇぇぇーーー!!」
それはアルガディに強力な斬撃を喰らわせ、相手を吹っ飛ばした。
そしれミジュマルも、振りかざされた相手の剣を後ろにジャンプして避け、そこから「ハイドロポンプ」を浴びせる。そして、そこから再び「シェルブレード」を抜いて、それを真上にかまして「アクアジェット」を繰り出し、回転しながら敵に突撃していく。
「アクア・ドリル・ブレード!!」
ミジュマルの必殺技「アクア・ドリル・ブレード」である。その勢いのまま、ミジュマルはタオに激突し、相手を押し出し、やがて吹っ飛ばすとその技を解いて着地した。
2人の技を受けたアルガディとタオは、そのまま倒れていく。ルイーズとミジュマルが互いの剣をしまうと同時に、その2人の周囲が爆発した。

やがて、現代の時空の穴の向こうから、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズにそれぞれの時代でやられた、アルガディとシュバルツ・クレッセントの面々が出て来て、ライモンシティの大きい階段の真下に落下した。同時に、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズが、階段の真上に着地した。
『みんな!!』
ロン博士とダイケンキ、ルディが一斉に叫んだ。アリーシャとルディも目を輝かせた。
「ミジュマル!」
「ルイーズ達!」
アルトリウスの甲板の上で、マーティーもフッと笑っていた。
一方、ガルザーク帝国側はこの事態に苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「ガーディアンズ・・・!」
「戻ってきてしまうとは・・・!」
ジェイクとハンナが歯ぎしりと握り拳を固める。バドも歯がゆそうな顔をする。
「おのれぇ、ブレイブウォーリアーズめ!」
そしてルイーズは、ガルザーク帝国の艦隊を向いてジェイクに呼びかけた。
「おい、ジェイク!そこにいるんだろう!?」
「ぬっ!?」
ジェイクはその声に反応した。
彼がモニターで見つめる先のルイーズは、堂々と呼びかけた。
「てめぇらが何度俺達を時空の果てに追いやろうとも、俺達は必ず舞い戻ってくる!そこに悪がいる限りな!!」
それに続き、ミジュマルも呼びかける。
「この世界の平和のためなら、俺達は諦めずに立ち向かう!それが、「勇気の戦士」だ!!」
最後にルイーズが、高々と宣言する。
「行くぞ!地球の平和を願う俺達の力、今こそ思い知れ!!」
そして、ルイーズとミジュマルが、それぞれの仲間に号令をかけた。
「行くぞ、お前ら!!」
『OK、ルイーズ!!』
「やろうぜ、みんな!!」
『OK、ミジュマル!!』
そして、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズは、一斉に敵に向かって行った。

ガルザーク帝国の兵士とドロイド、戦闘機が再び進軍する。
それに対し紅蓮の騎士団のポケモン達は、ブーバーンやブビィ等の「だいもんじ」「ほのおのうず」による中距離攻撃、ガーディの「かえんぐるま」やボスゴドラの「グロウパンチ」による接近戦で兵士やドロイドをなぎ倒し、上空の戦闘機にはエアームドの「でんこうせっか」に「スピードスター」やカイリューの「はかいこうせん」に「れいとうビーム」で着実に撃ち落としていく。
マーティーも、アルトリウスから飛び立って前に出る。
「しぶとい奴らだ。」
すぐに彼はメガストーンを光らせて再度メガリザードンYになり、戦闘機部隊に「かえんほうしゃ」を浴びせ、地上の兵士とドロイドが放ったレーザー射撃をかわしながら急降下し、「ドラゴンクロー」で敵陣に切り込み、吹っ飛ばした先に「オーバーヒート」を放つ。さらにそれを耐えきった敵にもトライアルリボルバーを放ち、倒していった。
その後ろからも敵が迫るが、それらはアレクの放った「ドラゴンダイブ」で薙ぎ払われていく。その後でアレクは、マーティーと明るい顔で見合った。
ブレイブウォーリアーズでも、ツンベアーの「つららおとし」と、モグリューの「きあいだま」とミルホッグの「スピードスター」で兵士とドロイドと応戦し、戦闘機にもスワンナの「れいとうビーム」とランクルスの「サイケこうせん」で1機ずつ落として行く。そしてダイケンキも、「シェルブレード」と「ハイドロカノン」で、多くの兵士とドロイドを撃破していく。
さらに敵兵士に対して、ガマガルの「ハイドロポンプ」による援護と、ズルッグの「ずつき」とハハコモリの「シザークロス」による一撃が炸裂する。ドロイドには、ガントルの「ロックブラストによるけん制、それからチャオブーの「ほのおのちかい」とワルビアルの「ドラゴンクロー」で、その多くを仕留める。
上空の戦闘機部隊に対しても、ケンホロウが「エアカッター」で仕掛け、数機を撃墜する。しかし、その煙の中からまた新たな戦闘機が現れ、彼女にミサイル攻撃を放ち、命中させた。だが、ケンホロウはそれら全てを受け止め、その戦闘機に向かって「つばめがえし」を繰り出し、全て撃墜した。その後で立ちどまった所へ、今度は別な戦闘機が攻めてくる。
「!」
ケンホロウがそれに気づき、振り向いた。その直後、地上からツタージャがすかさず「リーフストーム」を繰り出し、それらを撃ち落とした。そして、ツタージャとケンホロウは互いを見合って微笑み合った。
そして、ミジュマルも「アクア・ドリル・ブレード」を展開し、まだ地上にはびこる敵部隊に向かって突撃した。それらは敵兵士を吹き飛ばし、ドロイドすらも貫いた。そしてドロイドの爆発によって、多くの敵部隊がその中へと消えた。
その爆発の脇にいたバドは、身を伏せながらその様子を眺め、苦い顔をしてみせた。
「くそっ、ブレイブウォーリアーズめ!」
その付近での艦隊戦も、佳境を迎えていた。ドミニオンの管制室でニンフィア達が状況を伝えた。
「ルイーズ少尉らの帰還と同時に、戦況が一気にこちらに傾きました!」
「現在、敵部隊の数は20パーセントにまで減!このままいけば、いずれは・・・!」
その報告を受けながら、ロン博士は次の命令を下した。
「よし、こちらも一気に決着を付けるぞ!ドミニオン砲、照準!!」
直ちにドミニオン砲の砲門が開き、エネルギーチャージが開始される。しかし、ガルザーク艦隊もそれを察していた。
アルガディ艦のオペレーターが報告する。
「敵艦、主砲発射態勢に入ります!」
「やらせるな!!全艦、主砲、一斉照射!!」
アルガディ艦ら3隻が、ドミニオン砲をチャージ中のドミニオンに向かって主砲の照準を向ける。ニンフィアもそれを確認した。
「敵艦隊より高エネルギー反応!!」
「い、いかん!こんな時に・・・!」
エネルギーチャージ中のドミニオンは、避けることができず、敵艦から主砲が放たれるのを待つしかなかった。しかし・・・、
「エネル・ミサイル全弾、撃てー!!」
直後にアルトリウスがエネル・ミサイルを放ち、それらが敵艦隊に降り注いだ。見事、敵艦の砲撃を阻止することに成功した。
「ア、 アルトリウスからのミサイルが命中!衝撃で主砲発射のタイミングがズレました!」
「何!?えぇい、もう少しのところで!!」
アルガディ艦の艦長が手すりの上に置いた腕で握り拳を固めた。
そしてその間に、ドミニオン砲のエネルギチャージが完了した。ニンフィアとバオップが報告する。
「エネルギチャージ、100パーセントに到達!」
「出力、臨界!撃てます、ロン博士!!」
それを聞いてロン博士は頷き、すぐさま攻撃指示を出した。
「ドミニオン砲、撃てー!!」
そしていよいよ、ドミニオン砲が発射された。その光はガルザーク艦隊に向かって伸びていき、やがてアルガディ艦を含む3隻のガルザーク艦を飲み込んでいった。
「ぐわあぁぁぁーーー、アルガディ様ぁぁぁーーーーー!!」
艦長の断末魔とともに、敵艦3隻はその光の中へと消えて行った。後方にいたジェイク艦はその射線外にいたが、ドミニオン砲の光を眺めながらオペレーターは叫んだ。
「ぜ、前列の艦隊、全滅・・・!本艦以外の全ての艦が撃沈しました・・・!」
「バカな!?えぇい、ガーディアンズめ、よくも!!」
ジェイクは叫び、指揮台の手すりに拳を叩きつけた。隣のハンナも、歯がゆそうに胸に手を当てるのだった。
そしてガーディアンズは、自分達の目の前にいるシュバルツ・クレッセントにとどめを刺そうとしていた。ルイーズが呼びかける。
「よし、トランシックブラスターだ!!」
『OK、ルイーズ!!』
マナ達も返事を返した。そしてガーディアンズは自分達のトライアルユニットを合体させ、トランシックブラスターを完成させた。
『トランシックブラスター!!』
ルイーズ達はそれを構え、照準を合わせた。
「ターゲット!」
「ロックオン!!」
そしてその照準が、シュバルツ・クレッセントに向けられた。シュバルツ・クレッセントの5人は、それを見て歯ぎしりを浮かべる。
「シュ、シュバルツ1・・・!」
「こうなれば、こちらもエナジー・オブ・カタストロフィーだ!!」
『了解!!』
シュバルツ・クレッセントも、タオの指示の下、エナジー・オブ・カタストロフィーで対抗しようとする。5人の剣からビームがチャージされる。
その間にも、トランシックブラスターのエネルギチャージが間もなく完了する。そして、
「やぁってやるぜ!!」
ルイーズが叫び、引き金を引いた。同時に、シュバルツ・クレッセントも合体攻撃を放つ。
「エナジー・オブ・・・!」
『カタストロフィー!!』
タオ達5人が放ったビームが収束し、トランシックブラスターのエネルギー弾めがけて伸びていく。やがて2つの光はぶつかり合い、強く押しあった。
しかし、やがてトランシックブラスターのエネルギー弾が打ち勝ち、エナジー・オブ・カタストロフィーのビームの光を引き裂いて、間もなくシュバルツ・クレッセントに伸びた。爆発が激しく巻き起こった。
「うわああぁぁぁーーーーー!!」
「きゃああぁぁぁーーーーー!!」
シュバルツ・クレッセントは、その爆発の中へと消えて行く。ガーディアンズも、その爆発を背に立った。

