この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
次の街まであと一歩という所でタツミは大事な事に気が付いてしまった。
タ「・・・・言いにくいことなんだけど・・言っても良い?」
ヴォ『?どうしたの?何か忘れ物?忘れ物だったら直ぐ取りに行ってくるよ?』
タ「いや・・・違うんだ・・・忘れ物よりもずっと大事な事・・・。実は・・・以前貰ったタマゴの事すっかり忘れていました・・・。」
そうタツミが告げた後、すぐさま全員がボールの中から出てきた。ちなみにタマゴはカイナシティでの事件の後に母バンギラスから手渡しされたタマゴのことである。
レガ『タマゴって・・・あー・・・あったねぇ・・・・あのバンギラスから貰った・・・。本当、すっかり忘れてた・・・。』
スカ『タマゴってもしかしてあの・・バンギラスから貰ったやつなの・・・こりゃ怖いことに・・・何もなってないなら良いんだけど・・・。』
タ「そう・・・凄く今気づいて・・・・・・そ、それよりも急いで見てみよう!!どうにもなってないといいんだけど・・・。」
タツミは恐る恐るバックの中を探りタマゴをバックの外へと出してみた、タマゴにとっては数週間ぶりの外であるが幸いにも割れたりかけたりはしておらず綺麗な状態を保ったままであった。
タ「良かった・・何も傷一つ付いてない・・・当然だけど割れたりもしてないみたい。」
レガ『でもなんでこんなに長時間気づかなかったんだろう?特にバックの中にあったなら忘れることも無いと思うんだけどなぁ・・。』
タ「あの後直ぐにスカイと別れたからバックなんて特に気にしたこと無かったしなぁ・・・財布とかはポケットとかに入れてたから尚更バックの中とか見ないよなぁ~。」
ヴォ『僕はそのタマゴを貰った時に生まれてなかったからなんとも言えないけど、思い出して貰ってタマゴの中のポケモンも安心しているんじゃないかな(汗』
スカ『それもそうかも・・・へたしたら今後一生気づかれずに終わってたかもしれないし・・・?』
タ「まぁこれからは忘れないようにしよう・・・ってもう光り出した!?」
レガ『なんでこんな都合が良いときに生まれようとしてくる訳よ!?』
ヴォ『でも何が生まれてくるか楽しみだね~♪貰った場所がホウエンみたいだから、やっぱりホウエンのポケモンなのかな?』
スカ『どうだろう・・・?あっ・・・姿を表しはじめたよ?』
タツミの目の前で光り出したその半分放置されていたポケモンのタマゴ・・・そして中から生まれてきたのは?
???『ゴロ?』
レガ『えっ・・・?あーそういえばレスタも生まれた時は喋れなかったっけ。それよりもこのポケモンってなんて言うのタツミ?』
タ「えーっと・・・たしかミズゴロウってポケモンだったと思うよ。ホウエン地方の初心者用ポケモン3体の内の1体だから相当珍しいと思う。」
スカ『やっぱりホウエン地方で貰ったからホウエン地方の歩ケモンになるんだね♪でもようやくこれで水タイプが加わって火事の心配が少しは減ったね?』
レガ『火事って・・・それよりもこのミズゴロウってポケモンなんかキョロキョロ周りを見渡しているね~って・・・なんでヴォーグに近づいているんだ・・・・えっ?』
タ「まさかのヴォーグをお母さんって思ってるんじゃ・・・?えっ?そういうものなの?えっ?」
ヴォ『なななななななんで僕!?ほらほらタツミはあっちだよ!?ってなんで僕から離れないの!?ってなんでそんな笑顔でこっち見るの!?えっ!?』
スカ『少しは落ち着きなさい!!うーん・・・どうやらヴォーグをお母さんとして覚えちゃったみたいだね?じゃあ頑張って、お母さん?』
ヴォ『僕は男!!ってなんでこんなに離れないの-!』
レガ『こりゃ一悶着ありそうだな・・それよりもタツミ、この子にも当然名前付けるんでしょ?』
タ「えっ?・・・うーんそうだね、じゃあヴォーグ付けて良いよ・?なんて言ったってお母さんだからね?」
ヴォ『タツミまで-!!!』
