春眠ヌメり

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ねむいよぉ
どうしてこんなにねむいの?

春眠暁を覚えず。
なんて、どこの誰だかしらないがそんなことを言ったらしい。このヌメルゴンも例に漏れず暖かい日差しの元で巨体を横にしてスピスピ居眠りをしている。
「邪魔だからどいとくれ」
片目だけパチリと開けると眠そうに大きく欠伸をした。
「ほら、洗濯物干すんだから」
パドルは首だけニュッと上に持ち上げると気だるそうにズリズリと少し移動した。
「……どうも」
そして今度はテレビ台に寄りかかってスピスピと寝息を立てて寝始めた。
「まったく……」
足で網戸を開けて洗濯物籠を持ち直す。外に出ると少し強い風が吹いた。前髪が風になびいてそろそろ切り時かな、なんて思い始める。
「春だねぇ」
なんて言いながらパッと洗濯物を伸ばして物干し竿に通す。
「これでよし」
長い長い冬が終わってからというもの暖かな日差しがずっと続いている。
いつまでも寝ていたい。そんなことを思ったりするものの、どんなに頑張っても昼までしか寝られない。人間の体は不便だ。
それなのに……
「ほんと、気持ち良さそうに寝るよな」
スピスピと鼻息を立てながらテレビ台に涎を垂らして気持ち良さそうに寝ているパドルを見てため息を漏らした。
「ンゴッ」
パドルが息苦しそうに声をあげた。粘液が鼻に詰まったのだろう。まるでおっさんである。
「ほら、パドル、起きて。台が壊れる」
ペチペチと餅みたいな頬を叩いて起こす。
パドルはショボショボと瞬きをするとゆっくり体を起こした。一度大きくあくびをすると振り子の様に左右に揺れて反対側にまたゆっくりと倒れていく。
「あ~……またか。そんなに眠いならベッドに行けば?」
パドルは触手でバツ印を作るとお腹を規則正しく上下に波打たせた。
あっそ、と軽く返事して時計を見る。
現在、12時42分。そろそろ昼にしたい。
チラリとパドルを見るがあの調子では飯を作るなんて出来やしないだろう。
「お昼は……なんか勝手に作るけどいい?」
パドルはこちらに背を向けたまま丸を触手で作って返答した。
そっけないな、なんて思いながら冷蔵庫の中を覗いてみる。
久しぶりに冷蔵庫の奥が見えた。
普段なら過剰なほど木の実が詰め込まれているはずの冷蔵庫がすっからかんになっていた。
まぁ、今まで冬だったからしかたない。いつもはパドルが無くなりそうになると腕から零れ落ちそうなほど沢山の木の実を補充するけど、冬場は流石にそうもいかない。
「仕方ない。買い物行くけどパドルはどうす……」
パドルはこちらを真っ直ぐ見ていた。
さっきまでの眠そうな顔はどこへやら。目を爛々と輝かせてこちらを見ている。
「じゃあ行こうか。……そうだなぁ、たまには外食でもどう?」
パァッと顔を明るくして首を強く縦に振る。こう言う日はなにもしないに限る。手を抜ける所は抜けばいい。いつもご飯を作ってくれてるパドルに休みがあったっていいだろうし。
「……いつもありがと」
パドルは俺の財布が入ったバッグを持つと不思議そうにこちらの顔を見てきた。
そのあと、ニコッと可愛らしく笑うと強引に俺の手とパドルの腕を組んで満足そうにんふ~!と鼻息を出した。
「このまま行くの?」
コクコクと首を振るパドル。
そしてワシワシと俺の頭を撫でると嬉しそうに頬と頬をくっつけて、行こう!と強く腕を引いて先導して行く。
やっぱりパドルはこうでなくっちゃな、なんて思った春の昼下がりだった。
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感想

お名前:円山翔 さん
相変わらずパドルが可愛いです……外出すると言った途端に目の色を変えてくっついてくるあたり、本当に主人公のことが好きなんだなぁって。こういう関係には素直に憧れてしまいます。同時に、主人公にも共感しました。人間ってなぜそんなに長い時間眠れないんですかね……眠り続けても困るわけなのですが、私も一度満足がいくまで、眠れるだけ眠ってみたいものです。
書いた日:2018年01月09日
作者返信
パドル可愛い、パドル可愛い……うへへへщ(゜▽゜щ)
自分も気の済むまで寝て、しばらく寝なくてもいいような体が欲しいです。
パドルの性格のイメージは「犬」ですね。THE 犬って感じでいつも書いてます!やっぱりね、ヌメルゴンって大好き、大好き~!って感じでワ~ッて走ってきて抱き締めてくれるようなイメージなんですよ(勝手なイメージ)
パドルを可愛いと言ってくれたこと、そして感想ありがとうございました!
書いた日:2018年01月13日