やがて、街を攻撃していたガルザーク帝国の部隊はほとんどが全滅した。街の中のアルガディとバドが、1か所に集まる。
「ぐっ・・・!」
「おのれ・・・!」
彼らの後ろのジェイク艦でも、ジェイクが歯がゆそうに歯ぎしりをしていた。
そして間もなく、マーティーを含むガーディアンズとブレイブウォーリアーズが、彼らの前に立った。そしてルイーズが叫ぶ。
「ジェイク、今度こそ終わりだ!!」
「ぬぅぅ・・・!」
ジェイクは自分の艦のブリッジで歯ぎしりをするが、ここでアルガディが名乗りを上げた。
「ジェイク様、ここは私が!!」
「アルガディ!」
アルガディは、ルイーズやミジュマル達の前に出る。そして左拳を胸の位置に持って行って告げた。
「ヤツらのおかげで、私は艦や部下の数多くを失った・・・!ですから、ヤツらは自らの手で!!」
そう言いきると同時に、アルガディは剣を左斜めに振った。
ジェイクも、彼の決意を察して、やがて頷いた。
「いいだろう、この場はお前に任せる。」
「はっ!!」
そう返事をすると、アルガディは剣を前に掲げて、精神を集中させた。
すると、アルガディの周辺に何やら黒いオーラのようなものがまとわりつき、彼の体に注ぎ込まれた。
「はぁぁぁぁぁぁぁーーーーー・・・!」
ウォーリアーズとブレイブウォーリアーズは、その場に一斉に注目した。
「何だ!?」
「あの黒いオーラ・・・!?」
ミジュマルとツタージャが言い、ディアゴも相手を覆う黒いオーラから感じる悪意に息をのんだ。
「いかん、あのまがまがしい負のオーラは・・・!」
「え!?」
カゴメが彼に注目した時だった。
やがて、黒いオーラをありったけ吸収したアルガディの体は、やがて巨大化し、20階建てのビルを追い越す大きさになった。アルガディはルイーズ達を見下していた。
「なっ!?」
「巨大化した!?」
一同はそれに驚愕する。アルガディの傍にいたバドも、それに目を丸くしていた。
「なんと、アルガディ様にそんな能力が・・・!」
マニーとアリーシャの元に居るダイケンキも額に汗を浮かべていた。
「何だよ、ありゃ・・・!?」
ドミニオンとアルトリウスのブリッジでも、ロン博士やルディ達が呆然と巨大になった敵の姿を見つめていた。
アルガディは、小さく見えるようになった敵に対して微笑を浮かべる。
「フフフフフ・・・。」
その視線を見ながら、マナは歯ぎしりを浮かべて汗を浮かべていた。
「これは一体・・・!?」
「怨念だ・・・!」
ディアゴは、アルガディを覆う凶悪なオーラを感じながら呟いた。一同も彼に注目する。
『え!?』
「ヤツはこの周囲を始め、地上のあらゆるところから散って行った者達の怨念を吸収し、自らの力としてその身を巨大にしたのだ・・・!」
「な、何!?」
ルイーズ達は驚愕した。
「その通り。」
アルガディも答え、ルイーズ達に剣を向けた。
「これは俺自身が生まれながらにして持った能力。そしてこの力をもってして、貴様らを討つ!!」
そう言ってアルガディは、剣先にエネルギーを溜め、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズに放った。彼らは爆発で吹き飛び、その後方に倒れた。
「おぉ、なんと!あの連中を瞬く間に吹き飛ばすとは!」
バドはそれを見て興奮して叫んだ。
「これならやれるかもしれん、憎きブレイブウォーリアーズ、そしてガーディアンズを!」
アルガディの攻撃に吹っ飛ばされたあと、ルイーズやミジュマル達は再び体を起こす。
「くっ・・・!」
しかし、彼らの眼前ののアルガディは、勝利を確信したかのように笑いだした。
「フフフフフフ、ハハハハハハハ!!」
その頃ジェイク艦は、戦域からの離脱の準備が整いつつあった。
「ジェイク様、ヤツは上手くやってくれると思いますか?」
「結果が出ない事にはわからんが、ヤツなら大丈夫だろう。」
ハンナの問いにそう答え、ジェイクは指示を出した。
「本艦はこれより、この宙域より離脱する!機関最大!!」
そして、180度回頭したジェイク艦は、ライモンシティを後にしようとする。
「待て、ジェイク!」
マナはそれを追うように動き出そうとするが、ルイーズが手をかざして止めた。
「ほっとけ、マナ!今はヤツを何とかする方が先だ!」
「くっ・・・!」
マナは歯ぎしりをしながらも、頭上の敵を見上げた。彼らの眼前に立ち尽くすアルガディは、不敵な笑みを見せ続ける。
「・・・やるしかねぇな!」
ワルビアルが呟くと、チャオブーとツタージャも続いた。
「あぁ、このままヤツを放っておけば・・・!」
「今度こそライモンシティは終わりよ!」
ケンホロウとカゴメも上昇して敵を見上げた。
「止めましょう、私達の手で!」
「えぇ!そのためのあたし達よ!」
さらに、マナとミジュマルも前に出る。
「あたし達は負けない!例えどんなに高い壁に阻まれようと!!」
「ヤツという壁を壊してでも、前へと進む!!それが俺達ブレイブウォーリアーズだ!!」
去後にルイーズが、一同に勢いよく呼びかけた。
「行くぞ、みんな!!やってやるぜ!!」
そして、彼らは散り散りになり、アルガディに向かって行く。
自分の息子と仲間達が戦いに行くのを見て、ダイケンキも動き出した。
「アリーシャ・・・、そっちのお嬢ちゃんを頼む!」
「ダイさん?」
アリーシャとマニーが見つめる中で、ダイケンキはフッと笑う。
「自分の息子たちが必死に戦ってるのに、命かけねぇ親がどこにいる!」
そう言いかけると、彼も息子たちの戦いの中へと飛び込んでいった。それを見守って、アリーシャも穏やかな笑みを浮かべた。
「・・・ミジュマルの事を頼みます、お義父さん。」
彼女のその呟きを聞きながら、マニーはそっと彼女の顔を見上げた。

