第62話

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

あの後は特段何かしら変わった様子は無くトージョウの滝までは来れたタツミ達。ここまで数人のトレーナーとすれ違ったがみんなが避けたのを見るとタツミのポケモン達は周りからは関わりたくない感じで見られているのかもしれない。

タ「さてと、何とかここまで来れたね・・・あと少しでワカバで今のところは何事も無く来れたけど、研究所に着くまでは気を抜かずに行こうか・・・。じゃあここからはまた空で移動しようと思うからスパイア、頼んだよ。」

ス『わかった!任せておいて!』

タ「よし、じゃあみんなはボールに入っておいて。」

トージョウの滝はその名の通りカントーとジョウトの地域境に位置するのだが中は薄暗い洞窟となっており、また滝を登ったり下ったりしないといけないので相当ハードな登山道である。

タ「特段何も変わった様子はなかったからここまで空を飛ぶで来ても良かったかなー。」

ス『まぁ念には念を入れてこれで良かったんじゃないかな?』

タ「まぁね。」

トージョウの滝を越えると見えてくるのがワカバタウン。しかし、ワカバタウンからトージョウの滝に向かうには途中貯水池のような池を越えなくてはいけない。ちなみに車でも行けるが大幅に北上しないといけないので実質これが近道なのだ。

タ「ようやく見えてきたね。スパイア色々とありがとうね。」

ス『タツミの為ならこれくらい全然苦じゃないよ!それよりも研究所の前に降ろせばいいの?』

タ「そうだね・・・研究所の前で良いよ。今日はもうここで休憩しようと思っているからね。」


ワカバタウンは小さな町だがどこか懐かしさを感じる、そんな街。タツミは研究所の前に降ろしてもらいまずは博士に挨拶へ行くことに。

タ「あー懐かしいなぁ・・・ウィングとか元気かなぁ・・・。全然連絡してなかったからなぁ・・・。」

タツミは研究所の中へと入って行く。そこには助手はいたのだが肝心の博士がいない。

タ「あれ?博士はいないのかな・・・?」

助手「あっ!タツミ君!博士は今フィールドワークに出ていて夕方まで帰らないんだよ。それよりもそっちのポケモンって・・・もしかして・・・。」

ウツギ博士の助手はタツミの隣にいるスパイアを興奮しながら指差した。

タ「あっ、そうですよ~最近何かと噂のメガ進化したリザードンのスパイアですよ~。」

助手「だよね!いや~まじまじと見たのは初めてだからつい興奮しちゃって・・・。ごめんね。あっ、そうだ。預けているポケモンなら奥の庭にいるから会ってきたらどうかな?」

タ「そうですね、じゃあそうさせてもらいます。」

タツミは助手から案内されて奥の庭へと向かう。庭はかなり広いという訳ではないが十分遊べるスペースはありポケモン達にとってもストレスにはなりにくい環境のようだ。

ウィ『よし、これでOKと・・・あれ?・・・もしかして・・・。』

プ『zzz・・・』

ウィ『プレッサは寝ているのね・・・。』

ウィングは気配を感じ取り入口へと向かう。そして・・・

ウィ『あっ!やっぱりタツミだ!!タツミー!!』

タ「おー、ウィング元気だったか?なかなか連絡取れなくてごめんね。」

ウィ『ううん。大丈夫。こうやってまたタツミと会えたしね♪それよりもそっちってもしかしてスパイア?』

ス『そうだよ、僕だよ~。今は訳合ってこんな姿だけどね。』

ウィ『へぇ・・・。』

タ「そうだ、みんな出してあげようかな。みんな出てきて。」

ク『うーーーん・・・あっ、ウィング・・・。』

レガ『おお~久しぶり~。』

フ『久しぶり(*^▽^*)』

レ『?』

ル『?』

ウィ『うわー、レガも進化している!カイリューなんて私よりも大きくなって・・・。・・・・!あのどちらさん?』

タ「あー、こっちがアマルスのレスタ。どうやら古代のポケモンみたいなんだ。まだ子供だから優しくね。そしてこっちがニドクインのルビア。」

レ『初めまして!』

ル『初めまして。』

ウィ『初めまして。ふ~ん・・・雌ね・・・。』

ウィングは特段顔には出していなかったがどこかしら嫉妬心を持ったらしくその後暫くタツミに対して対応がどこか冷たかったのだとか。


タ「さてと・・・今日はどうしようか、もう結構遅いし次の地方まで行くにしても距離が距離だからねぇ・・・。」

助手「あっ、だったら今日は泊まっていく?博士も特段困った感じではなかったみたいだしそれよりも久々に自分のポケモンに会ったんだからゆっくりしていきなよ~。」

タ「それもそうですね・・・ならお言葉に甘えてそうさせてもらいます。さてと、じゃあみんなゆっくりしていていいよ。ちょっと僕は外に出てくるね。」

ウィ『?』

ス『あっ、ウィングも気になった?』

ウィ『まぁね・・・じゃあスパイア行くよ。』

タツミが出て行ったのを確認してスパイアとウィングは後を付いて行った。


外はまだ明るいが大分日が傾いてきたのか道行く人はどこか忙しなく過ぎていく。ワカバタウンは小さな町だが住んでいる人は多い。ただ、仕事などで離れる人が多く昼間の人口はそれほど多くはないとの事だ。