レガ『それでヴォーグ、名前は決まったかい?・・・・・あっ、お母さんだったかw』
ヴォ『レガさん!!!本気で怒りますよ!ってタツミも何とか言ってよー・・・このままじゃ僕身動き取れない・・・。』
タ「はいはい、君は一旦こっちに来ようねー・・・・・・って全然へばりついて離れないぞ・・・?レガちょっと手伝って。」
レガ『そんなに?・・・あっ本当だ。こりゃヴォーグの事本気で親だって思ってるぞ。』
ヴォ『えぇ・・・(´・ω・`)』
その後は結局レガに協力して貰いミズゴロウをヴォーグから強制的に離す事に成功したタツミ達。っと言う事でそのままの流れで急遽仲間内で緊急会議を開くこととなった。
タ「まぁ見て貰っての通り、どうも今度生まれたミズゴロウはヴォーグの事を親だと思って居るみたい。」
ヴォ『本当困ったよ・・・自由に動けないしあんなに小さな身体で僕の背中に乗ろうとするんだからまた危なくて危なくて・・・。』
レガ『まぁなんかそのままにしてた方がミズゴロウ的には幸せだろうけどな。』
スカ『それは私も思う、無理矢理引き離しても良いけどなんかあまり良い環境にはなりづらいというか逆に悪影響って言うか・・・?』
タ「そういう事もあるからね、まぁ暫くはヴォーグが面倒見てあげてよ?」
ヴォ『ぇえ・・・まさかの・・・・僕なんかが世話できるのかな~?』
レガ『そんな気持ちじゃいけないでしょ、まぁ取り敢えずなんでも経験だよ。だから頑張れ(棒)』
スカ『レガ、なんか棒読みだったけど?』
レガ『キニスルコトナイヨー。』
タ「何事も経験って言うけど・・・まだヴォーグは生まれてそれ程日が経ってないし、まぁ僕達もフォローするからそんなに気を張らなくて世話してあげて?」
ヴォ『タツミがそう言うなら・・・ところで名前の件なんだけど・・・それはタツミが決めてくれないかな?』
タ「それは良いけど、またどうして?」
ヴォ『特に深い意味は無いんだけど、僕が名前を付けるよりもやっぱり親であるタツミに名前を決めて貰った方がこの子の為にも良いかな~って思ったからね?』
タ「なるほど、じゃあ決めよう!ん~~~~~~~~~~と・・・じゃあまぁそれ程言い名前じゃ無いけどポルって名前はどう?」
レガ『今まで以上にすんごく中途半端でセンスの欠片も無いような名前が出てきた!!!』
タ「レガ、後でお話ししようよ?」
スカ『タツミを本気で怒らせちゃいけないよ?でも、まぁこの子ならそういう名前でも良いと思うけど・・・最終進化形になったときにその名前で呼ばれると思うとちょっと複雑だね。』
ヴォ『でもタツミの付けた名前だけは気に入ったみたいだよ?まぁ最近は種族名で呼ばれるポケモンも多いことだし名前があるってのが良いんじゃないかな~。』
タ「我ながらどこからそのような名前が出てくるのか不思議で仕方ないよ、まぁ気に入ったならな・・・それよりもポルの事どうします?ヴォーグの背中に乗せておいても良いけどなんか危なっかしいしボールの中に入れておくのもねぇ・・・。」
レガ『じゃあ今日は僕が・・・あっ、そうですか・・・嫌ですか・・・そっちのもふもふした方が良いとの事ですかそうですか。』
レガはポルを抱きしめ肩に乗せようと思ったのだろうが、それを察知したポルはそのまま逃走を図り結局はヴォーグの背中へと乗せられた。しかし、ヴォーグの背中は相当気持ちが良いのかかなり満足気な表情で寝転んでいた。
レガ『そりゃあヴォーグの方がまだふかふかで触り心地も良いし広いし良いよね?もう僕は君のこと知らないからね?』
タ「まぁそう拗ねるな。取り敢えず早い所次の街へと辿り着いてしまおう、もう見えている範囲だからね?・・・・ヴォーグもいつも以上に気をつけてから歩いてね・・?」
ヴォ『うん・・・かなり気を遣うから疲れそうな気もするよ・・・。』
その後、次の街までは大体1時間前後で到着する事が出来た。次にタツミ達が訪れた街はコトブキシティ、シンオウ地方では一番大きく発展した都市である。ここの街にはテレビ局が数局ある他大きな会社が連なっており、この地方の経済の中心となっている。