いよいよ、ガーディアンズとブレイブウォーリアーズの、アルガディとの最後の戦いの幕が開かれた。
まず、ツンベアーとスワンナの「れいとうビーム」、モグリューとミルホッグの「きあいだま」、そしてランクルスの「サイケこうせん」が炸裂する。が、巨大化したアルガディの鎧にはそれらの攻撃は効かず、相手も反撃を繰り出そうとする。
「小癪な・・・!」
するとアルガディは剣を構え、それを敵に振りかざした。その勢いに、ツンベアー達はバランスを崩して地上に落下した。その上で敵は、剣に溜めたエネルギーを放ち、炎に変えて放った。
「みんな!!」
チャオブーが叫んだ。が、炎が止んだ後で出てきた5体は、倒れて戦闘不能になっていた。
「くそっ、みんなが・・・!」
ワルビアルが歯ぎしりと握り拳を固めた。ガマガルとハハコモリも、敵を見据えた。
「あの野郎、よくも!」
「ワイらも行くで!!」
同時に、ハハコモリの「エナジーボール」にガマガルの「マッドショット」、ワルビアルの「ストーンエッジ」がアルガディの左わき腹に当たる。それを受けながらも、アルガディは彼らに剣を振るう。3体は何とか避け、さらに後方で「ラスターカノン」をチャージしていたガントルが、それを一気に放った。このタイミングでは防ぐ事が出来ず、アルガディは直撃を受けて倒れ込む。
「よっしゃ!」
「いいぞ、ガントル!」
ハハコモリとワルビアルが声をかけ、ガントルも「オウ!」と答えた。しかし、
「くっ、小癪な真似を!!」
と、剣からエネルギーをチャージして放ち、プラズマにして放った。ワルビアル達は直撃を受け、その場に倒れた。
がだすぐに、4体の横からゲイルとディアゴが現れ、「ミサイルばり」と「きあいだま」を同時に放った。すると、「きあいだま」の周辺に「ミサイルばり」が集まるようにして、アルガディに直撃した。それにより爆発が巻き起こるが、アルガディはそれを振り払う。
「おのれ!」
彼は剣先からエネルギーを溜めて、それをゲイル達に放った。だが、ゲイルは「ニードルガード」を使い、ディアゴもその後ろに隠れる。すると、アルガディの剣から放たれたエネルギーからなった炎を、ゲイルは見事に防いだ後、ディアゴがその場に飛び込んで、その顔に向かって「きあいパンチ」を放つ。見事、彼の眉間(みけん)に当てることに成功した。
「ぐっ・・・!」
アルガディはその場所を抑えてふらつくが、彼はすぐに反撃に出た。
「貴様らァ!!」
剣からのエネルギーを、炎に変えて放ち、ゲイル達は今度は直撃を喰らってしまう。
だがその間に、アレクら紅蓮の騎士団が上空から、アルガディの周辺に展開していた。
「ぬ・・・?」
アルガディが周囲を見渡す。アレクが指示を出した。
「各部隊、一斉射撃!集中砲火で仕留めろ!!」
紅蓮の騎士団のポケモン達が、それぞれ「かえんほうしゃ」に「れいとうビーム」、「スピードスター」で四方から攻める。が、これでもアルガディの勢いを止めるには至らず、相手は剣を振り払い、紅蓮の騎士団のポケモン達を次々と切り倒していく。
「くっ、各部隊、散開しろ!このままでは全滅・・・!」
だが、アレクの元へも、アルガディの放ったエネルギーからの激流が迫った。アレクはそれに身をかがめるが、瞬時にマーティーが現れ、「オーバーヒート」でその激流を蒸発させた・・・。
「隊長・・・!」
顔を上げたアレクが、彼の顔を見つめた。マーティーは彼に告げる。
「ヤツは普通じゃない、ここは俺達がやる!お前は負傷者を連れて下がれ!それから住民達を守るんだ!」
「了解!」
アレクは敬礼して下がり、生き残った紅蓮の騎士団のメンバーに呼びかけた。
「紅蓮の騎士団の各員は、これより住民の防衛を最優先とする、我に続け!!」
アレク達はその場から撤収していく。それを見届けるとマーティーは、後方にいるカゴメと、ズルッグを背中に乗せるケンホロウに声をかけた。
「行くぞ、2人とも!」
「えぇ!」「はい!」
「俺もいつでもいいぜ!!」
ズルッグも来あ十分で返す。
そして4人は、アルガディに向かって攻撃を開始した。マーティーが正面に回って「かえんほうしゃ」を放ち、カゴメとケンホロウはその後方から「ひのこ」と「エアカッター」を放ち、命中させた。アルガディはそれらを耐えきると、自らも彼らに攻撃を開始する。
「まだそこにもいたか!!」
彼は勢いよく剣を振るうが、マーティー達はそれを避け、上下に分かれて接近する。
まず、下方に出たマーティーが、アルガディの腹の辺りに「オーバーヒート」を放ちながら上昇して攻める。アルガディはそれに対し、剣を顔の前に出して防ぐが、その攻撃が止んだ後ですぐ、ケンホロウが彼の顔に近づいた。そしてアルガディが、彼女と目を合わせた時だった。
「今です、ズルッグちゃん!」
「おう!」
ケンホロウの背中に乗っていたズルッグが、ヌッと顔を出した。
「!?」
それに驚くアルガディだが、ケンホロウが上昇すると同時にズルッグもその背中から飛び降り、その顔に飛び込んでいく。
「これでも喰らいやがれぇぇぇーーー!!」
刹那、ズルッグの「とびひざげり」がアルガディの顎に命中する。同時に、上昇から急旋回してケンホロウが「つばめがえし」で飛び込む。その反対側からは、カゴメが「でんこうせっか」で近づく。
「行きますよ、カゴメさん!」
「OK、やってやるわ!!」
そして2人は、それぞれの場所からアルガディに「でんこうせっか」と「つばめがえし」を決めた。相手は地面に膝を突き、同時にズルッグもケンホロウの背中に乗った。
「やったか!?」
一瞬、マーティーは相手を見やった。
しかし、アルガディはすぐに起き上がり、反撃を開始する。
「えぇい、よくも!!」
彼は剣を剣の平らな部分で、カゴメとケンホロウ達を叩き落とした。だが、それをかわしたマーティーが「はがねのつばさ」で仕掛ける。
「好きには、やらせん!」
「ふん、愚かな!」
そうアルガディはほくそえみ、マーティーに剣を振るった。マーティーはすかさず、「はがねのつばさ」を展開した翼を前にして、それを受けながら落下していった。
「マーティー!」
地上のマナが叫ぶが、巨大な敵の足元まで落下したマーティーは態勢を整えた。
「大丈夫だ、何とかはがねのつばさのおかげで耐えきった。だが、油断できん・・・!」
「あぁ!次はあたし達が行く!」
マナはそう言い、近くにいるチャオブーとツタージャに呼びかけた。
「行くよ、あんた達!!」
「おう!」
「えぇ!」
今度は、マナやチャオブー達が、トライアルスナイパーの弾と「かえんほうしゃ」、「リーフストーム」が、アルガディに伸びる。だが、それらは相手の剣で防がれてしまった。
「ちっ!」
「それならこれだ!!」
と、チャオブーは「ニトロチャージ」でアルガディの腹に飛び込み、激突した。アルガディはさらに後ろに下がり、激突の衝撃で空中に出たチャオブーは、さらに「かえんほうしゃ」を放つ。見事命中させるが、相手はすぐにそれを振り払う。
「何!?」
「甘い、甘いぞ!!」
アルガディは、自分の体の近くにいるチャオブーを、左手で払い落とした。そのままチャオブーは地面に激突して砂ぼこりが舞い、アルガディはその地点に剣を振り下ろそうとする。
しかし、後ろに回り込んで飛び込んできたツタージャの「つるのムチ」が、彼の手に巻き付いてその剣を止めた。
「やらせない!」
「フッ、だがそれではなぁ!!」
と、アルガディは勢いづけて、「つるのムチ」ごとツタージャを投げ飛ばした。ツタージャは相手の手を放し、地上に落下する。
「ツタージャ!!」
叩き落とされてから起き上がったチャオブーが彼女を受け止めた。しかし、その衝撃で体が倒され、再び砂ぼこりが舞った。
するとその右わきから、ルイーズとミジュマルがアルガディに、トライアルブラスターと「ハイドロポンプ」を放ち、右肩に当てた。その当たった箇所を押さえながら、アルガディも2人に気が付いた。
「あのゲッコウガ達か!」
そう言うと、アルガディはルイーズに剣を振り下ろし、ルイーズとミジュマルはそれぞれ左右に避けた。そしてミジュマルが再び「ハイドロポンプ」で攻めるが、アルガディはそれを剣で防いだ。
「なっ!?」
「残念だったな、小僧。」
不敵な笑みで言うと、アルガディは剣先にエネルギーをチャージした。そしてそれをミジュマルに向かって放った。
「お前から先に、あの世へ行け!!」
そして、放たれたエネルギーはプラズマとなり、ミジュマルに向かって伸びた。
「・・・・・・!」
「ミジュマル!!」
ルイーズが叫ぶが、間もなくプラズマはミジュマルに到達しようとしていた。
しかし、その前に何者かが現れ、「シェルブレード」でプラズマを防いだ。
「え・・・?」
ミジュマルもルイーズも、そのプラズマを防いでいる者の姿を呆然と見ていた。アルガディもその様子に動揺していた。
「な、何者だ!?」
やがて、プラズマが弾けて、その姿がハッキリと映った。
それは、ミジュマルの父親で、ガーディアンズ隊長のダイケンキだった。ダイケンキはフッと笑い、息子に声をかける。
「大丈夫か、ミジュマル?」
「父さん!」
ミジュマルも起き上がり、その父親の姿を向いた。ダイケンキはアルガディを見上げた。
「ここからは俺も加勢する!あのデカブツを潰すぞ!!」
「あぁ!」
ミジュマルも頷いて返事をし、そして共にアルガディを見上げた。
ルイーズも、そのダイケンキの姿をじっと眺めていた。
「あのおっさんが、ブレイブウォーリアーズの隊長・・・。」
しかし、アルガディは未だ余裕を崩さない。
「ふん、蟻が何匹来ようが同じ事だ!まとめてあの世へ送り届けてやる!!」
「それはどうかな?」
ダイケンキも強気に返した。
「「勇気の戦士」に負けはねぇ!!最後に笑うのは俺達だ!!」
そして彼は「ハイドロカノン」を放ち、アルガディに命中させた。アルガディはふらつき、ダイケンキも強気な笑みを見せた。
「ぐっ・・・!」
アルガディは体を起こし、彼を睨んだ。
そこへ、ドミニオンとアルトリウスも、巨大アルガディに仕掛けようとする。
ドミニオンでニンフィアが敵との距離を算出する。
「目標との距離、300メートル!」
「よし、下部レールガン、斉射用意!」
ロン博士が指示をすると、ドミニオンの下部レールガンの照準が向けられた。
アルトリウスでもシキジカが報告していた。
「敵、本艦の射線上に入りました!」
「よし、リニア・カノン照準!よく狙って!」
アルトリウスのリニア・カノンも、アルガディに向かって放たれた。
と、アルガディも自分に仕掛けようとする2隻に気が付き、その場所を向いた。
『撃てー!!』