タ「はぁ・・・。」

ウィ『タツミ!』

タ「!?なんだウィングとスパイアか・・・。どうした?」

ス『いや・・・なんかタツミが元気無さそうだったからどうしたのかなと思って・・・。』

タ「あーちょっとね・・・。それよりもウィング、勝手にライバル視するなよwルビアの事w」

ウィ『ギクッ!・・・べべべべべ別にららららライバル視なんてしていないんだから!』

タ「ははは、大丈夫だよ。それよりも次に行く地方は分かっているよね?」

ス『確かホウエンってところだったと思うけど・・・そこがどうしたの?』

タ「まぁココからかなり遠いところになるからね・・・誰を連れて行こうかと思ってね・・・あんまり多くを連れて行くと新しい仲間を迎える事が出来ない。けど・・・・。」

ス『タツミが思うようにしたらいいんじゃないかな?僕は例え今回タツミに連れて行ってもらえなくてもここで待っているしどこにも行ったりしないよ・・・。そりゃ連れて行ってほしい気持ちはあるけどね・・・。』

ウィ『・・・スパイア変わった?』

ス『なっ・・・!そういうウィングこそちょっと太ったんじゃないの?』

ウィ『はぁ~?それがレディに言う言葉?折角こっちがちょっと気を利かせて言ったのに!』

ス『あわわわ・・。』

タ「大丈夫だよ・・あれ?レガも来ちゃったの?」

レガ『うーん・・・あんまり中にいるのが好きじゃないからねぇ・・・外にいた方が落ち着くよ。それよりもお揃いで何やってたの?』

ウィ『別に何も・・・?』

ス『う・・・うん。』

タ「(微笑み)」

レガ『?』

その後レガが今まではなしていた内容を知ることはなかったのだった。


その夜、夕食を食べ終えたタツミ達は今後の事で話し合いをしていた。

タ「それで次に行く地方はホウエンって決めているんだけど・・・今回も前回と同じように連れていくポケモンとここに残るポケモンと分けようと思うんだ。」

ク『成程・・・まぁ前回はちょっと色々と後でスパイアやらレガやらが乱入してきたから今回はねぇ・・・。』

レガ『乱入って人聞き悪いな。まぁでも今回は話し合った方がイイと思うからね。』

ス『うん。』

タ「それでなんだけどどうしようかと思っているんだよねぇ・・・。一応今回は2体連れて行こうと思っているんだ。」

レガ『2体・・・結構余裕がないな・・・。』

タ「うん。でも今から行くところはココからかなり遠くてね・・・。一応アサギからフェリーは出ているんだけどそれでも1日は船上の人になるからね・・・向こうでも仲間になるポケモンがいるかもしれないし・・・。」

ク『確かにそれも言い切れるな・・・。でもどうやって決める?』

タ「とりあえずフィーロは連れて行こうと思う。親御さんからもいろんな地域を見せて回ってほしいって頼まれているし・・・。そしたらあと1体になるんだよね・・・・。」

ル『私はちょっとここに残って家族を探してみようと思っています。』

タ「そっか・・・まぁ仕方ないか・・・見つかるといいんだけど・・・。レスタも今から行くにはちょっと厳しいか・・・。」

レス『うん・・・。僕もここでお留守番しているね。』

ウィ『私もなんかここを守っている間になんか愛着わいちゃって・・・でもタツミが呼んでくれたらすぐ行くから心配しないでね?』

プ『僕はこういう感じで最近眠くて眠くて・・・どうも旅向きという訳じゃなくて中でこうやってのんびりしている方が僕には合っているみたいなんだ。だけどウィングと同じく呼んでくれたらすぐ行くよ?気を付けてね。』

タ「わかった。」




ク『じゃんけん・・だ・・と?』

レガ『あほ。じゃんけんなんてしたらかなり運任せだろ。ここは公平にタツミに一番貢献してきた奴でどうだ?』

ク『それなら僕が一番になるなw』

ス『それは流石にどうかなぁ~。

タ「・・・・・スパイアを連れて行こうと思うんだ。」

レガ『!?』

ク『!?』

ス『ぼ・・・僕!?』

タ「まぁ・・無理にとは言わないけどね・・・。思えば今回の旅はスパイアが結構頑張ってたかなぁと思ってね・・・。勿論他のみんなも頑張ってくれてそれはよくわかるんだけど・・・。」