また、ジムやトレーナーズスクールなどトレーナー関係にとっては待遇は悪くなく暫く滞在するトレーナーやビジネスマン、旅人などで街は大変賑やかである。そんな中タツミ達はポケモンセンターへと足を進めるが、元々この地方にウィンディであるヴォーグは生息していないこともあってかカントーやジョウト地方から来た人達以外からは不思議なまなざしで見つめられていた。
ヴォ『なんかかなり見られている感じがするんだけど・・・大丈夫・・?』
タ「大丈夫だ、問題ない。」
ヴォ『その台詞誰かが言ってたような気もするけど・・・?』
タ「特に支障は無いから急いでポケモンセンターに行く事にしよう?明日か明後日には次の街のマサゴタウンに着きたいと思っているからね。」
ヴォ『じゃあ今日は野宿?』
タ「それはなるべく避けたい所・・・この地方の夜はまだまだ冷えるからね~出来る事なら何処かに泊まれる所があるならそうしたいかな?でもその前にポケモンセンターで準備をしっかりしてから次の街に進むことにするよ~?」
ヴォ『了解!・・・さっきからなんか重いな~と思ったらポル・・・寝ちゃってる・・。』
タ「静かに起こさない様に先に進もう。」
ポケモンセンターの前は今まで訪れた街のポケモンセンター前とは違い、大都市圏のど真ん中に設置されている他大きな駅前広場のような感じになっており多くの人で賑わいを見せていた。手持ちポケモンと思われるポケモンをボールから出している人も居たが、その大半が小さなポケモンばかりで生まれたばかりと言ってもウィンディという大きなポケモンであるヴォーグは少々その場には不釣り合いな感じだった。
タ「うわ~・・・人が多すぎる・・・こりゃ部屋取れないかもなぁ~。」
ヴォ『そうしたらやっぱり野宿・・・・?』
タ「そうなるねぇ・・・。まぁ聞いて見るけどどうかな?」
ポケモンセンターの中も人で溢れかえっていたのはどうやら近い内に何かしらのイベントがあるらしく、その待機組のような感じの人達のようだった。その人混みの中をタツミとヴォーグは掻き分けながら受付へと向かう、勿論ヴォーグの背中に固定した荷物は一切煮崩れしていないのは流石と言ったところである。
タ「それで部屋の方は空いていますか・・・・そうですか・・・やっぱり空いていませんか・・・。」
ヴォ『えっ・・・部屋空いてないの・・・・・。』
タ「そうみたいなんだよね・・・しかも今週1週間空きなしでキャンセル待ちも多数いるとなると、今日は久々の野宿となりますかな~。そうすると・・じゃあのんびり先の方にちょっと進んだ所で休もうか~。」
スカ『その前に何かしら買っていった方が良いんじゃないかな?野宿なら不測の事態に備えることも大事だろうし。』
タ「いきなり出てきたな・・・まぁスカイの言うとおりに今日の夕食分と明日の朝食+アルファといきますか。じゃあ近くのコンビニでも立ち寄ることにしよう~。」
ヴォ『コンビニって何・・・?』
タ「あー・・ヴォーグはコンビニ初めてだったね~、コンビニって言うのは簡単に言うと24時間何時でも食べ物とか日用品とかの品物を買う事が出来る店って感じかな~まぁ行ってみると分かると思うから早速行ってみようか。」
スカ『でもタツミ、ここって夜相当寒そうだから野宿はあまりしない方が良いと思うけど・・・下手したら風邪引くかもしれないよ?』
タ「そうだよな・・だけど他に・・・でもビジネスホテル借りても良いけどちょっと費用が掛るんだよね・・・やっぱりちょっと防寒具買ってから先に進んでおいた方が良いかな。」
スカ『じゃあ私が今日は隣で寝るね?そうしたら結構暖かいと思うし風邪も引きにくいと思うから・・・。』
ヴォ『じゃあ僕も・・・・』
スカ『あんたはでかいしポルの事もあるからそっちを見てて!』
ヴォ『えぇぇ(´・ω・`)』