同時に、ドミニオンの下部レールガンに、アルトリウスのリニア・カノンが一斉に放たれた。しかし、相手の剣によって防がれてしまう。
「なっ!?」
「そんな・・・!?」
ロン博士とルディが驚愕する。その間にもアルガディは、剣先からエネルギーを溜める。
「たかが戦艦如き、俺の敵ではない!!」
と、そのエネルギーを放ち、それから現れたプラズマが、ドミニオンとアルトリウスに直撃した。艦体が爆発を起こす。
アルトリウスで、ミネズミとシキジカが被害状況を伝えた。
「左舷、装甲に被弾!リニア・カノン2番、エネル・ミサイル、左1番から6番沈黙!左エンジンも機能停止!」
「第4、6から8、14ブロックにて火災発生!推力、維持できません!」
「そんな・・・!」
ドミニオンの損害も、かなりのものだった。
「右舷に被弾!装甲、貫通!出力、30パーセント以下!これ以上は持ちません!」
ニンフィアが報告し、ロン博士は歯ぎしりをした。
「くっ、このままでは危険か。艦を下がらせる!」
地上でも、ダイケンキがアルトリウスの状況を確認し、バッヂからルディに伝えた。
「ルディ、アルトリウスはそれ以上もたない!お前達は下がれ!」
『わかったわ、ダイケンキ!』
ルディは答え、ブリッジに伝えた。
「アルトリウス、後退します!機関最大!」
そして、ドミニオンとアルトリウスは、一旦戦闘宙域より離脱していった。
しかしそれからも、ルイーズやミジュマル達と、アルガディの戦闘は継続された。
アルガディが振りかざした剣をルイーズ達は避け、マナのトライアルスナイパーとダイケンキの「ハイドロカノン」が、左右から放たれて命中する。だが、相手は屈することなく、今度はダイケンキめがけて剣を突き立てる。しかし、それをダイケンキが避け、その場で「アクアジェット」を発動し、さらに上昇して突撃していく。すれ違いざまに攻撃を当てて行き、アルガディを翻弄する。だが、やがてアルガディも反撃に出る。
「ちぃっ、こいつめ!!」
アルガディは、ダイケンキが飛び込んでくるところめがけて、真上から剣を振りかざした。
「!」
それに気づいたダイケンキはすかさず「アクアジェット」を解き、「シェルブレード」でその剣を止めるが、相手の勢いで押し出されてしまった。そのままダイケンキは地面に落下する。
「父さん!」
ミジュマルが叫んだ。しかし、落下の衝撃で出来た砂ぼこりから出てきたダイケンキは、ゆっくりと起き上がった。
「大丈夫だ、この俺を誰だと思ってやがる・・・!」
それを見てミジュマルはホッと胸を撫で下ろすが、敵はそんな余裕すらも与えない。
「どこを向いている!?」
今度は、ミジュマルめがけてアルガディが剣を振るった。しかし、その剣が当たる寸前でマナがすかさず、ミジュマルを抱えてその剣をローリングでかわした。
そして、ミジュマルをその場に置くとマナは、今度は自分達に突き立てられようとしていた剣を「サイコキネシス」で止めた。
「ぐっ・・・!」
「そらっ!」
マナはその剣を、誰もいない地点に向けた。剣はその地点に向かって叫んだ。
「貴様・・・!」
アルガディが彼女を睨んだ。するとマナは、相手がその剣を抜く前に、枝を取り出して「マジカルフレイムを取り出した。
「いまならこいつで!!」
真下から放たれた「マジカルフレイム」が、アルガディの上半身を包む。それに身をかがめるアルガディだが、やがてそれを振り払った。
「ちぃっ!」
マナは歯ぎしりを浮かべるが、その刹那にアルガディが、剣先に溜めたエネルギーを放ち、激流をマナに浴びせた。しかし、彼女の隣にいた、みずタイプのミジュマルはその激流の中から「アクアジェット」で飛び出す。そしてそのまま「シェルブレード」を構え、そこから「アクア・ドリル・ブレード」を展開して飛び込んでいく。
「こいつはどうだぁぁぁーーー!!」
そこへアリーシャもマニーとともに駆けつけ、その場所を見つめた。
「ミジュマル!」
「アクア・ドリル・ブレード」で突撃するミジュマルは、アルガディの鎧の腹部に当たった。そのまま貫かんとする勢いだったが、突如、アルガディはほくそえみ、彼の左腕から飛んできた拳に弾き飛ばされてしまった。
「がはっ・・・!」
「フフフフ・・・。」
そして、アルガディの不気味な笑いが浮かんだ。アリーシャとマニーも、それを見て慌てた。
「アクア・ドリル・ブレードが破られた!?」
「あの子が危ない!」
しかし、そうしている間に、宙に浮いたミジュマルに、アルガディの剣が振りかざされようとしていた。
「とどめを受けろ!!」
「・・・・・・!」
ミジュマルはホタチで防ごうとするが、相手は容赦なく刃を振るう。
「ミジュマルーーー!!」
アリーシャが叫び、彼女は飛び出して行く。
「アリーシャさん!」
マニーが手をかざし、彼女を呼び止める。
しかし、そうしている間にもアルガディの一撃が容赦なくミジュマルに迫っていた。その時だった。
突然、アルガディの下からエネルギー弾が当たり、その剣を止めた。
「ぐぅっ・・・!?」
その間に落下していくミジュマルは、飛んできたアリーシャがキャッチした。するとミジュマルも、彼女に気が付いた。
「・・・アリーシャ。」
「大丈夫ですか、ミジュマル。」
アリーシャが声をかけた。ミジュマルも微笑む。
「へへへ、ありがとう、アリーシャ。」
そんな彼に、アリーシャも笑いかけた。
一方、攻撃を阻まれたアルガディは、その攻撃の先を見つめた。
「ぐっ、何者だ!?」
すると、彼の真下に、トライアルブラスターを構えるルイーズが立っていた。
「貴様か、ガーディアンズのゲッコウガ!!」
「大事な仲間をやらせるか!」
自分達と共通の敵と戦うブレイブウォーリアーズに対する「仲間」としての気持ちを現すかのように、ルイーズは叫んだ。ミジュマルと、彼を背中に乗せるアリーシャもそれを聞いて密かに笑った。
だが、アルガディの攻撃はルイーズにも迫る。
「貴様は、貴様だけは!!」
と、アルガディは剣を再度振りかざし、ルイーズはそれをジャンプして避けた。そしてその場で「みずのはどう」を放ち、相手の鎧の胴体に当てた。水しぶきがその地点にはじける。しかし・・・、
「ぬるい・・・、生ぬるい!!」
そう言うと、アルガディは左手をルイーズに伸ばして捕まえた。
「ぐわっ!?」
ルイーズはアルガディの眼前まで引き寄せられる。アルガディは彼を見据えて、ほくそ笑んだ。
「フフフ、捕まえたぞ、ゲッコウガ。このまま握りつぶしてくれる!!」
そしてアルガディは、ルイーズを掴んだ左手に力を込める。身動きが取れないルイーズは、その痛みに苦しんだ。
「ぐわあああぁぁぁぁぁーーーーー!!」
「ルイーズ!!」
ミジュマルが叫んだ。その周囲には、ルイーズの悲鳴が響き渡った。彼はルイーズを助けようと、アリーシャに呼びかけた。
「アリーシャ、寄せてくれ!」
「はい!」
アリーシャも返事をし、ルイーズに近づこうとする。
一方、アルガディはルイーズの苦しむ様を見ながら、不気味に笑っていた。
「フフフフフフ・・・。」
彼がさらに力を込めて握ると、ルイーズは首を横に振りながら悶えた。
「ああああ、あああぁぁぁーーー!!」
やがて、相手のその様子をしばらく味わい満足してか、アルガディはついにルイーズを握りつぶそうとする。
「さて、お前が十分に苦しんだから、もう十分だ。ひと思いに楽にしてやろう!」
そして、左手にさらに力を入れようとした。
だがその時、地上からのエネルギー弾がその左手腕に当たり、アルガディはルイーズを放した。
「ぐおっ!?」
それは、マナのトライアルスナイパーの弾だった。ミジュマルも、相手の手から逃れたルイーズを見て叫んだ。
「ルイーズ!」
ルイーズはそのまま落下するが、すぐに彼は「みずのはどう」を地面に向けて、それをクッションにして衝撃を和らげ、マナの近くに着地した。それを見てミジュマル達も、胸を撫で下ろした。
ルイーズは顔を拭いながら、マナにお礼を言った。
「サンキュー、マナ!助かったぜ!」
「へっ、あんたらしくないね、ルイーズ!」
笑顔でいつもの憎まれ口を叩くマナに、ルイーズは小バカにするような笑顔で「ふん!」と返し、再び敵を見上げた。
「さて、お返しだ!」
そして2人はアルガディに向かって行く。
ルイーズはアルガディの足元に「みずしゅりけん」を放ち、相手を後ろに下がらせた。しかしアルガディは剣を大きく振りかざし、ルイーズがそれを避けた。そのルイーズの反対側からマナが、トライアルスナイパーをかざして放った。アルガディはそれを剣で防ぎ、それからエネルギーを放ってプラズマを出現させる。と、マナはすかさず「サイコキネシス」でそのプラズマを押し返した。が、アルガディが剣を振ってそのプラズマを切り裂いた。
「何!?」
マナが驚愕する中、再びアルガディはエネルギーを放ち、今度は炎を彼女に浴びせた。
と、その脇からルイーズがギガブレードを構えて飛び込んで来た。
「アルガディィィーーーーー!!」
そしてそれを、すかさずアルガディに放った。が、アルガディはすかさず剣で防いでいた。
「そんな剣で今の俺を倒せると思うな!」
「ちぃっ・・・!」
ルイーズが歯ぎしりをした。と同時に、アルガディは横一閃で切りかかろうとし、ルイーズはそれをギガブレードで受け止めるが、吹っ飛ばされてしまう。
すると今度は、その後ろからゲイルとディアゴがトライアルランチャーとトライアルパルサーを向けて狙う。そして、アルガディがそれに振り向いたとき、
「トライアルランチャー!」
「トライアルパルサー!」
2人同時に放った。だが、アルガディは剣を一振りしてそれを雄々しく払った。
「惜しかったな。」
「!」
「くっ・・・!」
ゲイル達は額に汗を浮かべるが、その間に相手は剣先のエネルギーからプラズマを放ち、2人に命中させた。それによって2人は吹き飛んだ。
それに笑みを見せるアルガディだったが、彼の鎧の背中からエネルギー弾が当たる。振り向くと、カゴメとマーティーがトライアルバルカンとトライアルリボルバーを構えていた。
「さっきはヘマしたけど、今度はやられない!」
「もう一度仕掛ける!」
そして2人は、旋回しながら巨大な敵に接近し、それぞれの方向から「でんこうせっか」と「はがねのつばさ」を決める。そしてその後で出てきた先で、「かえんほうしゃ」と「ひのこ」を浴びせる。命中だった。
だが、相手はそれさえも払いのけで出てきた。
「そんな攻撃で、俺を倒せるものか!!」
そう叫び、アルガディは2人に剣を振りかざす。カゴメもマーティーもぎりぎりで避けるが、相手の剣が振るわれた反動でバランスをくずしてしまう。さらにそこへ、アルガディが剣に溜めたエネルギーを払い、プラズマに変えて2人に命中させた。

