ほのぼのヌメり

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わたしは こういうの きらい。
だって にんげんも そういうこと いわないでしょ?

パドルがソファの足元に寄りかかってポケーッとテレビを見ていた。
ポケモン特集として各地のポケモンの面白動画を紹介してるらしい。
「お前、こういうの好きなの?」
パドルにソファの背もたれ越しに聞いてみると上目使いで俺を見つめてきた。
普段、俺を見下ろしているパドルが見上げていることに新鮮な気持ちになった。
パドルはフルフルと首を横に振るとまたテレビを見始めた。
≪こちらはミアレシティのゴミ捨て場にいたワンリキーの映像≫
≪うんしょ、うんしょ、重たいなぁ≫
テレビにはワンリキーが一生懸命に大きな鉄製のゴミ箱をワイヤーのようなもので引っ張っている動画が流れている。
≪どうやらこのワンリキー君はゴミ箱をどこかに運びたい様子≫
≪こうして、こうして…エイッ! あれぇ?≫
パドルはアテレコが入るたびにフルフルと首を横に振る。
ハハァ、なるほど。
「俺もこういうの嫌いだな」
パドルは振り返って触手と一緒に縦に頭を揺らした。
テレビの中のワンリキーがグッと力を込めた瞬間にワイヤーが切れて前のめりに転んだ。
≪ウワァア!≫
テレビの中から芸能人と観客の笑い声が聞こえる。
「あいつらは生きるのに必死なのにな」
パドルは強く頷いた。
≪いたた…よぉしもう一度、うんしょ、うんs…≫
パドルが耐えきれなくなったのか番組を変えると俺の顔を触手で触り始めた。
「はいはい、座ればいいんでしょ、座れば」
二人掛けのソファの片側に座るとパドルが腿の間に頭を乗せて撫ででと言わんばかりに触手で俺の手を触ってくる。
言われるがままにパドルの触手の間に手を置いて撫でているのかヌメヌメを塗りたくっているのかわからない動きをしてみる。右に手を滑らせれば粘液も一緒に右に動く。左に動かせば粘液も一緒に左へ…。
パドルを撫でるにはこれしか方法がないのがたまに傷。
まぁ、本人が気持ちよさそうな顔をしているのと、この何ものにも代えられないモチモチ触感を味わえるので文句はない。
たまにモフモフしたのも触りたいとは思うが…。
そんな邪な考えを察したのかパドルが淡い緑色の目でこちらを見てきた。
「なぁに?」
悟られないように俺はゆったりと尋ねる。
パドルは何でもないよ、と言うかのようにニパッと笑うと今度は顎ね、と顎を突き出してきた。
しょうがないなぁ。
水ようかんのような顎下に手を伸ばし、粘液をかき分けながら撫でる。
指先で擽るように撫でてやると心底気持ちよさそうに目を細めて呼吸が大きくなる。
「お客様、かゆいところおありですか?」
なんて、ふざけながらパドルの頬を揉みしだく。
くすぐったいのか、パドルは身を捩る。
満足したのか俺の手を触手で止めるとパドルは立ち上がり俺の横に座った。
そしてそのままコテンと俺の膝の上に頭を置いて横になるとまたぼーっとテレビを見始めた。
「映画でも見る?」
聞いてみたがパドルは首を横に振った。
まぁ、どうせこのまま寝てしまうのだろうから、テレビの内容なんて関係ないのだろう。
俺はパドルの横に出っ張った脇腹に手を置いて優しく撫でる。
………、もしかしたら太ったのかもしれない。
そんなことを思いながらいつもと変わり映えのない今日と言う一日が終わって行くのだった。
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