ポケモンセンターから歩いて数分の位置にコンビニはあった。既にピーク時間は過ぎているにも関わらずに店内は多くの人やお使いと思われるポケモンで溢れかえっていた。人が多く身体がでかいヴォーグは迷惑になると思った為外にポルと一緒に待っててもらい、タツミはスカイと共に店内へと入って行った。
タ「さてと、まずは今日の夕食と飲み物は買っておかないとね~それから幾つかの防寒対策としてカイロとかを買ってっと・・・ん?スカイどうした?」
スカ『タツミ、これ買っても良いかな?』
そう言ってスカイがタツミに見せたのは一つのスナック菓子であった。ふとタツミは思い返してみるとスカイはお菓子というお菓子を頑なに食べようとしていなかった。
タ「でもお菓子嫌いじゃなかったんじゃ・・・?」
スカ『あっ・・・あれ?あれはその・・・えーっと・・・ただ、ちょっと意地張ってただけっというかなんていううか・・・。』
タ「なるほどねぇ・・・まぁあの時はスパイアとかも居たしなぁ・・・まぁ買っても良いよ?そうなるとやっぱりヴォーグとかにも買っていってあげないといけないか・・。」
ヴォ『うーん・・・・タツミ達遅いなー。まだかな?まだかな?・・・・・・あっ!帰ってきた!』
ヴォーグはタツミの姿を見つけると即座に駆け寄り・・・そのまま抱きつこうとした。・・・・っが即座にレガがボールから飛び出しヴォーグをタツミの代わりに受け止めたので事なきを得た。
レガ『だから、急に抱きついちゃ駄目だって言ってるでしょ!しかもこんなに荷物持っている時とかポルが上に乗っている時にやっちゃいけない!!』
ヴォ『はい・・・ごめんなさい・・・・。』
タ「まぁまぁそう怒らずに。取り敢えず今日の分と明日の分とか必要な分は買ってきたから、ヴォーグ重いかもしれないけどよろしく頼むね・・・?」
ヴォ『うん!!』
レガ『だから隙を見て抱きつこうとしないの!!僕だってタツミに抱きつきたい気持ち抑えてるんだから!!!!』
そうレガが声を大にして言った瞬間、辺りの空気が一気に静まりかえった。ヴォーグやスカイはニヤニヤが止らずタツミは目をそらし言った張本人は顔を真っ赤にしその場で硬直していた。
タ「えーっと・・・レガ、今の言葉は・・・・?」
レガ『そそそそそのそう言う意味じゃ無くてそういう意味ってどういう意味か分からないけど取り敢えずそういう意味じゃないから!!』
それだけ言うとレガは自ずとボールの中へと入って行った。
ヴォ『レガさんもなかなか大胆ですねぇ~~。』
スカ『って元はと言えばあんたのせいでしょ!こうなったの!後でレガに謝っときなさいよ?』
ヴォ『はーい。』
その後、タツミ達は結局の所コトブキシティから少々南下したところにあるキャンプ場で野宿することとなった。しかし、ここの地方もタツミみたいな旅人に優しいのかフル規格のキャンプ場が揃っていた、当然タツミ達が野宿するキャンプ場もしっかりとしているキャンプ場でありトイレや炊事場、それだけで無くシャワー室までも備えてあった豪華なキャンプ場であった。
タ「うぉ・・・こんなに豪華なキャンプ場とは思わなかった・・・。これならみんなのびのびと心配せずに過ごせるかな~。」
ヴォ『うん、凄いと思う・・・こんなキャンプ場もあるんだね~・・・なんかとっても新鮮な気持ちだよ。』
スカ『本当よね、こんなに凄いキャンプ場があるなら野宿もすんごく快適になりそう・・・。それよりもタツミご飯にしようよ~。』
タ「そうやね、じゃあちゃっちゃかとテント建ててご飯にしようか~。」
レガ『賛成-!』
タ「あっ、レガいきなり出てきたね。」
ヴォ『ニヤニヤw』
スカ『ヴォーグ、謝りなさい。』
ヴォ『さっきあんな事言ってごめんなさい・・・。』
レガ『まぁいいよ、そんな事あんまり気にしてないから?』
スカ『明らかに根に持ってるよね・・・。ま・・まぁそれよりもご飯にしよう?タツミ。』
タ「そうやね、じゃあご飯食べようか。」
タツミとスカイは(´・ω・`)とするヴォーグとそれをちらちら見ては何処か遠いところを向くレガを横目に夜ご飯の準備を始めた。
今年の更新はこれで終わりです、今年一年ありがとうございました。