アリーシャは、ミジュマルとともにダイケンキの元へと駆けつける。
「父さん!」
「ダイさん!」
「ミジュマル、それにアリーシャか!」
ダイケンキも2人を向いた。ミジュマルがアリーシャから降りて、父親の元に来ると、ガーディアンズとアルガディの戦闘を向いた。
「あいつ化け物だ、こっちはパワーの消耗だって激しいのに、巨大化してからは全く衰える気配がない・・・!」
「全くだ、おまけにあの鎧のせいで普通の攻撃だとあまり受け付けねぇ。」
ダイケンキも下を巻いた。そして彼は言った。
「これだと、ガーディアンズでもあぶねぇぞ!」
「!」
それを聞いた瞬間、ミジュマルとアリーシャは息をのんだ。

だが、ルイーズ達は懸命に、アルガディに向かって行く。
「トライアルブラスター!!」
「トライアルスナイパー!!」
ルイーズとマナが、左右からそれぞれのトライアルユニットで攻める。しかし、アルガディの鎧にはほとんど傷はつかず、彼は剣を振るって2人を払いのけた。それからすぐに、ゲイルが「ミサイルばり」を飛ばし、命中させるが、アルガディはそれを払う。が、その間にディアゴが「きあいパンチ」で攻める。
「覚悟!!」
それは、見事相手の顔に命中した。だが、その状態でアルガディは笑みを浮かべ、左手のアッパーでディアゴを殴り、吹っ飛ばした。
するとその脇からカゴメの「でんこうせっか」が迫る。が、アルガディはひらりとかわしてしまう。が、すぐその後でマーティーが「オーバーヒート」を構えて待っていた。
「かかったな!喰らえ!!」
と、マーティーはその「オーバーヒート」を放ち、命中させる。しかし、アルガディはそれさえも剣で振り払ってしまう。
「むっ!?」
「そら、隙が出来た!!」
そしてアルガディは、剣からエネルギーを溜めて放ち、プラズマにして彼に当てた。マーティーは衝撃で落下していく。

ガーディアンズがやられていく様子に、ミジュマルも焦りを覚える。
「くそっ、このままじゃガーディアンズが・・・!」
そこへ、チャオブーやツタージャ達が駆けつける。彼らはミジュマル達に声をかけた。
「ダイさん!」
「ミジュマル、アリーシャ!」
「みんな!」
ダイケンキにミジュマル達も、彼らに気付いて振り向いた。チャオブーとケンホロウが巨大化したアルガディを見て言った。
「今のあいつには、生半可な攻撃は通用しないみたいだ・・・!」
「あの手の巨大な敵との戦いはイノセンスJrで経験していますが、あれは下手をすればそれを上回るかもしれません。」
以前のポケモン・サバイバル・バトルにおいて、彼らは倒されたイノセンスが散り際に放った子孫、イノセンスJrと戦ったことがあった。その時もイノセンスJrは巨大化し、ミジュマル達に対し猛威を振るった。この状況はまさにその時と同じだったが、アルガディのパワーはそれ以上とも言えた。
「このままだと、いずれこっちが押し返されるかもしれないわ。」
ツタージャも額に汗を浮かべる。ワルビアルも握り拳を固めた。
「何とかあの大きさに対抗できる術があれば・・・!」
「けど、アルトリウスは被弾して退いちまったぞ!?」
ズルッグがすぐさま返した。
「じゃあ他に何か手を・・・!」
そうミジュマルが言いかけた時、ダイケンキはフフフと笑いだした。
「じゃあ、いよいよこいつの出番か!」
すると彼は、懐から何やら銅製の箱を取り出した。そしてその箱を開け、ダイケンキはその中のある物を取り出した。
それを見た瞬間、ミジュマルとアリーシャ達は目を丸くした。
「と、父さん、それは・・・!?」
「まさか・・・!?」
息子や仲間達が見つめる中、ダイケンキもフフフと笑う。そしてツタージャが、隊長が持っている「それ」の名を口ずさんだ。
「勇気の球・・・!」
ダイケンキが持っていた物、それは輝かしい琥珀(こはく)色に輝く、「勇気の球」と呼ばれる物であった。
「今回の戦いで必要になると思って持って来ていたんだ!」
そう言ってダイケンキは、勇気の球を胸元まで持って行った。
この勇気の球は、かつてジョウト地方の端の「勇者の神殿」たる場所で見つかった、旧時代の遺産である。その昔、当時の祈祷師が祈りを込めて作りだしたと言われており、球の中には全てを可能にする「創世の力」が込められている。創世の力とは、天、地、海を操り、人々の心を操る事ができるほどの協力な力で、勇気の球を手にした者はその力を使うことができると言われている。
かつてこの球を巡って、ブレイブウォーリアーズは幾多もの敵勢力との戦いを経験してきた。そして亜獣族との決着後は、アララギ研究所の管理下に置かれていたのであった。
「こいつを使ってガーディアンズにあいつを倒す力を与えるんだ!そうすれば、きっとあの鎧野郎に勝つことができる!」
父親が出したその提案に、ミジュマルも同意した。
「そうか、その手があった!」
ワルビアルとアリーシャも、彼と同意見だった。
「勇気の球の力があれば、必ずいける!」
「さすがです、ダイさん!」
ダイケンキも「あぁ!」頷き、勇気の球を眺めた。
「今までどんな不可能を可能にしてきた勇気の球なら、必ず道は切り開ける!」
しかしその直後、彼らの前に迫る影があった。一同がその場所を向いた。
「させんぞ、ブレイブウォーリアーズめ。」
それは、やはりバドだった。バドはミジュマルやダイケンキ達を見据えて、右こぶしを首の高さまで上げて固めた。
「イノセンス様の仇を・・・、亜獣族の無念をこの手で晴らすまでは・・・、私は諦めん!」
「バド!」
ミジュマル達もバドと見合った。しかしバドはひるむことなく、彼らに歩を進める。
しかしそうしている間にも、ガーディアンズはアルガディに追い詰められていた。相手の剣から放たれたエネルギーからのプラズマで、ルイーズ達は吹っ飛ばされてしまう。
「!ルイーズ達が!」
すぐにミジュマル達も、その場所を向いた。倒れたガーディアンズに、アルガディが迫る。
「よく頑張ったが、いよいよここまでのようだな。」
「くっ・・・!」
ルイーズ達はなおも起き上がろうとする。しかしバドは、アルガディが圧倒している様子を眺めてほくそ笑んだ。
「フフフ・・・、ガーディアンズも間もなく最期の時だ。そしてブレイブウォーリアーズも・・・!」
彼はなおも、宿敵達に向かって歩き出していく。ツタージャ達がダイケンキの前に出る。
「ダイさん、あたし達が援護するから、今のうちに勇気の球を!」
「おう!」
ダイケンキは答え、勇気の球を放とうとする。
しかし、バドはそれを見て立ち止まり、
「させぬわ!!」
口からビームを発射した。それはブレイブウォーリアーズの手前に当たり、勇気の球はダイケンキの手から、空高く投げられた。
「しまった、勇気の球が!」
「任せてください!」
アリーシャがそう言い、勇気の球を取るべく飛び立った。だがバドは、すかさず勇気の球に狙いを定める。
「そうはさせんぞ、小娘!」
そう言って再びビームを放ち、勇気の球を破壊しようとする。
(このまま勇気の球を破壊してしまえば、貴様らの目論見など・・・!)
だが、その前にダイケンキが動き出した。
「お前の好きにはさせんと、言っただろう!!」
すかさずダイケンキは、「アクアジェット」でバドに突撃した。
「ぬっ!?」
バドがそれに気づくが、時すでに遅し。ダイケンキは勢いよく、ビームを放つ前のバドに激突する。
「せぇい!!」
「ぬわあああぁぁぁぁぁーーーーー!!」
バドは吹っ飛ばされ、はるか遠くまで飛んで行った。
「おのれぇー、ガーディアンズめぇぇぇーーー!!」
そのままバドは、街よりやや離れたところまで落下していった。その後でダイケンキは、「アクアジェット」を解いた。そしてすぐに、勇気の球が飛んで行った方向を向いた。
「勇気の球は!?」
アリーシャは見事、勇気の球を足で受け止めた。
「大丈夫、無事にキャッチできました!」
「よっしゃあ!やったぜ、アリーシャ!!」
ミジュマルも、勢いよく右腕を振り上げて叫んだ。チャオブー達も表情を和らげ、ダイケンキとツタージャがアリーシャに呼びかけた。
「よし、今だアリーシャ!」
「そのまま勇気の球をガーディアンズの元へ!」
「はい!」
アリーシャは返事をして、急いで勇気の球をガーディアンズに届けに向かった。