レガ『・・・まぁタツミがそういうなら仕方ないよね・・・?』

ク『う・・・ん・・・。』

タ「本当ごめん。本当はまた同じメンバーで行きたいんだけどそうするとどうしても定員オーバーになってしまうから・・・。本当ごめん・・・。」

そう告げたタツミの目には涙が浮かんでいたという。

ク『・・・・・スパイア、絶対タツミを守れよ?それと心配ばかりかけさせるなよ?いいな?』

レガ『また暴走しそうになったらすぐに僕を呼べ。マッハで駆けつけてやる。・・・・グズッ』

ス『みんな・・・うん・・・!わかった!!絶対タツミを守るよ!』

フ『僕もいるから大丈夫と思うよ(^^ゞ』

タ「そうだな・・・。出発は明日の午前中で大丈夫だからそれまでゆっくりと休んでいいよ?」


その夜、タツミは一人星を眺めていた。何時かもここで眺めていたようなそんな感じさえする綺麗な星空。

ク『タツミ。』

不意にクラウンに呼びかけられタツミは後ろを振り向く。

タ「こんな時間にどうした?もうほかのみんなは寝ているだろうに。」

ク『いや、暫くお別れになると思うとね・・・。』

タ「そうか・・・今までずっとクラウンは僕に付いてきてくれたもんね・・・。右も左もわからない状態の時から・・・。」

ク『うん・・・。暫く会えないけど・・・・・・。』

タ「クラウン・・・今までありがとう。そしてこれからも宜しくね。」

ク『えっ?』

タ「いや、そんなに悲しい顔されるとこっちも出発しにくいよ。絶対また帰ってくるから、それまでここで待っていて。約束する。」

ク『大丈夫だよ。会いたくなったりピンチになったらレガに頼めばマッハで駆けつけられるからね。』

タ「それもそうだなwさてと、明日に備えてもう寝ることにしようか。」



翌日はどこか懐かしい感じがする朝だった。

タ「今日からまた新しい旅の始まりか・・・。よし、気合入れて行かないとね。」

博士「あっ、タツミ君。もう起きたんだね、流石朝は強いだけあるね~。朝食出来ているから食べていくといいよ。」

タ「ありがとうございます。」


朝食をごちそうになった後は簡単な身支度を済ませ研究所を出発することになる。

タ「よし、準備はこれで整った。さてと・・・行くか。スパイア、フィーロ準備は良い?」

ス『うん!』

フ『OK!』

タ「よし!じゃあ出発しようか。」


タツミは博士と助手に挨拶しスパイアとフィーロを連れて研究所を離れた。預けたポケモン達は見送ってくれたのだがレガだけはやはり性格が変わらないのかどこかで泣いているのか見送りにはいなかった。

タ「さてと、一応今日の夕方に出る船に乗ろうと思うよ。」

ス『空を飛ぶで移動する?』

タ「いや、大丈夫。この調子で行くと大分間に合うように着くことが出来ると思うからね。」


ワカバタウンを出て暫くするとまた前回もあったような視線をどこかしら感じた。

タ「・・・・・まさかね・・・・?」

ス『タツミどうかした?』

タ「いや、この視線は何となく前スパイアが付いてきていた時の視線な感じがしてね・・・。また誰か付いてきているんかなと感じたんだけど気のせいみたいだね。それじゃあ先にすす・・・うわ!!」


タツミの視線の先にはなぜかレガがいた。それも何故かかなり涙顔である。

タ「どどどどどうした?レガ・?」

レガ『・・・・やっぱり・・・タツミ―――!!!』

レガは急にタツミを抱きかかえた。


タ「どうしたー?何がそんなに寂しいんだよ~。」

レガ『やっぱり寂しいんだよ・・・。グズッ・・・どうしても・・・。ねぇ・・・タツミ、僕も連れて行ってくれない・・・?』

タ「はぁ・・・・。やっぱりレガは昔から変わらないな・・・。・・・・・・仕方ない・・・来るか?」

レガ『!?いいの?』

タ「まぁ前も言ったけどずっと寂しがられてもこっちも気が気じゃないからね。でもこれじゃクラウンが怒るぞ・・・・・。』

ス『確かに・・・。』

タ「まぁ・・・後で説明すればいいか・・・。ところでボールは・・?」

レガ『はい!』

レガは先程まで泣いていたので若干顔に涙が付いているが満面の笑みでボールをタツミに差し出した。

タ「まったく・・・。それよりも急ごう。フェリーの時間に間に合わなくなる。」

ス『へぇ~・・・レガって案外・・・w』

フ『そうかもねw』

タ「はいはい、そこ何か変な陰口言わない。」


タツミ達は若干急ぎ足でフェリー乗り場があるアサギへと向かった。

今年はどうやらエルニーニョ現象が最大と聞きましたが、その現象が起きると暖冬になりやすいようですね。ただ、寒暖差が激しいとの事だから体調管理には気を付けたいものですね。

ちなみに今日はかなり寒いです。

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