ここまでの戦闘でのダメージが蓄積した状態で横たわるガーディアンズに対し、アルガディは彼らにとどめを刺そうと、剣を振り上げた。
「これで終わりだ、死ねぇ!!」
「・・・・・・!」
ルイーズ達が歯ぎしりをしながら見上げる中で、アルガディは剣を振りかざそうとした。
すると、そこへアリーシャが飛んできて、アルガディをその動きで翻弄する。
「な、何だ貴様は!?えぇい、うっとうしい!!」
彼はアリーシャに剣を振るうが、巧みな動きでかわしながら、ガーディアンズに勇気の球を渡そうとする。
「ガーディアンズの皆さん、受け取ってください!!」
そして彼女は、勢いよくそれを投げた。起き上がったルイーズは、それを受け取り眺めた。
「な、何だ、この球・・・?」
「水晶玉とは違うみたいだね・・・。」
一同と一緒に覗き込んでマナも言った。その時、ディアゴはその球から不思議な力を感じて気が付いた。
「!この感じ、何だこれは・・・!?」
その時、ミジュマルがガーディアンズに向かって叫んだ。
「今だガーディアンズ!その勇気の球に、アルガディを倒す力が欲しいって祈るんだ!!」
「勇気の球・・・。」
ディアゴがその名前を復唱し、改めてその不思議な感じの球を向いた。
「祈るって、この球にか?」
ルイーズが勇気の球を持って尋ねる。チャオブーとツタージャも続いた。
「そうだ!それには、それを叶える力がある!!」
「その力を使って、ヤツを倒すの!!」
『・・・・・・。』
それを聞きながら、ガーディアンズは勇気の球を眺めた。そしてマーティーが、ルイーズに呼びかけた。
「ルイーズ、ヤツのパワーが計り知れない以上、今はその球に懸けるしかない。それを使って、新たな力を手に入れるんだ!」
「マーティー・・・。」
すると、マナやゲイル達も彼に呼びかけた。
「やろう、ルイーズ!みんなのためにも!」
「ヤツを倒して、この街を救うためにも!」
「あたし達を信じているみんなの思いを、無駄にしないためにも!」
最後にディアゴも、腕組みをして静かに言った。
「ここまで来たからには、覚悟はできている!」
「お前ら・・・。」
仲間達の熱意を感じ、ルイーズも彼らを見つめた。
だが、アルガディはそれを阻もうと挑みかかってくる。
「そうはさせんぞ、ガーディアンズ!!」
そう言って再び剣を振り上げようとするが、ブレイブウォーリアーズのメンバーがそれに対し仕掛ける。
「させるか!お前ら、一斉攻撃だ!!」
「行くぜ、みんな!!」
『おぉーーーーー!!』
ダイケンキとミジュマルの号令と同時に、一同の掛け声が高々と上がった。
チャオブーの「かえんほうしゃ」、ツタージャの「リーフストーム」、ケンホロウの「エアカッター」、ズルッグの「きあいだま」、ハハコモリの「エナジーボール」、ガマガルの「マッドショット」、ガントルの「ラスターカノン」、ワルビアルの「ストーンエッジ」、そしてダイケンキの「ハイドロカノン」が、アルガディの左脇に命中する。アルガディは衝撃でバランスを崩し、さらにミジュマルが「アクア・ドリル・ブレード」で突撃し、相手を勢いよく突き飛ばした。そしてアルガディはふらつき、あおむけで倒れ込んだ。
その間にルイーズは、勇気の球を使う決意を決めた。
「・・・よし、やるぞ!!」
『OK、ルイーズ!!』
それを聞いて、マナ達も一斉に掛け声をかけた。
ルイーズは勇気の球を顔の近くまで上げ、そして祈りを込めた。
「勇気の球、俺達に力を!アルガディを倒せる力を!!」
その時、それに応えるかのように、勇気の球がまばゆく光り出した。
「うっ・・・!」
ガーディアンズはその光に目をくらませる。ミジュマルやチャオブー達も、それを見てほほ笑んだ。
「やったぞ!」
「ついにこれで・・・!」
その上空でも、アリーシャが勇気の球の光を眺めてほほ笑んだ。
同時に、アルガディも剣を突き立てて起き上がり、その光の先を見た。
「な、何だ?何が起ころうとしている!?」
やがて、その光に慣れたルイーズが、光り輝く勇気の球を天に掲げた。そしてその光はより一層強くなり、ガーディアンズがそれに包まれた・・・。

そして、光の向こう側から出てきたガーディアンズは、アルガディに匹敵するほどの巨大な姿になっていた。ルイーズ達6人はその姿に驚きながらも、自分達の今の大きさを実感していた。
「な、何!?巨大化だと!?」
アルガディは、相手のその姿にかなり驚いていた。
「バカな!?なぜヤツらにその力が・・・!?」
地上でも、ブレイブウォーリアーズのポケモン達が、その姿を見て驚嘆していた。
「すげぇ、ガーディアンズが大きくなった・・・!」
「あれが、あいつらが勇気の球に祈った結果だろうな。」
ミジュマルとダイケンキも、彼らを見上げて言った。その驚きと興奮は、チャオブー達も一緒だった。
「でも、あれならアルガディとも互角に戦えるかもしれない!」
「はい。大きさも同じですし、それにガーディアンズ1人1人のパワーがあれば!」
「今ノガーディアンズナラ、モウアイツニ通ジナイ攻撃、無イ!」
「いいぞ、やっちまえー!!」
誰もがガーディアンズに対し、勝機を感じていた。それはアリーシャも同じだった。
「ガーディアンズ、神様みたいです・・・!」
巨大な6体の姿に感激し、そう感じた彼女だが、ふと地上に落ちている勇気の球を見つけ、その下へと降り立った。
「アリーシャ!」
同時に、ミジュマル達も彼女の元へと駆け寄った。
「ミジュマル、皆さん!」
アリーシャも笑顔で答える。そして一斉に、ガーディアンズを見上げた。
「ミジュマル、ガーディアンズはきっと勝てますよね。」
「あぁ、勝てるさ!」
最愛の妻の言葉に、ミジュマルは堂々と答えた。
「あいつらにも正義の心があるんだ!だから、必ず!」
その巨大なガーディアンズの姿は、街のはずれに着底するドミニオンとアルトリウスからも確認できた。
アルトリウスでは、ルディ達がその光景に見入っていた。
「これは・・・!?」
「大きい・・・!」
シキジカ達ブリッジクルーも驚愕していた。
ドミニオンでも、ロン博士がルイーズ達の姿に目を凝らしていた。
「どうなっているんだ・・・?」
「ルイーズ少尉たちが、大きく・・・!?」
ニンフィア達も目の前の光景が信じられなかった。
マニーも、巨大なガーディアンズを見上げて、そっと微笑みを見せた。そして彼らの勝利を信じ、そっと呟いた。
「みんな、頑張って・・・!私、信じているから・・・!」
彼女はそれから、祈るように手を添えた。
だが、アルガディはそれに対しても、なおも挑もうとする。
「ハハハハ、大きさがいくら同じになろうとも、この俺を倒すことは不可能なのだ!!」
相手のその挑発にも、ルイーズ達は屈しない。
「どうだろうな?てめぇには無い、地球生物の「強さ」を見せてやるぜ!!」
ルイーズが宣言すると、5体も身構えた。そんな彼らに、ブレイブウォーリアーズも一斉に呼びかけた。
「ガーディアンズ、その「強さ」はお前達だけのものじゃない!」
「共に平和を願って戦うあたし達の!」
「この星で暮らす全ての者達の思いが込められています!!」
そう、今のガーディアンズにある「強さ」は、決してあきらめない「心」と、それを貫き通す「力」、共に平和を祈るブレイブウォーリアーズの「勇気」、そしてこの星の全ての命の「思い」が込められているのだ。それは、誰の目にも明らかだった。
最後に、ミジュマルが勢いよく叫んだ。
「だから、必ず勝て!!勝って、明日に踏みだすために!!」
「おうよ!!」
ルイーズが勢いよく返事を返し、仲間達に呼びかけた。
「行くぜ、みんな!!」
『OK、ルイーズ!!』
マナ達のその掛け声とともに、ルイーズが力強く、決めゼリフを叫んだ。
「やぁってやるぜ!!」
そしてガーディアンズは、アルガディに向かっていく。同時にアルガディも、彼らに仕掛けていく。
今度こそ、決着の時だった。

まず、ルイーズがギガブレードで、まっすぐアルガディに向かって行く。そして相手の剣とつばぜり合い、そこから切り合いに入る。幾度も互いの刃が交差し、やがてルイーズが左手のギガブレードで相手の剣を弾き、今度は右手のギガブレードでアルガディの本体に1撃喰らわせた。さらにそこから、横一閃を叩き込む。アルガディは後ろに下がった。
「おのれ、ゲッコウガめ・・・!」
すかさずアルガディは剣にエネルギーを溜めて、それをプラズマにして発する。だが、ルイーズの前にマナが現れ、それを「ひかりのかべ」で防いだ。
「何!?」
「次はこいつだ!」
と、マナはそのまま「マジカルフレイム」を放ち、アルガディを包み込んだ。それを振り払い、アルガディはマナに切りかかる。だがその横から、今度はゲイルが「たいあたり」で飛び込んで来た。
「ぐおっ!?」
アルガディはその場でしりもちを突き、ゲイルはその前に立った。が、相手はすぐに体を起こそうとする。
「おのれ、このデカブツめ!!」
そして起き上がったアルガディは、ゲイルに剣を突き立てた。が、ゲイルが「ニードルガード」でそれを防ぎ弾いた。さらにそこから「ウッドハンマー」を叩き込み、相手を後ろにやった。
さらにその背後から、空中に浮かぶカゴメとマーティーがトライアルユニットを構えていた。
「トライアルバルカン!」
「トライアルリボルバー!」
そして2人は同時に放ち、アルガディはその衝撃でその前に倒れた。その場で踏みとどまるアルガディだが、今度はディアゴが正面から「きあいパンチ」で迫る。
「ふんぬ!」
「甘い!」
が、アルガディは寸前で避け、ディアゴに剣を振り上げた。
「そこからなら!」
「・・・!」
だが、相手の剣が振りかざされたとき、ディアゴはそれを真剣白羽取りし、膝蹴りの一撃を相手の腹に当てた。アルガディはそれによりふらつく。
「ぐっ・・・!」
そして今度は、相手にある程度近づいて踏み込み、「きあいパンチ」の一撃を叩き込んだ。
「がっ・・・!」
顔面に受けたアルガディは衝撃で下がり、左手でその顔を覆った。さらにそこへ、ルイーズが頭上から再びギガブレードを振りかざした。
「そぉら、喰らいやがれぇー!!」
「・・・・・・!」
アルガディはすかさず、剣の平らな方を向けて防いだ。そしてそれを弾くと、再びルイーズに切りかかった。ルイーズは斬撃を受け、後ろに下がった。
「ぐっ・・・!」
着られた部分を押さえるルイーズだが、アルガディがさらに切りかかる。
が、ルイーズはすぐに巻き返し、左手のギガブレードで相手の剣を弾いた。そして右手のギガブレードで、相手に斬撃を喰らわせた。そしてアルガディはそのまま、後方に倒れる。
さらにガーディアンズは全員、相手の前に集まり、トライアルユニットを構えた。
「トライアルユニット、一斉射撃!!」
ルイーズのその掛け声とともに、6体はトライアルユニットを一斉に放ち、アルガディに命中させた。
アルガディを圧倒するガーディアンズに、ブレイブウォーリアーズは大歓喜だった。
「いいぞ、ガーディアンズ!」
「すごい、あの鎧の敵を追い詰めている・・・!」
ミジュマルとアリーシャも、その強さに感激していた。
アルガディは、ふらつきながらもガーディアンズを睨んだ。そしてルイーズが、一同に叫んだ。
「よし、ギガ・トランシックブラスターだ!!」
『OK、ルイーズ!!』
マナ達も勢いよく返す。
そして、ガーディアンズは6人全員のトライアルユニットを合体させ、ギガ・トランシックブラスターを完成させた。
『ギガ・トランシックブラスター!!』
「ターゲット!」
「ロックオン!」
ギガ・トランシックブラスターの照準がアルガディに向けられ、エネルギー弾がチャージされる。そして・・・、
「やぁってやるぜ!!」
そしてルイーズが引き金を引き、そのエネルギー弾が放たれた。そしてそれは、見事アルガディに直撃し、光がその体を包んだ。
「ぐわあぁぁぁーーー!!ジェイク様、申し訳ありませぇぇぇぇぇーーーーーん!!」
自らの上司の名前を叫びながらの断末魔とともに、アルガディはその光の中へと消えて行った。
そしてガーディアンズは、ギガ・トランシックブラスターを構えた状態で、その光を眺めて静かに佇んだ。
同時に、ドミニオンにて、アルガディの撃破を確認していた。
「敵、完全に消滅しました!他の部隊も抵抗も見られません!」
「これで、この戦闘は収束した模様です!」
ニンフィアとバオップが報告すると、ロン博士も肩の力を抜いて、司令席によりかかった。
「そうか、終わったか・・・。」
そして改めて、巨大な姿のガーディアンズを眺めた。そして、見事その姿でアルガディを打ち破ったガーディアンズを見て、穏やかに笑って呟いた。
「しかし、本当に起こるものだな、奇跡というヤツは・・・。」
アルトリウスも同様に、この戦いにおける勝利を確認していたのだった。
「やりました、ガーディアンズの勝利です!」
「そう、よくやったわ・・・。」
シキジカのその報告を受け、ルディは目を閉じて答えた。そして窓の外を眺めて呟いた。
「ありがとう、みんな・・・。」
街の中でも、マニーがルイーズ達の勝利に喜び、その場に飛び出してきた。
「ルイーズ、みんなー!!」
彼女は手を振って、6体に手を振った。それを見てルイーズ達も、それぞれ笑顔を見せた。
そして、ブレイブウォーリアーズの面々も、ガーディアンズの勝利を喜んでいた。
「やったー、勝ったぞー!!」
「すげぇ!さすがガーディアンズだ!!」
「みんな、最高よー!!」
歓声を上げる一同の中で、ダイケンキもフッと笑いながら呟いた。
「さすがは地球の守護者(ガーディアンズ)だな。」
アリーシャも、最愛の夫と抱き合い、喜びを分かち合っていた。
「やりましたね、ミジュマル!私達の勝利です!」
「あぁ、これはみんなの勝利だ!!」
ミジュマルもアリーシャの腕の中で、笑顔で答えた。
この勝利は、ガーディアンズだけのものではなかった。ブレイブウォーリアーズの「勇気」、そして彼らと気持ちを同じくする者達の「強さ」によってもたらされた者、つまり、「みんなの勝利」なのだった。
そしてミジュマルは、ガーディアンズに右腕を掲げて告げた。
「カッコよかったぜ、ガーディアンズ!」
それに対しルイーズも、グッドの指をして告げた。
「お前らの勇気も、確かに受け取ったぜ!」
この戦いを通して、ルイーズとミジュマルも互いを認め合ったようだった。

一方、ガーディアンズがアルガディを打ち破った様子を、バドが自分が飛ばされたライモンシティの片隅から眺めていた。
「おのれ、ブレイブウォーリアーズめ、またしても!」
新たな主となったアルガディが倒され、近くにガルザーク帝国の部隊もいないとなり、彼はまた孤独となってしまった。そして彼は、その場で握り拳を固めて歯ぎしりを浮かべた。
「必ず、貴様らへの復讐は成してやるぞ!その時まで、覚えているがいい!!」
それだけ告げると、バドは街の外れへと去っていった。だが、再び後ろ盾を失った彼は、しばらく表舞台に出て来ることは無いだろう・・・。

それと同じくして、ライモンシティの1角では、シンタとエミリが戦闘の収束を、街のデパートの屋上から確認していた。
「どうやら、戦闘は収まったみたいだな。」
「ガーディアンズの連中、上手くやってくれたみたいッスね。」
すると、彼らの後ろのベランダで横になっていたウザシマ・・・いやウジシマが目を覚ました。
「う、うぅ・・・。あれ、ここはどこだい?」
さわやかな顔のまま起き上がり、周囲の様子を伺った。と、シンタ達も彼に気が付いた。
「あっ、坊ちゃん。気が付きましたか?」
「シンタにエミリ・・・。戦闘はどうなったんだい?」
ウジシマが尋ねると、エミリがガーディアンズのいる方向を指差した。
「ほら、あそこにいるガーディアンズが倒してくれたッスよ。」
そう言ってエミリが、巨大なガーディアンズの方を指した。それを見てウジシマは目を疑った。
「あれ!?あれがガーディアンズ!?聞いていたより大きくないか!?」
「そうみたいッスね。」
目を疑うウジシマに、シンタが説明した。
「なんか知らないッスけど、巨大化したみたいッス。」
「・・・・・・。」
ウジシマはしばらく無言だったが、やがて事態を飲み込んだ。
「まさかガーディアンズが、あんな大きさになるなんて・・・!」
そう言いながら、次はこう言った。
「すごいや、おかげでいいアイディアが浮かんだ・・・!」
『は?』
シンタ・エミリ姉弟が首をかしげる。ウジシマは発表した。
「よーし、次はポケモンを巨大化させて、強力にするマシンを開発しようじゃないか!!」
無駄にかっこいいポーズでウジシマはそう言った。シンタ・エミリ姉弟はそれに対し口々に呟いた。
「やれやれ、坊ちゃんは相変わらず、転んでもタダでは起きないな。」
「そうッスね。だからこそこの人なんスけど・・・。」
何があってもすぐに立ち上がる。それがウジシマなのだと、2人ともわかっていたのだった。

そして、ライモンシティから離れた地点を移動するジェイク艦でも、アルガディが敗れた事を知り、ジェイクは小さく呟いた。
「アルガディ、敗れはしたが、お前の心意気は確かに受け取った。」
部隊が壊滅させられ、追い詰められながらも、アルガディは退くことなくその命尽きるまで戦い抜いた。その騎士としての強い心意気を感じながら、ジェイクはその最期を悼(いた)んだ。
「私も、必ずや自らの使命、ガルザーク帝国の地球制圧を成す、この命に代えてもな!」
彼はそう言って。右手を顔の近くに持って行き、握り拳を固めた。
敵である地球から来た自分でも信じ、そして散って行った者達のためにと、ジェイクはガルザーク帝国の一員として、地球制圧への決意を新たにするのだった。
「ジェイク様・・・。」
そんな上官の姿を、ハンナは静かに見守るのだった。そしてジェイクは告げた。
「我々は課せられた任を全うする!進路はカロス地方・セントラルカロスだ!!」
『はっ!』
ハンナ達部下が返事をし、ジェイク艦はカロス地方へと戻って行くのだった。

やがて、夕方になった。ガルザーク帝国の手から守られ、平穏が戻ったライモンシティを、夕焼けが美しく照らしていた。
元の大きさに戻ったガーディアンズと、ブレイブウォーリアーズが町の高台からその夕日を眺めていた。
「きれいな、夕日ですね・・・。」
「またこの平和な街で、この夕日を眺められるんやな・・・。」
ケンホロウとハハコモリが穏やかに言うと、ガマガルも笑いながら言った。
「これも、俺達が命かけてこの街守った証だな!」
「俺達は、この美しい景色を守るために戦っているのかもな・・・。」
ワルビアルも腕組みをして言った。
すると、それに続くようにマナやカゴメ達が言った。
「いや、それだけじゃないさ。」
「あたし達はこの地球の笑顔と平和、そして命のために戦っている・・・。」
「そして、これからこの星が歩む未来を守るためにもな・・・。」
さらに、ディアゴも腕組みをして穏やかに笑いながら言った。
「それを守って行くのが、俺達の役目だ。」
「当然!それは俺達だって同じだぜ!」
ズルッグも笑顔で答えた。ガントルも続いた。
「平和ヲ守ル、目的同ジ!俺達、仲間!」
その彼の言葉には、一同は共感していた。マニーも同じだった。
「そうね、私達は今日から仲間ね!」
笑顔でそう言う彼女に、アリーシャも続くように声をかけた。
「はい、これから皆さん、よろしくお願いします!」
それと同時に、一同は歓声を上げた。
それから、ミジュマルがガーディアンズに言った。
「ガーディアンズ、ガルザーク帝国との戦いはあんた達に任せた!必ず俺達の地球を、ヤツらの手から守ってくれよ!」
「おう、もちろんそのつもりだ!」
ルイーズも頷いて答えた。マーティーも続く。
「ガルザーク帝国は、この手で必ず倒す!」
その後でチャオブーとツタージャも告げた。
「俺達ブレイブウォーリアーズも、イッシュ地方の平和を守り抜くぜ!」
「あなた達は遠慮なく、各地のガルザーク帝国を倒してちょうだいね!」
アリーシャも、ガーディアンズに激励を送った。
「これからもあなた達の事を、信じています!」
そしてミジュマルが、ルイーズ達に笑いかけて告げた。
「一緒に戦って行こう!いつか地球に平和が訪れるときを祈って!」
「おう、同じ平和のために戦う者同士!!」
ルイーズも答え、右手を胸の位置まで掲げた。
そしてガーディアンズとブレイブウォーリアーズは、それぞれ握手を交わした。
ブレイブウォーリアーズは数が多いため、ルイーズがミジュマルからズルッグ、マナがツタージャからアリーシャ、ゲイルがチャオブーからガマガル(ガマガルに関しては、ゲイルが彼の体に触れる形で)、カゴメがケンホロウからハハコモリ、そしてマーティーがワルビアルからガントルと、順番に握手した。その後でアリーシャは、マニーとも握手をする。ちなみに、最年少のズルッグと握手するときにルイーズは「これからも強くなれよ」と声をかけたという。
それからしばらくして、彼らを呼ぶ声がした。
「おーい、お前らー!!」
「!」
「みんな!」
一同はその方向を向いて、笑顔を見せた。
そこには、声をかけたダイケンキを始め、ロン博士、ルディ、ツンベアー、ミルホッグ、モグリュー、ランクルス、スワンナ、そしてアレク率いる紅蓮の騎士団の面々がやってきた。自分達の他に一緒に戦った仲間達の登場に、一同は笑顔を浮かべて駆け寄った。
そして、夕日をバッグに全員で記念写真を撮ろうとする。ガーディアンズの面々が中心で、その周囲をブレイブウォーリアーズや紅蓮の騎士団が囲む形で並ぶ。シャッターをセットしたダイケンキが、急いで写真左側の位置に移動して並ぶ。
そしてシャッターが押された。

ガーディアンズとブレイブウォーリアーズ、平和を守護する2つの戦士達はこれからも戦い続けるだろう。いつかこの地球に、本当の平和が訪れる日を願って・・・。

―完―

あとがき

皆さん、こんにちは。作者の川畑拓也です。

今回は現在連載中の「ポケットモンスター ガーディアンズ」の読み切り作品として、前作「ポケットモンスター ブレイブウォーリアーズ」との共演を実現させました!

しかし、今年近くに入ってからの「ガーディアンズ」連載から、読み切り掲載について色々考えていましたが、なんだかんだでウダウダやっていた結果、実に8ヶ月近く連載しか手を付けておらず、今回ようやくの新作読み切りの掲載となりました!本当に長くかかってしまった・・・(汗)。

ちなみに「ブレイブウォーリアーズ」の単独での読み切りに関して考えているのもあるので、もしかしたらそちらも掲載するかもしれません(ご希望ならば是非とも申してください)。

しかし、「ブレイブウォーリアーズ」関連のストーリーをやるのは本当に久しぶりで、感覚を取り戻すためにそれらのストーリーにも目を通していました(その中で作品の中の誤字、脱字、未修正の部分とかもちゃっかり手を加えていたりします(笑))。

ですが、長編作品は久しぶりなので、ところどころでミスしたり、ストーリー中に抜けていた部分も多々出て来て、その度に修正や挿入を繰り返したりと、本当に苦難の連続でした(泣)。でも、それさえも乗り越えてどうにか無事歓声・・・、いや完成させるに至りました(汗)。

ちなみに、前書きでも説明した通り、今作は「ガーディアンズ」の32~33話の間の出来事となっております。32話にてイッシュ地方に赴いた後で、本作のストーリーに至るわけです。

さて、最後になりますが、ガーディアンズの戦いはこれからも続きますので、これからお応援、よろしくお願いします!それから、前作の「ポケットモンスター ブレイブウォーリアーズ」の方もよろしければご覧になってください。

それではまたお会いしましょう!失礼します!!

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